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悪役令嬢は死にました

 類稀な魔力量。

 国内最強と謳われるその力は小国を滅ぼすほどのもの。

 そんな物騒なものを持って生まれたのはフラマール王国フュールデリア公爵家令嬢サリナ。

 生粋のお嬢様はプライドの高い傲慢な女…に見える。肉食獣のようなキツイ目元のせいで整った目鼻立ちの印象がガラリと変わってしまう。

 国内では珍しい黒髪に黒眼は神秘的ではあるが、異質でもあった。

 サリナは誰が見ても美人だったが、本人は金髪や茶髪など普通の髪色に憧れていたし、魔法の力もいらなかった。

 夢は『王子様のお嫁さん』という、ごく普通の可愛らしい悪役令嬢だったので。


 そして、今………。


 サリナは花嫁だけに許される純白のドレスに身を包んでいた。

 最高級の生地に職人達がプライドをかけて取り組んだ艶やかな刺繍とレース。この一着で庶民の数年分の生活費が飛ぶ。

 贅沢すぎると本人は思っていたが、自身が公爵令嬢なだけでなく結婚相手がこの国の王子とあってはあまり文句も言えない。

 王子の結婚は国のお祭りでもあり、国内外から観光客が集まり景気も上向きとなる。

 派手な装いやイベントは落ち着かないが『庶民の楽しみ』だと言われると断れない。

 十八歳になったばかりの若く見目麗しい王子様と十二年に及び愛を育んできた公爵令嬢の結婚は概ね国民にも歓迎されていた。

 前世の記憶から自分が悪役令嬢だとわかった時にはこんな未来になるとは予想もつかなかった。

 乙女ゲームのエンディング直前に断罪されるサリナは、良くて平民落ちの末、国外追放。ほとんどのルートで殺されている。

 行方不明はまだましな結末。平民落ちしてでも生き延びたかもしれないから。最悪なのは断罪の場での斬首。ヒロインの前で首を落とすってどうなのだろうかと思うが、まぁ、あのゲームには百を超える結末があるから…悪役令嬢はあの手この手でそれはもうバリエーション豊かに殺される。

 死亡率は驚異の95%。

 そんな未来にならないよう頑張って善行を重ねてきた結果、王子様と結婚することになった。

 お相手は第二王子のヴァンクリフ様。さらさらの金髪にエメラルドグリーンの瞳。子供の頃は体が弱かったけど、今はすくすく育って、育ち過ぎて見上げる身長だ。

 出会った時は天使のような愛らしさで、そのまま美しい青年へと成長した。

 外見悪役令嬢、中身日本生まれの庶民には勿体無いお相手だ。

 本当に結婚できるのだろうか?

