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「そうなんだね。今まで苦労してきただろうね」
俺は男としては長いが女としては短い位の髪を掴み見つめながら言う。
苦労なんてものじゃなかった…なぜロイみたいなまだ会ったばかりの奴に話すのか自分でも分からなかったが俺は口が止まらなかった。
生まれた時からこの髪色だった。そして運の悪い事に生まれた家が属性重視主義の貴族だった。そこからの人生は最悪だった。地下牢兼物置みたいな場所で飯だけ投げられて必死に食ってきた。だがその家は脱税、横領などがばれたらしく騎士団が家に証拠の捜索と俺の親や兄弟の身柄の確保にきた。俺は騒ぎに乗じて地下から逃げた。地下にあった書物や資料から培った知識で隣の国まで来た。そしてしばらく冒険者ギルドで働いた後情報屋になった。
結構省略はしたがとりあえず大変だったと言う事だ。
俺が散々喋った後無言でいるとロイは何かを決めたように口を開いた。
「ねぇ、僕の話を聞いてくれるかい。信じてくれるかはどうでもいいんだ。とりあえず聞いてくれ。僕の前世を」
「えっこれは僕と王様しか知らない国家機密じゃっ!王様に相談しないと!」
「いいの!僕の事なんだから僕が決める!報告はあと!」
ロイはとめるリックをよそに強引に話し始めた。
「僕はね、こことは全然違う世界から生まれ変わってこっちにきたんだ。ここの世界は魔法があるけどあっちの世界は魔法がない。けど代わりに科学という技術が発達していたんだ。僕はそこの世界でサラリーマンをやってて…あっこっちの世界ではね商会の従業員さんだよ。サラリーマンをやってたんだけど仕事がきつくてね、過労死しちゃったの。働き過ぎて死んじゃったの。で、そこの世界の神様にこっちの世界に来ない?って話をもらってきたんだ。きてみたらびっくりびっくり!」
ロイは早口で一気に喋った。そしてリックに背中をさすられていた。
この光景…前にも見た気が…。というか一気に喋る必要あるのか?あと変なところで止めるな。
ロイは少し落ち着いたのか息を大きく吸いまた話し始めた。
「ここは僕がはまっていた乙女ゲーの中の世界とそっくりだったの。乙女ゲーというのは簡単にいうと物語を進めて女1人男大勢にちやほやされるゲームだよ。僕男なんだけど散々な生活してたせいか想像の世界にはまっちゃって…………という訳だよ」
ロイは乙女ゲー以外にも色々休憩を挟みながら話していたが乙女ゲーとやらの内容の説明だけ長かった。終わる頃には日は上り時計を見るとロイが来た時まだ4時だったのにもう6時になっていた。
俺はメモできる紙をとりペンを持った。インクを少しつけ紙に今聞いた事をまとめていく。
※※※
・ロイは元異世界人
・異世界ではサラリーマン(商会の従業員)をやっていて働き過ぎて死んだ
・この世界は乙女ゲーにそっくり
・乙女ゲーの中でロイは攻略人物(登場人物)
・ロイはヒロインは好みじゃないから結ばれたくない。
・ロイは王位に興味がないからいらない。
・上記2つにより0歳の時呪いを自分にかけ病弱になった。
・俺も攻略人物(登場人物)
※※※
俺も入ってんのか




