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「俺の名前はフィールだ。フィーとでも呼んでくれ。じゃあまた明日」
「うん。依頼の細かい詳細は明日話すよ。フィー、リックおやすみなさい」
俺と宰相はロイにおやすみと言い部屋を出た。隣が俺の部屋らしい。
王族の兄弟達は隣合わないように執事の部屋を挟む。これは初代の王様から続けられていることで代々守られている王族のルールの1つだ。
宰相は隣のロイの部屋と同じような扉を開けるとベットと机だけ置いてあり簡素だった。だが俺は物をごちゃごちゃ置くよりこういう方がいい。部屋の状態から見る限り今日急いで準備してくれたのだろう。
「こちらがフィーさんのお部屋です。トイレとお風呂は部屋についていますが大浴場もあるのでそちらもお使い下さいね。あっ…フィーさんって呼んでも良かったですか?すみません」
「あぁ大丈夫だ。フィーって呼び捨てでいいから。あと敬語も外していい。リックでいいか?」
「はい!でもこれが癖みたいなものなのですみません」
リックは捨てられた子犬みたいに落ち込んでいた。
「大丈夫だ。じゃあ明日からよろしく頼む」
「はい。よろしくお願いしますね」
リックと別れて俺は壁にかけてある時計を見る。もう3時を超えていた。
今から寝てもしょうがないから起きてるか。まずはレイとの念話だな。この時間はまだ起きてる時間だから心配させないようにしないと。
[レイ、聞こえるか]
[フィー!聞こえるぞ!あっ失礼しました。聞こえます。どうしたんですか?何か問題でもありましたか?すぐに応援に駆けつけます]
念話をするとすぐにレイがでた。まだそんなに離れていないのにレイは動揺して素が出てしまうほどだ。今にでもこちらにきそうな予感がするから俺は慌てて返答した。
[いや応援入らない。大丈夫だ。問題は一応あったが素がばれたという位だろうか。まぁ今のところそんなに大きな問題は起きてないから安心しろ]
[えっ素がばれたって大きな問題なのじゃないですか?あなたの情報を欲しがる輩など沢山いるのです。今後ばれないようにお願いします]
[あぁ心にとどめておく]
本来は俺が親のはずなのだがレイに親みたいな事を言われた。俺は短く返事を返し本題へと移る。
[レイ、頼みがある。今日中に王族に関する資料を頼む。期待している]
[はい。かしこまわりました。本日中に王族に関する情報を集め資料に致します]
それから他の依頼に関する事の話をした後念話を終えた。
レイは今の会話から成長したのが近くにいる時よりも遠くにいるからこそ分かった。
俺も老けたなと考えながら溜息を吐いた。