 当日になってもまだ信じられないし不安がある。

 心配のしすぎで最近は眠れていないし、食欲もなく胃がキリキリと痛んでいる。

 でも…、断罪イベントが起きる学園の卒業式は無事に乗り切っている。ゲームならばエンドマークが出ている。

 今はゲームの後の話。

 大丈夫。ヴァンと結婚できるはず。

 婚約者になった時から…、出会った時から優しかったヴァンが私を裏切るはずない。

 深呼吸を繰り返していると控室のドアが開いた。

「私の可愛い花嫁に会いに来たよ」

 本来ならば会場となる教会まで顔を合わせないものだが、緊張している私を心配して来てくれたようだ。

 ヴァンの衣装も白で統一されていた。王家の正装は軍服に近い。まるでアイドルのような衣装ではあるが、恐ろしく似合っているので問題ない。

 本当に…、今日もかっこいぃ………。

 急に心臓の辺りが苦しくなった。

 鼓動が速まり、きゅう……っと何か引き絞られるような感覚。指先が震え視界が歪む。

 何、これ、息が……、苦しい。

 胸元を押さえ、椅子から転がり落ちたが床に激突する前にヴァンが受け止めてくれた。

「サリナッ!? 誰か、医者を!」

 原因はわからないけど、ここで死ぬ…のかな。

 呼吸がどんどん苦しくなる。

 心臓が早鐘のように脈打ち、視界が歪み、血液という血液が沸騰しているような。遅効性の毒でも盛られたか、それとも…呪いか。

 でも……、大好きな人の腕の中で死ねるのなら悪くないエンディングだわ。

 私はゆるく微笑んで静かに目を閉じた。



 **********



 サリナが物理的に死にそうになった結婚式より十二年前。


 引きこもった自領地で悪役令嬢サリナは魔力を解放していた。

 国を滅ぼすとまで言われた魔力が領地内の村のひとつを急速に覆っていく。

「いや、もう、信じられないっ。こんな状態のまま放置しておくなんて村長は何を考えているの? いえ、それよりも管理人よ!」

 公爵領だからといって公爵がずっと滞在しているわけではない。年の半分…場合によっては大半を王都で過ごし、領地は管理人達に任せている。

 公爵領ともなればその広さは半端なく、主要都市とは別に小さな町や村もいくつかある。

 まだ六歳で家督相続権を持たない令嬢であるサリナが口を出せるような規模ではない。数十万都市の規模があるのだから、数千人単位での役人が動いている。

 しかし、越権行為とわかっていても放置できなかった。

 何故なら…、前世の記憶があったから。

 いつから記憶があったのか定かではないが、時々、記憶が混濁することがあった。そしてこの世界が乙女ゲームに酷似した世界だということに気がついた。

 前世のサリナは病弱だった。体が弱く人生の大半を病院で過ごした。友達もほとんどできず、本を読みゲームをすることだけが楽しみだった。

 家族には大切にしてもらっていた。

 病弱で短命だったことも仕方ないと諦めている。

 特に不満のない人生だったが、まったく不満がなかったわけでもない。

 自宅にある自分の部屋でもっと過ごしたかったし、学校にも行ってみたかった。病院以外で友達を作りたかったし、旅行もしたかった。

 女の子ならば普通に経験するはずの家事もほとんどできなかった。料理…特にお菓子作りには憧れだ。

 そういったモロモロの記憶がよみがえり、サリナは決意した。

 ここがゲームの世界だろうと関係ない。

 今世は好きに生きる。やりたいことをやる。

 幸い公爵令嬢なのでお金に困ることはなさそうで、多少のわがままも聞いてもらえる。

 ゲーム設定のせいか前世よりは気が強く、なんというか…誰にも負ける気がしない。

 実際、サリナはかなりハイスペックだった。

 魔法が使えるとわかった時は小躍りして喜んだ。踊った姿を見てメイド達が脅えていたのも今では良い思い出だ。

 魔力量はかなり多かったので好きなだけ試せた。

 幼少期は両親と一緒に王都で過ごしていたが、放っておくと王太子の婚約者にされてしまう。それは困る。非常に困る。

 王太子の婚約者に内定すると王妃教育が始まる。礼儀作法、地理、歴史に外交などなど。

 公爵令嬢スペックのおかげでそれらを難なくこなせるのはわかっていたが、人生のうち最も楽しい十代を『教育』だけに費やしたくはない。

 ゲームのシナリオだと厳しいお妃教育を受けても、最終的にはヒロインに王太子を奪われてしまう。

 華やかな社交の場からの退場は王妃…『王子様のお嫁さん』になる気満々だったサリナには絶望的な罰なのだが、その上、95%の死亡率。十八歳の女の子相手にやり過ぎって気がする。

 ゲームをしている時は『あ、また死んだ』『このエンディングでも死ぬんだ』『わ、魔物が住む森に装備なしで放置されるとかえぐい』程度に流していたが、自分がそうなるのは困る。

 それにサリナが発狂して暴れまくったのには理由がある。

 ゲームのサリナは王太子が大好きだったものね。ツンデレのツンがひどすぎて、わかりにくかったけど。

 ゲームの全てを思い出せてはいないが、大まかなところだけでも思い出せて良かった。

 悪役令嬢として生まれたが、今なら回避できるかもしれない。

 そして…生まれ変わった私は『お嫁さん』にそこまで固執していない。なれるものならなりたいが、王太子でなくていい、むしろ王太子以外が良い。

 前世で経験できなかったことをいっぱいやってみたいので、堅苦しい立場は遠慮したい。公爵という地位で庶民に嫁げるかは謎だが、騎士くらいならイケるかも。イケメンで優しければなお嬉しい。

 好きなことを好きなだけやるなら、親元にいるより自領地のほうが良さそうだ。

 そんなわけで、まずは自領地に引き込もるために一芝居うった。

 眩暈を起こしたり、食事をちょっぴり残したり。

 幼い子供がそんな小細工をするとは思っていないため、周囲はあっさりと『病弱な子』認定をしてくれた。

 両親には申し訳ないが、ここで選択を間違えると本当に皇太子の婚約者になってしまう。私的にはそこさえ回避できれば後はどうでも。

 数年かけてじっくりと病弱になった私は、王太子とのお見合い前に自領地に引きこもることに成功した。

 現在、六歳。中身はプラス十八歳。ま、本来の十八歳よりは幼かったと思うけど、小説や漫画、ゲームも知識はある。

 今後もこの知識を武器に破滅回避するぜ!

