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もう一つの夢の形

恋愛ソングを作るために、夕はライバルでもある

LOVEGATEのもとへ!


作詞のコツを聞こうとすると、

なぜか急に弟・穂高と二人きりになってしまい・・・!?



どのくらい、時間がたったのだろう。

部屋に時計を設置していないとはいえ、携帯を見るのは失礼だなと思いなかなか確認ができない。


あれ以来衣鶴と木葉ちゃんは一切現れないし、穂高君も無言で何かを書いているように見える。

うう……この沈黙は気まずい……気まずすぎるよぉ……


「あんた……ねーさんに興味あるの?」


やっと沈黙を破ってくれた、と思ったのもつかの間。

答えに困る質問が来て、またピンチに陥る。

穂高君はじいっと僕の目を見つめていて、答えを待っているように見えた。


「興味があるないは、よくわからないけど……悪い人じゃないよね。僕なんかよりかっこいいし」


「……いや、ねーさんより俺の方がかっこいい」


「そこ張り合っちゃうんだね……作曲が木葉ちゃん担当?」


「そう……ねーさん、言葉のセンス皆無だから」


そう言いながら、何枚かの紙を僕に渡してくれる。

それは今まで出した曲の詞のコピーのようで、細々とメモみたいなものが書いてあった。


「俺はほとんど、ねーさんをみて書いてる……あの人、男たらしだから」


「やっぱり……そんな気は薄々してたよ……」


「あとはファンの意見とか、体験談とか……そういうの参考になる」


色々見せてくれるあたりを見ると、彼も悪い人じゃないんだと実感できる。

木葉ちゃんと一緒だと、彼と言葉を交わすことはほとんどないしいつも黙々と何かをしているイメージだ。

こうして作詞をしたものをみると、彼も同じ世界で頑張ってきたんだなってことがわかる。

作詞が穂高君で、作曲が木葉ちゃんか……


「あんた、友達いないだろ」


唐突に出てきた言葉に、はい? と思わず聞き返す

そんな僕の答えを予想していたのだろうか、彼はふっと笑みを浮かべてみせる。


「ライバルの俺達に頼むとか、普通あり得ないだろ。俺が社長なら絶対止めてるし、会社に通してもやんねぇけど」


「それはそうかもしれないけど、同じ業界でやってるんだし……そこまで争う理由がないというか……」


「うざ……そういうお人好し、ほんと嫌い。もう充分だろ、帰れよ。俺が教えることなんてないから」


舌打ち混じりに言いながら、早く出てけとばかりにしっしと手を払う。

出て行かないといけないのは分かっていても、肝心の作詞について分かったようなわかってないような……あいまいなままなのは確かだ。

これで帰って、浮かばなかったら衣鶴に叱られるだけだしなあ……


「さっき木葉ちゃんを見て書いてるって言ったけど、彼女って昔からああなの?」


「……はぁ?」


「ほ、ほらさっき男たらしだって……」


「昔からとか、俺を殺す気かよ。あんなのと一生一緒とか、死んだほうがましだ」


そ、そんなになんだ……

今の彼女のイメージが強いからか、昔がどんなのか想像しにくいけど。

まあでも、人は変わるっていうしなあ。

僕もアイドル始めた頃より生意気になったって、衣鶴によく言われるし。


「ああみえてあいつ、昔は女っぽかったから。初めて恋した野郎に、こっぴどくふられたってだけ」


「そうなんだ……女の子にとっては、つらいね」


「俺は恋愛とか、そういうの興味ねぇから知らねぇけど。そん時ねーさんを振った男に向けて書いたのが、デビューのきっかけ」


彼女が何と言われて、好きな人に振られたのかはわからない。

それ以上聞くなとばかりに、穂高君は紙を直し始める。

ただわかったのは、お姉さんを思って穂高君が書いてるってだけで……


「ありがとう、穂高君。何か少し、つかめた気がするよ」


「……こんな昔話で浮かぶとか……天才でもない限り無理だろ」


「その無理を可能にするのが、僕達の仕事でしょう?」


そういいながら部屋を出るとすぐに、二人の姿があった。

よっと軽々手を上げる衣鶴に対し、木葉ちゃんは爽やかに笑みを浮かべた。


「どうも、YOU☆さん。もうお帰りですか?」


「……もしかして二人とも、盗み聞きしてた?」


「人聞き悪いな、待たせておいて」


「姉として、弟に失礼がないようにと思いまして。どうでした? 作詞の参考になりました?」


「うーん、まだよくは分からないけど……いい詞が、書けそうな気はするよ」


この彼らとの出会いや、交流が僕はまた一つ階段を登れたような……そんな気がした一日だったー


(つづく!!)

正直な話、穂高君はなんだかんだ

お姉さん好きなんじゃないかなあ

とかなんとか思っちゃったりしています。


だってねえ、あんまりいないじゃないですか。

姉弟ユニットなんてねえ。


そんな感じでお送りしているはばたけですが、

実をいうと

残り数話! ってとこまで来てたりします。

最後に何が待っているか、

もうしばらくお付き合いくださいませ。


次回、ついにあのグループが登場します!

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