⑯話『不安』
「ああ、しょうもない同窓会のせいで無駄な時間を過ごしてしまった」
疲れたように優は言った。
「確かに、何でみんなこんな事に時間を費やすのか?」
そう言って尾貞も文句を言っていた。
優はほくそ笑みながら
「まあでも、面白かったよ、あの様を見れて」
と言って笑い出した。
尾貞も笑っていた。
「まあ、因果応報だな、散々俺たちの青春を壊したんだから、あれさえなければ俺だってモテモテだからな! てか俺らが社会人としてダメなのはきっと中学時代のいじめが原因だ! でなければ俺らがコミ症になる訳が無い!」
「その通りだとも! 尾貞よ! いじめの弊害は未来に飛び立つ人の未来をも蝕むんだ! 全く! そんなことも考えずに楽しみやがって! 今日のはやられても当然のことだ!」
そして、優は優しく、
「まあ大丈夫じゃね? 俺でも出来たし、お前だって出来るって、多分」
と言ってあげた。
しかし尾貞は
「適当なこと言ってんじゃねえ! 出来てるからって偉そうに!」
と逆に怒った。
すると咲菜は
「大丈夫ですよ、尾貞さんも優しい方ですよのでステキな方とお付き合い出来ますよ、私は優くんがいるからダメですかけど」
と言って、励ました。
「ありがとうな、咲菜ちゃん、君が言ってくれた方が嬉しいよ」
「そんな、こちらこそ仲良くしていただいてありがとうございます!」
「「ええ子や」」
そう言って2人は朗らかな気持ちになった。
すると尾貞はあることを思い出した。
「そういえば、さっきの同窓会でお前のことを見ていた奴がいたな……」
と不用意に言った。
それを聞いた咲菜は
「だっ誰ですか! その人は! 誰なんですか!」
ガシ!
と尾貞の肩を掴んだ。
「え…」
尾貞はびっくりして咲菜の方を見た。
それを聞いていた優は
「尾貞それはダメだわ、いきなりそんなこと言ったら咲菜だってビビるって」
尾貞は
「あっ小さな声で言ったつもりだったけど聞こえてた?」
とキョトンとした顔で咲菜に言った。
「 はい! バチッリ! で! どんな人なんですか!」
完全にマジな目で咲菜は聞いてきた。
「こりゃ言った方がいいと思うぜ、まあ俺は浮気する事わないがな!」
と自信満々に言った。
その言葉を聞いて尾貞は
「いや、その自信があるのは皆一緒だから、その上で浮気する人がいるんじゃないか、最初は同じ事を言うだけ言って誘惑に負けるんだ、だから……」
「おい! それ以上言うんじゃない! それ以上言ったら!」
「「あ」」
咲菜を見ると震えながら白目を向いていた。
「だっ大丈夫だから! 一般的な話だから! 全員じゃないから!」
「おっ俺も悪ふざけが過ぎた! 気にしないでくれ! だから!」
すると咲菜は
「ああああああああああああああああああああああああああ!」
と絶叫した。
「だっ大丈夫か!」
「おっ落ち着くんだ!」
「優君!」
ガシ!
「はい!」
肩を掴まれて優は返事をした。
そして咲菜は目を見開きながら
「私を捨てないでええええええええええええええ!」
「捨てないよ!」
泣きそうな目をした咲菜に言ってあげた。
「ほっ本当?」
「本当だよ」
「……ゴメン……なんかゴメン」
と流石に悪いと思って謝罪した。
「そうだぞ、俺だっていきなりそんな事言ったら心配するに決まってるだろ、でもまあ、お前の言っている意味も分からなくわない、俺も気を付ける事にする」
と言って取り敢えずは優自身も気をつける事にした。
「うええん〜、良かったよ〜私優君に愛されるために生きてたから〜別れられたら自殺するよ〜」
と泣きじゃくりながら目を真っ赤にして言った。
「マジか、自殺しちゃうのかよ!」
「ある意味脅迫だな……」
2人は青ざめながら言った。
そして尾貞は、
「まあ気のせいかもだし気にしないでくれ!」
「うん分かった……気にしないようにする」
ようやく咲菜は泣き止んだ。
そしていつもの笑顔に戻った。
「大丈夫! 俺は浮気しないから」
「うんありがとう」
そしてこの話はおわった。
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「優は相変わらずだったなあ……」
1人の女の人がお酒を飲んでいた。
「なんで気づいてくれないんだろうなあ……」
そんな事を言い少し顔を赤らめた。
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そして優は家に帰ったら
「優、アンタ同窓会でやらかしたんだって?」
とお母さんに咎められた。
それに対して優は
「あれはあいつが悪い、殴り掛かってきたあいつが悪い」
と言った。
だが、お母さんは
「バカ! 殴り掛かってきたのはアンタが悪いことしたからじゃないの!」
「おい! どうしてそこで息子を信じないんだ!」
と返したが
「アンタが今まで信じてもらえるような行いをしてきたの!」
と切り返されてしまった。
それに対して、
「そうですね、申し訳ありませんでした」
と謝罪した。
しかし、
「それはそれとして話は聞いてもらえないでしょうか?」
と言い訳を認めてもらおうとした。
仕方なさそうにお母さんは
「はあ、まあいいわ、言ってみなさい……」
と言った。
そして優は何が起きたのかを詳しく言った。