 と、自領地に引きこもるための道中で、信じられない光景を目にし…初めて他人のために力を使った。


 王都から自領地までは馬車で移動する。比較的安全な国ではあるが、盗賊や魔物もいるため、馬車の前後に護衛がついていた。馬に乗った護衛が七人と御者と雑用等を頼める使用人が一人。

 馬車の中は私とメイドが一人だけ。

「ごめんね、エッタ。王都から出ることになってしまって」

 メイドのエッタは私が生まれた時から側にいて、現在、十八歳。十二歳の時から働いているとか、本当に偉い。尊敬する。エッタもそろそろ結婚相手を探さなくてはいけないお年頃だ。

 公爵家のメイドとしては珍しく平民の出だが、あえてエッタを一番の側付きにした。他のメイド達は貴族教育を受けている分、自分達を特別だと思っている…ような?

 学校の勉強ができることと、社会に出て頭が良いってことは別物だと前世で聞いたことがある。

 他のメイド達は見た目こそ優秀だが気が利かなかった。逆にエッタは私の心情に沿って動いてくれる。しかも優しくて美人で、とにかく大好きなお姉さんって感じ。

「いいえ、お嬢様。私はフュールデリア公爵領の生まれですから、むしろ実家に帰りやすくなって嬉しいですよ」

「エッタの実家ってこの通り道にあるのよね?」

「えぇ…、田舎の小さな村で何もないところです」

 ちょっと悲しそうに言う。何か気になることでもあるようだ。

「せっかくだから寄ってもらいましょう」

「いえ、お嬢様。とてもお嬢様にお見せできる村では……」

「私、エッタのご両親に会ってお礼を言いたいわ」

 馬車の中についた紐を引っ張るとすぐに小窓が開いたので、御者にエッタの故郷に立ち寄るようにと頼む。どこかで馬を休め、水を飲ませなくてはいけないため、その願いはあっさりと承諾された。

 現在、真夏。日本の夏よりはましだが、それでも暑い。馬も喉が渇くし疲れもたまりやすい。

 何度か休憩をはさみながらやっと立ち寄ったエッタの村だが…、入村を拒否された。


「今、村は流行り病で何人も寝込んでいまして…」

 二、三百人程度の小さな村の半数に症状が現れているという。症状は下痢、嘔吐、そして体力のない者は発熱までしている。

「あ、あの、私の家族は……」

 入口を封鎖している村人に聞くと、気まずそうに目をそらされた。

「そんな……」

「原因はよくわからないんだが…、とにかく次々と人が倒れている。オレ達には何がなんだか…」

 子供が口を出すべきではないが、エッタの村でのことだ。そして症状からおそらく食中毒……とか、ノロウイルスとか? 夏場はどうしても物が腐りやすく雑菌も増えやすい。

 となればやることはまず消毒…なんだけど。

「公爵令嬢のサリナよ。この村には浄化の魔法を使える者はいないの?」

 お父様より年上に見える村人は困ったように首を振った。

「おりますが、とても追いつかず…。下痢や嘔吐からそういったものから感染しているのだとは思いますが……」

 この国ではほぼ全員が魔法を使えるが、生活魔法と呼ばれるものは威力が小さい。浄化魔法は自分の周辺だけ、水魔法は多くてバケツ一杯の水を作る程度だ。得手、不得手もあるから百人全員が浄化魔法を使えるとも限らない。自分の手のひらだけしかきれいにできない人もいる。

 普段の生活ならばそれで十分だが、すでに感染が拡大した状態ではまったく追いつかない。

「仕方ないわね。村の中心に連れていきなさい」

「し、しかし……」

「いいから、早く」

「お嬢様、いけません。お嬢様に何かあっては…」

「エッタ、私の魔力量、知っているでしょ?幼い頃から散々、練習を積み重ねてきたことも」

 魔法いえーい♪ となった私は浮かれまくって、覚えた魔法を一日中、使いまくった。が、子供が覚えても良い魔法は浄化魔法のみ。浄化魔法以外の使用は禁止されているし、どれほど魔力が高くても教えてはもらえない。

