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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
新たなる出会い
198/206

ミーティング

 内海達の隠れ家に帰還する途中、変異種の襲撃を受けた走達。ピンチになるも、生きてい(無事だっ)た新堂姉妹達の助けで、難を逃れる事が出来た。

 そして、今、一時的に身を寄せているこの家で、緊急のミーティングが行われている。

 

 「問題はこの人数でどうやって、隠れ家に戻るかだ…」


 高倉が議長的な役割となりミーティングをしている。

 内海達の隠れ家の件は既に、ここで合流した面々に説明済みだ。勿論、彼等も共に、隠れ家に向かう。


 「あの…」

 「何だね大石くん!?」

 「僕らも、その内海さんという人達の隠れ家に、一緒に行ってもいいのでしょうか!?」


 大石が遠慮がちに聞いた。

 ここで合流彼等は、新堂姉妹・大石・近松・ブライアン・村雲に、その他8名の、計14名と、(控えを含めた)サーカーチーム並みの人数だ。

 いきなりそれだけの人数が増え、隠れ家に押しかけても良いのかと感じたのだ。

 大石だけでなく、他の面々も同じ心境だった。

 それに対して高倉は、


 「それなら大丈夫だ。行き交う途中、他に生存者がいたらその人達も連れてきてもいいと、取り交わしている。」

 「そうなんですか?」

 「ああ。脱出に向けて、蚊と戦う上でも人手は多い方がいいからな。大丈夫、食糧はまだか余裕があるらしいしな。」

 「そうですか…」


 それを聞いて一安心する大石達。

 しかし、それとは別の問題がある。

 

 「で、問題はだ、どうやって向かうかだ…」


 そう。彼等がここまで乗ってきた警察車両。それが、先程の変異種の襲撃により、破壊されてしまったのだ。

 走達の乗っていたモノは、変異種の攻撃で窓は割られ、車体にも風穴が空いてしまっている。


変異種撃退後、自動車整備士の宇島が手早く、確認取ったところ、


「コレはもう無理だ!応急処置じゃ、どうにもならないレベルだ…」


と、(さじ)を投げた。


「やはりそうか…」

「ちゃんとした設備のあるところに持っていって、本格的に修理すれば何とかなると思うッスが、ここじゃあもう…」


無理もなかった。窓ガラスは割れ、車体にポッカリ空いた穴。それ以外の場所も、傷まみれだ。パンクして補修したタイヤも完全に破裂(バースト)してしまっている。誰の目にも、もう、走れそうに見えなかった。

宇島の応急処置で何とかココまで走行して来たが、流石にそれも限界だった。むしろ、応急処置だけで、ココまでこれただけでも幸運だったと言えよう。


「クソっ、変異種等め!アイツラ親の敵みたいに襲い掛かってきたきやがって!」

「でも、あの変異種達、どうしてアソコまで執拗(しつよう)に攻撃して来たんだろ?…」

「確かにな、今にしてみれば、敵意剥き出しって感じだったな…」


変異種が何故、アソコまで自分達を攻撃してきたのか。皆が疑問に思っていると、


「原因は解ったは!」

「齋木さん!」


そう言って紫苑が入って来た。傍らには、辰馬の仲間数名がいる。

彼女は、


「別にやることがあるから!」


と言って、ミーティング前から部屋(ここ)には居なかった。


「何処に行ってたんだね…いや、それは兎も角、原因が解ったって…」

「コレよ!」


そう言って紫苑は、皆の前に古新聞に包んだモノを置いた。そしてそれを開いた。


「コレは!?」

「蚊じゃないか!?」


それは最早、見慣れたものとなった、大型犬程の大きさの、蚊の亡骸だった。

身体には、ボウガンの矢が刺さっている。先程の戦いで、仕留められたらしい。


「コレが何か!?蚊なんて今更…」

「問題はコレよ!」


紫苑はもう一つ、新聞の包を出し、それを広げた。中には、2本の旗の様なモノがあった。


「何だこれは?」

「この蚊の、触覚よ!」

「触覚!?」

「そう。この蚊、この旗みたいな触覚を、頭から生やしてたの!」

「はぁ…で、それが何か!?」

「この2本の旗みたいな触覚で、この蚊はあの変異種達を誘導していたのよ。」

「なっ!?」

「こんな触覚(もの)で!?」

「そうよ。闘牛の牛のように、この触覚を見た変異種は、興奮し、襲って来たのよ!」

「!?いや牛って、赤い色を見ると興奮するんじゃ!?」

「いいや走、ソレは間違いだ。牛はな、赤い色に反応している訳じゃないんだよ!」


正一が走の疑問を訂正した。


「えっ、マジ!?」

「そう、牛は赤い色に反応しているんじゃなくて、旗やマントみたいに、ヒラヒラしたモノに反応するのよ!」


牛は赤い色を見ると反応・興奮する。そう思っている人は多いだろう。漫画でも、赤い色の物を見た牛が、ソレに目掛けて突っ込んでくる。

そんな光景をよく目にするが、実は、ソレは大きな間違いなのだ。

そもそも、牛の目は色を識別する事ができないのだ。何を見ても、牛には白黒(モノクロ)写真の様に見えてしまう。

牛が興奮するのは、ヒラヒラした動きをする物を見ると、それに危機感等を感じ、それに対して突っ込んで来るのだ。

闘牛士(マタドール)の使うマントが赤いので、【牛は赤い色の物を見ると興奮する】という、間違った認識が広まってしまったのだとか。

とある実験で、他の色のマントを使っても、牛の反応は同じだった。色は関係ないのだ。


「そうだったのか…って事は、コレが変異種達を興奮させていたのか?」

「ええ。私達の乗っていた車の上に、コレが止まっていたは。車上に止まったコレが、この旗型の触覚で変異種を興奮させたのよ。あの変異種達はおそらく、牛の特性も持っていたのよ!」

「成る程…」

「しかしだ、この蚊まるで、あの変異種達を興奮状態にする為だけに産まれたような存在じゃないか!?」

「えぇ、おそらくは、その目的の為に生み出されたのかと…」

「…」


走達はかつて紫苑が、蚊は人工的に生み出されたモノだと解明した時のことを思い出した。

それにより彼等は暫し、絶句した。


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