⑲話『お、おう』
「さてと、今日は妹さんの参観日か」
そして優は聖歌の参観日の場所を確認した。
「えっと、女子だけの小学校なんてあるんだ、しかも一貫性の……すげー」
そう言って優は紙を持って準備をした。
すると
「何? 今日どこか行くの?」
「咲菜の妹さんの参観日に行ってくる」
「そうなの? どこ?」
「ここ」
と言ってお母さんに参観日の場所を見せた。
「……あんたってバカなのね」
「え、いきなり、何で俺馬鹿って言われなきゃ……」
「だってこれって家族のお父さん以外の男性は入れない学校じゃないの!」
「え、そうなの?」
「はあ、バカだったか……」
とすごく残念そうにお母さんはため息をついた。
「いい? そう言うがっこうだってあるの! そんなことも知らないの?」
「うん、俺は初耳だな」
「マジか……残念な奴だな」
「えー、そんなに?」
「そんなに」
当然のような顔をしながらお母さんは優に言い放った。
「で、どうするの?」
「えーと、まあ、まあ言ってみるだけ言ってみるわ」
「まあうん、そう……」
と言いながらお母さんは部屋に戻った。
そんなことを言われていた優は
「咲菜にはそんなこと言われなかったんだけどなあ」
と言いながらラインを送ってみると
『まあ知ってはいたんですけど、男の兄弟が私たちにはいなかったので実際のところどうなのかと思いまして……』
と言われてしまった。
「つまり実感がなかったからあまりどうなのかが分からないってことか……」
そして優は学校へと向かった。
そして着いた。
「あの? この参観のことを聞いてきたんですけど? 一応この学校のこの家族の代わりに来たんですけど入れますか?」
「ダメですね」
「……そこを何とかならないんでしょうか?」
「はい、なりませんね」
「一応その子の姉の紹介なんですけど?」
「ダメですね」
「……マジか……」
「そうですね、お気持ちは分かるんですけど特別扱いは出来ないので……」
そう言われてしまった為、優は退散することになった。
「えっと、どうしようかな……恨まれるな」
***************************************************************************
その頃聖歌は
「さてと、あのお兄ちゃんはどんな方法で入ろうと思ってるんだろうか……」
とそれを聞いていた女の子が話しかけてきた。
「? 何? お兄ちゃんなんていたっけ?」
「ううん、いないよ、お姉ちゃんの彼氏……」
それを聞いた話しかけた女の子が驚いたように
「え、そうなの? 出来たの? もはやあなたのお姉さんが言っていた恋に落ちた人って妄想の類だと思ってた……」
「大丈夫、それについては私も思ってたから前会ってビックリした」
「聖歌は人見知りだから絡みづらかったんじゃない?」
「まあそうだね、でも今日の参観日行きたいって言ってた」
「……無理でしょう? 私はお兄ちゃんいるから知ってるけどこの学校お父さん以外の男性は入れないし」
「それは知ってるんだけどね、お姉ちゃんは知識としてしか知らないけど、私とは違うがっこうだったし」
「そうなんだ、でもどうして聖歌はこの学校選んだの?」
「人見知りの子が異性と話せるとでも? それに明子がこの学校行くって言ってたし」
「嬉しいこと言ってくれる、私はほぼ親の強制だけど聖歌がいるってだけで少しは楽しいし」
「ありがとう」
そう言って聖歌は
「さてと、入れなかったら私に恨んでいいって言ったんだから取り敢えずは頑張るんじゃないのかな? 取り敢えず防犯用に持たされているスマホでラインでも送るかな」
「鬼だね」
そう言って聖歌はラインを優に送った。
************************************************************************
「? 何だ? 聖歌ちゃんから?」
そしてラインのメッセージを見た。
『さてと、男性はお父さん以外は入れないことをあなたは今知ったはずです、だけど出来るだけ入るって言っていたので期待しています、頑張ってくださいね、あなたは私に売らんでもいいって言ったんですから』
とメッセージが来た。
「……え、何する気? 怖い!」
そう言って優は
「こうなったら」
と言って少し時間があることを利用して
どこかへ行った。
「あの……そんな格好してもダメですよ、それにあなたご家族の方ではないのでどうあがいても入れませんよ……」
