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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
大阪 難波
30/205

合流

 蚊の方にスプレー缶を向け、男は左手でライターの火を付けた。すると缶から激しい炎が吹き出された。その炎で蚊は火達磨となり墜落した。男は次々と蚊を駆除した。そして最後の一匹を退治すると登紀子の方を向き、


 「大丈夫か、怪我は無いかアンタ?」

 「えぇ、助かったはありがとう。ってそれより有希子の方は?あっちにも蚊が…」

 「大丈夫みたいだぜ。」


 有希子と剣持の方はというと、剣持が蚊を刀で切りた倒していた。

 この辺の蚊は全部倒したらしい。羽音もしない。


 「登紀子!良かったー!」

 「有希子!」2人は抱きついて涙を流しながら喜びあった。


 「ありがとうございます。登紀子を助けて下さって。」

 「気にしなくていいさ。」

 「ところでお名前は?」

 「ああ、俺は…」


 名を語る前に車から声がして、


 「おい、俺らを忘れるなよ!」

 「ああ、そうだった。」

 「忘れないでよ、もう。」

 「他にも人が乗っているのか?」

 「ああ、俺の友人達だ。」

 

 そう言ってる間に、車から男女が1人づつ出てきた。こうしてその場には計6人の男女が揃った。念の為に6人は、周りに注意を払いながら簡単に自己紹介をした。

 車で来た3人は、山口走、吉元正一、冬樹楓。幼稚園からの幼馴染。例の日、10年前に埋めたタイムカプセルを掘り出し山に入っていた。そこで例の事件に遭ったのだった。

 山を降りたあと、3人は命からがら逃げ続け、気付けばここまで来ていたと言う。走達はそれらの事を剣持達に説明した。


 「そんな事が…しかしその山であんた等が遭遇した蚊、俺らの知る蚊とは少々違うみたいだな。」

 「えぇ、山口さん達の話の蚊は、血を吸わずに蜂みたいに毒の針で獲物を殺してますしね。」

 「しかも人間だけでなく動物も襲うなんて…」

 「それはそうと、そう言うあんた等もこんな所で何してんだよ?」

 「あぁ、俺達は…」


 そして、剣持達もことのあらましを説明した。


 「なろ程な、食糧を調達に…しかし、1人が犠牲に…」

 「お気の毒に…」

 「……」

 

 その場に思い空気が流れた。その空気を払うように剣持が喋りだした。

 

 「止めよう。悲しんでても仕方ない。俺達にできる事はあいつの犠牲を無駄にしない事だ。」

 「そうだな。で、その食糧は?3人共、それらしいもの持ってないけど…」


 そう言われ、3人はハッとした。新堂姉妹は手ぶらだった。剣持も刀以外持っていない。

 

 「あっ、そう言えば…登紀子、食べ物は?」

 「えっ、そう言う有希子こそ食糧を入れたヤツは?」


 どうやら先程の騒ぎの中で落としたらしい。3人共全く気づかないでいた。無理はないが…

 幸い食糧はすぐ近くに落ちていて、無事に回収出来た。

 

 「良かった。見つかって。」

 「隠れ家には沢山の人が待ってるからね、早く持って帰りましょう。有希子の怪我の手当もしないと。」

 「えぇ、山口さん達も来てください。登紀子を助けてくれたお礼もしたいですし。」

 「礼はいらないが、その隠れ家には行きたいな。1週間以上、禄に寝れてないからな。暫し、横になりたい。」

 「確かに、ずっと車中泊状態で、まともに寝てないからな。」

 「あたしもよ。」


 走達3人は、疲れが溜まっており、それが顔に出ている。


 「それじゃあ、早く行こう。」

 「俺の車で行こう。歩くより安全だし。」


 6人は車に乗り移動した。その間剣持は、袴崎が落命した方に顔を向け、目を閉じていた。

 



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