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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
脱出作戦
49/205

悪巧み

 船森達は隠れてカエデ達を見ている。


 「くそー、近くの野郎共が邪魔だな。」

 「ああ、変な外人は兎も角、大石と近松。あの2人が厄介だ。」

 「全く、奴等が居なけりゃ、力ずくでなんとかなんのによ…」


 この3人組も食糧調達班に参加していた。が、本人達にとって大阪脱出作戦に興味など無いのだ。目的は「女」だった。

 作戦のどさくさに紛れて女を拐い、いかがわしい事をしようとしているのだった。彼等も地下での生活でかなりストレスが溜まっているのだ。この3人は、今回の一件を、それを発散するいい機会が来た位にしか思っていない。

 普通だったら犯罪だが、今の大阪は無法地帯と言っても差し支えない状態だ。故に、乱暴を働いても、取り締まるおまわりも居ない。働いた後、口封じしてしまえば良い。行方不明となっても、蚊の犠牲となったと言う事で方が付く。この3人はそう考えているのだ。

 この3人は、元から質の悪いだった連中だったが、現在、歯止めとなるモノが無い事もあり、ここに来て明らかにエスカレートして来ている。


 「でよお前等、目当ては誰だ?俺は双子の姉の方だ。」

 「船森もか、俺もだよ。あれは、中々の上玉だぜ!」

 「俺は妹の方だな。あの気の強さ、そそるぜ!で、無理やり押さえ込んでから、思いっきり…」

 「良いね良いね!泣き叫ぶ顔が目に浮かぶぜ、へへへ…」

 「あー早くチャンス来ねーかな…」


 と、3人がゲスな会話をしている後方から、近づく者がいた。


 「アンタ達、随分と楽しそうじゃない。」

 「!!げ、テメーは!」


 いたのはいつぞや、自分達をボコボコにした女、齋木紫苑だった。彼女は前回と同じ様に、3人を軽蔑する顔で見ている。


 「何の用だよ?」

 「別に、あんた達に用はないはよ。ただ、普段何もしてないあんた達が、作戦に参加しているのが気になって、様子見てたのよ。」

 

 紫苑はカエデ達の方をチラッと見た後、視線を船森達へ戻した。

 その目は、疑いの目をしていた。


 「で、彼女達がどうかしたのかしら?」

 「ぐっ、テメーにはカンケーねーよ。行くぞお前等!」


 そう言うと船森達は移動していった。それを見送った後、紫苑はカエデ達に合流した。


 「クッソー、あのアマ!また俺等の邪魔しやがって…」

 「本当、腹立つぜ!」 

 「痛い目に遭わせてやりてーな。」

 「イイな!そうしてやろうぜ!」

 「ああ、心と体に、一生消えない傷をつけてやらー!」


 あれだけやられたのに全く懲りていない3人。何とか復讐してやりたいと悪だくみを考えている。


 「つってもどうする?あの女、見かけによらず強いぞ⁉」

 「確かに、何か武器になる物はねーか?こうなりゃ、空きを付いてやってやろーぜ!」

 「それは良いけどよ、元々百貨店だから、大したものねーぞ…」

 「そうだ、消化器はどうだ?それを奴にお見舞いしてやれば、怯ませる事が出来るはずだ!そこを押さえ込んでだ、後は力ずくで!」

 「いいアイデアだ!よし、探せ!」


 そう言うと船森達は消化器を探し始めた。


 「何処だ、何処だ?」

 「消防法等で、延床面積にもよるがこういった施設には、設置が義務付けられてるはずだから、絶対あるはずだ。」


 この男、ろくに学校に通っていなかったが、何故かそう言う知識だけはあるのだった。

 と、言ってる内に目当ての消化器は見つかり、何本か集まった。それを見てニヤニヤしだした。


 「よーしこれだけあれば、十分だろ。」

 「ああ、あのアマ見てろよ!って、アイツは?」

 「そういや、いねーな。どこいったんだ?」

 

 と二人がキョロキョロしてると、奥から足音と共に、最後の1人が歩いてきた。が、様子が変だ。フラついている。


 「おい、何やってんだ?」

 「いや待て船森、何か様子が変だぞ?」


 そう言うやいなや、男は倒れた。背中は血で染まっている。


 「!おいどうしたんだ⁉」


 そう叫ぶやいなや、羽音が聞こえて来た。


 「まっまさか…」


 そのまさかだった。奥から蚊の群れが、自分達のいる方へ、次から次へと飛来してくるのだった。



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