黒狩ノ夜
どもども、初めましてですね。かれーうどんです。
今回は初めて投稿したと言うことで少し緊張しています。今回は初めてなので短編と言うことで作ってみました。おっと話をしすぎると飽きてしまわれますのでね、それではどぞ!!
___これは、物語が始まるずっと前の話__
その昔、日ノ本の何処かの街で相次ぐ惨殺死体が発見されていた。だがその死体はあまりにも惨たらしく、あまりにも醜悪な姿で発見されることが多く、噂では人喰いの鬼が夜に人を喰っているとか…………。
今朝もそんな死体が橋の下の川辺で発見され、死体に触れぬよう一定の距離を保って人だかりが出来ている。朝から全くもって騒がしい。その死体もかなり酷く、となりには赤い目をした黒い猫がそれを見ていた。
その中の一人でもある女性はその喧騒さに嫌気を指しながら、その死体を群衆の中から見ている。
「(少しは静かに出来んかね……ま、無理もないか………ん?)」
そんな中、一人その死体を遠目で見る者に目が行く。闇のように吸い込まれそうな真っ黒な髪を靡かせており、その長い紙は手入れはされておらずにややボサ気味でそれを一纏めにして束ねている。中肉中背と言う感じだが、背はやや高いと思われる。服装は黒袴の様に似た和服で腰に真っ黒な刀を所持している。姿以外は遠目でよく分からないが、はっきり分かることが一つある。
___あの人、殺気が尋常じゃない__
女性は昔、ちょっとした事故でそう言った気配に敏感になったのだ。距離的な問題もあるが、それでも十分感じ取れる。
何故、あの人はあの死体に殺気を送るのだろうか。と。
だがそう考えてる内に彼が何処かに行こうと歩き始めたので、女性は気になって追いかけていった。
◆◇◆◇◆◇
あれからどのくらいの時間追いかけたのだろうか。
女性はその男を追いかける内、街の隅まで走ったような感覚だ。そして今、やっと男の近くに辿り着き、声をかけようと__
「一体何のようだ?こんな場所まで追いかけるなど」
抑揚のない、寒気がするほどの平坦な声にビクッと自分の体が跳ね上がり、一気に緊張で強張ってしまう。
最初から気付かれていた?一応身を隠しながら追いかけた筈なのに………
背を向けたままの男は沈黙を続けている。
何とかその雰囲気を振り払うため、上がった声で気になっている事を聞く。
「あ、あの………何で、その…………あの時、死体に殺気を………?」
それを聞いた男はピクリと動き、再び質問を投げ掛ける。
「…………何故、殺気を放ったと分かる?お前の気の所為ではないのか?」
「い、いえ………あの時の殺気は確かに貴方から出てました………。それに、信じられないかもしれませんが………」
そう言って一つ間を置き、口を開いた。
「私、ある化物に殺されかけたんです………。赤い目をした、真っ黒な化物に………」
「……………」
「その時ぐらいに、殺気とか、気配とか分かるようになったんです。………でも、ホントに違うなら私の勘違いかも知れなかったです。ごめんなさい。変なことで気になって追いかけちゃって……」
この調子では日が暮れてしまう。日が暮れたら夜になり、今度は自分が殺されるかもしれない。そうならない為にも、仕方ないが諦めて帰るしかない。そう判断して申し訳なさそうに謝り、踵を返して歩き始めた。
「待て」
するとどうだろう、後ろから声をかけられたのだ。しかもさっきまで沈黙を続けていた男に。
思わず女性は振り向くと、固まってしまう。整った顔で若々しいが、顔付きで老けているようにも見える。だがそれをより大人らしさを引き出しており、女性は呆然として佇むしかなかった。
「……その赤目の真っ黒な化物の話、もう少し詳しく聞かせてくれないか」
声をかけられて我に返り、女性は頷きながら了承する。
「わ、分かりました……けど、今日宿を決めてます?」
「……いや、まだだな。これから探そうとな」
「で、では、あまり話しにくい事ですし、ついでとは言っては何ですが………」
「………?」
「わ、私の家に来ると言うのは………どうでしょう?」
女性は僅かに頬を朱に染めながら、そう提案したのであった
◆◇◆◇◆
今は夕暮れ時。今女性は男を自分の家に上げて座布団に座らせ、寛いでもらっている。実際、こう言ったことにあまり関心がなく、男をあげるのもこれが初めてだ。
お茶を汲み、男の近くに置くと男は「すまない」と言って礼をする。女性は戸惑いながらも頭を下げ、座る。
「えっと…………」
