⑮話『ざまああ』
「何だ、近童か! 久しぶりじゃねえか!」
「黙れ」
「相変わらず無愛想だな、お前も大人なんだから礼儀良くしろよ、常識あんのか?」
「何こいつ本当にムカつく」
「ああ、なんか鋭利な物を持って刺したい」
「最低だな、お前ら」
男は2人の言葉にムッとしながら言った。
この男は川野 高である
2人をいじめていた張本人である。
「確かにさあ、俺もふざけ過ぎたよ、でも昔のことは忘れろよ、もう大人だろう? 子どもじゃねえんだから」
それを聞いて2人は
((俺たちの青春時代を暗黒面に染めた元凶が……忘れろ? もう大人?))
2人は納得がいかなかった。
「オラオラ酒飲め! 飲んで昔のことを忘れさせてやるよ!」
「いや、俺酒飲めないから」
と優は冷たくあしらうと
「何だよ……つまらん大人になったな、それじゃあ社会じゃあやっていけねえってのによう」
と呆れたように川野は言った。
「俺なんて今じゃ皆に期待されて仕事を色々任されてるんだ! 付き合いもいいしな! それに俺の彼女長可愛いんだぜ! 今度会わせてやるよ!」
と聞いてもいない自慢話をし始めた。
優と尾貞はコソコソと
「何なんだこいつ? 何で俺はもう大人になったのにお前らはいつになったら大人になるんだみたいな感じで話しかけてんだ? バカなのか? 結局あいつが子供みたいに自慢話し始めて来たぞ……あいつは昔のことを本当に悪いと思ってんのか?」
「思ってるわけねえだろ、こいつらにとってあれはおふざけの一環何だよ、いじめをする側は悪意とおふざけを一緒にするから達が悪い……最近ニュースでも実態が分かってきてるだろ? もう聞き流しておこう、こっちが大人の対応で無視を決め込もう、言わせとけば勝手に満足するだろう」
とほっとくことにした。
すると
「いいから飲め! 飲んどけ!」
と言って優に無理やり酒を飲まそうと酒瓶を優の口に突っ込もうした
優は
バシ!
ドン! ビシャアアアアアアア!!
手を振り払い酒瓶が川野の手から落ちて零れた。
「……お前、やり過ぎだろ……こっちは好意でやってんのによ!」
川野は睨みながら言った。
優は目を合わせずに
「アルハラとかやめてもらえませんか? 迷惑です」
とだけ言った。
「本当だな、こんなバカな行為だけでどれだけの人が死んでると思ってるんだ? バカじゃねえの? 大人になれとか言ってお前が一番子供じゃねえか」
と尾貞も目を合わせずに言った。
それを聞いた川野は
「てめえら! ふざけんじゃねえ!」
と言って殴り掛かった。
先に尾貞が気づいて
「うわ!」
と咄嗟に避けることが出来た。
「フビイイ!!」
そして尾貞はそのまま転んだ。
「うん? どうしへびう!!」
優は気づくのが遅く振り返った瞬間
モロに頬に川野の拳が当たった。
「……ううう……いてえ……」
すると川野は
「お前らが悪いんだぞ、俺は友好的に接してるってのにそんな態度取るからだ」
と優を睨みつけながら言った。
すると周りも
「うん、今のはお前らが悪い、さすがにあの態度はないわ」
「ああ、もうちょっと言い方を考えろよ」
と川野を庇う言葉が出る。
尾貞はそれを見てお構いなしにスマホを取り出して
「もしもしポリスメン? 今友人が同窓会で暴行を受けました、至急お願いします」
と言った。
それを聞いた川野と皆は
「お前! 同窓会をぶち壊す気か!」
「そうだ! いくらなんでもやり過ぎだ!」
「サイテー!」
皆が怒る中2人は
「やべえ、面白くなってきた」
「ああ、尾貞! ナイス! このままやってみようぜ! ヒャハアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
と涙目になりながら優はテンションが上がった。
「お前らの大切な同窓会がどうなろうと知った事か! そしてもう電話は尾貞がした! つまりポリスメンが来るのは必須! お前らが開いた今日の同窓会は崩れるのさ! ざまああああああああああああああああああ!!」
「やべえ! 笑いが止まらねえ! んんんんんん! 何か無性にこういう場面って本当に清々しい気分になるぜ!」
と腹を抱えて2人は笑いだした。
するとそこへ
「お前ら、もう帰れ」
と1人のゴツイオッサンがやって来た。
「なんだよ~今いいところなのによ~! 邪魔すんじゃねえよ! このオッサンが!」
「そうだそうだ! 俺は今! 川野から暴行を受けたのは事実だ! アルハラも受けた! これは川野を犠牲にして同窓会を楽しむか、同窓会自体を消し去ってしまう瀬戸際を俺たちに見せておくれよ!」
