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「すみません。準備が整いました。」


 俺は無表情を笑顔に戻し言った。背後から零の視線を感じる。そんなお客様を見ると気づかれるぞ。俺はちらっと見て目で零を制した。その後宰相の方を見たが気づかれていなかったようだ。宰相もおそらく鍛えている。服の隙間から見える筋肉が証拠だ。だからココにも1人できたのだろう。気づかれなかっただけ零はすごいという事だ。俺に言わせればまだまだだが…。

 宰相は頷きフードをかぶりなおし扉の方へ向かった。俺も宰相の後に小走りでついていった。俺と宰相の身長差かなりあり歩幅が全く違う為だ。店を出てしばらくすると宰相もそれに気がついてくれたらしく少し遅めに歩いてくれた。それで思い出した事なのだが宰相の無表情は違和感が前からあった。巷では冷酷無情の鬼宰相なんかと呼ばれているが本当は違うのではないかと前から思っていた。


「情報屋今から裏口へ行って城内に入る。」


 宰相の人柄について色々考えていると宰相が振り返って裏口の方を指さしながら言った。情報屋の立っているところはスラムの中、裏口はそこからスラムは抜けるが比較的近くにある。その為警備がかなり厳重になっており正門よりも下手したら厳しくなっている。それも宰相が手引きしてくれるのだろうか。


「情報屋こっちだ。」


 宰相にローブを引っ張られ木の後ろへ転がり込んだ。引っ張られてローブが脱げそうになる。やめてほしい。


「どうs「しっ裏口に誰かいる。この時間外側には誰もいないはずだが…。」


 指した指先を見ると確かに裏口に人影が見えた。それが衛兵なのかそれとも違うのか暗くてよく見えない。


「【暗視】」


 俺は念の為宰相に気づかれないように魔力を出し魔法を使った。この魔法は暗い所がはっきり見える魔法で今衛兵なのか違うのかはっきり分かった。人数は4人で全員手慣れのようだ。


「【鑑定】」


 この魔法は人や物をその名の通り鑑定してくれる。一見万能そうだが弱点もある。当たり前だが自分よりスキルレベルが低い人かスキルを持ってない人しか見えない。あと、見えた物しか鑑定できないのだ。少しでも見えれば鑑定できるのだが今みたいな暗闇などは鑑定できない。

 暗視で見た時衛兵の格好をしていたが鑑定では職業に衛兵とは出ずに大盗賊とでた。盗賊は使える魔法によって選べるが大盗賊は悪い事をすると自然的にそうなり1週間戻らない。事故でそうなってしまったりそうならざるおえなかったという例外もあるが大体は気をつけた方が身の為だ。それも衛兵に化けているという事は例外ではなく本当の大盗賊だ。なぜなら衛兵の場合人を殺しても大盗賊にはならない。大盗賊になる条件は人を殺したり盗みやその他余程の悪事を働く事だ。衛兵はそれを利用して悪事を働くものもいる為厳しい管理下にあり1ヶ月に1回総合調査が行われる。それは厳しいものだと聞いている。だからありえない。


「宰相様、鑑定で大盗賊とでました。警戒した方がよろしいでしょう。外側にいて何か扉にしている様子もないので中には用はないようです…という事は用があるのは今外に外出して裏口を使う宰相様という可能性が高くなります。お心当たりは?」


 俺は宰相にはまだ決定ではない為〔可能性〕という言葉を使ったが最後に一応遠回しに俺の予想を伝えておいた。王城の内部に情報を衛兵に化けた大盗賊にもらしたか雇った奴がいる…と。先程から宰相は考え込んでいた為人物に心当たりがあるのではないかと俺は思った。案の定宰相は小さく「やっぱり」と呟いた。


「お心当たりがあるのですね。とりあえず中に入りましょう。」

「どうやるのだ。表門は当たり前だが使えない。裏門はあんな状態だ。倒すのか?だが、おそらく手慣れだろう。」


 気付かれずに王城ぬ入る方法はいくらでもあるがあの衛兵に化けている大盗賊を捕まえて情報を聞かなければならない。おそらくそこら辺の裏ギルドからでも雇っているのだろう。だがまずは宰相の安全を確保しなければいけない。


「宰相様はココにいて下さい。私は今から大盗賊を倒してきますので少々お待ち下さい。私の実力も見れて良い機会でしょう。」


 俺は宰相の前で倒す事にした。宰相を上から王城に運んでから倒すという手もあったがあとで実力を問われたらこれで証明ができる為こうする事にした。どうせ倒すのだから見せたほうが後が楽だ。


「でも、大丈夫か?さっきも言った通り手慣れだ。」


 宰相は目を細くしながら俺に言った。これは魔眼を使っているのだろうか。宰相は魔眼を持っているというのはよく聞く話だ。見た者の能力が計れるのだとか。その能力等も有望視され宰相に抜擢され皆からは憧れや恐ろしさの様々な感情を抱かれているようだ。

 俺は宰相を見る。そんなくだらない事で色々言われるのは災難だと俺は同情した。


「はい。伊達にスラムの情報屋を名乗っているわけではございませんのでご安心下さい。宰相様失礼致します。少しの間防御の方をかけさせてもらいます。【防御】」


 宰相も貴族の出の為少しは武道等を使えるだろうが俺は依頼人にそんな危ない目に合わせない。依頼はもう始まっている。もし、ここで怪我をされて依頼解消になったら面倒だ。俺は宰相に動かないようにと伝え偽衛兵達の元に歩いて向かった。


「なんだ…坊主仕事中だどけ。」


 偽衛兵達は俺の背丈から子供だと思ったらしくあまり警戒しない様子でしっしっと軽く手で追い立てる。だが、俺ははいそうですかと帰るわけにもいかず偽衛兵に近寄った。近くによると曖昧だった顔がはっきりと見えてくる。俺は偽衛兵達の真正面に立ち「お兄さん方」と言う。偽衛兵はそんな俺にがんをきかせて追い払おうとする。俺は臆せず「お兄さん方」ともう一度言い、後に宰相に聞こえないくらいの大きさで言葉を続ける。


「俺はな、訳あってこの姿だが…一応もう成人してるんだよ!」


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