どこから話せば良いのか分からず、最初から話すことでゆっくりと語る。
__女性の家は、少し裕福な家で父親は医者だったと。自分は親から愛を貰いながら育ち、自分なりに幸せな毎日を送っていた。
___だが、それも束の間だった。
その日は女性がある用事で麓の山まで出掛けていたので家に帰るのにかなり遅れた。女性は急いで家に戻ると__目を疑う光景が、そこにはあった。
家の中は鉄のような臭いが漂い、血が池のように拡がっている。
しかも散らばっている肉片からはとてつもない悪臭。
その中心には、その肉塊にかぶりついている化物がいた。
真っ暗な夜に溶け込むような黒い体に人間より細い四肢。その先端には鋭利な爪がついていて生々しい。
顔は四つの赤い目に猫のような耳。口はあり得ないほど裂けており、血がベットリついた牙が見える。尻尾は真っ黒で先端は真っ赤な爪のような刺が生えていた。
自分は逃げ出した。気付かれないように息も音も殺し続けながら………
殺されたくない。死にたくない。とそう必死に思いながら走り続けた。
結果、自分は気付かれることが無かった。あの化物は両親の肉を食うのに夢中だったのだろう。しかも幸いにも親戚に頼って成人になるまで育ててもらい、今は薬師として働いている。
「………という事です」
「……………大体の経緯は分かった。辛い過去もな」
男は悲しむように俯かせ、拳を固く握りしめる。だがすぐに顔を上げてすぐに無表情の顔を見せる。
「それで、一つ気になることがあるんです。……今まで見てきた死体で、猫の爪みたいな切り傷があるのが特徴的で、しかも両親よ死体の時みたいにかじった跡もあるんです」
傷心に成る程の記憶になってて良かったですと、自虐の笑みを浮かべて苦笑する。
男はそれを見て何を思うのか、口を開いてこう言い放った。
「私から思うに、その化物が今回の事件の黒幕だろう。私はそれを|殺める為に、今日来たんだ」
「…………え?」
女性は目を見開き、口を半開きにして呆けてしまう。
男は語る。こう言った奇怪な事件には、『禍』という妖怪の進化体がいると。それを討つのが『黒狩り』と呼ばれる存在。そしてその説明を半分聞いていた女性は、数秒後に我に返り、真っ先に出た言葉が___
「何を言ってるのですか!!!」
自分でも驚くほどの怒鳴り声だった。だが、怒らずにはいられなかった。
「あんな人を喰うような化物を斬る!?ふざけるのも大概にしてください!!貴方は死ぬつもりですか!!?あんな怖い思いはもうしたくないんです!!もう誰にも…………死んでほしくないんです!!!」
こんな言葉が出るのは、自分の心の傷と男を思ってこそだろう。もうあんな悲しい気持ちにはなりたくない、もう怖い思いは二度としたくない。男の家族にもして欲しくない。それが彼女の気持ち。
だが男は少し驚いただけで何も反応をせず、寧ろ微笑を浮かべて此方に近付き、頭を撫でた。そんな行動に呆気をとられ、口を開けたままとなる。
「すまないが、私のやることには変わりない。それに、私はこう見えて腕に自信はある」
「そ、そう言うことをいってるんじゃ__」
「それに、君の情報のお陰で正体の確信がついた」
「………えっ……?」
女性は口を半開きにし、怒ることを忘れて呆けてしまう。
「」
◆◇◆◇◆◇◆
___現在、丑三つ時。
丁度三日月の夜の下、川辺に佇む黒猫は首の鈴を鳴らし、三日月を見上げる。
「____ここに居たか。今回の黒幕」
砂利を踏む音に反応し、猫は音の方に向く。
そこには鈍色の刀を抜き、携えて見る男の姿がある。
「もうその姿は保てんだろ?さっさと化けの皮を剥がすと良い、猫魈……いや____“黒魈”」
そう名を告げた瞬間、猫の体は一気に膨れ上がり変貌を遂げた。
真っ黒な体に人の四肢より細い四肢。先端は血で濡れたのか真っ赤に染まり、尻尾は三本へと分裂、爪は鈎爪と化しより奇怪な姿となる。
顔は口が耳元まで裂けて真っ白な牙が露となり、眼は外側にミヂミヂと音を立てて現れ、四つとなって更なる異形と化す。
「…………成る程な。確かに情報通りだ」
男は思う。これまで何人もの人間が喰い殺されてきたか。
男は考える。彼女達がどれ程この化物に大切な者を奪われ、怯えていたか………
『ギジャァァァァァァァァァァァァァァ!!』
甲高い奇声で雄叫びを上げ、細い足とは思えないほどの脚力で一瞬で飛び込み、右腕の鈎爪で切り裂こうと大きく振りかぶり___
ガキィンッ!
