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その46

「ねえ、三人とも。ちょっと聞いてもいいかな?」


 疑問は聞いて解決するに限る。メイドさんズに聞くことにしよう。


「ん? どうしたの、姫」


「え? 何? この前の続き、聞きたくなっちゃった?」


「はい。何なりとどうぞ。フランのお話はその後聞きましょうか」


「聞かないよ!?」


 ホントはちょっと聞きたいんだけどさ、十歳にはまだ早いよ……






「我侭ってどう言ったらいいの?」


「ど、どうって……、姫?」


 どこまでが我侭になるんだろう? 大抵のお願いは聞いてもらえちゃうしなー


「簡単よ。やりたい事、欲しい物を遠慮しないで言えばいいのよ」


 おお、さすがフランさんだ。旦那さんの前では我侭言ってたりするのかもしれない。


「聞き入れられない場合でも、諦めずに何度も言ってみたり、ですかね」


 なるほどなるほど。



「それで、何て言えばいいかな?」


「駄目だこの子、根本的にズレちゃってるよ。シラユキのやりたい事、欲しい物だってば」


 あ、そうだよね、あはは。

 やりたい事……、欲しい物……。


「う、う? うーん……」


「え? もしかして、無い?」


「いやいや、さすがに何かあるでしょ」


「何でも言ってくださいね」


 あ、あれ? 特に無いぞ……?



「どうしよう……、無い、かも……」


「えー!? な、何かあるでしょ? してみたいけど危険な事とか、食べてみたいけど高いものとかさ。ああ、逆にまずい物を残したいとか、今まで無かった?」


「危険な事なんてしたくないよ。食べ物だって毎日おいしいものばかりだし……」


 考えてみたら本当に無い。跳躍魔法は本当に危険だから我慢以前の問題だし、食べたい物と言われても……、苺くらいか?


「甘やかされすぎてそれが普通になっちゃってるとか?」


 はっ! それか! うわ! まずいよそれ!

 このまま外に出たら、私って超我侭姫なんじゃ……



「甘える甘やかすを抜きとして、姫様が私たちに我侭を言った事、あります?」


「そりゃあ、あるんじゃない? 例えばさ……。……? フラン、ある?」


「ちょっとまって思い出す……。……? レン、ある?」


「ありませんね」


 即答!? メアさんもフランさんも無いの!?


「わ、私って、我侭放題のお姫様じゃなかったの? ちょ、ちょっと待って! 私も何か思い出してみるから!」


 何か、何かあるはずよ。我侭を我侭と感じないほどに甘やかされてたのよきっと……




 魔法を覚えたいって言った時はどうだったかな。五歳だったよね。

 ああ、父様と姉様が、簡単な物一つだけならいいって教えてくれたんだっけ。超便利魔法ライトボールだ。

 確か、魔法なんて使えなくてもよくね? って言う流れになっちゃって、十歳からでもいいから教えて欲しいってお願いしたんだよね。それで一つだけは教えてもらえたんだった。


 あれ? 元々父様が一つだけなら教えるって話だったかな? こ、これは我侭じゃないのか……



 つ、次! そうだ! しつこく冒険者と冒険者ギルドの事聞いてたじゃない。これは我侭だよ!


「あった! あったよ我侭!」


「そんなに考え込まないと出てこないんだね……。それで?」


 あれ、反応が……? この話、すでに飽きられてる!?


「冒険者に会ってみたいとか、冒険者ギルド行ってみたいって、何回も言ってたよ、ね?」


 ふ、不安になってきた……。これが我侭じゃないとか言われたら、もう無いよ……


「あー、確かに言ってたね。姫って冒険者に憧れを持ってたんだっけ?」


「憧れというか……、何かさ、カッコいいイメージがあったんだ。ロマンを、冒険を追い求める者、みたいな感じでね?」


 実際のところは、家も家族も無い、その日を必死に生きてる人たちだったんだが……


「そういえば、大泣きして帰って来てたよねー」


 それは忘れて!!


「でも、そんなに言ってたっけ? 我侭って言うほどさ」


「え?」


「そうですね、我侭と言える程何度もせがんでいた覚えはありませんね」


「だよねー。シラユキってさ、相手の事を思いやりすぎてた子だったからね。遠慮気味と言うか、一回駄目って言われたら、次に話題に上るまで自分から言い出した事って無いんじゃない?」


「ああ! そんな感じよね。思い出したかの様に自然に言ってたのかも。多分実際思い出したから言ってみた、とかなんじゃないの?」


 これも我侭じゃなかった! むしろ遠慮してると思われてた!!

 あっれー、おかしいな……






「ふふ。ホントにいい子だよね、この子。私もこんな子供欲しいな……。エッチはあんまり好きじゃないんだけどね、頑張ってみようかな」


 フランさんに抱きしめられる。何かいつにも増して優しい抱きしめ方……

 何か凄いこと言ってる、けど、フランさんはエロフじゃなかったのか!!!


