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羽ばたけ! 夢のステージへ

歌手としてデビューするため、

曲を作り終えた夕だったが

たった三日たってすぐで・・・?



「ええ? 生放送中に、生で歌披露??!」


僕の声に反応するかのように、木の枝にとまっていた鳥が勢い良く羽ばたく。

それでも平然とした表情で、衣鶴さんはああと返事をして見せた。


「とりあえず当たるだけ当たってみた番組の一つが、偶然承諾してくれてな。せっかくだし、引き受けた」


「い、いきなり生放送でなんて、ハードル高すぎませんか?」


「大丈夫だってえ、夕ちゃん! なんたって、オレもついてるんだぜっ!」


「それもそれで不安要素なんですよ、篤志さん……」


この二人は本当に人の気を考えないらしい。

自分勝手というか、なんというか……慣れてきたとはいえ、さすがにこれは納得がいかない。

デビューすると大抵、記者会見とか開いて名前と顔を覚えてもらうのが基本。そう、僕は思っていた。実際篤志さんがそうだったし。

でもまさか、ぶっつけ本番とは……


「まぁまぁ夕ちゃんっ、いいじゃないのぉ。デモCD聞いたけど、めっちゃよかったし! カラオケだと思って、一思いに歌っちゃいなっ!」


「篤志さんは、緊張したりしないんですか……? デビューしたころとか」


「オレは昔からっ、アイドルになるのが夢だったからねっ! 楽しくて仕方ないんだわ! もう四年たつし、さすがになれたっつーの?」


そういえば篤志さんも高校卒業の年に、デビューしたんだっけ。

彼方さんが僕と一緒って言ってたし、そうなると……


「あれ、もしかして篤志さんと衣鶴さんって同い年ですか?」


「え、夕ちゃん今さら何言ってんの? 同い年も何も、中学からの幼馴染だよ? 超が付くほどの大親友~❤︎」


「ただの腐れ縁なだけだ。言ってなかったか?」


初めて、知った。

母が好きとはいえ、さすがに年までチェックしてなかった……

衣鶴さんはすごく大人って感じがするのに、この差は何だろう……


「俺らのことはもういいだろ。そんなことより夕、この後リハがあるがいけそうか?」


「えっ、今からですか?」


「そーだよー? だって本番今日だもん」


この人たちは、どれだけ急なことを僕に言いつけるのだろう。

まだ曲を作ってわずか三日しかたっていないというのに、無理がありすぎる。

ダンスだって、全然練習してないのに……


「最初なんだし、一番を歌うだけでいい。振りは、篤志に簡単なのを教えてもらえ」


「ほ、本気で言ってるんですか……?」


「それと、芸名使うんならそれも考えとけよ。本名のままでも構わんが」


そう言うと、衣鶴さんはさっさとどこかへ行ってしまう。

彼の背中を眺めみながら、僕は篤志さんと共にスタジオへ歩き出したのだった。



キレイな歌のハーモニーが、スタジオ内にこだまする。

沸き起こる歓声と拍手が、一気にボルテージを上げていく。


「ゆ~う~ちゃんっ。緊張してる?」


篤志さんが、僕の顔をのぞき込む。

僕は苦笑いを浮かべながら、少しとつぶやいた。


生放送の現場を見るのは、初めてではない。

篤志さんの付き人をやっているため、見慣れている。

なのにこんなに落ち着かないのは、自分がステージに立つせいだろうか。

この緊張感はまるで、文化祭の時を思い出すような……


「まあ、いきなり生歌ってのはやばいよね~つるちゃんってば、いぃっつも勝手に決めちゃうから」


「篤志さんの時も、そうだったんですか……?」


「オレのデビューん時は、つるちゃんも新人だったからね~ここまでじゃなかったけど。でも、絶対ムリってことは言わないよ。つるちゃんはね」


それはなんとなく、一緒にいればわかる。

衣鶴さんの観察眼は、たいしたものだ。

彼の期待に応えるためにも、このステージをいいものにしないと!!


「そいや名前、結局どしたの? 夕ちゃんのまま?」


「えっと、同じでは、あるんですけど……英語表記にして……」


そう言いながら、僕は仕事用に持ち歩いていたメモ帳にすらすらシャーペンを走らせる。

『YOU☆』

それは僕のもう一つの名前。

読み方は同じ、でもあえて英語にした。

you、つまりあなたという意味。

僕だけじゃなく、見ている人にとってもかけがえのない存在になれるように。


「なるほどねぇ~もしかして夕ちゃん、自分の名前結構好き?」


「ま、まあ……母が、せっかくつけてくれた名前なので……変えるのは気が引けるっていうか」


「何それ、超いい子! オレと一緒だねっ。だからつるちゃんが不機嫌だったんだね~二人そろって自分好きすぎだろ~って」


ということは、衣鶴さんは自分の名前が嫌いなのかな?

まあ確かに、見た目とあわないなあとは少し思うけど。


「おっ。ディレクターたちがそわそわしてるっ。そろそろじゃね?」


篤志さんが言われると同時に、一人のディレクターがスタンバイをと小声で誘導する。

いよいよ、始まってしまうんだ。

僕のことは司会者が簡単に説明してくれるだけで、詳しいことは伏せるという状態。

カノンプロダクションの期待の新人、そうリハでは紹介してたっけ。

観客席とカメラマンが、一望できる。

あたりを見ると、その中に彼方さんと衣鶴さんがいるのが分かる。

二人とも、見てくれているんだ。

もちろんこのテレビの向こうには、ここよりも多い人がいて。お母さんも見てくれていて。


届けよう。

僕が作ったこの歌を、多くの人に。


「それでは期待の新人、YOU☆君の初ステージです! どうぞ!!」


その後、生放送は無事に終了した。

緊張していたことが嘘かのように、吹っ飛んだあの感覚。

ステージはキラキラしていて、お客さん一人一人の顔が笑顔になっていって。


ああ、これがアイドルなんだって実感出来て。

歌って踊るのが楽しくて、もっとここにいたくなって……

それが僕―YOU☆ の最初の舞台だった―



はばたき 作詞・作曲 YOU☆

さぁ、物語の始まりだ ページを開いて

君と僕のステージの 幕を今開けよう


スタート それは突然で まるで嵐のように

やってきたチャンスを この手につかんで

ジャンプ この空の向こう 何が待ってるの?

不安が胸を押し寄せる


やりたいことなんてない そんなの嘘っぱち

ここからが始まりさ 行こう まだ見ぬ世界へ


SHINING 輝いた未来は どこまで続くのだろう

わからないね でもきっと楽しいはずさ

今この瞬間を 楽しく生きよう

届けこの歌が君の胸に 描こうともに未来を

その先にある輝きを ずっと信じて 今進もうー


(つづく・・・)

ここにきて、篤志と衣鶴の関係性

わかりましたが

この二人が同級生とか、全然見えませんね。

ちなみに作者は夕と衣鶴のコンビが好きです。

何の話だって感じですね、えへへ。


そして同時に、YOU☆の名前について

語ることもできました

この話でもっと彼のことを

好きになってくれたら嬉しいです


次回、満を持してあの人が登場?

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