それを刀で受け止め、弾き返して刀を振るう。
『ギジッ!』
そのまま跳ね返された反動で避け、一回転して着地する。瞬間ブシッ!と首から勢いよく出血して流れ、驚きに満ちた顔に変化する。
___お前がどれ程人を喰らったか、どれほど多くの人の人生を奪ってきたのか。その重い罪を、死を持って償わせてやる___
両脚の筋肉の繊維、血管、骨全てに力を込めて地面を蹴って一気に加速。黒魈へと向かう。黒魈は迎撃として両手の鈎爪を振り回し斬撃を繰り出し、刀でそれを弾き返していく。
それで一気に近付いて頸を目掛けて逆袈裟斬り。首を後ろに下げてそのまま三連続後方倒立回転跳び(バク転)で回避し、三本の尻尾の先端が意思を持つように動き回り、男は刀身や鞘で叩き潰していき、何とか腹部の掠り傷程度で済む。
(………流石に速度特化の変則型は、刀だと殺りづらいか………だが……)
『シャアァァァァァァァァァァァッ!!!』
再び尻尾での鞭攻撃を繰り出し、襲いかかる。
それを予知していたかの様に三つの尻尾を素手で掴み取り、自分の左腕へと巻き付けていき、息を吸い込んで筋力と膂力を底上げ、そのまま引っ張って引き付ける。
黒魈はそのまま引っ張られ、身軽が軽いために引き寄せられていく。そのまま刀を持ち、根本から三本の尻尾を切り捨てる。
『ニギァアアァアァァァァァァァァァ!!!』
「これで___」
そのまま後頭頭を掴まれ、地面へと叩きつけられて男は刀を再び握り___
「___しまいだっ!」
思いきり頸を目掛けて刀を振るい、切り捨てた。
するといきなり黒魈の体が灰へと還元。黒魈の頚はピクリとも動かなくなる。
「……………ふぅ。これで後は、終わりか……」
そう言ってはその場を離れ、頚に背を向けて去ろうと歩き始める。すると橋の上には、あの女性が心配そうに見下ろしている。
どうやら心配できていたらしい。男は微笑を浮かべて女性の方へと向かう。
____モゾッ
だがその時、黒魈の首が僅かに動き、男の首目掛けて飛び掛かる!
「っ!!危ない、後ろォっ!!」
女性は大声でそう叫ぶ。誰もが死ぬと思った瞬間___
男は反射的に振り向いて居合いの型になり、瞬く間に黒魈の首を細かく切り捨てた。灰へと還元し、消滅して消えた………
「…………地獄で待ってるぜ。猫野郎」
◆◇◆◇◆◇
今は明朝。あの後男は彼女の家に戻り、ぐっすり寝ている間に女性直伝の薬を塗られて包帯を巻かれたらしい。その時の夢が全身に包帯を巻かれる夢だったとか。
「もう、行っちゃうのですか?」
「あぁ、もうこの街にあの黒魈は居なくなったからな。だがまたこの街に何か黒妖が現れたら、いつか会えるだろうな。いつか、な」
「………そうですか。」
男はそうならないよう願い、踵を返して歩こうとするが、あることを思い出して立ち止まる。
「名前は?」
「え?」
「名前だ。いつまでも知らないと、分かるものも分からないだろう。」
女性は少し呆気に取られるが、少し吹き出して笑みを浮かべて確りとこう言う。
「___枝榑。枝榑って名前」
「………そうか。枝榑。またいつか、会える事を祈っておこう」
「貴方は教えてくれないんですか?」
「黒狩りの規則として、教えることは出来ないんだ」
「ふぅん。残念です」
女性___枝榑は残念そうに苦笑を浮かべる。
「………だが、また会った時は、教えるとしよう。黒狩りとしてではなく、な」
「!………そうですか。では、またいつか」
目を見開いて驚くが、とても嬉しそうに微笑み、手首を小さく振って見送る。男は少し口角を上げるが、無表情に戻してそのまま歩き続ける。
禍を討つために
人の平穏を守るために
そして____
如何でした?この無駄な展開。罵倒と批判と誹謗中傷、それと指摘をどしどし応募してます。それでは気分が良ければ今日また投稿しますので、感想、待ってます!←来るわけねぇのに