⑥話『変わりゆく風景』
「作戦開始」
『作戦開始!!』
そう言って愛紗と親衛隊の人との作戦が開始、
「ほほう、ここでこんな展開にするとは!」
呑気ラノベを読んでいる優の元に2人の女性が現れた。
「ねえ! 君!」
「お姉さんと遊ぼうよ!」
そして、優に話しかけた。
「はあ、はあああああああ、やべえ! なにこれ!」
優は気づかずにラノベを読んでいた。
「ねえってば! 無視しないでよ!」
トントン!
優は肩を叩かれてようやく気付いた。
「え、ああ、何?」
「可愛いねえ君!」
「お姉さんたちと遊ぼうよ!」
そして2人は優を逆ナンした。
「どうだ、お前みたいな童貞には慣れていない展開だろ! そのまま照れて咲菜との間に亀裂が入ればいい!!」
『今思うとなんか在り来たりな作戦だが最近まで独り身の男にとってはかなりいい作戦だな、しかもあいつは今まで彼女いない歴=年齢の糞童貞らしい! 引っかからないはずだ!』
2人はそんな連絡を取りながらニヤニヤと作戦の信仰を見守っていた。
すると優は2人に向かって、
「すみません、彼女がいるんで無理です」
と言って無視してラノベを読み進めた。
「く、いやまだだ、まだ押すんだ」
愛紗は2人に合図を送った。
それを見て2人は軽く頷き
「ねえいいでしょ、彼女さんだって当分帰ってこないって~」
「暇なんでしょう? お姉さんたちが楽しいことしてあげるよ~」
そう言って2人は胸チラをしながら優に近づいた。
それを見て優は微笑みながら
「失せろ、腐れビッチが、何でも色気が効くと思ったら大間違いだぞ、この痴女共が」
と言った。
「ちょ!」
「アンタ! 何それ! 言い過ぎじゃん! それタダの偏見だよ!!」
流石に腹が立ったのか、2人は声を荒げた。
「偏見されるようなことするからだろ、優しく言っている間に消えればこんなことにならないんだ、腹が立ったのならもうここにいる必要はないだろ、失せろ、ビッチが」
冷淡に優は2人に言い放った。
「ああ! 何なのこいつ!」
「ムカついた! もう知らない!」
そう言って2人はその場を去ってしまった。
「ああ! バカ何をしているんだ!」
『これでは意味がないだろうが!』
だが2人はそのまま行ってしまった。
「糞! 感情的にさせて冷静さを失わせやがって!」
『だが今のはさすがに言い過ぎだ! こっちまで腹が立ってきた!』
すると
「おい、さっきから聞こえてるぞお前ら」
「『!!』」
2人の前に優がすぐ近くまで来ていた。
「いつから気づいていた……」
愛紗が聞いたら
「ああ、俺は人の気配とか気づきにくいんから、最初気づかなかったんだが、咲菜からコソッと教えてもらって気付いた」
「『!!』」
愛紗は青ざめた。
すると親衛隊の人が、
『でもなんで咲菜は我々に気づいていながら知らないふりをしていたんだ』
と質問した。
「自分から諦めるのを待つって言ってたぞ、でももしまた変なことしてくるようだったらこれ聞かせろって」
と言ってボイスレコーダーを優はカバンから取り出した。
「『え?』」
すると
優はスイッチを入て、再生した。
『愛紗さん、誰だか知りませんがもう一人の方、最初の作戦では私の好感度が上がったのでいいですけどまた余計なことしましたら……後で覚えとけよ』
優しく話した後、
聞いたこともないような怖い声で最後咲菜は脅してきた。
「『ひいいいいい!!』」
そして、2人は悲鳴を上げた。
愛紗は、青ざめながら走って逃げだした。
「……咲菜ちゃん、直接言えば懲りたのでは?」
と言ってトイレの方を見た。
「ええ、でもまあまだこれで許してあげますよ……これが最終警告ですけど」
「あいつら、これが最終警告って知らないと思うが」
怖い目をしている咲菜に優は微笑みながら言った。
「君ってなかなか怒らせると怖いね、将来しりに敷かれそうだ……」
「もう! もう将来の話なんて照れます!」
2人は惚気ながら再び歩き出した。
「あ、トイレ忘れてました」
「……本当にトイレは行きたかったんだ」
そして、咲菜は急いでトイレに駆け込んだ。
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「おまてせ~」
咲菜は照れながら小走りで優の元に来た。
「おう、大丈夫だ、ラノベも結構いいところまで来たので続きは家で読むよ」
「ラノベか~私も読んでみようかな~」
「呼んだことないの?」
