第六幕:彼のいない二人の一日
1
「冬夜は休みか……」
「まぁ、昨日の様子じゃ無理もないかも」
朝の喧騒で賑わう教室、対馬と佐野はそんな会話を交わしていた。
時刻はもう間もなく朝のホームルームの始まる時間にさしかかろうとしていた。
しかし、この時間になっても冬夜の席は空っぽのままだった。
まぁ、恐らくは風邪をこじらせたのだろうと、二人の中ではそんな結論が出されていた。
インフルエンザじゃなければいいとか、二、三日で治るだろうとか、そんな風に話しているうちに担任の遠藤が教室にやってくる。
談笑をしていた生徒達も各々の席に戻り、いつもと変わらない朝の風景が始まる。
「ほら、さっさと席に着けー。……っと、やっぱり風邪引きが多いみたいだな。うちは四人が欠席か」
遠藤は出席を確認しながら出席簿にペンを走らせていく。
対馬はその言葉に気付かされて教室をぐるりと見回した。
なるほど、確かに今日は空席が目立つ。
冬夜を始めとして、教室の中にはぽつりぽつりと穴が開いているようだった。
「亜城、堂島、それに三上が欠席か。……あとは」
遠藤はそこで一旦言葉を止め、ジッとその空席を見据えた。
その視線に、対馬もつられて同じ方向を向いてしまう。
そこにはぽかんと穴の開いた空席が一つ。
確か、あの席は……。
「伊原も欠席、か……」
遠藤のその言葉はどこか含む意味合いが異なるようにも聞こえた。
自分に対して確認を深めているような、曖昧な事実を無理矢理呑み込んでいるような、そんな矛盾さえも感じさせる。
しかし、遠藤はぱたんと出席簿を閉じる。
そこに小さな溜め息があったことを、恐らくは誰も知らないだろう。
やがていつものように諸連絡がされ、間もなくホームルームは終了した。
授業が始まるまでもうあと五分くらいの余裕がある。
再び生徒達は談笑を始めたり、寒さからすでに机に突っ伏して寝てしまう者もいる。
対馬はただぼーっと、どこか焦点の合わないような視線でその景色を眺めていた。
だからすぐ真横に佐野が立っていることに気付くのに、やたらと時間がかかってしまったのかもしれない。
「ぼーっとして、圭一まで風邪?」
「……ん? いや、そうじゃねーけどさ」
頬杖着いていた肘を伸ばし、対馬はややだるそうに背を伸ばす。
教室内の気温は暖房で暖かくなっており、それが眠気を誘ったのか、わずかにあくびが漏れた。
「でもまぁ、ちょっとだるいのは確かだな」
「あんたはいっつもだるそうにしてるから、私には見分けがつかないんだけど……」
「そんなことはない。俺はいつも真面目だ」
「頭に不が足りない」
などと会話を繰り返しながらも、やはりどこか足が地面についていないような感覚を覚える。
それは振り払おうと思えば容易く振り払える霧のようで、しかし霧ゆえになかなか視界が晴れてこないかのよう。
対馬は最初、その妙な感覚は冬夜の心配からきているものだと思った。
事実、冬夜が風邪で学校を休んだことなど皆無に等しかった。
だから昨日から、体調が悪化している冬夜を見ているとどうにも危なっかしく感じてしまう。
……危なっかしい?
なんで、だ……?
対馬は自分で自分に問う。
ただ風邪を引いただけのことなのに、それが危ない?