川野が中学時代にいじめを繰り返してきたこと、そしてそれをまるでなかった事のように生きてきたこと、そして、自分が何をしてきたのかという罪意識がなかったこと、アルハラをして跳ね除けたら暴力を振るってきたので警察を呼んでもらったこと、そして先生がその暴力行為をなかったことにしようとしたことを話した。
それを聞いてお母さんは
「全く、気持ちは分からなくないけど、世界は理不尽で出来てるのよ、受け止めなさい」
と言った。
「確かにこの世の中は理不尽で絶対に悪い奴らが甘い汁を吸えるように出来てるけどだからってそこまで許すことはないだろう、今日みたいに俺が悪くないのになぜか俺が悪いみたいに言ってきたらそれは怒っていいと思うぞ、警察にも言っていいと思うぞ」
と反論したが、
「あなたね、今彼女がいるんでしょ、だったら厄介ごとそのものが幸せを邪魔することだってあるのよ、何事も法律違反していたらそれを全て壊していいってほど人間は世の中以上に面倒臭いのよ」
「え、何で?」
良くわかっていなかった優はお母さんに聞いた。
そしてお母さんは答えた。
「例だけど、よくドラマでお前のせいで人生が崩れたと言って包丁持ってあんたを刺しに来て、あんたは自分のことを守ることが出来るの? そういう奴等は基本自分が被害者としか思ってないのよ、自分が悪いなんて思ってすらいないの、それも微塵もよ、だからこそそういう奴等はたちが悪いのよ、それが原因で人生の幕を閉じたくないでしょ、今が幸せを掴むチャンスなのに自分からそれに障害を与えるのは良くないわよ」
「マジかよ、そんな狂気に満ちてるのかよ、そう言う理不尽連中は」
「だってそいつ自己中心的だったでしょ? 先生も含め、だからそういう連中とはあまり揉め事を起こさないように適当に付き合ってもう二度と来ないとかにしなさい」
「同窓会行けって言ったのはお母さんだけどね」
「だからよ、一度顔を出してその後、忙しくて行けないとか言っとけば、仕方ないなあ、行きたい気持ちはあるんだなあ、とか勝手に思ってくれて取り敢えずは大変なことにならないでしょ、なのにアンタはしょうもないことで……社会人なんだから嫌な人との付き合いぐらい我慢しなさいよ、そういうところがあんたの悪いところよ」
と言われた。
「ごめんなさい、ああ、それを聞いたとたんなんか唐突に怖くなってきた……」
「しーらね」
とお母さんは煽るように言った。
「こわー」
そして優は
「で、今日は晩御飯何?」
「ああ、今日は生姜焼きよ」
と言ってご飯にした。
「うまかったー」
「お粗末様」
「ビールうめー」
「自分で買ったお金で飲んでよ」
「家にいれてるだろ」
「買い物時にかごに入れるのやめろよ」
と言ってお母さんはお父さんを睨んだ。
それに対して何も言えなくなったお父さんであった。
「俺は晩酌するとき俺の金で買ったビールとつまみでやってるぞ」
「く!」
そして優は
「では俺は部屋に行きますね」
「分かった」
そして優は部屋にこもった。
「さてと、今日はこの女の子を落しますかね」
「アンタ彼女がいるのにエロゲーをやめないのは本当にぶれないな」
「お母さん! そう勝手に俺の部屋に入るのはやめてよ」
と言い合った。
「エロゲーも程ほどにね」
「ういーす」
そう言って結局エロゲーをやめなかった。
「さてと、12時になってるし寝るか」
そう言って布団に入って寝た。
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「おはよー」
「遅いわよ、今何時だと思ってんの?」
「10時だぞ、他の奴らは昼まで寝てんだろうが」
「今日は休み?」
「指定休暇」
そしてパンを食べてコーヒーを飲んだ。
「今日はデートじゃないの?」
「咲菜が休みじゃないから無理かな」
「あそう」
そう言って優は久しぶりの1人の休日を過ごすことになった。
「さてと、今日は……?」
「お前のせいで」
バタン!
人がいたがドアを閉めて
スマホを取った。
「もしもしポリスメン?」
その男はパトカーに連れて行かれた。
「全く、こう言った輩は本当に迷惑ってのが昨日のお母さんの言葉で分かったがまさかこんなに早いとは……今後の幸せに不安しか残らないぜ」
と言って警察に捕まっている様子をほくそ笑みながら見守った。
「さてと、まだ不安要素が残ってるな」
すると
プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル
とスマホが鳴った。
「はいもしもし……」
『お困りの様ですね』
「條島さんですか? その声は?」
『はい、すごい執事です』
「すげえ、助けてくれるの?」
『いえ、手助けです、たまには自分でどうにかしてみたらどうですか?」
「あ、そういえばそうだな」
『そうでしょ? だから信頼できる人は紹介しますので後は自分のお金でお願いしますね』
「はーい」
そして優は條島の紹介で弁護士を雇うことになった。
徹底的に潰して反撃することすらできなくなるように
お金は高かったが老後のために溜めていた預金を落した。
優は思った。
「幸せがお金で買えるのなら糸目はつけない方が良いな、結婚するために溜めている御金は別に入れてるし大丈夫だろう」
そして老後のお金が空になったが
しかし、優には後悔がなかった。
そして優の幸せを掴むための人生と努力をする人生を歩み始めた。
ちなみに咲菜はそのことを知らないのでちゃんと言おうと優は思った。
そしてそのことを忘れていつまでも言えていなかった。