 それでも魔法を使えることが嬉しくて、はしゃいで使いまくった。

 浄化魔法を延々とかけ続けたおかげで王都の屋敷は中も外も新品のようにきれいになった。

 魔力枯渇を何度か起こしたのも良い思い出だ。そして魔力枯渇を『病弱設定』に活用したことも。

 魔法は便利だが危険も伴うため段階を踏んで、水魔法、風魔法、火魔法…と覚えていく。

 サリナの魔力量ならば様々な魔法を使いまくれるが、浄化魔法しか使っちゃいけないっていうのだから仕方ない。浄化魔法のレベルはいつの間にか熟練職人の域に達していた。

「これが感染症なら、一刻も早く浄化しなくちゃ」

 この広さに魔法をかけたことはないがサリナの魔力量ならかなりの範囲で効果が表れるはず。

 周囲が止めるのも聞かずに村の中に入ると……。

 空気が澱んでいた。

 目に見えてわかるほどで、村人全員がやられてもおかしくない。

「エッタ、全力でいくわ!」

「お嬢様、いけません………っ」

 浄化魔法。

 術を発動させた。

 本来は一瞬で終わるものを発動し続けて範囲を広げていく。

 不思議なもので魔法の熟練度があがると『残っている汚れ』が感知できるようになる。病原菌を探るうちに強い反応を感じた。

 放っておけば重症化する。

 感知にひっかかった場所を重点的にきれいにして…、届く範囲すべてが終わった瞬間、私は意識を手放した。


 身体がひどく重かった。

 魔力枯渇するまで魔法を使うとこうなるのだが、今回は特にひどかった。指一本も動かせない。

 もしかして…、本当に死んだのかもしれない。

 だとしても後悔はしていなかった。死亡率95%だもの。他人のために死んだのなら、きっと次の人生はヒロイン…は無理でも平凡な村娘Aにはなれるはず。農家…ではなく村長の息子辺りと結婚したいな。そこそこイケメンなら文句は言わない。でも浮気性の男はカンベンしてほしい、初めての結婚で愛人多数とか嫌すぎる。

 幸せな結婚生活を妄想していると……、おでこに冷たいタオルが載せられた。

 誰かいる…。

 なんとか起きようと…、重たい瞼を開いた先に天使がいた。

 金髪にエメラルドのような瞳。五歳か六歳か…、小さな男の子がふわりと笑った。

 可愛い、天使だ、死ぬ…。いや、やっぱり死んでいるのか?ってことは。

「良かった…、ここは天国ね……」

 天使が小さく首を傾ける。

「ここはフュールデリア領にある村のひとつだよ」

「………そう、なの」

 死んでなかった。それはそれで良かった、まだ生きている。

「では…、何故、天使様がここにいるの?」

「天使?」

「そうよ。あなたは天使様ではないの?」

 天使がクスリと笑う。

「私の名前はヴァン」

「ヴァン……」

「サリナの未来のお婿さんだよ」

 未来のお婿さん…。この美少年が?

 ボケた頭で考える。おそらくここはエッタの生まれ故郷で、この美少年はここの住民…ってことだよね。

 ………悪くない。

 むしろ、いいかもっ。こんな可愛い男の子なら、美青年に育つはず。

 サリナが生き残った場合、平民落ちがほぼ確定している。公爵令嬢のまま幸せな未来は訪れない。ということは平民のお婿さんが必要なわけで…。

 チラッとヴァンを見る。

 私の視線ににこりとほほ笑んだ。

 めっちゃ可愛い、美しい、マジ天使、死ぬ。こんな美少年と結婚とかバッドエンドが逆転ハッピーエンドになる。

「ねぇ、可愛い女神、私と結婚してくれる?」

 聞かれて頷いた。

「良かった」

 ほほ笑む天使に私も嬉しくなる。平民落ち後の希望がひとつ増えた気がする。うん、平民落ちも悪くない。

 そして私は再び深い眠りへと落ちていった。




 エッタの故郷を救ってから十日。

驚いたことにこの間、ずっと寝込んでいた。まずエッタの村で三日間昏睡。後、公爵邸に戻って四日。やっと目が覚めたが体が動かずさらに三日の寝たきり生活。うぅ、シモの世話までさせてごめん、エッタ様。

