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狂いだす、悲劇の歯車

大人気天才アイドルである先輩、篤志と

ぼちぼち人気が出始めた夕。

二つのアイドルは歌というステージでぶつかり合い、

夕の勝利で幕を閉じるが・・・


ちん、とレンジが鳴る。

かつらを鏡で整えながら、僕はよしとうなずいてみせる。


「おかあさ~ん、パン焼けたよ~? お~き~て~」


寝室越しにそう叫び、僕は焼けたパンにバターを塗っていった。

大西夕、歌手活動を始めて二年半年。最近では役者もやりつつあるこの頃。

暑かった夏の名残を残す、今日という日はー……


「ふぁ~~~……おはよ~~夕~~~あ、誕生日おめでと~~~」


「あっていったでしょ、今」


「失礼ねえ。息子の誕生日くらい言えるわよ、プレゼントは何がほしい? 愛するお母さんの抱擁?」


「何もいらないから、心配しないで」


「何よ~最近つれないんだからぁ。あっ、さては好きな子が出来た? アイドルはスキャンダル厳禁なのよ~?」


「違うから!」


八月三十一日。今日は、僕の二十歳の誕生日だ。

それを分かってのことなのか、お母さんは機嫌がいいしこういうおふざけも忘れない。

僕にとってはあの日見た景色と、優勝したことがプレゼントのようで満足もしていた。

実際、その証拠にたくさん取材も入ったし。


「今日はグラビア撮影だったっけ? 夕、最近絶好調じゃない」


「そうでもないよ。上には、上がいるんだし」


「謙遜しなさんなって~その金髪のかつらも、なじんできたし!」


「これはっ、他に変装がないからで……」


と言い訳しつつ、だんだん気に入っているように思えるのは遺伝のせいなのだろうか。

やはり僕は趣味趣向が、母と似ているらしい。

衣鶴さんにも違和感さえない、って言われるほどだし……


「コーヒーついで来るよ。これ、今日のちらしと新聞」


「お願いね~さぁて、今日はどこがお安いのかしら~?」


新聞じゃなくてちらしから見るんだ……

半分呆れつつ、コーヒーの粉を入れる。

と、その時だった。


「夕! 大変! そんなことしてる場合じゃないわ!」


「なあに? 母さん。一人一パックの卵買うんなら、近所の人でも誘って……」


「違うのよ!! これ!! 篤志君が亡くなったって……っ!」


それは持っていたスプーンが、音を立てて床に落ちるほど一瞬の出来事だった……




皆川篤志、二十四歳。十八歳の時に電撃デビュー。

その歌唱力は絶大で、デビューしてすぐに有名になった。

夏に行われていた歌唱王決定戦では、過去四度優勝。

俳優業にも名を渡らせており、知らない人はいないというほどの人気アイドル。

これから武道館のライブも控えていて、いつか世界にわたりたいと口を酸っぱくして言っていた。

はずだった……のに……


「篤志さん!!」


会社はほとんど静寂に包まれていて、みんなが暗い服装を身にまとっていた。

すすり泣く声が、ところどころ聞こえてくる。

真ん中には会うのは僕がデビューして以来となる社長がいて、その前に衣鶴さんの姿があった。


「遅かったですネェ、夕サン。ニュースか新聞を読まないタイプですか?」


「すみません、社長……あの篤志さんは、本当に……?」


「イエス。彼はすでに、この世界にはイマセンヨ」


突然の事故死。

新聞やニュースには、そう言われていた。

詳しくは、何も明かされていない。

偶然にも起こってしまった事故なのか、誰かが意図して起こした事故なのか。

今も警察は調査中で、僕も詳しいことが全く分かっていない。

ただわかるのは、もうこの場に彼がいないということだけで……


「……社長」


そんなことを考えていた、時だった。

ずっと黙っていた衣鶴さんが口を開いたのは。


「おや、ナンデスカ? 衣鶴サン」


「この事故は、偶然なんかじゃない。複数の暴力団による、殺意があっての犯行だ」


「まあ何ということデショウ。なぜそれをあなたが?」


「……俺が……俺がそこに、一緒にいたからです」


頭をたたかれたような、衝撃が僕を襲う。

みんな彼の言うことに信じられなくて、どういうことだと攻め立てる人もいた。

社長だけは分かっているとばかりに、少し笑っていて……


「……昔、俺が荒れてた時代の知り合いで……言い逃れをするつもりもない。あいつを殺したのは、俺だ。殺したも、同然なんだ。だからクビなりなんなり、切ってくれて構わない」


この人は、何を言っているんだろう。

そんなことない、そう言いたいはずなのに。

言いたい言葉が思うように出てこなくて、苦しくて。


思えば彼に過去、何があったかまったく僕は知らない。

だからこそ起こってしまったことに、納得がいかない自分がいる。

どうして? 衣鶴さん。本当に、あなたのせいなの?


「いいでしょウ。実際今は、皆さんもメディアの対応や気持ちの整理がついていないハズ。自宅での待機をメイジマス。そして衣鶴サン、あなたの処分は追って連絡いたしマスネ?」


社長の不屈な笑みに、彼は浅く会釈する。


「待ってください! 衣鶴さん!」


思わず僕は、立ち去ろうとした彼を止める。

彼はそんな僕の横を、すっと通り過ぎてゆく。

まるで、まったく知らない人のようにー


(つづく・・・)

この展開を、皆様はどう受け止めるでしょうか。

篤志推しだったのか、

友達からはすごい抗議を受けた記憶があります。

そんな風に思えわれる篤志は、

幸せ者ですね


篤志の死の詳細は、すべてが解決した時に

また語ろうかなと思います。


次回、突然の悲劇に夕は・・・

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