と2人は笑いながら言った。
するとオッサンは
「警察には俺が元生徒の1人が酒に酔ってふざけて電話したと言っておこう、後はお前らがこの場を出て行けば解決だ……」
と言ってオッサンは2人の腕を引っ張った。
「なっ何なんだよ! オッサンが!」
「離せや! 生徒だと! てめえいったいなんなんだ!」
と2人は中指を立てながら言った。
それを見たオッサンは
「俺は酒本だ、お前らみたいな教え子がいるなんて恥ずかしくてならないよ」
そう言って2人を外に追い出した。
そして
「二度と来るな、お前らなんぞもう知らん」
と言って戻って行った。
「酒本? ああ、尾貞が稲刈りの干してるのを倒したのを知らずとはいえ、ヤンキーと共に俺のせいに決めつけたあの糞教師か、忘れもしないよ、すごく……殺したいです」
「おい! それを出すな! あの時は悪かったって!」
と尾貞は慌てて言った。
「いや、お前に対してはもう怒ってはない、どうせあの時は中学生だったんだから言い出せない空気を作った状態でもあったから俺の場合でも同じことをしただろうしそこはいいんだ……」
と優は別に怒らずに行った。
「え、だったらなんで?」
と尾貞は聞いた。
そして優は答えた。
「だってあいつは教師だろう? なのに俺がやってないって言ってんのにあいつは俺の話を聞かずに俺って決めつけたんだ、俺は取り敢えず証拠がないから風のせいにしていたがなのにあいつはお前がやったんだろ! としか言ってなかった、どんな状況かも聞かずにだ、しかも最後には怒るように言って無理やり俺がやった事にしたんだ、ほとんど誘導尋問だ、全く、警察だけでなく学校の教師もこんな有様とはな……呆れたもんだぜ」
「ああ、ドンマイ」
と尾貞は言った。
そして2人は
「これからどうする?」
「そうだな? どうしようか? 追い出されたし」
と迷っていた。
「帰ろうかな?」
「そうする? 何か寒いし」
そう言って2人は立ち上がった。
すると
「アレ? お2人ともどうしたんですか? 同窓会ではないんですか?」
と声がする方を見ると
そこには咲菜がいた。
「咲菜ああ!! 会いたかったよ!」
と言って優は咲菜に抱き着いた。
「あらあら、甘えん坊さんなんだから……ってどうしたんですか! その顔!」
と咲菜は優の頬の腫れに気づいて慌てて聞いた。
「あ、これ? 同窓会で殴られた」
と優は素直に答えた。
「どっどうして! 何があったんですか!」
と慌てて聞いた。
そして2人は事情を話すことにした。
「実はさ、同窓会には当然俺たちをいじめて惨めな成長を促した糞野郎もいたんだよ……」
「それでなんか大人なんだから何もかも水に流して仲良くしようだなんて糞みたいなことを言い出したんだ、あいつの青春のスパイスのために俺たちの青春は壊れたにもかかわらずになかったことにしようとしたんだ……」
「ひっ酷い……」
と咲菜は顔を歪ませた。
「それでムカつくから俺たち二人はそいつを無視してたんだ、いきなり聞いてもいない自慢話をされても聞き流して流そうとしたんだ、平和的に済ませようとしたんだ」
「それなのにあいつ、俺が酒を飲めないって言ったのにいきなり酒瓶を俺の口に入れて無理やり飲まそうとしたんだ」
「え! そんなことをしたら死んでしまう可能性だってあるんですよ! 急性アルコール中毒って本当に危険な行為ですよね! だから一気飲みをしないようにと注意されてるぐらいなのに!」
と咲菜は信じられないような顔をした。
「それでさあ、俺その手を振り払ったんだけどその勢いで酒が零れたんだ、でも俺アルハラはやめてくれって言ったんだよ」
「はい、それでいいと思います」
「で、俺も何が大人なんだよ、子どもみたいなことをしやがってって言ったらいきなり殴り掛かってさ、俺は咄嗟に気づいて避けたんだが……」
「俺は気づかなくて避けれずにあたった」
「それでその頬の腫れなんですね」
そして尾貞は
「それでさあ、俺ポリスメン呼んだんだよ、暴行行為があったからさあ、そしたら皆いきなり怒り出したんだよ……意味わかんないだろ? 人が殴られたんだぜ! そんなことがあっていいのかよ!」
「そうだそうだ! 俺たちは平和的にいただけなのにあいつ1人が勝手に騒いでこんなことをしたって言うのに、俺たちのせいにするんだぜ!」
「もう、呆れ果ててしまいますね」
珍しく怒っている様子の咲菜
それを見て優も
