蚊
今更ですが、先月から別に作品をアップしました。相変わらず、更新遅いですが、よかったらそっちもよろしくお願いします。
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蚊は、ハエ目糸角亜目カ科の昆虫で、学名はCulicidaeと言う。
魚のブリがヤズ→ハマチ→ブリといった感じで成長とともに名前が変わるように、蚊も幼虫・蛹時はそれぞれボウフラ・オニボウフラと呼ばれ、蛹から成虫になって蚊と呼ばれる。
古くは約一億七千年前の地層から化石が見つかっている。恐竜の時代には恐竜から血を吸っており、恐竜の血を吸った蚊が琥珀に閉じ込められ、そこからDNAを採取し恐竜を復活させる、そんな創作話がある位だ。
夏の生き物のイメージが強いが、冬にも生息している。特に都心では、暖房器具のおかげで意外と温かく、卵を産むのに必要な水も豊富にあるので、繁殖には困らないのだ。蚊によって違うが、卵のまま冬を越す者もいれば、成虫の姿で休眠状態になることで越す個体もいる。
古くから地球で繁殖してきた生物の一種だか、人類にとって蚊は厄介な害虫である。それは、夏場に羽音のうるささで安眠妨害したり、刺されて痒くなるからと言うだけではない。蚊は地球上でとりわけ多くの人を殺している生き物とされている生物だからだ。
蚊自体、毒は無いが吸血行為で血と共に病気のウイルスを体内に取り込み、その状態で他の人間の血を吸う事で、ウイルスを広めているのだ。マラリヤ・日本脳炎・黄熱病等の病気も蚊が媒体となり広範囲に感染者を増やしたという。かの細菌学者、野口英世の命を奪った黄熱病は、「ネッタイシマカ」と言う種の蚊が媒介となって広まった。近年ではデング熱を広めた事でも知られる。小さいながらも蚊は、恐ろしく危険な生物なのだ。
また、蚊の口針は1本に見えるが実は7本の極細の針が束状になってできている。このうち二本の針はノコギリ状に、更に他の2本はナイフの様になっており、これを上手く使い獲物の皮膚を切り裂き残った針を刺し血を吸っているのだ。この様に蚊の針は大変よくできており、刺された獲物は痛みを感じず、痒み等で初めて刺されたことに気づく始末だ。近年ではこれを応用し、刺しても痛くない注射針が開発された位だ。
蚊は人間に厄介がられ、命をも奪ってきたが、近年は良い方面で活用される。蚊は時代と共に役回りが変わってきた。
しかし今、走達3人の目の前にいる蚊は、蚊の概念を文字通り大きく逸脱している。
「ブーンブーン」その羽音がまた、存在の不気味さは倍増させていた。
「「蚊」なのか?あれは…」
「大きさを除けば、見た目はそうだが…」
「それよりあの犬、あれに刺された途端、血を出したわよ。蚊って血を吸う生き物でしょう。」
3人は全く予期せぬ自体に軽くパニック気味だ。しかし、目の前の巨大な蚊は3人の精神状態などお構いなしに動き出した。
「⁉くっ来るぞ!」
「ひーっ!」
3匹のうちの1匹が走目掛けて突っ込んできた。結構なスピードだ。蹴り飛ばしたサッカーボール位はある。
「くっ!」
走はギリギリだがなんと避けた。 避けられた蚊は近くの木の幹に突き刺さった。幹に刺さった蚊は針を抜くと改めて走に標準を合わせるように、向きを変えた。
「あっぶねー、何だよいきなり…ん」
蚊の針が刺さった幹は「ジュー」と音を立てて煙が出ている。それを見て走はさっきの犬を思い出した。
「毒か⁉勘弁してくれよ、あんなもん、刺されたら一発であの世行きだぞ。」
「走!後ろだ!」正一が叫ぶ。
「‼」
他の個体が同じく走目掛けて突っ込んで来る。走はとっさに地面に身を伏せ紙一重で交わした。蚊は外したと分かると直ぐに方向転換し今度は正一達に狙いを定めた。
「今度は俺らか!」
「よっちゃん、こっちからも来るわよ!」
残る個体も反対側から正一達に襲いかかる。2人は挟み撃ちにされた。
「ぐっ、マズイな!」正一が焦りを見せた。
「そうだ!確か…」
その時、カエデがカバンから何かを取り出した。それを両手で1本づつ持って構えると、蚊に向けて放った。その姿は差し詰め、漫画に出てくる二丁拳銃のガンマンのようだった。
この話書くために、最寄りの図書館で借りた本と、ネットの情報を参考にしました。