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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
作戦開始
82/206

散布

 紫苑特製の虫除けの薬剤を散布する時間が訪れた。


 「そろそろ時間だな!」


 時計を見ながら高倉が発した。

 自身の腕時計に向けていた視線を、走に向けた。


 「準備は良いかね⁉」

 「何時でもいけます!」

 「よし、頼んだよ山口くん!」

 「おまかせを!」

 「しくじるなよ、走!それ1個しかないんだから。」

 「分かってるって!」


 薬剤の設置は、走が担当することとなった。選ばれた理由は単純に、足が早いというだけだが。


 「使い方はさっき説明した通りだから、説明通りやってね!」

 「大丈夫、地面に置いて、真ん中の軸の部分をフタのヤスリ状の部分で擦るんだろ⁉擦って数秒程で煙が出る!だろう⁉」

 「オッケー!問題なさそうね。」

 「流石にこれ位は理解できたわね!」


 と、カエデが言う。


 「うっせーな!これ位出来るに決まってんだろ!!」

 

 走が言い返す。


 「そう言う痴話喧嘩は後にしてくれないか…」

 「「痴話じゃない!!」」


 高倉が呆れたように言い、それに走とカエデが声を揃えて叫んだ。


 「冗談だよ冗談…それよりも、大声出さないでくれ…」

 「「あっ…」」


 高倉が2人を軽く注意した。

 そもそもの原因は彼なのだが…


 「高倉さん…くだらない事やってるうちに、時間ですよ!」

 「あっ、いかん!」


 時刻は、彼自身が周りに指定した時間ギリギリになっている。

 

 「高倉さん、今は風も無いですし、散布するのに丁度いいですよ!」


 正一が外の様子を確認しながら言った。


 「よし、山口くん頼む!」

 「ハイ!」


 威勢よく返事すると走は素早く道路の真ん中に、紫苑特性の薬剤の缶を設置した。

 手順通り、フタのヤスリ状の部分で軸を擦った。

 軸の部分から極小の火花が出たのを確認した走は、一先ず近くに身を隠した。

 擦ってから数秒後、説明通り薬剤の煙が勢いよく吹き出し、辺に薬剤が散布された。

 突然自身が苦手な成分の煙が充満し、数匹いた蚊は蜘蛛の子を散らすよう逃げ出した。


 「よし、今のうちだ!!」


 高倉が叫ぶと、辺りの店舗に隠れていたメンバーが一斉に飛び出した。全員、匂いを防ぐためハンカチ等を顔に当てている。そして、最初の目的地である、桜島達の待つ警察署に向かって走り出した。

 皆が皆、同じ方向に向かって走る。その様はさしづめ、ゴールドラッシュのようだった。

 辺に広がった煙の匂いで蚊は、近づけないでいる。

 

 「このままいける!」

 

 多くの人がそう思った。

 しかし、…


 ヒューヒュー


 そこに突然、強い風が吹いた。それにより、折角の匂いが散ってしまった。


 「マズい!こんな時に強風が…」

 「くっ、来るぞ!」

 

 邪魔するものがなくなり、蚊は絶好のチャンスとばかり、彼らに向かって飛来した。

 そして、最後尾にいた中年の男性に針を向けた。そして、


 「ギャ~!」

 「倉井さん!」


 1人犠牲者が出た。それを見て剣持は、今亡き友の姿を思い出した。この位置からでは助ける術はない。剣持は

歯を強く食いしばった。


 「くっ…早くも死者が…」

 「よっちゃん…ん⁉そういえば三船さんにブライアンさん、新堂さん達はどうした?姿が見えないが…」

 「そういえば…大石君等も…」

 「何かあったのか?」


 姿の見えない者達が気にはなるが、探してる余裕など全く無い。蚊は更に迫ってくる。

 

 「もうやるしか無いみたいだな!」

 「ああ!」


 意を決し、武器を持つ者の何名かが、武器を構えた。武器を強く握りしめ、迫りくる蚊に矛先を向けた。

 その中には走と正一、剣持がいる。


 「こい、化け物蚊め!」


 こちらに向かってくる蚊に、武器を握る手に更に力が入る。

 その直後、


 パンパンパン!


 突然、機械音が鳴り響き、直後、蚊が次々と墜落している。


 「なっ、何だ⁉」


 一同が困惑していると、


 「おーい、大丈夫か⁉」


 聞き覚えのある声がした。それは、


 「三船さん!」


 リーダー格の1人三船だった。その側に、新堂姉妹にブライアン、大石と近松もいる。

 が、一同にとって、それよりも気になる事があった。

 それは、三船が持つコントローラーのような物と、彼の前にある、小型の戦車だった。

 今年はここまでです。来年もよろしくお願いします。

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