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どんなこともこの五人なら。

夕の思いが、真尋に届き

無事にドラマを取ることが出来た夕。

以来、真尋とも距離が縮まり・・・?


「ねぇみた? 薔薇のように、美しく散れ!! ほんっとよかったよね!!」


「特にYOU☆の演技が最高で! あれ、ほとんどアドリブらしいよ!」


「前まで気づかなかったけど、曲もいいよね~私、CD買っちゃった♪」


たくさんの女の子たちが、すれ違いざまでそういう話をしているのが耳に入る。

嬉しいような恥ずかしいような複雑な気持ちになりつつも、周囲の声に耳を傾けた。


季節はすっかり冬本番。

ひろちゃん脚本、僕主演で放送された『薔薇のように、美しく散れ』。

収録していたドラマも放送され、日に日に話題が大きくなっているのが分かる。


どこからの情報なのか、ほとんどが僕のアドリブということもあり、あの最優秀賞文庫を取った本だからか話題性はすごいもの。

おかげでドラマの視聴率は高いし、それに伴うかのようにCDもうれているんだとか。


「ドラマのせいなのか最近じゃ、どこ行っても夕ばっかだな。気持ち悪いくらいに」


運転席で嫌味ったらしく言う衣鶴は、ため息交じりに言う。

CDショップに張り付くようにしてうわさを聞くのが、彼のスタイルらしい。

僕も僕で、人気者になった自覚がいまいちないため普通に街を出歩いていたりする。

みんな、アイドル本人が聞いてるって知ったらどんな反応するんだろうなあ。


「僕のこともそうだけど、世間はクリスマス一色だよ? ほら、あっちにクリスマスツリーもあるし」


「ほお~~」


「忙しいと日付感覚がなくなっちゃうけど、時期ってあっという間だよね。こんなに早く過ぎると、少し寂しいな」


十二月二十四日。ちょうど今日は、クリスマスだ。

家族で出かけている人もいれば、女子同士で盛り上がっている人であふれているのはおそらくそれが原因だろう。

小さい頃はずっと、クリスマスが楽しみで仕方なくてお母さんと毎日のようにはしゃいでたっけ。

年を取ったってのもあるからか、イベントごとからは遠のいている気もするけど。


「夕、お前今日一日オフ……だったよな?」


「え? そうだけど……衣鶴がわざわざ一日オフにしてくれたんじゃないの?」


「そういうわけで、行くぞ」


言うが否や、衣鶴はものすごいスピードで車を発進させる。

あまりのことにバランスを崩しながら、目まぐるしく過ぎていく光景を眺めみながら、僕は首をかしげるしかなかったー



衣鶴の高速運転で連れてこられたのは、まさかの実家だった。

物事を把握するので精いっぱいな僕に対し、衣鶴は早くしろとばかりにせかしてくる。

元はと言えば、街頭調査をするという理由だけで連れまわされていたけど……なんで家から出る必要があったんだろう。

そんな疑問を抱えつつ、ドアを開けると……


「メリークリスマス、夕」


「外、寒くなかった? ストーブもあるから、ゆっくりあったまって」


「この私がお前のために用意してやったのだ! 文句は受け付けんぞ!」


自分の家、のはずなのに彼方に奈緒ちゃん、そしてひろちゃんがいた。

僕が帰ってくるのを待っていたとでもいうように。

その後ろには、母がにこにこしながら僕の反応を楽しんでいるようにも見えて……


「ふふふ、お帰りなさい。ゆ~う♪」


「お母さん……みんなも……どうしてうちに?」


「せっかくだから、夕君を驚かしてみようかなって」


彼方はそう言いながら、テーブルの上を指さす。

そこには豪華絢爛極まりない、クリスマス料理がたくさんあった。


「衣鶴が夕を連れまわしてる間に、僕達で準備したの。お料理は、ほとんど夕のママさんが作ってくれたんだよ?」


「中には五つ星シェフが作ったものも私が取り寄せておいた! どうだ、夕! 嬉しくて声も出ないだろう!!」


そう言えば、朝からずっと台所にいたっけ。

いつものことだから、あんまり気にしてなかったけど。

もしかして衣鶴が僕を急に呼び出した理由も、これなのかな?

だとしたらみんなが、僕のために……?


「なん、というか……急にどうしたの、みんな」


「夕が頑張ってるからって、マネージャーさんからの提案なのよ。ほんっとあんたは、いい友達に恵まれてるわね。お母さん、嬉しくなっちゃった」


「前も言いましたよね? 俺とこいつはただのビジネスパートナーだって」


「いいじゃない、細かいことは! そういうわけだから夕、ちゃんと楽しむのよ?」


何とも粋な計らいだ、と思う。

それだけみんなが優しすぎるんだ、僕のためにクリスマスをサプライズで計画してくれていたなんて。

今日も仕事だろうと思って、メールとかもしていなかったのに。


「夕? どうかしたの?」


「ううん、なんか……みんなが僕のために、ここまでしてくれてうれしいっていうか……びっくりしたっていうか……」


今まで僕がやってきたことは、結果として形に残っている。

それでも失ったもの―篤志さんのことは、今でも忘れられない。

だからこそ手に入れたものが正しいのか、これでよかったのかとたまに不安になる。

この四人とだって、仕事上でしか付き合ったことなかったから。


「ふん、昨日今日の付き合いではないからな。これを機に、私の一生の下僕として、仕えてやってもいいぞ?」


強引でも、その裏には優しさがきちんとあるひろちゃん。


「夕にはいっぱいお世話になったから。ママさんにも、お菓子いっぱいもらっちゃったし」


マイペースながらも自分の意志がはっきりしている、奈緒ちゃん。


「衣鶴君はビジネスパートナーって言ってるけど、僕にとっては夕君も奈緒君も真尋君も。みんな友達だって思ってるから」


いつも優しくて、心の底から頼りにできる彼方。


「まあ……仕方ねぇから、そういうことにしといてやるよ」


この世界に連れてきてくれて、今でもずっと支えてくれる衣鶴。

四人に出会えたのも、きっとアイドルをやってたからこそのこと。

仕事だけの関係なんかじゃ、なかった。

そう思うだけで嬉しくて、YOU☆の存在を肯定してくれているような……


「ありがとう、みんな。今日は一日中、目いっぱい遊んじゃおっか!!」


彼らとの出会いが、今までの経験が、自分の目指す道をゆっくりと開けていくことになるのですー


(つづく!!)

さて、皆さまお待たせしました。

ついに五人集結いたしました!


五人の役割を簡単に言えば、

夕が発起人、衣鶴が仲裁役、

彼方と奈緒がボケ役で、

真尋がつっこみ兼いじられ役…ですかね?


意外とこの面子、ボケようと思えば

みんなぼけてくるので

真尋のつっこみが絶えなさそうです笑


次回は六日更新!

ついに五人の物語が始まる!

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