「うん、基本本屋さんでも文字しかない物語しか読まないかな……」
そう言って照れながら言った。
「じゃあおすすめ教えようか? 正直こういうのは他の本と同じく好みの問題だし」
優が言うと
「え! 良いんですか!」
「俺の読んでいる本で良かったら教えるよ、正直貸すのもいいけど今持ってるの今読んでる本だし途中の巻だし」
「ありがとうございます! 私も買ってみたいです!」
そう言って次に本屋さんに入って行った。
「へえ、ラノベっていろんな種類があるんですね~」
「まあね、今は異世界ものや俺TUEEEE系だったり異世界での飯テロだったりスローライフや日常系やラブコメとかが流行ってるよ、WEB小説も書籍化していくほどだしなあ」
「へえ、そんなに種類があるんですね」
「まあ、そうだね、サスペンスや非日常なんかもいろいろ種類があるからなあ……まあ結局絵とか感じとか面白そうとか人のおすすめとか選んだらいいけどね、ちなみに俺のお勧めはこれ……」
そして、一通り優は咲菜に自分のお勧めのラノベを紹介した。
そして、咲菜は
「ではこの学園超能力物を買ってみます!」
「ふむ、魔法と違った面白さがあってそれはなかなかいいと思うぜ!」
優は微笑みながら言った時
咲菜は本を一気に最終巻まで取った。
「まさかの一気買い!」
「ええ、まあ途中で気になるのもいや何で……」
「それは分かるけど、一巻読んでから決めると思ったよ……」
「優君が進めるものだもの、理解して読んでみたいわよ!」
そして、咲菜はレジに向かって本を買った。
「えへへ、特典貰っちゃった!」
「ああ、そうか今キャンペーン中か……俺もなんか買って行こうかな?」
そう言って優も買いたいラノベを探し始めた。
「あ、途中が気になるで気づいたんだが、それまだ完結してないからどうせ途中で気になると思うぜ」
「あ!」
咲菜は後で気づいて
「大丈夫! 続きが出るまで我慢できます! それも楽しみの一環ですし!」
とポジティブにとらえた。
「ほほう、いい心がけじゃないか!」
そう言って優は獣耳系の物語を買った。
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「さてと、本も買ったし、お昼どうする?」
「おすすめありますか?」
「そうだな、何がいいだろうか?」
そう言って目の前に優が好きなラーメン屋があった。
看板には
『ニンニクこってり入れた超明日が口臭くなるぐらいだが、それでも食べてしまう忘れられない味! それを提供していきます』
と書かれていた。
(まずい! 行きたいが咲菜がいるんだ! スゲエラーメン欲が湧くが我慢だ!!)
そう言ってその店を見ないようにした。
すると咲菜は
「ここにしましょうか!」
と言ってそのラーメン屋を指を指した。
「え、でも明日口臭くなるぞ! 良いのか?」
「うん、だって今……ううん! 何でもない! 私このラーメン食べてみたかったの!」
「そっそう? 分かった! 行こうか!」
そう言って優は咲菜と一緒にラーメン屋に入って行った。
しかし、優は気づいていた。
(俺が行きたいってこと明らかにバレてたな、俺って顔にすぐ出るってこと忘れてたよ、咲菜には悪いことしたなあ……)
と思いながら入って行った。
すると咲菜は
「えっと、やっぱり正直に言います、ごめんなさい、さっきあなたが入りたそうにしてたから私が勝手な気を遣ってしまいました、すみません」
「え、ああ、そうなの! ごめん! 何か!」
「いえ! でも……その、優君が好きな店って私も気になるからさっき言ったことは本当の事です……」
そう言って咲菜は頬を赤らめた。
(この子も案外顔に出るタイプだな……俺と似てるのかもしれないな)
そう思っているうちに
「お待たせしました! あちらの席にどうぞ!」
と言われてテーブル席に座った。
「どうする? ここのラーメン結構種類あるけど?」
「私とんこつラーメンにします」
「案外コッテリでいくんだね、俺はえっと半玉醤油ラーメンかな?」
「あいよー!!」
そう言って店員は注文を取った。
そして、咲菜のとんこつラーメンが先に届いた。
「お待たせ!」
「ああ、ああ」
涎が少し口から零れながら咲菜は箸を取った。
「いっいただきます!」
そう言ってラーメンをすすり始めた。
「!! 美味しい!!」
そう言って咲菜はラーメンを美味しそうに、しかし上品に食べ始めた。
