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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
地下 隠れ家
35/205

リーダー格達

 「そうか、袴崎君が…」


 その場に重い空気が流れた。テナントの一角に居た男女は、この地下に集まった者達のリーダー格の人物達とのことだ。走達は簡単な自己紹介をし、ここに来た経緯を説明した。新堂登紀子を助けた事もあってか、彼等は走達を受け入れてくれたのだ。3人の寝床もあてがってくれた。が、袴崎の話となると、その場の空気は一気に変わってしまった。


 「また1人犠牲となったか…」

 「彼も覚悟はしていただろうが、我々が失ったものは大きいな…」

 「全くだ…」

 

 皆が皆、暗い顔をし、ある者はため息をついた。

 この集団の中で、大石・近松・袴崎そして剣持達4人は、格闘技の心得があり腕の立つ人物である為、蚊に対抗できる貴重な戦力に数えられていた。故に、彼らの態度と言葉はそういう事の現れだ。


 「落ち込んでいても仕方ないな。兎に角、食糧調達ご苦労さま。今日はゆっくり休んでくれ。」

 「はい。さっ行こう。」


 話は終わり、剣持と走達は居住区へと引き返した。

 居住区に戻った走達は、自分達に与えられたスペースで腰をおろした。


 「はー、何か急に疲れが出てきたぜ…」

 「あの日から気の休まる時なんて無かったからな。」

 「一応ここは安全な場所だし、今の内に体を休ませましょう。」


 3人が一息ついていると、聞き覚えのある声がして来た。


 「走さん。」

 「あっ、有希子ちゃんに登紀子ちゃん。」

 「ここのスペースをあてがわれたって聞いたから、来たわよ。」

 「そうか。まあ少々狭いが贅沢は言えないからな。今から仮眠でも取ろうと思ってたところだよ。」

 「そう思って、これを持ってきました。使って下さい。」


 そう言って有希子は、タオルケットを3人分走達に手渡した。


 「おお、助かるよ。サンキュー、有希子ちゃん。」


 タオルケットを受け取り、走達は姉妹の顔を改めて見た。薄暗かったので、先程は気付かなかったが、有希子の顔には怪我の手当てをした跡があった。


 「それ、御子柴さんだっけ?やってくれたのかい?」

 「えぇ、御子柴さんによると、傷は浅いから直ぐに良くなるそうです。」

 「そりゃ良かった。跡が残ったら折角の美人が台無しだったもんな。」

 「何言ってんのよ!跡なんかあっても無くても有希子はキレイよ。」

 「そうよ走。登紀子ちゃんの言うとおり。有希子ちゃんは十分カワイイわよ。そうでしょ、よっちゃん?」

 「そうだぞ走。」

 「うっ…」


 走は1人悪者にでもされた様で言葉を詰まらせた。と、そこへ


 「オー、ヤマトナデシコガール!ブジだったですか?」


 今までの空気を吹き飛ばすかの如く、カタコトの言葉が飛んできた。


 「ブライアンさん。えぇおかげさまで…」

 「イモウトさんトモドモ、ブジでなによりでーす。」


 そこには、胸にデカデカと「侍魂」と漢字でプリントされたシャツを着た外国人が居た。

 

 「ホントブジでよかったでーす。ウスグラク、ジメジメしたこんなとこでは、アナタがボクのココロのオアシスなのですから。」

 「はー…」


 有希子は、やたらと馴れ馴れしくしてくる彼に対し、困り顔をした。


 「登紀子さん。あの外人さん誰?」

 「ブライアンさんって人よ。日本に観光に来て今回の事件に巻き込まれたらしいんだけど、見ての通り、有希子に馴れ馴れしくてね。正直言って、あたしは好かないは!」

 「だろうな…」


 妙な外国人の登場でその場の空気は、一転した。

 


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