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その51

「やっぱりさ、何か名前付けないとな、これ」


 パシュン


「そうよねー。お兄様は何かいい案は無いの?」


 パシュン


「うーん……。雷、落雷、稲妻。何かカッコいいのにしたいよな。シラユキも何か……、何いじけてるんだ?」


 雷の矢で木に焦げ跡を作りまくる兄様と姉様。いじけもするよ……




 三日も経つと、兄様姉様も詠唱破棄でがんがん撃てる様になってしまった。

 これ多分この世界で初めて発見された新魔法だよ!? 軽く使いこなさないでよ!!!


 父様に至ってはもう完全に落雷そのものだった。音が凄いから防御しろよー、と、軽く大きめの木を丸焦げにしていた。


 私の事天才天才言ってるくせに、自分たちはそれ以上の天才だって言う事を自覚して欲しい。

 まあ、家族の自慢できる所がまた増えただけなので、そこまで悔しくも無いのだが……






「これって、地面に吸収されるんだな。土壁の生成が一瞬でできる種族になら防がれそうだが……。いや、見てから防御は間に合わないなこれ。弾速が速過ぎる」


 ああ、土竜族だっけ? 確かもぐらの獣人だ。

 地面の下、地下に穴を掘り、住居を作っているんだっけ。人前には滅多に顔を出さない種族。これも人魚族と同じで、本の挿絵でしか見た事は無いね。


「撃った瞬間には当たってるって、反則よね。でも威力上げるとちょっとした溜めが必要だし、もしかしたらその間に作られちゃうかもね」


「いやいや、まずは弱いの一発当てて怯ませればいいんだよ。一対一ならもう俺たちに敵う奴っていないんじゃないか? ちょっとこれ強すぎるだろ……」


 やめてー……。私の作った魔法で戦う話しないでー……。さらにヘコむわー



「一応、金属に引き寄せられる、高い所に落ちるっていう性質はあるよ。水でも防げちゃう。あんまり威力上げても、足から地面に流れて行っちゃう事もありそうだね。あ、地面に剣を突き立てたら多分無傷で防げるよ」


「そうなのか? この雷の矢程度じゃ剣か胸当てに吸収されちまうのか」


「うん? それって逆に当てやすいって事じゃない?」


 え? あ、そうか! 軽く狙いつけて撃てば自動的に剣に当たるのか……


「そうかも。広範囲にばら撒ければ多分、吸収とか関係ないと思う。後、電気、じゃない、雷に弱い? 耐性が低め? の人は軽い威力でも心臓が止まっちゃうんだったかな」


「何だよそれ!! 心臓を止める!?」


 私も自分で言ってびっくりだよ。電気って、身近にありすぎて分からなかったけど、かなり怖いね。


「え? 即死魔法なのこれ? ちょ、ちょっとシラユキ? そういう大事な事はもっと先に……」


 即死魔法!? そういうのもあるのか……。無いわ。 


「大丈夫、そんな人滅多にいないから。と言うかいるのかな? 逆に止まった心臓を無理矢理動かす、とかもできると思うよ。一時的だけどね」


「無茶苦茶な話だな……。後でまとめておいてくれよ、分かる範囲でいいからさ」


 どれくらいの出力が必要かは分からないけど、AED的なこともできるようになるかもしれないね。


「その矢くらいならいいと思うけど、あんまり使わないほうがいいのかも? 私は多少性質を知ってるし、自分には効かない様にできるからいいんだけど、それ、自爆したら多分終わりだよ。でん、雷っていろいろな物に流れやすいから」


「なるほどなあ、使いこなせるのは、性質を理解してるシラユキか、父さんくらいか」


「母様もね。私たちはここまでにしておいた方がいいのかも」


 できたらそうして欲しい。別に私だけの魔法にしたいわけじゃないよ?

 私の作った、考えた魔法で、家族にもしもの事が会ったら……




「ねえ? シラユキ。きょ、今日は何でそんなに暗いの?」


 私の態度をスルーするのに限界が来たのか、姉様がちょっと心配そうに聞いてくる。


「何か淡々と話してるんだよな。ほら、そんな所でいじけてないでこっち来いって」


 私まだ雷の矢作れないのよ……。大雑把な方向に放電させる事はできるんだけどね。完全に前方無差別魔法だよ。


「姫様がご自分で考え、作り上げた魔法を、お二人にあっさりと真似されて、いえ、姫様以上に使いこなしてしまっていますね。そこに拗ねてしまっているのではないかと。拗ねる姫様も可愛らしいです」


