表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/45

あの人へ捧ぐ、感謝の歌

新たにマネージャーとして歩むことになった衣鶴と、

カメラマンとして現場を優しく見守ってくれる彼方。


そんな二人と絆を深めあった夕は、

新曲のヒントを得たようで・・・?


「衣鶴~見てみて! この衣装、社長が発注してくれたんだって! 似合う?」


衣装にちりばめられている、スパンコールがきれいに輝く。

タキシードを思わせるようなその服を見た途端、彼の顔は険しくなり


「社長ってそんな趣味あったのかよ……引くわ」


といったあと、ダサいと愚痴をこぼした。

その後、僕は曲を順調に進めていき、CDリリースまで進んでいた。


発売日は一週間後、その前に発表する形はもはや定着しつつある。

それがこの会社のやり方なのか、たまたまなのかはよく分からない。

ただ分かるのは、衣鶴の進め方が異常に速いってことくらい……かな?


「ひくとかダサいとか言わないでよ~あの社長が準備してくれたのに」


「それが社長の趣味だと思うと、どうしてもな……ま、いいんじゃねーの? 似合う似合う」


「全然心こもってないんだけど……」


「あ、そうそう。これからリハなんだが、その前にお前に忠告」


衣鶴は服の内ポケットから、何やら一枚の紙きれを僕に渡す。

広げると、そこに書いてあったのは見慣れない二人の男子だった。


「最近デビューした新人の、LOVEGATEラブゲートだ。今日、こいつらも出る」


「ラブゲートって……すごい名前だね?」


「俺もそんな知らないんだが……会社が会社なんでな。念のため」


言われてみると、衣鶴からもらった紙の端っこに所属会社が書いてある。

天王寺事務所(てんのうじ じむしょ)

名前だけしか知らないが、うちの会社よりもはるかに売れている芸能人が多い。

テレビにこそ出ないものの若い男女を魅了させている、煌というバンドもその一つだ。


うつっている二人はとてもかっこよく見えて、ポスター越しなのに今にも歌いだしそうな迫力で。

この人たちもいずれ、人気者になっちゃうんだろうな。


「結構すげーらしいから、ついでに見ておけ」


「ありがとう、わざわざ教えてくれて。リハは無理でもさ、本番ちゃんと見ててね? 彼に届くように、精いっぱい歌うから!」


そう言って、僕は衣鶴に手を上げて見せる。

それが何を意味するか分かっているかのように、同じように上にあげると勢いよく手と手を重ねる。

いつまでも重なった音が、軽快に楽屋に響いていた。



リハーサルも何のハプニングもなく、順調に進んでいった。

始まる前の緊張感はあまりなくて、異様に落ち着いているように感じる。

あんなことがあったのに、不思議だな。


「失礼。YOU☆さん……ですか?」


ふいに声をかけられ、はい? と返事をする。

そこにいたのはきれいに整えられたショートカットの、少年がいた。

物語に出てきそうな、王子様も思わせるような衣装とそのきらびやかさ。

思わず圧倒させられそうになる。

あれ? この人、どこかで……?


「そう、だけど……えっとぉ~、あなたは?」


「挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません。私はLOVEGATEの城崎木葉きざき このは、と申します。以後、お見知りおきを」


ユニットの名前が出てきて、はっとする。

そ、そうだ! 衣鶴が教えてくれたあの一人!

でもあれ? よく見たら、この人……


「あ、あのぉ、失礼ですが……女の子?」


「あははっ、ええまあ。男だと思ったでしょう? まあそれを売りにしてるんですけど」


「す、すみません! 失礼しました!」


「いいんですよ、先輩。私はあなたにあいさつをしに来た、後輩の身に過ぎないのですから。お会いできて、光栄です」


すると木葉ちゃんはすっとかがんで、手の甲にキスをしてみせる。

僕の変な声と、見ていた周囲の歓声がスタジオを沸かせる。


「これからも同じ歌手同士、頑張りましょうね?」


な、なんだろう。この、女子とは思えない色気は……

やっていることはまるで、本物の王子様のようだ。僕なんかとは違って、かっこよく見える。

現に同じ女の子のスタッフさんでも、頬を赤く染めてるし……


「あれ、そういえばLOVEGATEって二人組……だったよね? もう一人はどこに?」


「ああそれなら、お気になさらず。出てくるのに少々時間がかかるだけで。あ、お兄さん。その荷物、私が持ちますよ?」


僕と話していながらも、さっと周りを見て動いてしまう。

そのかっこよさにみんな、くぎ付けになっていた。

多くの人が、彼女の魅力に目を奪われている。

……もしかしてこれって、僕の人気を奪っちゃうぞアピール?