……いや、違う。
危ないと思っているのは、もっと別のことだ。
そう、例えば。
風邪を引いて学校を休んだ、その後のこととか。
途端に対馬の記憶の中を、一つの映像がフラッシュバックする。
それは、まだ小学生の頃の記憶。
そうだ、あの日も確か、今日みたいな……。
ふと、窓の外に目を向ける。
雪は昨日の夜中で止んでいた。
今はただ、降り積もった真っ白な絨毯が世界中に広がっているだけ。
「……考えすぎ、だよな」
「何? なんか言った?」
「何でもねーよ」
ほどなくして、教科担当の教師がやってきた。
学校という日常の檻の中の一日が始まった。
対馬は最後にもう一度、窓の外に目を向ける。
あの日も確か、こんな風に降り続いた雪が突然止んだ日だったよな……。
そう、胸の奥で一言だけ呟いた。
2
昼休みの食堂は今日も多くの生徒達で賑わっていた。
食券の販売機の前には長い列が作られ、ぱっと見ただけでも十分以上は並ぶ覚悟が必要に見える。
そんなわけで、佐野は今日の昼食を売店で買ったパンで簡単に済ませることにした。
普段なら弁当を持参してくるのだが、今日は仕事の都合で朝から親がいないということをすっかり忘れていた。
長蛇の列を作る販売機の前に比べれば、売店は比較的すいていた。
菓子パンと惣菜パン、それに飲み物を買って佐野は食堂の奥の空席に腰掛けた。
「はぁ……」
理由もなく、ふいに溜め息が漏れた。
どうにも肩の辺りに重みがのしかかっているような感覚を覚えてしまう。
十六という歳でこんな感覚を覚えてしまうなんて、自分の精神年齢はきっと人生を折り返しているに違いないかもしれない。
とか何とか考えながら、パンの袋包みを破いた。
「あ、有紀ー」
と、ふいに自分の名前を呼ぶ声。
視線を巡らせて見ると、食堂の入り口付近に見知った顔を二つ見つけた。
同じクラスの友人、河内美樹と木村奈津だ。
佐野が二人の視線に気付くと、河内は何やらジェスチャーを送っている。
ああ、なるほど。
佐野は何となく意味を理解した。
昼休み、食堂はほぼ満席に近い状態になる。
つまるところ、席を確保してくれという意味合いのものだろう。
佐野はぐっと親指を立て、承諾の合図を送る。
すると二人は、胸の前で手を合わせて感謝の意を送ってきた。
数分ほどして、河内と木村の二人がやってきた。
河内はトレイの上にカレーを、木村はその手に小さな弁当箱を持っていた。
「ごめんごめん、助かったよー」
「ありがとね、有紀」
腰掛けながら、二人は口々にそう言った。
「いえいえ、お安い御用ですよ」
などと、佐野もちょっとふざけて言ってみる。
三人の輪の中に小さな笑いが起こり、にわかに騒がしさが増す。
「あれ? 有紀今日はお弁当じゃないんだ?」
弁当を持参している木村が言った。
もとよりこの三人は、こうしてよく食堂で一緒に昼食を食べる仲なのだ。
大体は三者それぞれが弁当を持参し、互いのおかずを突っつきあったりするのが定番なのだが。
「ちょっと今日、親が時間なくて。自分で作るには、起きた時間が遅かったの」
「ああ、そういえば有紀のお母さんって、雑誌の記者だったよね?」
「そっかー。お仕事とか結構大変そうだもんね」
佐野の母親、佐野和枝はフリーのルポライターだ。
記者と言えば聞こえはいいかもしれないが、実際はあまりそういうものでもないらしい。
もっとも、和枝の場合はこれまでに携わった経験も豊富で、様々な出版社にもそれなりに顔がきくらしい。
らしいというのは、佐野がまだ母親の仕事場にいる姿を目にしたことがほとんど皆無に等しかったからだ。
「まぁ、色々と大変なのは確かかも。その分結構いい記事を掴んだりしてるみたいだけどね」
「かっこいいよねー。ルポライターって、男の人のイメージしかなかったよ、私」
「うんうん。女の人でそういうのって、あんまり話聞かないよね。働く女って感じで、かっこいいよ」
どうやら母親は意外なところで人気を博しているようだった。