 笑顔で説明を入れるシアさん。

 表情を読まれたのか、それとも私の考えを理解しきっているのか、相変わらず正確に私の心境を言い当ててくるなあ……


「馬鹿だな。そんなにあっさり俺たちと同じ様に使えるわけ無いだろ? まずは小さな火の矢とか試してみるもんだよ」


「今の私たちでもこれ、結構難しいのよ? もっと段階を踏んでいかないと……」


「へ? そうなの?」


「まずは魔法で矢を作るっていうイメージの慣れが必要でしょ? いきなりこんな、桁外れの難易度の魔法でできる訳無いわよ」


 あ、そうなんだ。まずは火の矢か……、火の矢ねえ……


「火はこわーい……。前に使ったらなんでか知らないけど、的に当たった瞬間大爆発したし……」


 あれは怖かったわ。小さな火の矢を作って、飛ばしてみたら爆発だもんね。近くにいた兄様ちょっと焦げたし……、ちょっと漏らしちゃったし……。完全にトラウマ。


「ああ、あれね、あれは凄かったわ。あれは圧縮しすぎって教えたでしょ? どうやったらあんな小さな矢に圧縮できるのか不思議でしょうがないわ」



 多分爆弾でもイメージしちゃったんだろう。いや、ミサイルか? 火を矢の形状に固めて飛ばす、っていうのがそもそもの間違いなのよ。

 火を飛ばすイメージは、放射状に出し続けるか、炎の塊をそのまま投げるくらいしか思い浮かばないのよ。

 火炎放射とファイアボールか。まんま攻撃魔法だねぇ……。あれ? ファイアボール? 何かちょっと引っかかるな……

 ファイアボールって……



「そんな座り方してるとパンツみえるぞ?」


「え? きゃあ!」


 兄様の言葉に勢いよく立ち上がる。

 しまったああ! ミニスカートで体育座りしてた! あれ? パンツ?


「スパッツだったよ! もう! 兄様のエッチ!」


 スパッツ穿いててもスカートの中を見られることは恥ずかしいんだが。お風呂で裸を見られたりはしてるけど、それはそれ、これはこれ、だ。


「お? やっと元気でたな。そうやって元気でいてくれよ」


「そうよ? シラユキに元気がないと、私たちも辛いわ」


 あ、わざとか。いけないいけない、家族の前で暗い顔なんてしちゃ駄目だ!


「ごめんね? ちょっと悩んでちゃってた。やっぱり攻撃魔法って怖いよ」


「大爆発起こしたり、雷で即死させるような魔法じゃなくてもいいんだよ。風で吹っ飛ばしたり、炎で怯ませたり、やり方は色々あるだろ?」


「戦うっていう事自体して欲しくないしね。逃げに専念する魔法を主に覚えていけばいいかしら?」


 逃げに専念? 雷の矢を当てて、怯んでる隙に逃げるとかかな?


「一対一ならな。多対一だったり、どうしても逃げられない時は、やるしかないんだぞ、って泣くなよ?」


「怖いけど泣かないよ。そうだね、頑張らないとね……」


 私も戦う時って来るんだろうか。姉様は今まで実際に、命のやり取りのような事はした事は無いみたいだけど……

 私も成人して、国の外に出たくなったら、そのときは戦う力は絶対に必要だよね。




「あのー、ちょっといいかなー?」


「ふ、フラン!? また口挟んで!!」


 また急に話しかけてきたフランさんに、メアさんが驚いて注意する。

 もっと話しかけてきてもいいって、毎回言ってるのになー


「まあまあ、いいからいいから。あのね、お二人とも、シラユキ、まだ十二よ?」


「あ」「あ」「あ」


 しーん……




「そうだよ! こいつまだ子供だよ!? なんでこんな強力な魔法使わせてるんだよ!?」


「戦う事前提にしてた! 私だって実戦なんて未経験なのに!!」


 二人とも今気づきました、っていう反応だね。私もそうなんだけど。


「そ、そうだね、十二で戦うとか無いよ……。でも姉様、あれ、ほぼ実戦だよ?」


 あれ、とはいつもの撃ち合いね。


「ぶっちゃけ私がいれば、本気で一生安全です。国の外だろうが、どこであろうが」


「シア、ぶっちゃけちゃ駄目! ここ最近のやりとりが全部台無しだよ!!」


 十二歳で戦い方なんて知らなくても、習おうとしなくてもいいよね。父様だって最低限身を守る魔法って言ってたじゃないか。

 それに、シアさんがいてくれる。危険なんて無いよね!!






「もうこうなったら、父さんクラスの実力目指そうぜ? 目指すは最強か」


「嫌だよ! 歩く災害にはなりたくないよ!!」


「歩く災害……、言い得て妙ね。でも、シラユキならなれちゃうんじゃないかな? ふふふ」




 とりあえず、もっと速く走れるようになろう。後は、何でも防げるような防御魔法かな。


 攻撃魔法はもういいや!




裏話をまた一話追加しました。同じ時間の投稿です。何故か向こうも毎日更新になってるぞ・・・

疑問質問を毎日頂ければ毎日更新になるかもしれませんね。大変だ!


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