「そうなんだよ、怒るだろ? 俺たちもムカついてたし同窓会が潰れるのを見て少し楽しんでたんだけどさあ……いきなり酒本って教師が俺たちに全部責任を押し付けて同窓会から追い出したんだ、警察にも偽造しようとしてたし最低だよな」
「本当ですね、さすがにそれは許せませんね」
と咲菜も同じ意見のようだ」
「それでさあ、俺も昔俺のせいじゃないのに誘導尋問されて俺のせいにされたんだ」
「そっそんなことがあったんですか……」
「本当にあいつはヤンキーにしか興味ないのか? しかも俺のせいじゃないのに俺のせいにした後説教も垂れて来たし」
「マジかよ、酒本最低だな……」
そして2人は
「寒いしこれから帰ろうと思うんだけど咲菜はどうする?」
「……帰るんですか?」
「うん、そのつもりだけど?」
「警察はもう呼んだんですよね?」
「?? そうだけど?」
すると咲菜は
「だったらこのまま帰らずに待って警察に事情を話せばいいのでは?」
「「!! そうだった……」」
「そうですよ! 頬の腫れもあるんですし! それを証拠として言えば警察は動きますよ! それに殴ったのならその後もあるはずですし! どんなにその糞教師が偽証しようが関係ありません、それにもし偽証したらその教師も偽証罪に問われるはずですし!」
「成程! 素晴らしい考えだ! あ、でももし裁判になったら弁護代ってかなりかかるのでは?」
「大丈夫です! ここは私を頼ってください! 金ならある!」
「「なんてたくましい子なんだ!」」
2人は感心するように言った。
すると優は
「だがいいのか? こんなことで君のお金を利用するようですごく気が引けるんだが?」
「こんな時の為のお金です! こういう時は遠慮しないでください! これから家族になるんですから!」
それを聞いた優は
「おう! もうそこまでのことを考えているのか! さすがすぎて言葉もでねえ!」
と嬉しそうに言った。
それを聞いて
「そうですか、2人はもう結婚することが確定ですか……そうですか」
と2人の惚気にうんざりしたように言った。
「とにかく警察が来るまで待っとくか」
「そうだな、これで俺たちは勝てる! 絶対に!」
そう言って3人は警察が来るのを待った。
そして1時間後
「お待たせしました、被害にあったのはどなたでしょうか?」
「僕です」
「これは酷いですね、犯人は分かりますか?」
「はい」
「分かりました、では会場に案内してください」
そう言われて3人は警察を案内した。
そして
「こいつです、こいつに殴られました」
「成程」
「!!」
それを聞いた川野は
「言いがかりだ!」
と言った。
そして酒本は
「そうです! こいつは何もしていません!」
と言ったが
「それにしてはその殴った後は何かね?」
「そっそれは……」
「くう……」
と警察に言われて
2人は戸惑った。
そして警察官は
「まあ署で話し話聞かせてもらう、ついて来い、そっちの方も嘘をついたことについて話を聞かせてもらいます」
「わっわかりました」
「えっと被害者のあなた方にも状況を話してもらいますね」
「了解です」
そう言って優と尾貞はその場で事情を聴かれその後解放された。
そして
「終わった終わった! 最高の気分だぜ!」
「全くだ、言い事するといい気分になるってこのことだな!」
と2人が喜んでいると
「アンタたち、何同窓会潰してくれてんの?」
「そうよ! あんたらのせいでサイテーの同窓会になったんだけど!」
「川野と先生に悪いと思わないの!」
それを聞いた2人は
「「うん! 思わない!」」
と言って
そして優は続けて
「だってこっちが被害者だもん! 悪いのはあいつらだもん!」
「まあそうだな、暴行する奴が悪い!」
と言った
「だからって!」
「何がだからだ! 悪い奴が捕まるのは当然だろうがよ!」
そう言って2人は皆を黙らせた。
「とにかく、同窓会を潰したのは俺たちではなくてあの川野と先生だ! 勘違いしないでよね!」
「何でそこでツンデれのように言った?」
優の言葉にツッコみを尾貞は入れた。
「まあそういうことだからじゃあねえ!」
「ばはは~い!」
「えっと、それでは失礼します!」
そう言って3人は帰って行った。
「ああ! あいつももう終わりだな! だって昔一度逮捕されたって話だし! 川野一度少年院に言ったって噂があるし!」
「そういやそうだったな! ウケル~絶対にあいつの人生終わったな! 俺たちをいじめていた奴が苦しむ姿が目に浮かぶぜ!」
と2人は少し清々しそうにしていた。
「良かったですね」
それを見て嬉しそうに咲菜は言った。
その後川野どころか先生までも人生が終わってしまった。




