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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
作戦開始2
97/222

前夜

 色々あったが、明日に備えて早めに休むこととなった。


 「いよいよ明日だな…」

 「ああ、明日で全てが決まるんだからな…」


 走と正一は、自分達の場所に戻っている。

 辰馬と鹿川は、念の為にとって武器の最終確認をしている。


 「万が一、暴発でもしたらシャレにならないからな、念には念を入れとかないと!俺はいいから、皆は先に休んでてくれ。」


 と、言っていた。最後までも責任感の強い男だ。

 そんな中、何処かから楽しそうな声がしてきた。


 「へぇー、神門さん彼氏いるんだ!」

 「まぁね!てかさ、神門じゃなくメグでいいよ!ワタシも、お二人のこと有希子先輩・登紀子先輩って呼ぶから!」

 「そう、そんじゃあメグ!」

 「いきなりすぎでしょ登紀子!」

 「ノープロだって先輩!」


 新堂姉妹と恵美に巳兎、更にカエデが署内の一室を利用して話していた。


 「何してんだよ皆して⁉」

 「あっ、走によっちゃん!まあ軽い女子会みたいなものよ!」

 「女子会ね…」

 「これがここでの最後の夜かもしれないから、思い出作りみたいな感じでね。」

 「思い出作り⁉こんな時にか?」

 「こんな時だからこそよ!」

 「まあいいが、ところで神門さん、さっき新堂さん達を先輩って読んでたけみたいだけど…」

 「えぇ、実は神門…いえメグさん、私達の通ってる高校の後輩だったんです!」

 「えっ、マジか!」

 「そっ、あたし達は知らなかったけどね!」


 話によると新堂姉妹は、性格は真逆だけど仲のいい双子の姉妹として、通ってる高校では有名人らしい。なのでひとつ下の学年の恵美も2人のことを一方的にだが、知っていたのだった。最も、恵美自体も明るく元気で、友達も多い有名人の1人ではあるが、学年の違う2人は知らないでいた。

 その後もアレコレと会話に花を探す彼女達。走達は完全に蚊帳の外だった。


 「緊張感が感じられないな…」

 「全くだ…」

 「させといてあげて!」

 「「カエデ!」」

 

 蚊帳の外状態の2人にカエデが話しかけた。


 「さっきも言ったとおり、こんな時だからこそ、させといてあげて。彼女達、元気そうに見えるけど内心はそうでもないのよ。嫌なことを沢山見て体験して、女の子らしい化粧したり、美味しいスイーツを食べ歩いたりとかも出来ず、そうとうストレス溜まってるはずよ。それでも、それは自分だけじゃない、皆そうだ、亡くなった人達の分まで生きなければ、そうやって自分を奮い立たせてるのよ。」

 「カエデ…」

 「それにこの作戦だって、成功する保証は無いんだから。もしかしたら、明日の今頃は…」

 「……」

 「彼女達もそれは重々承知のはずよ。でも皆を不安にさせたくないから、必死に明るく振る舞ってるのよ。だから、今は楽しませてあげましょ!」

 「そうだな!」

 「ああ!」


 そう言って走達は盛り上がる彼女達を暖かく見守った。


 「で、先輩達は好きな人とかいるんですか?」

 「えっ、好きな人…私は別に…」

 「あたしも特にいないなー!同世代は皆、子供にしか見えないし!ココにいる人でだったら…辰馬さんかな!」

 「えっ、辰馬さん⁉」

 「そっ、イケメンで性格も申し分ないし、何より収入!マンションよ管理人何でしょ⁉なら収入も安定してそうでしょ!あ~あ、嵐子さんがいなけりゃツバ付けとけたのになー!」

 「…先輩…」

 「ちょっと登紀子…」

 「何?」

 「う、後ろ…」

 「へ、後ろ?」


 登紀子が後ろを振り返る。すると、


 「!ひっ‼」


 そこには、先程まで大人しかった辰馬の妹、巳兎が鬼の形相で登紀子を睨んでいた。


 「み、巳兎ちゃん!」

 「登紀子さん、今の発言聞きづてならないんですが!」

 「へっ…」

 「辰馬お兄ちゃんにツバ付けるとか…それに収入って…お金目当てでお兄ちゃんに近づこうという魂胆で!!」


 更に凄みの増す顔でにらみつける巳兎。その迫力に、登紀子は涙目になっている。


 「ちょっと巳兎ちゃん、ステイ!ステイ!登紀子先輩も本気じゃないよ!ですよね⁉」


 巳兎をなだめる恵美。

 それに対し、登紀子もコクコクとうなずく。が、


 「ふーん、本気じゃないと…とてもそうとは、思えませんけど‼…」

 

 殆ど焼け石状態だった。

 巳兎は更に登紀子に詰め寄る。一触即発寸前だ。

 暖かく見守ろうと思っていた走達も、


 「おい、あれは止めたほうがいいんじゃ…」

 「言われるまでも!」


 と、止めに走るカエデだった。

 この後、一同が巳兎をなだめるのに、そうとう手こずったのは言うまでもないことだった…

 以降、「巳兎の側で恋バナは禁止!」「するにしても、辰馬の名は出さない!」といった暗黙のルールが出来たとか…


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