双子の姉妹
第2章開幕です。
しかし、このペースでは、完結させられるのは何時になるのか…
時間は少し遡り、走達が亀山にタイムカプセルを掘りに行き、蚊の怪物と戦ったのと同日。
ここは大阪の難波。
この町は地元民から観光客まで、毎日多くの人で賑わっている。老舗百貨店から個人経営の飲食屋や衣服店、そして日本を代表するお笑い事務所の舞台までと、幅広くある日本の大都市の一つだ。
その難波を少し北に北上すると、町を分割するように川が流れている。有名な道頓堀川だ。
「大阪の川と言えば?」
と質問すれば、恐らく殆どの人が「道頓堀川」と答えるであろう位、有名な川だ。阪神が優勝し、某有名なフライドチキン屋の看板人形を投げ込んで、後々に発見されたと言う話もあり、感極まって自ら川にダイブするファンもいる等と、別の意味でも有名だ。
そんな道頓堀川を、北南に繋げる短めの橋がいくつかあり、ここはその内の一つだ。横断歩道が近くにあり、信号が変わったとともに多くの人が流れ込んでくる。一昔前、ある芸人が
「大阪の人は信号の意味を知らない」
という歌を作って歌っていたが、実際のところは、そうでもない。守ってる人が多い。そもそも、信号の意味を知らなければ車は愚か、原付免許すら取れないのだから当選だろう。
そんな毎日大勢の人が渡っている橋だが、橋の上にいるのは川を渡る人だけでは無い。
ある人は例の有名な大看板の写真を撮っている。看板の男と同じポーズをして、連れが写真を撮っている姿も伺える。
または、大道芸人にストリートミュージシャン、パッと見ではそれが何なのか分からない物を売っている者もいれば、物乞いをする者の姿もある。
まさに千差万別、様々な人がいる中、2人組の少女が橋の中間部分にやって来た。
「今日もすごい人ね。あっあそこで大道芸人が何かやってるわよ登紀子!」
「あんまりキョロキョロしないでよ、田舎者だと思われるでしょ有希子!」
黒髪の大人しそうな少女と、茶髪のギャル風の少女という2人組の少女が、おしゃべりしながら歩いている。
この2人、名前は姉「新堂 有希子」と妹「新堂 登紀子」。
双子の姉妹で、市内の高校に通う女子高生だ。見かけどおり大人しく上品で優等生な姉に対して、妹は茶髪で派手ななりをしており、見かけも性格も正反対の双子の姉妹だ。
しかし、性格は真逆ながら仲はとても良く、今まで喧嘩も禄にしたことが無いほどだ。
「見て、川の辺りで何かやってるわよ。」
「んー、どれどれ?」
2人が道頓堀川を除くと、テレビ収録が行われていた。属に言う、ご当地アイドルと言った感じの派手なユニフォームを着た女の子数人が、何か男性の話を聞いており、それをテレビカメラが撮っている。
「あの人確かに〇〇大学の生物学者「畑里」教授よ。偶にニュースのコメンテーターとして出てるわよ。」
「畑里?知らないわよ、そんな人。」
登紀子は無関心であるかのように答えた。
「登紀子、あなたテレビはドラマやバラエティ番組位しか見ないからよ…少しはニュースも見なさいよ。」
「大きなお世話よ!あたしは有希子と違って優等生じゃないし…」
「優等生かどうかは関係ないでしょう、もう…」
「それはともかく、何の収録かしら⁉」
2人は教授達の会話に耳を向けた。
すると、教授が
「道頓堀川の水は汚れている、生き物もろくに居ないとイメージする人がいるが、近年魚が戻って来ている事が確認された。」
等と言った事を説明し、それを聞いたアイドル達が、わざとらしくオーバーリアクションをしている。
そんな感じだ。
「多分、環境問題をテーマにした特番の収録みたいね。」
「ああ、緑の日とかにやってる、あの手のやつね。ねーねー、上手くすれば映り込めるんじゃないこれ?」
「やめなさいよ、野次馬みたいな事は!」
「いーじゃん、記念になるよ。有希子やんないんなら、あたし1人でもやるよ。」
「まったくもー…」
有希子が呆れ顔をしている最中、川上から何かが流れて来た。
「登紀子、何あれ?何か流れて来るわよ⁉」
「えっ何よ?桃でも流れて来たとでも言うの?」
登紀子が呑気に答える。
「おとぎ話なんかしてないわよ!あれよ、あれ!」
「‼何、あれ?」
川上から黒い色の物体が流れて来た。それも1つ2つなどではない、大量に流れて来たのだった。ここでもまた、恐怖が始まろうとしていた…