どうでもいいような話で盛り上がりながら、三人は昼休みを過ごしていた。
昼食を終えた生徒達は、大体こうして雑談を繰り返しているか、あるいはさっさとどこかへ出かけてしまうかだった。
佐野達は前者で、ほとんど毎日のようにこうして昼休みを消化している。
「ケホ……」
ふいに木村が咳き込んだ。
「あれ? 奈津も風邪気味?」
「あ、うん、ちょっとね。時々せきが出るようになっちゃって」
「そういえば、クラスでも結構休んでる人いたもんね。今日は四人だっけ? 多いよねー」
「毎年のことだけど、今年も性質の悪いやつなのかもね。奈津も気をつけたほういいよ」
「うん、ありがと」
佐野はふと思った。
今頃は、冬夜も布団の中で大人しくしているのだろうか。
昔は四十度近い熱を出しても遊び歩いていたことがあったけど、さすがに今はないと思う。
だけど、ああ見えてやせ我慢というか、本当のところを打ち明けない性格は今でも続いているわけで。
そのことを思うと、やっぱり少しだけ不安になってくる。
「有紀、どうしたの?」
「え? あ、何?」
呼びかけられて我に返るが、なんだかぎこちない感じで返事をしてしまう。
「何? 有紀も風邪気味なわけ?」
「え? 私は全然平気だよ。風邪引きなのは冬夜のほうで……」
そこまで言ってあっと思うが、時はすでに遅い。
「冬夜? ああ、亜城君のことか」
「そういえば亜城君も、今日休んでたっけ」
てっきり冷やかされるとばかり思っていた佐野は、二人のその反応にほっと胸を撫で下ろす。
「そういえばさ、昨日だっけ? 休み時間に亜城君、何か叫んでなかった? やめろ! とか」
「あ、それ私も聞いたよ。亜城君って、口数少なくて大人しいイメージだったから、ちょっと驚いたけど……」
二人が話している内容は、一日前のやり取りのことだった。
それ自体は別に、今となってはどうでもいいことなのだが、やはり佐野はあの冬夜の言葉に少しだけ、ほんの少しだけ悔しさがあった。
多分あれは、性格とかそういう簡単な問題じゃないのだろう。
まだお互いに幼かった頃の冬夜は、なんだかんだいっても結局最後には折れてくれた。
それはある意味で優しさでもあり、同時にやるせなさでもあったのかもしれない。
『わかんねーよ。俺はあいつじゃねーんだからな』
それは対馬の言葉だ。
その言葉は、多分正しい。
結局のところ、佐野達と冬夜は幼い頃から十年にも渡る付き合いがあっても、他人なのかもしれない。
佐野はそうは思っていない。
対馬だってそうだろう。
冬夜のことを親友と思っている。
だからこそ、迷いや悩みがあるなら打ち明けてほしいし、相談してほしいと思う。
それは確かに青臭いほどのものなのかもしれないけど、そういうものがあったっていいんじゃなかと思う。
だけど、冬夜は違うのだ。
多分冬夜は、常に自分という存在を一人として認識しているのだろう。
外見や建前ではどれだけ上手に取り繕って笑って見せても、肝心なところはいつも隠したまま。
まるで、自分の中にもう一つの人格を作り出し、うまく交代しているかのような。
それはもしかすると、冬夜なりの気遣いなのかもしれない。
面倒なことに巻き込みたくないとか、心配をかけたくないとか。
それは、分からなくもない。
だけど、分かりたいとも思えない。
もっと友達をあてにしてくれても、頼りにしてくれてもいいんじゃないかと思う。
その気持ちはきっと、対馬も同じなのだから。
それでも、冬夜はそうは思わないのだろう。
だって、その証拠に。
佐野も対馬も、未だに冬夜から…………。
「はぁ……」
佐野の口から溜め息が漏れる。
吐き出した空気はどんよりと重く、しかし肩にのしかかるような重みはなくならない。
「あ、そうそう。ちょっと変な話聞いたんだけど」
河内がやや身を乗り出して意気込む。
また変な噂話を仕入れてきたのかなと、佐野と木村は視線でわずかに苦笑した。
「今日さ、伊原さんも休んでるでしょ?」
「え、うん」