 エッタは付きっきりで看病してくれた。心配だろうから村に帰っても良いと伝えたが、村のほうはほとんどの人が完治したそうだ。

 浄化魔法の後、三日間滞在していたので、その間に家族や村の人達と話せたという。症状の重かった人達もだいぶ良くなり、公爵家からの支援物資も届いた。

 私達が村を出立する頃には村の雰囲気もだいぶ明るくなっていたとか。

 ここ数年、村では頻繁に感染症が発生していたが、今回のことで原因がわかったため今後は防げるだろう…とのこと。

 そう、感染症予防には浄化魔法。重症化したらお医者様や治癒魔法が必要となるが、予防するなら清潔を保つだけで良い。

 村の人達にそこまでの学はないし、魔力も乏しい。日々の生活でなんとなく疎かにしてきたが、これを機にもっと『清潔をこころがけよう』となったそうだ。

「お嬢様のおかげで死者を出すことなく、お年寄も赤ちゃんも無事でした」

 どんな病もまずは体力のない者から命を奪う。下痢や嘔吐でも十分に気をつけなければいけない。

「それは良かったけど…、私も村で遊びたかったわ」

 精神年齢は前世を足せば二十歳前後だが、今は六歳。そして前世では子供らしい遊びをほとんどしていないため、川遊びや木登りにも挑戦したい。

 療養のために公爵領に来たのだから、体力をつけるという理由なら少々のお転婆も許されるだろう。

 しかしまずは日常生活をなんとかしなければ。

 十日も寝ていたせいで体力が落ちている。六歳にしては末恐ろしい魔力量を持っているが身体能力はまだ成長過程。

 いろいろな魔法が使えるようになったら、身体強化も覚えたい。斬首のための刃を弾く程度には。

 のんびりと庭園を散歩していると執事が呼びに来た。

「お嬢様、旦那様がいらっしゃいました」

「お父様が?」

 おかしい。夏場は社交シーズンで王都にいることが多いのに。

「お客様もご一緒ですので着替えていただいたほうが良いかと」

 子供とはいえ貴族令嬢。お茶会や訪問用のドレスが何着かある。子供の成長って早いのにね。

 ともかく可愛らしいドレスに着替えて伸ばした髪にリボンをつけてもらう。

 お父様が待つサロンに向かうと。

 天使様がいた。

 金髪にエメラルドの瞳。整った顔立ちは気品にあふれている。その後ろには執事のような雰囲気の美青年と凛々しい騎士様がいた。

 眼福でござるぅ。

「サリナ、ご挨拶を」

 お父様に促され、精いっぱい背伸びしてお辞儀…カーテシーなるものを披露する。

「フュールデリア公爵家の娘サリナです。ようこそいらっしゃいました」

 六歳らしい声とたどたどしさではあるが悪くはないはず。

「顔をあげて、サリナ嬢。私のことは覚えている?」

 天使様に聞かれて頷く。半分、夢の世界にはいたがこんな超絶美少年、忘れるわけがない。

「ヴァン…様です」

「サリナ、こちらにおいで」

 お父様に呼ばれてとトトト…と駆け寄る。

「ヴァンクリフ様のことは好きかい?」

 ちょっと考えてから頷く。会ったのは二回目で会話はほとんどないが、嫌うほどの理由はない。そして好意を持つ理由はある。

 ここまで美しい少年を『嫌い』と言うヤツがいるとは思えない。

「将来、ヴァンクリフ様のお嫁さんになりたいかい?」

 これはとても小さな声で聞かれた。

 そして…、この美少年が公爵である父が『様』をつける相手だということに気づく。

 あれ? 小さな村にうっかり誕生しちゃった奇跡の美少年ではないの?

 お父様が敬称をつける相手なんてそう多くはない。

 返事に困っていると。

「フュールデリア公爵、サリナ嬢と二人で話をしたいのだが」

 お父様に視線で問われて、大丈夫だと頷く。

「ヴァン様をお庭にご案内します。今はひまわりがたくさん咲いているの」

 精神年齢はともかく六歳だ。二人きりになったところで危険はないだろう。…………ない、よね? ここでいきなり騎士様に殺されるとか、いくらなんでも早すぎる。

 ヴァンは私のそばに来るとすっと手を差し出した。

 王子様っぽい。というか、たぶん王子様だ。

 差し出された手に自分の手を乗せ、二人で庭園に出た。美青年と騎士様、エッタも後ろに続く。けど、すこし距離をとっている。

「あの…、ヴァン様は王子様、ですか?」

「この国の第二王子、ヴァンクリフだ」

「そう…、ですか……」

 正直、がっかりした。破滅フラグの原因となる第一王子ではなかっただけましだが、第二王子も………ん?

 第二王子って一応、攻略対象だった気がするけど記憶にあまりない。

 必死に考えて、うっすらと思い出した。

 サリナに次ぐ高死亡率、生存確率50%の薄幸キャラだ。死因は病気のみなのでサリナよりはましだけど、ヒロインとのハッピーエンドを逃すと死ななくても寝たきりとか、若くして隠居とか。

「あまり嬉しそうではないね」

 この子も高確率で死ぬんだな…と思ったら、なんだか切なくなってしまった。

「だって、王子様じゃすぐには会えないし…。お話もあんまりできないかなって」

 ヴァンが『そんなことないよ』と私の手を握る。

「実は…、公爵領へはお忍びで来ていたんだ。病気療養のためにね」

 公爵領は王都よりは自然豊かで夏はすこしだけ涼しい。そして私兵も置いて治安が安定している。

「フュールデリア公爵のご厚意でね。途中、体調が悪化してしまい、村に立ち寄り…、君に出会った」

 夢うつつではあったが、あれは村での出来事か。

「一旦、王都に戻ったけど予定通り公爵領で静養したくてここに来たんだ。だから一緒に過ごせるよ」

「本当に?」

「うん。サリナとは仲良くしたいな。ヴァンって呼んで。ここで一緒に思い出を作ろう」

 楽しい思い出を。

 いずれ死ぬ運命だとしても、今は生きている。そうだよね、わかる。


 六歳ということで、無理に敬語を使うことなく二人で手をつないできゃっきゃと散歩した。途中からはひまわり畑の中で追いかけっこをしたり、騎士様の手を借りて木の枝に座ったり。

