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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
脱出作戦
52/206

生け捕り

 一同は百貨店の中を最新の注意を払い、出口へと進んだ。電気は付いていないが元は百貨店だけあって、出口は案内板のおかげで解りやすく、迷う事はない。途中、蚊はいなかった。


 「見ろ、出口だ。」

 「やっと出られる…」

 「最後まで油断するな。何処に蚊がいるかは、分からないんだ。」

 「!そ、そうだな…ホッとして注意不足になる所だった…」


 出口が見えて、気がゆるむ者が数名いた。しかし、今はそういった油断が死を招く現状にある。最後まで油断大敵だ。

 が、何とか一同は出口ま来れた。


 「早く出ましょうよ。」

 「待った、よく確認してからでないと、危険だ。」


 店の出入口等は、二重扉になっているパターンが結構多い。今いる百貨店の出入口も、二重扉となっており、中央部分に蚊はいなかった。


 「いない…みたいだな。よし入ろ…」


 大石が中を確認してから、皆に合図を送ろうとしたその前に、大石は見つけてしまった。自分達を見下ろすように、壁に止まっている蚊の存在を。大石の視線がその蚊にグギ付となった。他の者達も、大石の視線を辿り、蚊を目視した。


 「きゃー!」

 「いっ、いやがった!」


 パニックになる一同。大石・近松といった面々は何時でも反撃できる体制に入り、構えていた。が、その蚊は何か様子がおかしかった。それに最初に気づいたのは、紫苑だった。


 「待って、皆。この蚊、何か変よ。」

 「変って、何が変なの?」


 カエデが聞く。それに、紫苑は視線を動かさず答えた。


 「この蚊、襲ってくる気配が無いし、何より単独でいるのも不自然よ。」


 紫苑の言うとおり、他の蚊は少なくとも2・3匹で行動していた。なのにその蚊は1匹だけでいる。尚かつその蚊は一同を監視してるかのように、見ているだけで襲って来る気配が無かった。


 「確かに、まるで監視カメラの様ですね。」


 と有希子が呟いた。それを聞き、紫苑は、


 「監視カメラ!まさか…」


 紫苑がある仮説を思い付いた。そして、


 「大石君、近松君、その蚊、捕まえられないかしら?」

 「捕まえる?」

 「出来る限り殺さないでね。」

 「一体何をヤブから棒に…」

 「いいから、駄目なら私がやるは…」


 訳が分からないが、彼女の事だ、何か考えがあるのだろう。大石と近松は了承した。手短に作戦を立て、実行に移した。

 ます大石が近づく。すると流石に蚊は動き出した。そこをすかざす、近松が死角から間を詰め、羽に狙いを定め、拳を打ち込んだ。羽をやられた蚊はその場に墜落した。羽をやられまともに動けないでいる蚊。それを近松が自身のパーカーを脱ぎ、蚊の上から多いかぶせた。暴れる蚊を、2人がかりで潰してしまわぬよう、抑え込んだ。


 「齋木さん、これでいいかな?」

 「十分よ。」


 そう言うと、紫苑は懐から小さめのケースを取り出した。開くとその中には、小さいスプレーの様な物が入っていた。


 「齋木さん、それは?」

 「麻酔薬よ。」

 「麻酔!」 

 「そう、研究の際、対象が暴れないよう、眠らせる用のね。」

 

 そう言うと紫苑は蚊に麻酔薬を使用した。麻酔薬が効いたのか、蚊はそのまま動かなくなった。そして近くのゴミ箱の底から大きめのゴミ袋を拝借し、2・3重に蚊を包んだ。


 「よし、これでオッケイ。数時間は動けないは。」

 

 紫苑はこんな状況ながら、欲しいオモチャが手に入った子供の様に、上機嫌だった。それを見て、周りの皆が皆、


 「(何なの、あの子…)」

 「(普段から麻酔薬なんて、持ち歩いてるのかな?)」

 「(異常な光景だ…)」


 等と各々が異様さを感じていた。最も当の本人は気にする素振りがなかった。

とりあげず、危険は去ったとばかりに、一同は二重扉を慎重に通り、外へと出た。地下隠れ家へと繋がるマンホールはすぐそこだった。

 


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