その後、優のラーメンも届いたので食べ始めた。
そして、2人はスープまで飲み干した。
「「ふう!! 美味しかった!」」
2人は満足そうに言った。
「初めて食べましたが本当においしいです!」
「良かったよ、なんかもっとおしゃれなカフェが良かったのかと思ってたけど気に入ってもらって」
すると咲菜は笑いながら
「私、たまにここのニンニクたっぷりでドロドロのラーメンを食べたいです!」
「喜んでもらって何よりです!」
咲菜はすごく満足そうにしていた。
それを見て優は
(良かった、気に入って貰えて)
「また新たに好きな食べ物が出来ました!」
「それは良かった、たまに食べに行こうね!」
「うん!」
それを聞いて咲菜は嬉しそうにした。
そして、2人は店から出た。
「じゃあ次はどうしようか? 服でも見に行く?」
「うーん、その、えっと……」
咲菜は何か言いにくそうにしていた。
それを見て優は
「どうしたの? 服はいやかな?」
「えっとそうじゃなくて、今日はあそこに行かないんですか?」
「? あそこ?」
それを聞いて優は頭の中で考え始めた。
(なんだ? ア○メ○トか? それとも古○市○か?)
と考え始めた。
「もしかして、ア○メ○ト?」
と取り敢えず思いついたものを聞いた。
「えっと、そこも気になるんですが、ちょっと、1人では行きにくい場所で……」
咲菜は赤くしながら俯いた。
(?? 何だ? どこだ? 俺が言っている場所で1人では入りづらい場所?)
そして、優は
「エロゲーショップ?」
とボソッと言った。
すると咲菜は
「そっそこです……」
と恥ずかしそうに言った。
「……」
優は一瞬時間が止まった。
そして再び思考し始めた。
(え、バレてた、見られてた? マジで、うそん……)
そして優は
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
顔を伏せながら出来るだけ小さい声で呻いた。
「ゴっごめんなさい! いきなり変なこと言って!」
「えっとこっちこそごめん! まさか見られてたと思わなかったkら!」
2人はあたふたとしながら謝りあった。
「でっでも女の子としてはさすがに嫌じゃ無かったりしない?」
優は咲菜に気を遣いながら聞いた。
「えっと、男性なんですからそういうことに興味を持っても不思議ではありませんし、それに優君がどんな女性が好みでどんなことをしてもらうことが嬉しいのか……その……知りたいですし……」
恥ずかしそうに咲菜は真っ赤になりながら優の方を見た。
「やべえ……これは犯罪的にやべえ……」
「? どうしましたか?」
「嫌なんでも!」
優は咲菜には聞こえないように言った。
咲菜は首をかしげながら
「そうですか……」
と言った。
「えっと……本当にいいの?」
「はい!」
「おお、元気いっぱいだな」
こうして優は普段自分が言っているエロゲーの店に行くことにした。
「えっと、見てたと思うけど、俺って電気屋さんのエロゲーコーナーで買ってるんだよね」
「はい! ソ○マ○○ですよね!」
「本当に詳しいな……」
そんなことを言いながら2人はその電気屋さんに向かった。
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「……ウソだろ、そんな……」
「こんなの、あんまりです」
2人はその場で立ち尽くしたまま顔を青くしていた。
「何てことだ、本当に世の中は残酷だ、こんな……酷い」
「優君……」
優の悲しそうな顔を見て咲菜は優しく抱きしめた。
そして優たちの目の前には変わり果てた風景が映っていた。
そしてそこのは看板があり、そこにはこう書かれていた。
『先月を持ちましてソ○フ○○プは閉店とさせていただきます、今までご利用いただきまして本当にありがとうございます、どうぞ他の店舗をご利用ください』
「そんな馬鹿なアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
優は絶望のあまりその場で呻いてしまった。
「落ち着いてください! 他にも店があるみたいじゃないですか!」
しかし優は悲しそうな顔で
「ここは定期でいつも行けたけど他の場所だと電車賃が掛かるんだよ……」
と言った。
「そんな!」
優は唯一のエロゲーショップを失った。
優は言った。
「どうして町はこうも変わっていくのだ……」
絶望が優に降り注いだ。