「……えっと、お姉さんです!」
「警察呼ばれたくなかったら諦めなさい」
「……すみません」
そう言って女装した優はガックリしていた。
それを見てそこにいた先生は
「それにしても良くそんなもの持っていましたね? もしかしてそう言う趣味があってそれを着たんですか?」
「いえ、コスプレしていい場所に行って着替えました。」
「成程、また教えてもらっていいですか?」
「教えるので入れてください」
「私がOK を出しても第二、第三の人たちが邪魔しますよ」
「何それカッコいい!」
優は少し目を輝かせた。
「ではもうそろそろ私は戻りますが不法侵入は法律違反ですのでやったらあなたわ終わることを理解してください」
「……はい」
そして結局学校に入ることが出来なかったことをラインで送った。
『うそつき』
「……はい、すみませんでした」
『出来ないことをちゃんと調べてから今度は約束してね』
「はい」
そして優は取り敢えず着替えることにした。
すると
「何やってるんだお前は……」
「あ、尾貞」
とんでもないところを尾貞に見られてしまった。
「お前にそんな趣味があったとは……」
「……えっと、酷い! せっかく本当の自分になれたと思ったのに!」
「もしもし咲菜ちゃん?」
「ちょっと待って! 本当に待って! 謝るから! 不可抗力だから!」
「聞こうじゃないか」
そして尾貞は事情を聞いた。
「なるほど、お前が馬鹿ってことだけが分かった」
「バカって言うなよ! 俺なりに考えたんだぜ!」
「その考えに至ったことが馬鹿っていうこれ以上ない証拠だと思うが?」
「はい、そうでした」
とがっかり顔で優は行った。
「まあ、着替えて来いよ」
「ああ、そうするよ」
そして優はそう言う場所に行って着替えてきた。
「お待たせ、疲れた」
「その服は持って帰るんだ、……何で?」
「後で咲菜に来てもらおうと思って」
「引くわ」
そんな変態的なことを言った優を尾貞はドン引きした。
「さてと、妹さんにはどんな恨みが来るのかな?」
「大人みたいな妹さんだから案外軽いかもよ? 多分?」
「そうかな、そうだといいな」
「てか、何で恨んでいいって言ったんだ? 別にそんなこと言わなくたってよくね?」
「たまに自分の気持ちを押し殺す子どもっていると思うと別に子どもはもっと自分の感情に素直になっていいって思うんだが? 俺だって自分の気持ちを抑えるのは大人になってからだったし」
「まあ確かにな、ならお前も大人と言うなら聖歌ちゃんの力いっぱいの恨みを受け止めてあげるんだな、じゃ俺就活あるから」
「え、何? 仕事辞めたの?」
「肉体労働シンドイ」
「そうか、頑張れよニート」
「ムカつくわあ」
そう言いながら尾貞は行ってしまった。
「さてと、あいつと話してたらだいぶ時間経ったな、そろそろ出てくるかな?」
すると
「あなたまだここにいたんですか? 通報しますよ?」
「ちょっとそこの君? さっきからこの学校の前で何をしてるんだい?」
「行った傍から警察が来た」
そして優と先生は事情を話した。
「へえ、そうなんだ、でその妹さんが本当にこの学校にいるのかね? 嘘ならしょっ引くけど? このゴミ」
「てめえ! 警察だからっていい気になってんじゃねえぞ!」
優は文句を言いながら聖歌を待った。
「あ、お姉ちゃんの彼氏さん? いい加減私を付きまとうのやめてもらえませんか?」
「やめて、今それどころじゃないからやめて」
「何ですか? その警察の人は? 学校の前でずっと待ってたから来たんですか? バカなんですか?」
「何その洞察力!」
「いや、なんとなくわかるでしょ?」
「聖歌ちゃんの彼氏さんってうちのお兄ちゃん並の思考力だね?」
「そのお兄さんとは気が合いそうだ」
そして聖歌は優の潔白を話して警察さんには帰って貰った。
「さてと、恨んでもいいんだっけ?」
「ああ! モチのロン!」
「でも一概に恨むって言ってもどんなことすればいいの?」
「そうだな? アニメでよくある俺の子と殴れはどう?」
「いいの?」
「ああ! どんと来い!」
(小学生に殴られても痛くないだろう? まあ多少は痛いだろうけど、それぐらい我慢できるさ!)
「まあ、顔面は危ないから腕でどうぞ!」
「じゃあ遠慮なく」
「あの……」
「先生、ちょっと口チャック」
明子は先生の口を閉じた。
「せい!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!
「いでえええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
ボキン!
優の尺骨が複雑骨折した。
「えっと、彼氏さん? 知らないのかもしれませんが聖歌ちゃんは空手でいい成績残してますよ?」
「まっま……じ……か」
そのまま優は気絶した。
そして救急車に運ばれた。
「全治二か月です、それまで安静にしてください」
「はい」
優はベッドに寝ながら頷いた。
「ごめんなさい、優君、聖歌あなたも手加減なくやったんだから謝りなさい」
「ごめんね、お兄ちゃん」
「ああ、いいよ、俺がやれって言ったんだから」
と言って優は優しく微笑んだ。
「優、バカなことして入院とかざまああ!!」
「軟弱者!」
お母さんとお父さんが言った。
「ええ、もうちょっと心配してよ」
「え、嫌かな、自業自得だし」
「そうだな」
そう言って2人は真顔で言った。
「治療費は家で払わせて頂きます」
咲菜は申し訳なさそうに言った。
「いいのよ! この男にはいい薬よ! こいつに払わせなさい!」
「いや! こっちの気が済みませんよ! お願いです! 払わせてください!」
そう言って咲菜はお願いをした。
それを見たお母さんは
「そう? 良いのに別に……でもありがとう咲菜ちゃん! 内にバカ息子を今後もよろしくね!」
「!! はい!」
咲菜は嬉しそうに言った。
「優君! これから毎日お見舞いに来ますね!」
「マジで! やった! 2か月間最高の日になりそうだぜ! 病院食と君がいない間の暇以外は!」
と言って喜んだ。
「あの? 病院では静かにお願いしますね」
看護士の女性が優に注意をした。
「はい、すみません」
そう言って優はすぐに謝った。
「それでは私たちは帰るから」
「ああ、またね」
そう言ってお母さんとお父さんが帰って行った。
「私はもう少しいますよ! 少し用事もありますし!」
そう言って優に顔を近づけた。
「? どうしたの?」
「えっと、また優君の女装見てもいいですか?」
「……」
それを聞いて優の時間が一瞬止まった。
「えっと、どこでその情報を?」
「尾貞さんと聖歌からです!」
「聖歌ちゃん何で知ってるの?」
「校門前ってうちの教室から丸見えだからすぐに分かったよ」
「……アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
優は悲鳴を上げた。
「静かにしろってんだろうが! 分かんねえのか!」
看護士はブチギレた。
「ゴっごめんなさい!」
優はすぐに謝罪した。
「優君! メ!」
「何それ可愛い!」
優は喜んだ。
「これがお兄ちゃんになると思うと先が思いやられる気がする」
「全く同感ですね」
條島と聖歌は2人で同意した。
「でも、頑張ってくれてありがとう! 次はないけど、今度違う約束守ってね!」
「……ああ! やってやるともよ!」
「じゃあ、買い物の荷物持ちね! お姉ちゃんの分と私の分!」
「了解!」
「後遊園地行きたい!」
「わがまま言うな!」
「アレ? 子どもってもうちょっと自分の気持ちに素直になってもいいんじゃなかったっけ??」
「……はい、また連れて行きます」
それを聞いて聖歌は笑いながら
「あははははは! まあ一回は行きたいけど、何度も行くわけじゃないから大丈夫だよ! お兄ちゃん! 出ないとお姉ちゃんに嫉妬されちゃうからね!」
「いっ妹にしないわよ!」
と照れながら咲菜は言った。
「あはははは! 仲がいいな! 俺も兄貴もこんなんだったらよかった気がする」
「お兄さんとは仲良くないんですか?」
心配そうに咲菜が聞いたら
「いや、仲良くないんじゃないんだが、お互い無関心なだけだ」
と言った。
「そうなんですか、喧嘩して顔も合わせないとかじゃなくてよかったです!」
「心配してくれてありがとう! 俺頑張って君のことを幸せにするよ!」
「ありがとう! 優君!」
そう言いながら2人は笑い合った。
「何この惚気」
「いつもこんな感じだから嫌なんですよね~」
條島と聖歌は呆れたように言った。
そして優は2か月後退院した。
会社は傷病手当で何とかなった。
そして優は日ごろから運動した方が良いと思いマラソンを始めたが
三日坊主になった。