 騎士様の名前はシリウスといい、子供相手に嫌な顔をせず付き合ってくれた。

 むしろとても嬉しそうだ。

 そして美青年は教育係兼側仕えのリル。私にとってのエッタに近い感じだね。

 一時間ほど遊んでから四阿(あずまや)に移動し、エッタが用意してくれた冷たいりんごジュースを飲んだ。

「殿下、お疲れではないですか?」

 シリウスの言葉にふるふると首を横に振る。

「顔色、悪くないよね?」

「すこし赤味を帯びていますが…、これは陽の光に当たっていたせいでしょう」

 美青年リルがほほ笑みながらヴァンの顔の汗を拭いている、なに、このご褒美ショット、至福でござる。

「でも無理はなさらないで、少しでも体調が悪いと感じたらおっしゃってくださいね」

「わかっているよ。でも…、たぶん今後は大丈夫な気がする」

 ヴァンが私を見てほほ笑む。

「サリナのおかげだ」

 首を傾げる。

「あの時、ヴァンも村に居たとは聞いたけどあれは浄化魔法で……」

 治癒魔法ではない。治癒系や光属性はそれなりの練度と才能が必要となる。サリナの魔力量ならばいずれ可能だろうが、さすがに今は無理だ。

 覚えている魔法は浄化魔法のみ。お掃除魔法とも清潔魔法とも呼ばれている。

「うん、だから推測でしかないけど」

 ヴァンに視線で促されてリルが話す。

「殿下が体調を崩され村で休んでいたところ、すぐに流行り病が蔓延してしまい……、仮宿から出るに出られず困っていたところ急に温かな魔力に包まれました」

 ヴァンの主な症状は咳や発熱で、ひどい時は呼吸困難に陥る。頭痛や吐き気もあり悪化すると何日も寝込む。そんな状態なので、村から無理に出す事も難しい。弱った体で馬車での移動はさらに悪化の原因となる。

 村人達の症状は夏場に多い食中毒だろうと推測できたが、村全体を浄化するなど普通の魔法使いでは無理だ。

「護衛の騎士達も魔法は使えますが、その範囲は自分の周辺程度。私はもう少し範囲を広げられますが、それでも仮宿周辺までが限界でした」

 とにかく王子に食中毒となった原因菌を寄せ付けないようにしていると。

「温かな魔力が殿下を包み込んだのがわかりました。なんと言えば良いのか……、とにかく、私にはそれが殿下の何かを浄化しているのだと思えました」

 そして浄化魔法は反射できないし結界も効かない。そういった類の魔法ではないため、防ぎようがない。

 あっけにとられているうちに魔力熱が通り過ぎ、慌ててヴァンの様子を確認すると明らかに呼吸が楽になっていた。

 すぐに目を覚まし、食事をとらせると一日で回復し、歩けるようになった。

 村の人達に聞けば、たった六歳の公爵令嬢が村全体に浄化魔法をかけたという。

 とても信じられなかったが、村に蔓延した澱んだものが確かに消えていた。

「起きられるようになってすぐにサリナに会いに行ったんだ」

「覚えて…ます」

「念のため、王都に戻って医師の診察を受けたけど、私の肺に充満していた良くないものが消えていると言われたよ」

 浄化魔法の対象は土埃や壁の汚れだけでなく、意識すれば雑菌も消滅させることができる。雑菌…、今回は食中毒菌をイメージしていたが確かになんだか手強い感じの菌もあった。

 ヴァンは結核だったのかな。

 それにしても浄化魔法ってすごい、治療にも使えるなんて万能ではないだろうか。

「サリナは命の恩人だ」

「そんな大袈裟な…」

「今までこんなに長く外にいた事はない。散歩も大抵は具合が悪くなって中断される」

 でも…、これからはたぶん大丈夫。原因がわかれば治療できる。

「サリナ様、これはすごいことですよ」

 リルがほほ笑みながら言う。

「浄化魔法の練度をあげれば殿下と似た病で苦しむ人達を助けられるかもしれない。しかし、浄化魔法の練度はそうあがるものではありません。サリナ様はとてもきれい好きなのでしょうか?」

