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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
大阪 難波
29/205

走馬灯

 時は遡り、新堂有希子・新堂登紀子、共に15歳。

 今日、この春から通う高校の制服が届き、早速、新品の制服に袖を通している。

 実際に着るのは店で採寸してもらい、試し着した時以来だ。


 「ねえ有希子、ネクタイってどうやって付けるんだっけ?」

 「採寸の時、一緒に教わったでしょ?」

 「もう忘れちゃったわよ、だから教えてよ。」

 「もう、仕方ないわね…ここをこうやって、そしてこうよ。」


 登紀子は有希子にネクタイを付けてもらい、そしてブレザーを羽織った。


 「うん、中々いいじゃん♡」

 「1人で出来るよう覚えときなさいよ。何時でも2人一緒って訳にはいかないんだから。」

 「ハイハイ。」


 登紀子は軽く返した。


 「分かってるの?」

 「分かってるって。でも、あたし達ってさ、胎児の時から高校までずっと一緒よね。」

 「そうね。それは双子なんだし、お母さんの体内にいた頃から一緒よ⁉」

 「でも、流石に社会出たら離れ離れになるのよね…」

 「どうしたの?珍しく難しい顔して、しんみりしちゃって。」 

 「あっ、いや、何でもないわよ登紀子。将来のこと考えたら何か気が重くなっちゃってさ。」

 「登紀子!あなたが将来のこと考えるなんて…熱でもあるの?」


そう言いながら登紀子の額に手を当てる有希子。熱は感じられなかった。


 「無いわよ、失礼ね!」

 「だって、あなたらしくないし…」

「あたしだって、将来の事くらい考えてるわよ!」

「本当?あなたって、細かい事は一切気にせず、何かあったら、その時に考えればいいって感じの、計画性のない生き方(スタイル)だから…」

 「人を両○○吉(両○ん)みたいに…全く…まあいいは。それは兎も角、せっかくだから記念写真撮ろうよ有希子!」


 2人は制服姿で記念写真を撮った。

 スマホを自撮り棒に付け、


 「撮るわよ、1+1=」

 「「2!」」

 「中々可愛く、キレイに撮れたわね。」

 「登紀子、私のスマホに送ってよ。」

 「OK!それじゃブルートゥースで送るよ。」

 

 2人は制服姿の記念写真を見て、実に楽しそうにしている。その後、制服を脱いで普段着に着替えた後も、登紀子は先程の写真を見つめていた。当時、まだ登紀子は茶髪にはしていなかった。なので写真の中の2人は髪型が違うだけで、それ以外は瓜二つだ。登紀子は改めて自分達が双子である事を再認識した。

  

 「ねぇ有希子。」

 「何?登紀子。」

 「あたし達は双子の姉妹。この先どんな事があっても、離れていても心は一緒だからね。」

 「⁉何言い出すのよ、さっきから変よ…まさか!あなた家出でもする気なの?」

 「違うわよ。ただ、そう思っただけよ。」

 「何それ?変な登紀子…」

 「取りあえず、これ待受にしようよ。揃いで。」

 「いいわね。そうしよう。」


 2人はスマホを操作し、先程の写真を待受に設定した。

 2人のお揃いのスマホの待受画面上には、同じく揃いの、制服姿の2人が笑みを浮かべていた。


 「あー、早く新学期にならないかなー。」

 「何言ってんのよ、勉強嫌いで何時も学校なんて面倒くさいって言ってるくせに。授業中も、居眠りしたりして…」

 「で、後々、有希子も先生に一緒に注意されるのよね!」

 「そうよ!姉の私の方からも、言っておくようにって…」


 少しムスッとした顔をする有希子。


 「それでも、やっぱ揃いで新しい制服着て、一緒に登校するの、何か楽しみなのよ。」

 「まぁ、確かにね。」

 「まっ、宿題とかは任せるから宜しくね有希子。」

 「宿題は自分でしなさい!全く…」

 「「ふっ…ははは」」


 2人は声を合わせて笑い出した。


 「本当、登紀子は成長しないんだから。」

 「妹助けるのは、姉の約目でしょ。」

 「都合のいい時だけ、妹ぶらないの。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そんな感じて2人は生まれた時からずっと一緒だった。

 だが、2人の時間は間もなく終わる。登紀子そう感じていた。

 登紀子は複数体の蚊に囲まれている。逃げ場は無い。蚊の羽音が、恐怖を倍加させている。


 「とっ、登紀子ー!」離れた所から有希子が涙声で叫んでいる。有希子は登紀子の元に向かおうとするが、剣持が取り押さえている。

 

 蚊の一匹が動き出した。登紀子は自分の最後を覚悟した。


 「…有希子…さよなら…」


 登紀子は目を食いしばった。

 が、その時何処からか車の音が響いて来た。そしてエンジンを激しくふかしながら古ぼけた車が猛スピードで走ってきた。


 「えっ、何?…」


 突然やって来た車に蚊も反応したのか、登紀子を襲うの動きを止めた。そのまま車は登紀子の側に停車し、ドアが開くと中から男が飛び出し、蚊を目掛けてスプレー缶を向けた。


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