#01 神様、転生早々彼女は素直な性格が失われてます。どうしてくれるんですか。
3月22日、改稿しました。
ストーリーの大まかな変更はありませんのでスルーして頂いても大丈夫です。むしろ違いがわかった方は凄いです。
あと、ブックマーク件数が10件に!
ありがとうございます。
私は異端なんだろうな。と思います。
そう言えば、障害者なのか?と問われる方が多いのでしょう。
確かに。私は声帯を持ちながら、何故か神経が働かず声を出せない障害を持っています。お医者様もお手上げの原因不明の障害です。
しかしながら、そういう規模の話ではないのです。そして、私は障害を異端だとは思いません。それは個性であり、私も声が出ないことで救われたこともあります。
では、何が異端なのか。
これはしばらく過ごすうち、本を読み漁るうちに理解したのですが。人は生まれながら言葉を知ってはいません。言葉を放つどころか、計算も出来なければ文字を読むことすら出来ないらしいのです。
ところが、私は生まれながらにして言葉を知っていました。書くことは流石にできませんでしたが、絵本や新聞を見たとたんにすんなりと文字を理解できたのです。
生まれて一年。ようやく自分が普通じゃないと知りました。本当に声がでなくてよかった。
声が出てたら異端だと、両親に気味悪がられたかもしれない。天才児だと、脳科学者に売られて人体実験されたかもしれない。
考えただけで怖くて涙が出そうです。
……両親が酷いことをするような人じゃないことは、頭では理解しているんです。でも。どうしても、胎児時代からの悪夢のトラウマというのでしょうか? 過剰に怯えてしまいます。
そんなこと、両親に悟られる訳にはいきません。笑って隠しているつもりですが、バレていないか心配です。
他にもあります。
皆様は生まれたときのこと、母親のお腹に居たときのこと覚えていますか?
普通はもう覚えていないそうです。あれから4年以上経った今でも、私ははっきりと覚えているのに。
……忘れられる訳がありません。お腹の中にいるときからずっと、夢で見ているのだから。
その夢では、女の子が「忘れないで」と、繰り返し両親や女の子達に罵声を浴びせられながら殴られる様子を見せる。「いい? 泣いちゃダメ、迷惑かけちゃダメ。いつでも笑ってて。ね? 」と泣きそうな声で囁くんです。
これが現在の両親へや他人への恐怖心に繋がっています。
だって、お腹の中にいたときからですよ?
時がきた。と、流れに任せて外に出てみたら、体内で女の子を散々殴り続けた存在。母親という存在が笑っているんです。
そりゃ泣きますよね。私は顔を歪めて精一杯泣きました。
「怖いっ!来ないで!」
そう泣き叫びました。声は出ませんでしたが。今思うと、声が出なくて本当によかった。
長くなりましたが、結局何が言いたいのかと……
コンコン
っ!
「つぼみちゃん? 入ってもいいかしら? 」
……お、お母さま。ついに時が来てしまったのですか?
不安に駆られながらもとりあえず了承の意を込めて、チリン。と鈴を鳴らす。
「美琴さんとご子息がいらしたわ。つぼみちゃんはご挨拶、できるかしら? 」
一応コクリ、と頷いて置きますが。
先程の続きです。つまりは何が言いたいのかと言うとお母さま、この異端者に昨日の今日で初めてのお友だちデビューは無理です。
子供の心、親知らず。
私が頷くのを見て、お花のような可愛いらしい笑顔を咲かせたお母さま。そっと私を抱き上げると、玄関へ足取り軽く向かっていきます。
反対に私の気持ちは重いです。昨日の話によると、美琴さまは母の学生時代からのご友人だそうです。今のお仕事では、社長さんである美琴さまの秘書を母は勤めているのだとか。
だったら尚更失礼をしてしまわないか不安です。
せめて、一週間前くらいに知らせて欲しかったです。心のじゅんび……もとい、世間一般の4歳児の下調べをする期間が欲しかったです。今言っても仕方ないのですが。
「お待たせいたしました、美琴さん。この子が娘のつぼみですわ」
目の前には、深い緑色の綺麗な髪をしたTHEセレブって感じの美女さまと、同じ髪色の幼児。……う。緊張のあまり語彙力に欠けているきがします。
『こんにちは みことさま』
パラリとページを捲って
『つぼみです』
とにかく挨拶しなくては。最初に深くお辞儀をしてから、スケッチブックを恐る恐る提示。一般の4歳児の挨拶のレベルがよくわからないので、私なりに考えました。子供らしくできるかぎり簡潔に、最低限の礼儀を持ってを基準にいっぱい考えたんです。不器用な手で一生懸命書いたクレヨンの字。どうか、怒られませんように。
「あら。お可愛らしい。ごきげんよう、つぼみちゃん。大きな瞳や愛らしい口元がお母様によく似ているわ。きっと将来はお母様そっくりの美人さんね。そしてその淡い藤色の髪はお父様譲り、素敵だわ……」
私の心配をよそに、美琴さまは私を褒めて、褒めて、褒めまくる。お世辞だとわかっていますが、とても恥ずかしいです。
「ふふっ。よかったわね、つぼみちゃん。真琴くんもその寡黙なところは真人様そっくりですわ。聞きましたわ、もう漢字のある本を読めるんですって? 」
お母さまは美琴さまに自分が褒められているかのように嬉しそうです。かもく……我関せずで文庫本を読んでいるのが、かもく?かもくってそんな意味でしたっけ?お母さま?
「つぼみちゃん、紹介するわね。私の息子の真琴よ。仲良くしてね」
「……よろしく」
コクリ。手持ちのクレヨンが無いのでとりあえず頷きました。しかし、彼は仲良くする気は毛頭無さげです。本からそっと目線を上げて『よろしく』とだけ言うと本の世界にお帰りになられました。
「……真琴、つぼみちゃん。ママ達はお話しているから遊んでらっしゃい」
「つぼみちゃん、真琴くんに失礼のないようにね」
「わかった」
コクリ。
ひとしきり褒め合って、やっと玄関から移動するみたいです。
仲良くね。と指令を受け頷いたものの。よろしくする気のないお坊ちゃんに失礼のないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
ピンチです。
おひさしぶりです。
つぼみちゃんは知識はありますが、経験の記憶がないので常識はありません。
「なんか知らんけど、これ知ってる」
こんな感じです。
以上、就鳥でした。
閲覧感謝です。