 きれい好きというより、魔法いえーい♪に尽きる。憧れの魔法に浮かれ、かけてかけてかけまくった…、その結果である。

 返事に困った私の代わりにエッタが答える。

「お嬢様は大変、魔法に興味をお持ちで…、一日、何回も浄化魔法を試しておりました」

「一日、何回も……とは? 食事時などで……、十回……二十回ですか?」

 静かに首を横に振る。

「桁が異なります」

「まさか百回ですか?」

「おそらく四、五百回は」

 ヴァン達がぽかーんとした顔で黙り込んだ。

「魔力切れを起こしていた時は千回前後、かけていたと思われます。そのおかげで王都の公爵邸は建てたばかりのように美しく、お掃除メイド達は『やりがいがない』と、庭師が『趣に欠ける』と嘆いておりました」

 そうなの、洋館だからね。ツタが絡まったちょい寂れた風情もいいよね、私が田舎に引っ込むと聞いてお掃除メイドと庭師達が『これで本来の仕事ができる』と喜んでいた。

 みんな真面目なんだから。サボれることを喜ぶ使用人はいないようだ。

「サリナの魔力量を公爵は知っているのか?」

「ご存知だとは思いますが、想定より高いかもしれません」

 魔力が切れるまで使うと、魔力量がちょっと増える。1~3%程度だが、サリナは最初の魔力量からして破格に高かった。

 ヴァンは少し考えた後、お父様と話してくると屋敷に戻った。


 その日のうちにヴァンと私の婚約が内定した。

 エッタの村で行った浄化の事を知られたら誘拐されかねない。なんせ第二王子の『不治の病』を治してしまったのだ。

 ヴァン、死亡率が高いと思っていたら不治の病だったのか。

 確かに昔は結核で死んだ人もいたって…、なんとなく記憶にある。

「私の婚約者になれば他の求婚は断れるし護衛も増やせる。サリナを狙うということは、公爵家だけでなく王家に対しても剣を向けたことになる。他国も簡単には手出しできないだろう」

 ヴァンってば私と年が変わらない上に、前世の記憶もないのに…、随分としっかりしている。王子様だからか?と思ったら、シリウスがこっそり教えてくれた。

 臥せっていることが多かったせいで、王子といえどもあれこれ陰口を言われてきた。噂話というものは隠していても、聞こえてくる。そして体を動かすことなく本を読んでばかりいたせいで大人びてしまったようだ。

「サリナは私が守る」

 なんて美少年に真剣な目で言われたら断れなかった。

 いずれ婚約破棄されるにしても、第一王子よりはましなはず。それに…、死亡率50%のヴァンに何事も起きなかったら、私の生存率にも希望が持てる。


 婚約の話は内々で進められ、秋には確定し公開された。

 その頃にはエッタの村での事が広まり、私は『浄化の乙女』と呼ばれるようになっていた。


 いや、まだ六歳だし。

 浄化魔法に関しては練度達人だけど、まだ子供だしっ。

 ということで、噂の真偽に関する問い合わせや食中毒を防いだ方法に関してはリルが窓口となり、対処方法を広めてくれた。

 ヴァンの病気に関しては現在も『療養中』だ。公爵邸に滞在して私と庭を走り回っている。うん、私も療養目的で体力作りのために領地に戻ってきたので問題ない。

 大人っぽいと思ったヴァンも一緒に庭を走り回っている時は年相応の男の子だ。元気になれば王都に戻ってしまうのだろう。

 それを寂しく思っていたが、ヴァンはそのまま何年も公爵領に居続けた。



 **********



 あれから十二年。

 公爵領で私達は遊び、学び、そして…、たぶん愛も育んだ。

 賢くて頼りになるヴァンはいつだって私の事を守ってくれた。そう、それなりに命の危機が何度もあった。

 ヴァンは王子様、私は浄化の乙女。王家を敵に回してでも欲しいと思われたようで、誘拐されそうになったり、暗殺されそうになったり。

 回避できたのはヴァンがいたから。

 励まし支えてくれたからなんとか生き延びることができた。私自身もヴァンを守るために頑張った。年齢に合わせて使える魔法を増やし、今では癒しの魔法までマスターした。さすがの魔力量である。

 ゲームでは攻撃系の魔法ばかりが目立っていたけど、サリナは全属性の魔法が使える天才スペックなのだ。

 しかしゲームの舞台となる学校には通わず、魔法はリルに教えてもらった。

 第一王子との婚約も回避できた。

 六歳の頃から婚約しているヴァンから取り上げてまで…はね。どちらにしても類稀な魔力量を誇る浄化の乙女は王家に嫁ぐわけだから、私の機嫌を損ねるくらいなら好きなほうと結婚させようと。

 癒しの聖女であるヒロインも登場したようだが、絶対に会わないようにと回避しまくった。

 いや、私だけなら無理だったけど、会いたくない、行きたくないと涙目になっている私のためにヴァンがあれこれ理由を作ってくれた。

「家庭教師との勉強も、淑女教育も不満など言わずに黙々と頑張っているサリナがそこまで嫌がるんだ。何か理由があるのだろう?」

 そうなの、命の危機なの!

