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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
新たなる出会い
199/206

ミーティング2

暫し絶句する一同。

その閉ざされた口を、最初に開いたのは、


「一体誰なんだ?…」


辰馬だった。

話したというよりは、呟いたと言って方が正しいだろうが。


「こんな、特定の変異種を操る為だけに、それ専用の生命を生み出すなんて…」

「…」


誰も答えられなかった。推理しようにも、推理する材料もないのだから、仕方がないか…


そんな中、次に口を開いたのが、


「辰馬くん、その事も大いに気になる。だが今は、ここから移動する方法((すべ))を考える方を優先しよう!」


高倉だった。

確かに、今はソッチを優先すべきだ。辰馬も同意したので、話を戻した。


「そちら側の方の車も、動かないんだったね!?」


大石達に訪ねた。


「ええ。完全に動かなくなったんです!」

「うんともすんともいかないのか!?」

「うんと…えぇ、全く…」

「そうか…(エンコといい、コレも最近の子は使わんのかな!?…)」


言葉使いにジェネレーションギャップを感じつつも、話を進めた。


「宇島くん、そっちも修理は無理そうかね?」

「単刀直入に言うと、無理ッス!」


宇島がキッパリと言った。


「整備していた時から分かってたが、3台の内、アレが一番エンジンの損耗(そんもう)がはげしかったんスよ!」


車等のエンジンは、使い続ける事で内部の部品が摩耗(まもう)してゆき、性能のが低下してゆき、やがて故障の原因となったりする。エンジンは、多数の精密部品で構成されており、稼働に伴い、徐々に部品が摩耗していく。

車種や扱い方によっても異なってくるが、基本的に車のエンジンの寿命は、走行距離約10万キロメートル位と言われている。定期的なメンテナンスをする事によって、その倍の20万キロメートル以上走れるケースもある。

エンジンは、走行距離だけでなく、年数や定期的なメンテナンスをしているかの有無によっても、寿命が違ってくるのだ。


今回、大石達が乗っていた車のは、隠れ家にいしていた警察署で最も古くからあり、尚且つ、一番使用されたモノだったので、一際エンジンが傷んでいたのだ。


「それでも脱出する分には支障はない程度だったんすが、ココまで来るまでに、色々と無理させたのが効いたみたいっス。兎に角、俺1人と、手持ちの道具だけじゃどうにもならないッスね!」

「そうか…」


ここまで彼等を運んで来てくれた、2台の警察車両は、完全に走行不能となったのだ。


「他に車は?」

「この際だ、贅沢は言ってらんないからな、軽バンでも無いか!?歩いた行くよりはマシだ!」

「生憎、この家の車庫に、車は無いよ。あるのは、自転車だけ。しかも、ママチャリ…」

「車庫のシャッターが開けっ放しになってたから、多分、この家の住民が、避難す(逃げ)るのに使ったんだと思う。」

「だろうな…」


この家に留まっていた事から、ココに車が無いことは想像できていた。

あれば、彼等(大石達)が迷わず使っていただろう。


「この家の両隣にも、使えそうな車は無かったぞ!」

「う~む…」


なかなか光明が見えないでいた。

が、そこへ、


「あっ、そうだ!」


双子の新堂姉妹の妹、登紀子が声を上げた。


「どうしたの登紀子!?」

「ココに逃げ込む時、ここの斜向(はすむ)かいにある、家の庭が目に入ったの!」


斜向かいとは、真正面ではなくて、斜め前の位置関係の事だ。


「その家がどうかしたの!?」

「垣根で見えにくかったし、ホンの一瞬だったけど、()()が目に入ったの!」

「アレって!?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


少しして、先程まで彼等が身を隠していた家の斜向かい、性格には右側の斜向かいの家の庭。

辰馬等が武装してその家の庭に乗り込んでいた。

そこには、


「おお!」

「コレは!」

「あの娘の、登紀子さんの言ってた通りだ!」

「俺何気に、実物を見るの始めてだぜ!」

「俺だ!まぁ、せいぜい、テレビとかでしか見たことねーよ!」

「兎に角、コレはお宝だな辰馬!」

「ああ、キャンピングカーという名のな!」


そう。彼等の目の前にあるのは、キャンピングカーだった。ソレも、かなりの大型のモノだ。


「少しきついかもしれないけど、詰めて乗れば、全員乗れるだろう!」

「でも(キー)は?」


周囲を探してみたが、見つからなかった。

そこで、


「任せろ!」


と、宇島が工具を取り出し、


カチャ!カチャ!


と、いじった。

すぐにキャンピングカーのドアは開き、更に運転席のハンドルの辺りをいじる。

すると、


ブロロロ!


エンジンがかかった。


「成功だ!」

「スゲーな宇島!お前、何時でも車泥棒になれるぞ!」

「なんねーよ!!仕事柄、自然に身についたんだよ!」

「落ち着けって!兎に角、持ち主には悪いが、非常事態だ。有り難く使わせてもらうとしよう!!」


かくして彼等は、新たな足を得たのだった。


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