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世にも奇妙で不思議な出来事

誕生日を迎えた夕に、衣鶴がある番組の企画を話す。

それは、まさかの心霊スポットの特集で・・・?


「ほ、本当に行くのか? い、今なら断ってもよいのだぞ?」


「行くよ?」


「なぜそんなに、目を輝かせている? 夕」


「だってここ、いかにも何かでそうじゃない!?」


嬉しさのあまり、声が上ずっている気がする。

スタッフが不安そうに見つめる中、奈緒ちゃんや衣鶴たちはため息をついていた。


心霊スポット。それは、人通りもあまりないようなところにある、たった一つのお屋敷だ。

そのお屋敷は立派に建てられてはいるものの、ところどころ木がさびていて苔が生えまくっていて。いかにも古そうな家だった。

周りにあった草が、その家を覆い隠すように伸びている。


「あまりにものんきすぎるぞ夕! 二度と帰ってこれなかったらどうする!?」


「ひろちゃん、もしかして、怖いの?」


「そそそそそんなわけないだろう! 私は天才作家でもあり高松家の御曹司の高松真尋様だぞ!?」


ひろちゃんは、嘘をつくのが下手だ。現に、手が震えている。

おそらくプライドが高いせいだとは思うけど、怖いなら怖いっていえばいいのに。

そして同じくらい、深呼吸を繰り返しているのが一人。


「はぁ……もし、出たとして……うまく撮れるかな……幽霊」


「まあ撮れたとして映らなそうだよな。幽霊って」


「そもそもお化けなんていないと思うけどねーはむ。その時は僕が編集でなんとかする」


「……お願いします。奈緒君……」


苦手と言っていただけあって、彼方はカメラを回すことが不安で仕方ないらしい。

何人かスタッフはいるものの、そもそもお化けなんていないと思っている人が多く信用性がないように見える。

番組の中で映像として流すだけ……とはいっても出ないとテレビ的にどうかって話もあるし……


「必ず出る! 僕は信じてる!!」


「お前の根拠のない自信は、どこから来てるんだよ」


「じゃ、じゃあ本番、いってみようか?」


彼方がそういうと、僕はみんなにお願いしますと挨拶をする。

何人ものスタッフがスタンバイをし、カウントを始める。

あんなにおろおろしていたひろちゃんも、こほんと大きく咳ばらいをし背筋を伸ばしていた。


「どうも、YOU☆です! 今回は噂の心霊スポットにやってきてます! 公私ともに仲良くさせてもらってる、ひろちゃんも一緒で~す」


「天才作家の、まひろ様だ! もし本当に幽霊が出たら今度の新作は、ミステリーで行こうと思っているぞ!」


「おお! それは楽しみだなあ。よし、じゃあ行こうか!」


ドアを開け、ゆっくりと歩き出す。

カメラもついてるし、足場もどうかわからないためゆっくり歩いてほしいと言われた。

あんなに意地を張っていたものの、ひろちゃんはさりげなく僕の服の裾をつかんでいる。

この不穏で、人の手が加えられてない感じ……いかにも出そうなんだけどなあ。


「ゆ、YOU☆はオカルトが好き……と言っていたな? いつから、なんだ?」


「割と小さい頃からかな~僕、UFO見たことあるんだよね」


「ゆーふぉー、だと?」


「全然誰も信じてくれないけどね? でもそれきっかけで、色々調べたよ~モケーレムベンベとかネッシーとか」


僕の話している途中、どんっと物音がする。


「ひいっ!!」


ひろちゃんの悲鳴がこだまする中、僕は物おじせず音がした方へ歩く。

しかしどこの部屋をのぞいても、それらしきものは見えずただ真っ暗なだけで……


「ポルターガイスト現象かな? 何かいるなら、出てきてもいいのに」


「わ、訳の分からん語句ばかり並べるな! どれだけ好きなんだ、お前は!」


「あっ、今あっちでも音が聞こえた気がする! いってみよう、ひろちゃん!」


「こら待て夕! 私を置いていくな!」


それからというもの、ひろちゃんと探索はしたもののめぼしいものは見つけられず編集でうまくするという話になった。

僕的にはちょっと残念だったけど、彼方やひろちゃんは心底ほっとしているように見えた。

奈緒ちゃんをはじめとした、スタッフがパソコンの前で色々話している中……


「夕、いいこと教えてやろうか」


「どうしたの、衣鶴」


「音がするって言った部屋、あっただろ? そこ、女の人がいた」


……え?


「それだけ。さっさとおいとまするぞ」


「えええええ!? 嘘っ! 衣鶴、見えるの!?」


「まあ、かろうじてだけどな」


「写真! 写真撮ってきて! あとサインも!」


「無理な話をするな」


そっけない衣鶴に、文句をぶつけまくる僕。

心霊スポットに、幽霊がいるのかいないのか。厳密には、明かされずじまいになったけど……

少しだけ不思議で、特別な体験できたなと感じた誕生日だった……


(つづく!!)

夕がオカルト好き、という設定は実をいうと

作品集にある、『幽霊の日』で

ちょろっと触れていたりします。

こんな風に本編としてかけるとは

思っていなかったので、

こうしてお届けできてうれしい限りです。


他にと実は色んな記念日にちなんだものや、

キャラの誕生日にも書いてたりするので、

そちらを読んでみても

面白いかもしれませんね。


次回、さらなるステージへ!


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