「……あーやっぱりまたやってる……ねーさん……」


「おや? ああ、来たね。お前を待ってたんだよ」


「……嘘ばっかり。そういうのうざい」


「相変らず口が悪いな。YOU☆さん、こいつが私の相方でもある弟、穂高(ほだか)です」


ひょっこり出てきたその青年は髪がぼさぼさで、いかにも今起きましたとばかりの寝癖で。

長すぎる前髪のせいで、目もろくに見えなかった。

この人が、もう一人? ポスターに映ってるのとは、違うような気が……


「……眠い。早く家に帰りたい……ねーさん、いくよ」


「ああ、ちょっと穂高~。すみませ~ん、YOUさん。また今度~」


「は、はあ……」


嵐のような二人はそうして、あっという間に僕の前から姿を消したのだったー



一体あの二人は何だったのか。

不思議に思っていたが、本番を見てそれは嘘のように消えてしまった。


男女二人組ユニット、LOVEGATE。

「イケメンな俺達についてこれるか?」というコンセプトの下、ターゲットを女性に絞って……恋愛ゲームを思わせる曲を歌い上げる。

ロック調でかっこいいのに加わり、二人の美しさが際立つ。

どっちの王子がお好き? とばかりに二人は対照的で。美しくて。

でも……


「珍しく怖気づいてるのか、夕」


隣にはいつのまにか、衣鶴がいた。

こちらをみようとはせず、まっすぐステージを見ている。


「まさか。すごい子達が出てきたなーって感心してたとこだよ」


「ほお、言うようになったな。何やるのにも断ってたくせに」


「あの時と今とでは、状況が違いすぎるから……それに、もう弱音なんてはいてる場合じゃないしね」


「ったく、毎度呆れるわ。お前のすごさには」


そういうと、衣鶴さんは僕にこぶしを出す。

何だろうと手を伸ばすと、手のひらには飴玉が落とされて……


「懐かしいだろ、それ。景気づけに買ってきた」


「前も思ったけど、なんで飴? 他になかったの?」


「篤志がデビューした時も、歌唱王で優勝した時も食べてたんだよ。勝利の願掛け、みたいなもんだな」


衣鶴の言葉を聞いて、やっぱりと納得する。

過去は決して変えられない。でも、こうして一つ一つ、繋がっていく。

今を生きる僕達が、それをまた先へつなげていかないといけない。

繋がった糸を、ほどかぬように。


「いってきます、衣鶴!」


そうして僕達の物語は、次のステージへと糸を紡いでいくのですー!




今へ  作詞作曲 YOU☆


意外だね 君ってそんなこともできたっけ?

当たり前にあるものって 近すぎてわからないんだね


ねぇ、どうして? 隣には もう君がいないの?

なくなってから気付く 君の大切さ ぬくもりを

ああ 僕は 何かしてあげられたかな?

君の思いをつなぐため 僕は歌う 今を永遠に


未来の僕へ きっと世界はまだ続いているよ

どこまでもゆこう あの空の向こうへ

そこには何が待っている? そんなのわからなくっても

とにかくすすめ 新たな仲間とともに

この糸を 未来へ紡ぐためにー


(つづく!!!)

ここで新キャラ初登場。

ちなみにユニット名は友達発案です。

今まで女たらしは何人か書いたことあるのですが、

初めて男たらしに挑戦してみました!

そういえば彼らの事務所の名前に

気づいた方は…ふふ、今はふれないでおきます。


同時に夕ちゃんが作った詞のテーマは、

もちろん篤志へ、

一緒にいてくれる二人への感謝です。

夕ちゃんの頑張りが、

見守ってくれている篤志の心に届くよう、

これからも見守ってあげてください。


次回! 季節は巡って春へ! 

ついにあの子が登場!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