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世界境界  作者: shi:to(碧空の使徒)
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冒険者になるために


朝起きて顔を洗う。それと同時に食事が運ばれてきた。


「ああ、もう起きていたんですね。こちらの朝食を30分以内に食べ終わってください。その後会場へご案内します。」


職員はそれだけ告げると部屋を後にした。

朝食はライ麦パンに塩のスープ。ライ麦パンは少しカビており硬く、塩のスープは生ぬるい海水を飲んでいるような気分だった。


30分後、再度職員がやってきた。


「では、ご案内します。こちらへついてきてください。」


俺はその案内について行く。冒険者とたびたびすれ違うが、その人たちの俺を見る目がとても悲哀に満ちていた。


「こちらが会場になります。適当な位置にお座りください。」


通された部屋は学校の教室を彷彿とさせる部屋だった。中にはすでに8人の同年代であろう人が座っており、ある人は不安そうな顔を、ある人は不敵な顔をしていた。


暫く座っていると顔に大きく傷跡を付けた男性が入ってきた。


「では、これからテストを始める。私は今回試験官をするロウガだ。このテストによって冒険者ギルドに入れるかどうかが決まるから真剣に取り組むように。テスト用紙に書かれている番号はこの後の結果発表で使用するから覚えておいてくれ。」


テスト?この世界に来てからするとは思わなかったが、能力を確かめる点ではテストが一番効率がいいのか。

ロウガ試験官がペーパーを配り始めたその時、

「すいませぇん。遅れましたぁ。」

陽気な声を響かせながら上下ヨレヨレの服を着た女子が入ってきた

「遅いぞ、今から試験だ。早く座れ。」

「はぁい」


そして試験が始まった。

勢いよく全員がペンを持つ。しかし京翔はその試験を見て、すぐにペンを置いた。


第1問

レッドベアの一般的な倒し方及び解体方法を説明せよ。


第2問

あなたはウロ山で翼人との戦闘を開始した。あなたはどう行動をするか。


第3問

現在勇者は何人いらっしゃるか。それとその名前を全て答えよ。


・・・


京翔はおもった。わからない固有名詞多すぎ、それに勇者って複数人いるのか?これって無理ゲー。と。


そして時間が経過し、ロウガ試験官が用紙を回収した。


「昼には採点が完了するだろうから昼食後ここへ集まってくれ。」

そしてロウガ試験官は部屋を後にした。


試験官が出ていった後、一緒に試験を受けていた人が互いに話し始めた。


「ねえ、全部答えられた?」

「もちろん、このご時世だし簡単な問題が多かったね。」

「5年前のレベルだったら解けなかったよ。」

「楽勝!」

「外の露店で何か買いに行こう。」


そのような話をしている中、京翔は『外に行っても場所がわからない』という理由付けをして独り睡眠に入るのだった。


「ねぇ、君。何も食べないのですぅ?」

10分ほど寝ていた京翔はとある声に起こされた。

「もし時間があれば僕と話をしてほしいなぁ。」


京翔が顔を上げるとそこには先ほどの試験の時最期に入ってきた少女がこちらを見ていた。


「あぁ、良かったぁ。起きていたんですねぇ。」

「なんの用?」

「いやぁ。君、僕と同じで一人ぼっちみたいだから少し話してみようかと思ったんですよぉ。」

「そうか、別にそれはいいんだが。君ではなくて名前で呼んでくれ。俺の名前は京翔だ。」

「ケイトか。僕の名前はルカって言いますぅ。ケイトはどこから来たんですぅ?」

「俺は、遠い東の国から来たんだ。気づいたら一文無しでしょうがないから冒険者にでもなって生活費を稼ごうかと思って。」

「そうなんですねぇ。僕は王都のはずれに住んでたんですよぉ。でも家を追い出されちゃってぇ、王都にいるといろいろ知っている人が多いからこのポルの町まで来たんですよぉ。」

「そうか。ルカもいろいろ大変なんだな。」

「そうなんですぅ。あっ、これあげますよぉ。これから何が起こるかわからないですしねぇ。」


そう言ってルカは串に刺さった肉の串焼きを渡してきた。


「あ、ありがとう。」

「お礼なんていいですよぉ。一人ぼっちは寂しいですしねぇ。話し相手になってくれたお礼ですよぉ。」


そういうと彼女はもともと座っていた席に行くとそのまま伏せて寝てしまった。


京翔がルカから貰った串焼きを食べ終えたころ、外に出ていた受験生が帰ってきた。そしてすぐにロウガ試験官が入ってきた。


「よし、これから結果を発表する。というかほとんどの人が合格だがな。」


そう言って呼び出しが始まる。1人、2人と呼ばれていく中、残ったのは京翔とルカだけであった。


「これで以上だ。呼ばれなかった人は後で俺のところへ来るように。」


そういうと合格した人は喜びを顔に出しながら部屋を出ていった。そして京翔とルカはロウガの元へ向かった。


「僕たちはどうなるんですぅ?」

ルカが話を切り出すと、ロウガはにやりと笑みを浮かべた。

「さて、まずお前らは本当に人族であるかどうかを確かめさせてもらう。この石板には嘘をつくと使用者を拘束する刻印が彫られている。この石板に手を置いて『私は人族です』と宣言してくれ。」


そして京翔とルカは石板に手を置き『私は人族です』と宣言をする。

しかし何も起こらなかった。


「そうか、本当にお前らは無知なのか。」

ロウガは安心したようにため息をついた。

「お前ら二人には冒険者育成学校へ通ってもらう。そこを卒業できれば冒険ギルドは冒険者としてのギルドカードを発行してやることができる。そこで頑張るんだな。」

「二つ質問いいですか?」

「いいぞ、なんだ?」

「そこを卒業するまでにはどれだけの時間がかかるのでしょうか。それと卒業までの期限とかあるのでしょうか。」

「卒業はいつでもできる。しかし試験が必要だがな。最短1週間で卒業した奴がいる。期限は3年間だ。特に入学金などは必要ないからその分しっかり勉学に励めよ。案内はこの封筒に入れてある。今日はここに泊まっていいから明日そこへ迎え。以上だ。」


ロウガは二人に封筒を渡すと肩を一回軽く叩いて部屋を後にした。多分激励の代わりなのだろう。


「なんか、大変になりそうですねぇ。」

「そうだな。今日は部屋に戻って荷造りと行先の確認をしてから早めに寝るのがよさそうだな。」

「そうですねぇ。明日から一緒に頑張りましょうねぇ。」


京翔とルカは自分の部屋へ戻っていった。

そして明日に向けて用意をした後、早めに寝るのであった。



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