百貨店
一方その頃、食糧調達班はと言うと、武器調達班とそんなに離れていない場所で食糧を集めている。
「沢山あるな。」
「ああ、でも全部は持ってけないから、出来るだけ軽く、日持ちするのを選ぶんだ。」
「チョコレートとかいいんじゃないか?少量でもカロリーがあるし、甘い物は疲れた体に効くぞ。」
「いいな。栄養面は気になるが…贅沢は言ってられない。」
「後、飲料水もだ。お茶やジュースとかでも構わないけど、酒は駄目だぞ!酔ったら、いざって時に逃げられない。」
「分かってるって。酒は作戦が成功した後だ。」
等と言う会話が、小声で囁かれている。ここは難波にある、某有名百貨店の食品売り場。かつては多くの人で賑わい、活気にあふれていたフロアも今は静まり返っている。そこへ、食糧調達班が調達ね来たのだ。売り場の一角に、食糧調達班に参加したカエデと新堂姉妹達がいる。
「有希子ちゃん、登紀子ちゃん。これ位でいいんじゃない?」
「そうですね。これ位あればいいでしょう。」
「えぇ、十分よ。」
缶詰類をカバンに詰めた彼女達が運び出し始める。が、有希子がよろけた。缶詰を沢山入れたカバンが思ったよりも、重かったのだ。
「あっ!有希子!」
登紀子がとっさに支えようとするも間に合う距離ではなかった。有希子はそのまま倒れかけたが、素早く現れた人物が彼女を支えた。
「わっ!」
「大丈夫かい、新堂さん?」
支えたのは大石だった。彼もまた、近松と共に食糧調達班に参加しているのだ。最も彼等は、用心棒的な役割も兼ねているのだが。
「ありがとうございます大石さん。」
「いやいや当然さ。それよりも、カバン僕が持つよ。」
「いいんですか?それじゃあいざという時に戦えないんじゃ…」
「この位平気さ。」
そう言って大石は、その場で軽く跳ねて見せた。
「それじゃあお言葉に甘えて…」
と、言い終える前に、
「オー、ヤマトナデシコガール。」
ブライアンが、その場の空気をぶち壊すかの様な声を発しながら現れた。
「マにあいませんでした。カレンなショウジョのピンチにサッソウトかけつけたかったンデスが、サキコサレマシター!」
「そんなピンチってほどじゃ…」
などと終始片言の日本語で話す陽気な外国人ブライアン。
そんなブライアンの事を、怪しむ目で見ている人物から2人。
1人はカエデだ。走と正一が彼が怪しいと言っていたのを、近くにいた彼女も聞いていたのだ。
「よっちゃんが怪しいと言っていたけど、本当かしら?」
とはいえ、半信半疑のカエデ。
そしてもう1人は大石だ。有希子にしたしげな彼を見て、不思議といい気がしないでいたのだ。
「おい防!」
近くにいた近松が呼んだ。そして、大石を少しも離れた所に連れ出した。
「何だ修一?」
「何だじゃない、どうしたんだ?ブライアンさんがどうかしたのか?彼を見る目つきが普通じゃなかったぞ。」
「そっ、そうか?そんなつもりはないんだが…兎に角、本当に何でもない。気にしないでくれ、修一。」
「それならいいが…」
修一の質問をはぐらかす防。
と、そんな彼等の様子を隠れて見ている人影があった。
それはいつぞやの3人組だった。