キャンピングカー
一部章タイトル変更しました。
「全員いるか!?」
「…あぁ、全員いるぞ!」
「よし!」
いつもの如く、リーダー格の高倉達が手早く、存在確認を行った。
彼等はコレより、近くの家にあったキャンピングカーを借り、それに乗って移動する。
現在一同は、その家の庭に集まっている。勿論、周囲の警戒は抜かりない。
「しかし、完全に定員オーバーだぞこれ…」
「やむを得んだろう。先程の件もあるし、もう、何回も往復する時間も余裕もないんだ!」
「だな…」
またいつ何時、変異種が襲って来るかわからない。もう移動に、時間をかけてる余裕は、彼等には無かった。
なので、定員を無視して、一度に全員乗り、目的地に向かう事となった。
キャンピングカーは大きいとはいえ、当然ながら乗れる人数は限られてくる。
乗車定員数は、車種によって異なる。
・軽キャンパー(軽自動車をベースにしたタイプ)は2~4人
・バンコン(ハイエース等のバンをベースにしたタイプ)は4~6人
・キャブコン(トラックのシャーシの部分を居住スペースに架装したタイプ)は4~8人
・バスコン(バスを改造したタイプ)は6~10人
といった感じで、上記の人数が目安となる。
普通免許て運転できるキャンピングカーは、乗車定員が10人以下のものが殆どだが、キャンピングカーの種類によっては、中型免許又は、準中型免許が必要になる場合もある。
なお、平成20年の改正により、車両の後席でのシートベルトの着用が義務化されている。そのことから、シートベルトが装着されている、座席の数が、その車における乗車定員となってくる。
彼等の場合は、彼等が拝借するキャンピングカーは、バスコンタイプで定員10人となるが、その10人を完全にオーバーしている。
「仕方がないだろう。皆が助かるためだ。おそらくだが、緊急避難の範疇だろう!?」
「まぁ、ここには警察もいない事だしな!?」
と、自分達に言い聞かせる高倉達。
そんな彼等の側で、
「(いや私、交通課でこそないにしても、一応は警察なんですけどね…)」
と、FBI捜査官のブライアンが心の中で思った。
完全に管轄が違うけど、FBIも警察の機関。なので正確には、警察がいないという訳では無い。
が、状況が状況なので、ブライアンは黙って黙認した。
それは置いといて、
一同は、キャンピングカー内の物を極略、車外に出して、軽量化とスペースを確保した。
「こんなとこだな!」
「よし!それじゃあ、皆乗り込むんだ!」
高倉の合図で、一人づつ、キャンピングカーに乗り込んでいく。女性・子供優先で。
一通り乗り込んだのを確認する高倉・三船。
「後は…桜島君、君も早く!」
外に残っている辰馬に声をかける高倉。
すると、
「「辰馬さん!」」
入部と早良の2人がやって来た。
「どうだった?」
「俺等が見回った限り、この辺にはもう、生存者はいないみたいッス!」
「変異種等を問わず、蚊もこの近くには、見当たらないッス!」
「そうか、ご苦労だったな!」
「生存者って…なんだ、生存者の有無を確かめてなのかね!?」
「ええ。助けられる命があるのなら、助けたいと思ったんで…」
「そうか…(この状況下で、尚も人を救おうと思うとは…)」
自分の命を守るだけでも大変なこの状況下、他人を助けようと思える辰馬。
辰馬の器の大きさを再確認した高倉。
「それは兎に角、もう出るぞ。君達も、早く乗りなさい!」
遅れて辰馬達もキャンピングカーに乗り込んだ。
本来の乗車定員を完全にオーバーした、20人を越える人数が乗っているので、少々キツかった。
とはいえ、贅沢は言っていられない。
「それじゃ、出すぞ!?」
古河が車内の皆に合図をし、キャンピングカーを発進させた。
大人数が乗っている事もあってか、スピードはあまり出ない。それでも、キャンピングカーは皆を乗せて目的地目指して走った。
走り出して暫く経って頃、
「見えて来たぞ!」
目的地の倉庫が見えてきた。
そして、
キキー!!
「よ~し、到着だ!」
予定をかなりオーバーしたが、彼等は目的地にたどり着いた。
蚊が襲って来るか気配もない。
車内では、安堵する者、思わず叫びだす者など様々だった。
「ふ〜、ホンの数時間ぶりなだけなのに、妙に懐かしく見えてくるぜ…」
「そんな大げさな…と、言いたいところだが、確かに、同感だ…」
安心して声を漏らす走と正一。
倉庫の出入り口を見ると、内海が手を降っているのが見えた。
かくして彼等は、無事帰還を果たしたのだった。
気付けば早くも200回目になります!