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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
犯人と追う者
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犯人

 ここは齋木紫苑の研究室前。

 謎の巨大な蚊に対抗する為、少しでも情報を得る為に、生物学を専攻している彼女に与えられた場所である。


 「おいおいどういう事なんだよ齋木さんよ⁉巨大な化け物の蚊が人の手で作られただなんてよ!」


 走が声を荒らげて聞いた。

 それに対し紫苑は、相変わらずマイペースに、


 「さっき言ったでしょ⁉順に説明するって。取り敢えず、少し待ってて!」


 そう言うと、研究室に入っていった。間もなく、ステンレス製のトレーを手に出て来た。

 そのトレーの上には、細長い物が乗っていた。


 「それは⁉…」

 「生け捕りにした蚊の針よ!」

 「生け捕り…ああ、あの時の…」

 「そうよ。で、ここで解剖したの。その結果この針…いえ、正確には針じゃなかったは!!」

 「針じゃない⁉」

 「そう、一件針に見えるけど、これは小型カメラだったは!」

 「小型カメラ!!コレが?」

 「えぇ、胃の検査とかに使う、内視鏡に近いわね。」

 「内視鏡か…そういや昔、人間ドックでやったよな⁉」

 「あぁ、あれは苦しかったよな…」


 と、高倉と三船が昔を思い出している。


 「この針型カメラの、この部分がレンズになっていて…」

 「関心なしか…」


 紫苑は尚もマイペースに話を進めた。

 話によると、針型カメラの根本辺に、電源となる小型のバッテリーと、撮影データを何処かへと転送する、装置らしきものがあったとの事。


 「あの蚊にそんな物が⁉…」

 「データを転送するって、一体どこへ?」

 「そこまでは分からないは。私、そっち方面は専門外だから…コレで1つ分かった事は、例の蚊には、明らかに人の手が加えられている事よ!」

 「あっ、でもその装置を解析すれば、何か手がかりが掴めるんじゃないか?」

 「確かに、転送先が分かれば、事件の黒幕?にたどり着けるかも!齋木さん、その装置は!?」


 正一が聞いた。すると紫苑は軽く息を漏らし、


 「残念だけど、それは無理そうよ。」

 「なっ何で…」


 そう言うと、紫苑は研究室から別のトレーを運んできた。そこにはまっ黒焦げになった機械の残骸らしき物が乗っていた。


 「それって、まさか…」

 「そう、さっき言ってた、バッテリー及びデータを転送する装置らしき物!…の残骸よ…」


 紫苑曰く、取り出そうとしたところ、突然高熱を発し、そのまま燃えてしまったという。


 「燃えたって、齋木さん大丈夫ですか?」


 有希子が心配して聞いた。


 「私は平気よ。ただ、見ての通り、装置は丸焦げで、生け捕りにしてた蚊も焼け死んでしまったわよ。どうやら、証拠隠滅の為に、発火装置か何かがしかてられていたみたいよ。」

 「生き物にそんな装置を埋め込むなんて酷い…」


 有希子が悲しげな顔をした。

 それを見て紫苑は、


 「どうやら犯人は、かなり冷血な人物よ!変異種を見て尚更そう感じるは!」

 「変異種⁉」

 「そう!桜島さん達が迎撃した蚊の中に、変異種が混じってたので、それも回収して調べたの!」

 「いっ、いつの間に…」

 「本当に、いつの間にだな…(動きに無駄のない人だ…)」

 「で、何が分かったんです?」

 「変異種の蚊には、遺伝子組み換えや操作が行われていた痕跡があったのよ!」

 「遺伝子操作!」

 「そうよ!これを見て!」

 「!!うえっ…何だよコレ…」


 紫苑が一同に見せたパソコンの画面。そこには、胴体から人間の耳に近い物が生えているネズミが映っている。

 

 「何だよコレ…」

 「遺伝子操作で、ネズミの体に人間の耳を作る研究をしている過程の画像よ。」


 「…」

 「気持ち悪…」


 新堂姉妹は身を寄せ合い、震えている。


 「何でも失われた人体を、再生すら事を目的としているらしいは!」

 「こ、こんな研究していいのかよ。人間が手を出していい事の範疇を逸脱しているだろ!」

 

 走が青ざめた顔で叫んだ。


 「同感よ。私もコレは行き過ぎたと思っているは。私も生物学を専攻しているけど、あくまでも、どのように進化して来たかや、動植物の絶滅を防ぐ術を念頭に置いているわよ…」

 「齋木さん、こんな画像を見せたってことは…」

 「えぇ、変異種はこのネズミに近い存在よ!変異種には、他の生物の遺伝子を組み込まれ、人為的に生み出された痕跡が見受けられるわ!」

 「!マジかよ…」

 「一体誰がこんな事を…」

 「分からない…」

 「………」


 その場に、それまでいじょうの、重い空気が流れたのをその場にいた全員が感じ取った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 時は少し前まで戻り、大阪の某所。


 「くっ、監視用の個体が一体やられたか。しかし、死んではいないみたいだな…生け捕りにされたか…」


 謎の男が複数台のパソコンの画面を凝視し、呟いている。


 「まあ良い、想定内だ。証拠隠滅の仕掛けは施している。ここは割り出す事は、不可能だ。」


 男の背後には、巨大な水槽があり、そこには、これまた巨体な物体が浮かんでいる。

 それを見て男は、


 「思い知るがいい、冷徹な人間共!復讐はまだ、終わってはいないぞ!フフフフフフ…」


 男は不気味な笑い声をあげた。

 そして近くの机の上の写真立てに視線を移した。写真立ての写真を眺め、男は


 「復讐の行く末…見ていてくれよ…」


 と、呟いた。


 耳が生えたネズミは実話らしいです。

 終盤に出てくる男は、プロローグの謎の人物の事です。

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