人気者
走達が、この大阪の地で多くの悲劇を起こした、まだ見ぬ黒幕に対して、怒りをあわらにしている頃、他の場所にて。
「「嵐子さん!!」」
「2人とも無事で何よりだよ!」
嵐子が新堂姉妹と再会し、喜びあっていた。
いつの間にか、姉妹にとって嵐子は、少し強面だが、頼りになる姉の様な存在になっていた。
「うえ~ん、センパ〜イ!!」
「メグさん!」
「メグちゃんも元気で良かったよ!」
「グスッ…先輩達も無事で良かった…何処か怪我とかしてない!?」
「お陰様で、何処も異常ないよ!」
「同じく!」
「うぅ…」
2人にしがみついて喜ぶメグこと、神門 恵美。彼女達は同じ高校の先輩後輩の間柄。メグは、新堂姉妹の一つ下の学年で、例の日の事件の前から、性格は真逆だが中の良い双子として有名な、姉妹の事を知っていた。
そんな彼女達は、辰馬達が隠れ家にしていた、警察署での交流が元で、すっかり仲良くなった。
現状の様な状況下でなければ、放課後や休日にでも、一緒に遊びに行く間柄になっていたであろう。
が、そんな彼女達は、テナントビルの一件でバラバラになり、それぞれ安否不明状態だった。
なので感動も一入だった。
そこへ、
「あっ、双子のお姉ちゃん達だ!」
「本当だ!」
「わ~い!」
子供達が揃ってやって来た。
「みんな!」」」」
姉妹は、この子達とも仲良くなっていた。
「お姉ちゃ〜ん!」
「遊ぼ!」
「キャハハ!」
姉妹に甘える子供達。
顔こそは同じだが、髪型は異なる姉妹。子供達は、各々に好みがあるらしく、姉妹の好きな片方にづつ、群がっている。
それぞれの人気は、五分五分といったところのようだ。
「コラ、困らせる事をするんじゃないよ!」
「そうだよ。せんぱ…お姉ちゃん達も、いろいろあって疲れてるんだから!」
子供達を嗜めるも嵐子とメグ。
「別に構いませんよ!ねぇ、登紀子!?」
「ええ!そんじゃ、遊ぼっか!?」
「わ~い!」
「でも、他の人達の迷惑にならないように、静かにね!?」
「は~い!」
そう言って子供達と遊び始める姉妹。
「たく…」
その様子をメグと共に眺めつつ、小さくため息をこぼす嵐子。
「あ~あ、すっかり子供達の人気、持って行かれちゃった…」
と、少し寂しげに呟くメグ。
「「…」」
そんな2人を見かねた子供達。その内の何人かが、2人の下に駆け寄り、
「ランコお姉ちゃん、メグお姉ちゃん!」
「!?」
「お姉ちゃん達も一緒に遊ぼ!」
「えっ!?いや、でも…」
少し戸惑う嵐子。
それに対してメグは、
「うん!遊ぼ遊ぼ!」
と、ノリノリで返した。
「ちょっ、メグ!?…」
「ほら、嵐子さん、行こう行こう!」
「あっ…」
子供達(+新堂姉妹)の輪の中に入る嵐子とメグ。そのまま、他の女性陣も加わって、子供達と静かながらも遊びに興じた。
見た目は少し強面だが、辰馬と同様面倒見のいい姉御肌の嵐子。
普段から子供達と遊ぶ事の多いメグ。
性格は真逆ながらも仲の良い双子の新堂姉妹。
それぞれ、キャラクターはバラバラではあるが、皆、子供達の人気者であった。