 とは言えないが『嫌な予感が…』と言えば信じてなんとかしてくれた。

 出会った時からいつも味方でいてくれた。

 大好きだった。

 王子様のお嫁さんにはなれなくても、腕の中で死ねるのならば…、斬首よりはずっと良い。

 最期までヴァンの姿を見ていたかったけど、もう限界が近い。私は穏やかな死を迎えられたことに安堵しながらそっと目を閉じた。


 こうして悪役令嬢は謎の死を遂げた。(終)


 って、ならなかったーっ。

 結婚式はかなりきっちりとスケジュールが組まれている。私が意識を失くしても、その予定は変えられない。

 どうなったのかといえば。

 医師の診断は『寝ているだけ』で、ならば…と、ヴァンの手により結婚式場となる教会まで運ばれた。

意識を失ってから教会に到着するまでの総時間二十分。お昼寝としてはちょうど良い時間だった。

 教会に到着してから起こされて、寝起きでぼんやりしたまま結婚式。言わなくてはいけない言葉は全てヴァンが小声で教えてくれたし、式の最中はずっと体を支えてくれた。

 幸いというか、この世界での花嫁衣装にもヴェールがある。ゆえに寝惚け顔は見られずに済んだ。

 あとでヴァンに『サリナの可愛らしい寝惚け顔を見ていたから楽しかったよ』と言われ、別の意味で死にそうになったけどね。

 ちなみに倒れた理由は寝不足と極度の緊張によるものだった。

 貧血みたいなものだ。

 体が震えそうなほど緊張している時にヴァンの姿を見て…、プチンと切れてしまったらしい。

 しかし少し眠ったことと、合間にフルーツジュースなんかを飲まされてなんとか回復した。元気一杯とは言えないが、市民にほほ笑んで手を振る程度には。

 びっしり詰まった予定をすべてこなし、寝室にたどり着いた時にはふらふらで大きなベッドの上に倒れこんだ。

 初夜のために一時間で起こされたけど。


「長く側にいるのに、今さら緊張して眠れなかったとか、困った奥さんだね」

 翌朝…というか、二人で昼近くまで寝ていて、起きるなりヴァンに苦笑された。

 いや、でもさ…と、心の中で言い訳をする。

 だって死亡率95%なんだから、そりゃ、緊張もするというものだ。ゲームが終わったからといって油断はできない。結婚したといっても不安だ。私が知らないだけで第二部とかあったらどうしよう。

「なのに初夜は先に気持ちよく寝てしまうなんて」

「そ、それは……」

 バチッとヴァンと目があい、慌ててうつむく。

 やだ、寝起きもイケメンとかずるい。

「どうしたの?」

「………あ、あのね」

 あまりこっちを見ないでほしい、かっこよすぎてツライ。

「ヴァンは子供の頃は天使みたいに可愛くて、今はとてもかっこいいから…、ドキドキしすぎて苦しいの。結婚式の前もヴァンを見たら心臓がきゅう…っとなって死んでしまいそうだったの」

 今までも何度かそれに近いことはあったが、死にそうになったのは初めてだ。

 過ぎたイケメンって人を殺せるんだな。

 ぼそぼそと言うと、ヴァンは困ったように首を傾げた。首を傾げたら途端に可愛い、萌える。

「何度も死にそうになってしまうのは困るね」

「でしょ?」

「でも大丈夫。これからは今まで以上に側にいるから、サリナが死にそうになる度に私が助けてあげるよ。目覚めに必要なものは……、やはりキスかな? 抱きしめるだけでは物足りないよね?」

「いえ、そういった方向ではなく…」

「私はサリナが眠っている姿も大好きだから、安心して気絶していいよ」

 六歳にして結婚を決めた理由は私の寝顔だったとか、そんな爆弾、落とさないでほしい。

「あの時、君は私に天使なのかと聞いたけど、眠っている君のほうが天使のように愛らしかった。あどけなくて無邪気で、なのに皆の命を救った女神でもあった。あれで惚れないわけがない。会う度に好きになってしまったから、ここ何年かは早く結婚したくて仕方なかった。平民ならば許されるけど、王族と公爵家では婚前交渉はできないから、本当に辛かったな」

 だから、あの……、やめて、萌死を耐えたというのに爆死する。


 こうして悪役令嬢は別の意味で王子様に何度か殺されそうになりましたが、案外、長生きをして幸せに暮らしました。

誤字脱字ですが、なんだかんだで3ケタを楽に超える量が届いているため、受付ない。に変更しました。チェックして反映させるかどうか確認するだけでもかなりの労力で諦めました。なんかイロイロすみません…(T_T)

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