「それが、どうかしたわけ?」
河内は何度か周囲をちらちらを確認するように視線を向け、そして小声で言った。
「それなんだけど、どうやら行方不明って話だよ」
「な……」
「ちょ、ちょっと。美樹、それ本当なの?」
「絶対、とは言い切れないけど、私聞いちゃったの。さっき職員室に行ったときに、奥の方でそんな風に話してるのを」
「いきなり行方不明って、いくらなんでも……」
「……信じられないけど」
「私だってそうだけどさ……でもほら、伊原さんって確か、親元離れて一人暮らしって話だし」
「そういう話は、私も聞いたことあるけど……」
「で、でもさ、もし本当に行方不明だったら、もう警察沙汰になっててもおかしくないんじゃない?」
「逆だよ奈津。学校から見れば、そんな事件だと世間には騒がれたくないと思うもの。まだ警察に連絡さえいってないんじゃないかな」
いつの間にか三人の声はひそひそとしたものになり、話のムードも一転してクールダウンしていた。
それから場はシンと静まり返り、いくばくかの空白の時間が流れた。
だが木村は、おずおずとその口を開いた。
「……でもさ、もし、仮に伊原さんが行方不明だとしたらだよ?」
「……」
「……」
佐野も河内も口を開かない。
恐らく、三人とも同じことを考えていたのだろう。
たまたま口火を切ったのが木村だったというだけの話で。
「それって、やっぱり毎年の冬に起きる事件と、同じってことになるのかな……」
佐野も河内も答えられなかった。
頷くことも、否定することさえもできない。
しかしそれは、確かに当てはまる事実でもあったのだ。
もう、何年昔が始まりなのかさえも分からない。
その事件は、あるときから人々の間で囁かれるようになっていた。
――毎年、雪の降る季節になるとこの土地で誰かが消える。
それは読んで字のごとく、そのままの意味だ。
ただ厄介なのは、消えた誰かというのは、二度と見つからないということだ。
文字通り、消えてしまう。
どこに消えたか、それは誰にも分からない。
ただ一つ言えることは……。
――雪解けよりも早く、人は冬の中に姿を消す。
それはこの境という土地に、いつしか伝わるようになった話。
それは今の時代の日本では、連続失踪事件として扱われている。
だが、毎年のように人は姿を消すにもかかわらず、手がかりは一向に掴めない。
ただ、消えるだけ。
そこには事件性のようなものは全くなく、失踪者の間柄にも共通点などはない。
ゆえに、警察なども捜査のしようがない。
あるところでは、これは綿密に計画された事件であると言われ。
あるところでは、これは遥か昔から続く呪いであると言われ。
それらの真偽を誰一人として知ることはなく、ただ毎年のように誰かが消えていく。
前触れもなく。
予兆もなく。
そんな不可解極まりないものを、誰がどうして止めることができようか?
そして今、季節は冬。
この冬は、一体誰かが消え始めてから何度目の冬になるのだろう。
そんな中で、クラスメートの失踪事件が囁かれた。
その話の真偽は別として、そういう噂話が流れている時点で、想像は確信へと変わる。
予鈴が鳴り響いた。
一人また一人と、食堂の席を立っていく。
「……いこっか」
「そう、だね」
「うん……」
三人も同じく立ち上がり、食堂をあとにする。
このとき、全てはもう始まりを迎えていたのかもしれない……。
3
今日も一日という時間は何事もなく過ぎ去っていった。
対馬から言わせればそれは当たり前のことであって、もはや必然であるとも言える。
放課後、親しい友人のほとんどはすぐに帰宅する。
数人で集まり、帰りに駅前のアーケードまで出向くことはあったが、この寒い季節にはそうもいかないようだ。
だから今日は、珍しく一人で帰路についていた。
地面の雪は無数の足跡でがっちりと踏み固められ、それがかえって滑りやすくなっていて危なく感じる。
ポケットに両手を突っ込んだまま歩いている対馬では、転倒の際に手を突くことは難しいだろう。
