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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
新たなる出会い
202/205

共生・寄生

走・辰馬達は、途中の民家で拝借したキャンピングカーのお陰で、内海等の待つ隠れ家の倉庫に帰ってくることができた。


この隠れ家の倉庫に、走達を始め、殿になっていた辰馬達、先程救助した面々に、帰り際に合流した新堂姉妹達と、大勢の人々が集まっている。他の隠れ家にいる人々も入れれば、ほぼ全員生き残れた。

蚊の自爆特攻を受けビルが崩壊した時及び、姉妹達のグループが襲われた際に、犠牲となった者達を除けばであるが…


兎に角、理由あってバラバラになっていたがこうして、又集まることが出来た。

一同はその事で安堵している。安心してドット疲れが出たのか、片隅でぐったりしているもの、再会を喜ぶものなど様々だ。

その隠れ家の一角で、走達が一息入れながら、話をしている。


「ふ〜、何とか生きて帰れたな…」

「ああ…途中で車が駄目になった時は、生きた心地がしなかったぞ…」

「でもあの変異種、異様だったわね…」

「確かに、他の変異種を誘導する為だけの様な生態してたからな…」


彼等が話しているのは、触覚が旗のようになっていた変異種の事だ。その旗状の触覚で、彼等の乗った車両を襲う変異種を、興奮状態にさせた。


「そんな生き物聞いたことねーぞ!本当に、異様だよな…」

「アッチでも、その事を話しているようだぞ!?」


正一が言う方では、高倉達地下にいたメンバーのリーダー格と辰馬、ここのリーダー格の内海等、そして紫苑が話している。

話の内容は勿論、その変異種の事だ。


「なんとそんな物が!?…」

「にわかには信じられないかも知れませんが、事実ですよ!」

「写真ありますよ!」


そう言って紫苑は、スマホを操作し、例の変異種の写真を表示させた。

写真は変異種の姿をスマホのカメラで写真に収めていた。本来なら実物を持ち帰り、調べたいところだが、キャンピングカーに定員を上回る人数が乗っており、重いし余分なスペースも無いのでなくなく置いてきた。その代わりとばかりに、写真に撮っていたのだ。しかも、その他の変異種の亡骸の写真もだ。紫苑は本当に、抜け目ないだった。


「…成る程…」


紫苑の写真を見て真実だと理解する内海。


「しかし、こんな生物、自然界には無いぞ!」

「ええ、他の生き物に共生・寄生したりする生き物はいますが、こんな生き物はないですね…」


自然界には、他の生物と共生したり、寄生するものがいる。

共生は、互いに利益を得る、片方のみが利益を得る一方で、もう一方には特に害がない等の形がある。

共生の例

・クマノミとイソギンチャク

クマノミはイソギンチャクの毒針に隠れて身を守るり、イソギンチャクは、クマノミが餌の残りかすを食べたり、天敵を追い払ってくれたりする。

・アリとアブラムシ

アリはアブラムシから糖液をもらい、アブラムシはアリに天敵(主にテントウムシ)を追い払ってもらう。

この様な互いに利益がある関係を、「相利共生」と呼ぶ。


・コバンザメと他のサメ

コバンザメは吸盤のような特殊な頭をしており、移動の際、他のサメに張り付き、連れて行ってもらう。コレにより、エネルギーの節約・食料確保(張り付いたサメのおこぼれ等)を獲られる。


この様な片方にだけ利益がある関係を、「片利共生」と呼ぶ。


一方で寄生は、他の生物の体内に住み着く等して栄養を奪う事だ。こういった行為を行う生き物を寄生生物と呼ぶ。


寄生生物で有名なのが、カマキリに寄生するハリガネムシと、カタツムリに寄生するロイコクロリディウムだ。何方もそれぞれの体内に寄生し成長すると、寄生主を操り身体の自由(コントロール)を奪ってしまう。

ハリガネムシは成長するとカマキリを水中に飛び込ませ、それと共に体外に出て産卵する。

ロイコクロリディウムは寄生したカタツムリを鳥に食べられやすくして、食べられ、鳥の体内で産卵し、糞と共に排出される。その糞をカタツムリが食べて…といった事を繰り返す。


この様な、他の生物に寄生し、栄養だけでなく自由すらも奪ってしまう恐ろしい生き物は自然界に多数存在するのだ。


しかし、彼等の議題に上がっている変異種は、その何方もと違っていた。

それが余計に彼等を混乱させた。


「何か難しい話ししてんな…」

「しかしだ、紫苑さんも言ってたろ!?変異種を生み出した人間(ヤツ)がいるって。」

「ああ。つまりだ、ソイツが全ての元凶、黒幕って事だな!」

「何処の誰だかは知らないけど、そのせいで、どれだけの人達が犠牲なったのよ…」


走達脳内では、コレまでに蚊の犠牲となっていく人達の光景が再生(フラッシュバック)された。


「何処の誰で、どんな理由があろうとも、決して許す事なんて出来ないぜ!」

「当然だ!」

「ええ!」


走達は改めて、まだ見ぬ全ての元凶たる人物に対して怒りを(あら)わにした。



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