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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
第一章 始まり
20/205

決行

 「そろそろ合図があるはずだが…」


 走は合図が来るのを信じ、蚊の攻撃を必死に避け続けていた。一度刺されれば終わり。命はない。ゲームと違いリセットは不可能という極限状態が走の動きを機敏にしたのかもしれない。


 「合図はまだか…よっちゃん!カエデ!」


 走が思ったその時


 「準備OKだ走!」

 「待ってたぜ、よっちゃん!」

 「走、急いで!」


 合図を聞くやいなや、走は一目散にある場所を目指し走り続けた。それを2匹の蚊が追う。1人と2匹が向かう先には、例のボロ小屋があった。


「よし、いくぞ。」

「走これを!」


 カエデが走に何かを、ラグビーボールの様に投げ渡した。

 それをキャッチし、


「おう。」


 渡されたものを受け取ると走はボロ小屋に飛び込んだ。それに続いて蚊も中に入った。

 プーンプーンと小屋内部で蚊の羽音が響いた。その音が走には、2匹の蚊が、


 「獲物を追い詰めたぞ、袋の鼠だぜ。」


 とでも言っているかの様に見えた。


「…何てこと考えてんのかな?こいつら…だが、御生憎様。袋の鼠はお前らの方だ。よし「今だ!」。」


 走は叫んだ。すると、


バキバキバキ!!


と大音を立ててボロ小屋が崩れ始めた。そのまま小屋の中を飛んでいた蚊を天井が圧し潰した。

 そした、そのまま小屋は完全な瓦礫と化した。山中を小屋の崩れた大音が響き渡った。

が、その音もやがて静まり、山は元の静寂さを取り戻した。

 

「やったのかな?」

「おそらくな、それより走は?無事か?走、生きてるか!?生きてるなら返事しろ!!」

「…おう何とかな。」


 瓦礫の側から走が立ち上がった。手にはビニール袋を持っている。中には持っていた、お菓子等のゴミと、周りにある落ち葉や枯れ枝を入れてあり、即席のクッションの様な物を作り、それで大事な頭を守ったのだ。

 むろん崩れ落ちてくる屋根を防ぐには心もとないが無いよりはマシだと正一のアイデアで急ごしらえで作ったのだ。

 

 「とはいえ…生きた心地はしなかったぜ。」

 「無事で良かった。」

 「それよりも、蚊はどうだ?」

 「狙い通り、下敷きだ。」


 走は先程まで中にいて、今や瓦礫と化した小屋を目の当たりにした。これが正一の立てた作戦だ。蚊を小屋の中に誘い込み、タイミングを見て切り込みを入れるなどして崩れやすくした小屋の柱を正一とカエデが引っ張り、小屋を崩す。囮役は崩れきる前に脱出し、中にいた蚊はそのままぺちゃんこになるという作戦だ。が、かなり綱渡りな作戦だ。上手く倒れるとは限らないし、囮も命の危険にさらされる。危険なかけだった。

 なお、この作戦、正一は走と話したコント番組から思い付いた。それは、「その番組で主役の芸人が悪役の芸人を小屋に誘い込み、そのまま小屋を崩し悪党達は小屋の下敷きになる。」というものだ。正一はこのネタがお気に入りらしい。


 「でも一応、蚊が死んでるか確かめよう。」

 「そうだな、念には念をだ。」

 「気を付けてよ、生きてたら危ないわよ。」

 「分かってる!」


 走達は細心の注意払いながら瓦礫を調べた。結果、2匹の蚊は瓦礫に圧し潰され、見るも無残な姿になっていた。大きさが大きさだけに、かなりグロテスクに見えた。

 走は以前、パンク修理した時の蚊の事を思い出し、


「あの時の蚊もこんな風になったのか…」


と想像し、気分が悪くなり、少し吐き気がした。

 

 「なにわとも会え、蚊の駆除成功だ!」

 「ああ、よっちゃんの作戦通りだ。」

 「何か、安心した途端、どっと疲れが出たは…あたし…」

 「俺もだ…」


 3人は一気に疲れが押し寄せ、その場に腰を下ろし、しばしの休息をとった。

 お気づきと思いますが、作中のコント番組の元ネタは、「志○けんのバ○殿様」です。

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