帰り際に冬夜の見舞いにでも伺おうかとも思ったが、それで風邪をうつされたりしたら元も子もないのでやめておいた。
学校には連絡もあったことだし、恐らく叔父の巽も家にいるのだろう。
時間はちょうど午後の四時になっていた。
これといって帰宅してもすることがない対馬は、一人で駅前の方へ足を伸ばしていく。
もう間もなく冬休みを迎えるわけだが、そもそも一年の大半が寒空の下であるこの境の土地では、何か休みとしてのありがたみを感じられない。
そういえば今年は寝正月で過ごしていたような気もする。
それはそれでもったいないような気もするのだが。
「本屋でも寄ってくかな……」
時間を潰せて、なおかつ寒さから逃れるには立ち読みが一番だと対馬は考える。
ネットカフェの一つでもあればいいのにと思うが、あいにくまだそういう店は構えられていない。
アーケードに入り、中ほどにある書店を目指す。
夕方のこの時間はさすがに人が多く、多くの人が買い物袋などを手に抱えていた。
対馬は人の波を掻き分けながら書店へと入る。
特に読みたい雑誌はないのだが、適当なマンガ週刊誌を持ってぱらぱらとページを捲り始める。
店の中は思ったとおり暖房が効いており、マフラーを巻いた首が少し熱を持ってかゆみを覚えた。
店内にはゆったりとした感じのジャズの音楽がかかっていた。
なんという曲かは知らないが、雑誌を読みふけっていてもしっかりと頭の奥に伝わる曲だ。
これを選曲したのは店員だろうか?
そうだとしたら、なかなかセンスがいいものだと対馬は思った。
緩やかに、しかし確実に時間は流れ、気がつけば対馬は雑誌をまるまる一冊読み終えていた。
時間としては三十分ほどしか経っていないが、立ち読みのせいもあってやや肩が疲れたような気がする。
まだ帰宅するには早い時間だが、かといって寒空の下をあてもなく歩き回るのもどうかと思う。
そう思い、手近にあった別の雑誌に手を伸ばして。
「……あ?」
ふと、目の前のガラスの向こう側を何かが通り過ぎた。
いや、それはアーケードの通りに面しているガラスなので、それは間違いなく通行人の姿なのだろうが。
「今のは……」
ガラス窓を食い入るように見つめた数瞬の後、対馬は店の外に出た。
アーケードに出て、急いで左右に目を配らせる。
しかし、どこにもその後姿を見受けることはできなかった。
「気のせいか……?」
対馬はしばし、その場で棒のよう立ち尽くした。
やはり見間違いだったのだろうか。
まぁ、恐らくはそうなのだろう。
なぜなら、その見かけたと思った後姿の人物は、今頃風邪薬を飲んで布団の中で寝息を立てているはずなのだから。
対馬は改めて、外気の肌寒さにぶるっと身を振るわせた。
年が暮れるに連れ、気温もますます冷え込んでいる。
これは寄り道などせず、大人しく帰った方がよかったかもしれない。
そう思い、対馬は足早にアーケードの出口に向かって歩き出した。
家までの道のりは、まだもう少しかかる。
そうしてまたポケットの中に両手を突っ込み、白い息を吐きながら歩く。
だから、対馬は気がついていなかった。
対馬の歩く方向とは反対の方向。
それは、見間違えたあの後姿が去っていったと思った方向。
そこに、彼は確かに居た。
背中合わせで遠ざかる距離。
お互いに気付かずに、離れていく。
一つは家路に。
もう一つは、間もなく訪れるであろう夜の中。
此処ではない、何処か別の世界に。
その手に、銀色の刃を握って……。
こんにちは、お久しぶりになります。
作者のやくもです。
年明けから少しバタついてしまい、更新が遅れてしまいました。
もしかしたらいるかもしれない、楽しみにしていてくれた方々にあらためてお詫び申し上げます。
まだ少し色々とやることが残っていて、更新がやや遅くなることもあるかもしれませんが、できれば暖かい目で見てやってください。
それでは今回はこの辺で。
風邪など引かないように、お互い過ごしていければと思います。