自分達への手紙
変なことが起き、少し気分を害された気になったが、気を取り直してタイムカプセルを掘り出そうと、走達は一本松の元にたどり着いた。
「ふー、やっと着いたな。」
「埋めたのは、確かここね。」
「そんじゃ掘るか!」
「おう!」
走と正一が荷物の中からスコップを取り出し、埋めた場所を掘り始めた。
しばらくすると
カチン‼
と音がした。
「おっ!あったぞ。タイムカプセルだ!」
「よし、壊さないよう、慎重に取り出せ。」
「早く早く!」
「急かすなって!」
3人はようやく、目当てのタイムカプセルを掘り出した。
早速、その場で開けてみた。
「これは俺の入れたやつだな。」
「これはあたしのね。」
「すっげー!懐かしいな。」
中身は当時流行っていたり、よく遊んだ小さなおもちゃ等が大半だった。
それ以外は、3人がそれぞれ未来の自分へ向けて書いた手紙だ。皆書いた内容は、よく覚えていない。
「俺は「宇宙飛行士を目指してがんばっているか」だって。そういえばそんな事言ってたな…」
と、昔の事を懐かしむ正一。
「あたしは、うっ…」
カエデは顔を赤くし、手紙を隠そうとしたが、走が覗き見し、
「どれどれ…ぷーっ、CAだってCA!CAって、キャビンアテンダントの事だろ?似合わねー!」
走は大笑いした。
「五月蠅いわね、そう言うアンタはどーなのよ?」
「おれはそんな子供っぽい事書いてねーよ。どれどれ…」
走の手紙には、
「ウルトラレンジャーズのリーダーになって、悪い奴をやっつけて皆にチヤホヤされたい(特にカワイイ女の子に)。」
と、書いてあった。
それを見て走は、カエデ以上に顔を赤くした。
「あはははは!!何よコレ!?あんた、馬鹿丸出しじゃないの!一番子供っぽいし、はははははっ!」
と、カエデはさっきのお返しとばかりに、大笑いした。
「ウルセー!」
「まーまー!まぁ、とにかくだ、目的は果たせた事だし、そろそろ帰ろうぜ。」
「ああ、そうだな、続きは帰ってからゆっくり見ようぜ、長居は無用って言うしな…」
走達は下山しようとし始めたその時だった、動物の鳴き声がした。
「ミギャーー‼」
「キャイ、キャイーン‼」
それもただの鳴き声でない。人間でゆうところの、悲鳴に近いものだった。
「何だよ今の?」
「動物の鳴き声だが、普通の鳴き声じゃなかったぞ!?」
ガサガサッ!
すると茂みから、山猫や山犬が血相変えて走達の横を走っていった。
「犬猫が俺らに目もくれずに走ってくぞ。」
「何かから逃げている感じだぞ。」
「何かって、まさか熊でも出たっていうの?」
「いや、亀山に熊はいないはずだ。」
「じゃあ、何なのよ。」
すると一匹の山犬が遅れてやってきた。もたもたしながら走ってきた。恐怖で足がもつれてしまった様だ。
「何だよあの犬、逃げ遅れたのか?」
その時、その更なる後方から何かが大きな羽音をあげ、山犬に向けて飛来し、突っ込んで来た。
「ギャイーン!」
山犬は悲鳴を上げるも、そのまま硬直したかの動きが止まった。いや、麻痺して動けなくなったと言った方が正しい。山犬は痙攣したように身体をピクピクさせたかと思うと、そのまま口や目から血を出して倒れ、そのまま息絶えた。山犬の死後、飛来した物体は亡骸から離れ、上空に舞い上がった。そこに、更に同じ物体が2匹やって来てた。
計3匹のそれは不気味な羽音を立てて空中に浮かんでいる。
「おっおい、何だよあれは?」
「ゆっ夢でも見てるの…」
「それならいいんだが、現実みたいだこれは…」
プーンプーン!!
大きな羽音を立て、普通の人間が持つイメージとかけ離れた大きさのその物体、「「蚊」」は走達を次のターゲットに決めたように針を3人に向けた。
本文のスコップは、小型のヤツの事です。スコップとシャベルは西日本と東日本で逆になってるらしいです。筆者はそのへん曖昧ですが、舞台が関西なのでそれに合わせてます。