「あれ? フランって前に好きって言ってなかった?」


「うん。口でしてあげるのは好きなのよ。挿れられるのはちょっとね。何か、あんまり気持ちよくなれないし」


「そうなんだ? 私はまだだから分かんないなー。相手もいないしね……」


 や、やはりエロフだった! 私の前でそういう話やめてよう……


「二人とも姫様の前で……」


「え? あ! シラユキ真っ赤になってる。可愛いわー、ホント」


「姫も意味は分かるんでしょ? こういう話、慣れておいた方がいいって」


 ガールズトークってやつだよね。分かってるんだよ。私だって、その、大人になれば、その、ごにょごにょ……


「姫様にはまだまだ早いと思いますよ。五十程になってからでも遅くは無いです。興味を持たせすぎてしまって。その、そういう事を始められでもしたら……」


 そ、そういう事って何!?

 ふう……、確か、五十歳くらいで初潮くるんだよね。ホントにのんびりとした種族だよ。


 うーん、エッチか。私は父様か兄様とすることになるのかな……。 !? な、何考えてるんだ私はー!!


「レンも実はこういう話好きなんだよね」


「ええ!?」


「ちょ、ちょっと、フラン!」


 い、意外すぎる! シアさんはそういう事と縁の無さそうな人に見えるのに! 可愛い女の子とならいくらでもありそうに見えるが……


「ユーフェネリア様も入れて四人で結構話してるんだよ? 姫も早く参加できるといいね」


 あ、それはちょっと羨ましいな。でもこういう話はねぇ……


「やっぱりまだ恥ずかしいよ……。でも、うん、興味は、あるかな」


「姫様!? いけません! 姫様はいつまでも清いままでいてください!!!」


「固い事言わない。姫って好きな人、とか、考えたりしないの?」


「えっ! 好きな人?」


「え? 姫様のお好きな方、ですか?」


「いるよね、シラユキ?」


「えっ! えっ!?」


 私の好きな人? え? フランさんの様子からするといるのかな。え? 自分で気づいてない?


「だっ、誰ですか! 姫様!!」


「だっ、誰なの!? フランさん!!」


「誰だと思う? メア?」


 何この伝言ゲーム。



「何で私? ま、いいか。ルーディン様じゃないの?」


「へ? ルー兄様? ルー兄様は兄様だよ?」


 兄様のことはそれは、好きだよ。大好きと言ってもいいね。でもそれって家族としてじゃない? さすがに異性としてなん、て……


 私ハイエルフじゃん! さっきも考えたじゃん! 身内恋愛OK、と言うか推奨の種族だよ!!


「だよねー。シラユキのルード様見る目って、恋する乙女の目だよね」


「うんうん。将来はユーネ様と取り合いになるの? それとも三人で仲良く?」


「ああ、よかった……。ルーディン様でしたら安心してお任せできますね」



 姉様と兄様を取り合う? それは嫌だな。恋する乙女の目? そんな目で兄様のこと見てたんだ私……。いや、好きだけどさー、大好きだけどさー……

 私は兄様が好き。兄様は姉様が好き。姉様は兄様が好き。私お邪魔じゃないかなー。でも、兄様の事だから、二人とも愛してくれそうだよね。姉様が正妻、私が愛人、とかね。


 でも異性として好きとか自分じゃ分からないね。確かに兄様は、強いし、カッコいいし、優しいし、実は頭もいいし……。完璧超人? おっぱい星人はマイナス要素か。

 兄様姉様はいつもラブラブでいいよね。私もあんな風に兄様と見つめ合ったりしたら……






「シラユキってお兄様の事、好きだったのね……」


 !?


「ユー姉様!?」


 い、いつのまに!? き、聞かれちゃった? どどどどどうしよう……


「何慌ててるの? 結構前からいたんだけど……。フランが口でするのは好き、とか言ってる辺りから」


 それっていつから!? 結構最初の方だっていうのは分かる。全部聞かれてるー!!!


「私は口でするのはあんまり好きじゃないのよね。お兄様のでもね。でもしてくれって言われると、断れないのよねー」


 ひゃあ! 姉様まで! このエロフどもめ!! そんないい笑顔で言っても説得力無いよ!


「それで、どう? お兄様の事、好きになっちゃった?」


「しゅ、修羅場よ!」


「フラン! 下がりなさいって! こういう話好きなんだから、もう……」



「うーん……、よく分かんない。ルー兄様のことは好きだけど、それは家族としてなんじゃないのかな」


「ふふ。まだそれでいいんじゃない? まだ十歳なんだし。子供を産める体になってからでも遅くは無いわ。成人してもしょ、こほん。男性経験のない人の方が多いのよ?」


 何か、姉様、普通だな……。いつも通りというか、全く動揺すらしていないね。


「私がルー兄様のこと好きになっちゃったら、ユー姉様、怒らないの? 嫌じゃないの?」


「え? どうして!? あれ? もしかして私のこと嫌い!? ちょ、ちょっとそれは、ええ!?」 


「まままま待って! 落ち着いて! 大丈夫! 私、ユー姉様のこと大好きだよ!」


「あー……、焦ったわ。このまえの飛び降り未遂以上に焦ったわ……。あら、涙が」


 半泣きだよ。私に嫌われてるかも、という事の方が重要なのか?



「お兄様を好きになってもいいと思うわよ? いいじゃない、三人で恋人同士っていうのも。一人の男性に恋人は一人だけ、なんて決まりは無いのよ?」


 さすが姉様だ……。私はまだ人間としての考えが抜けてないよね。

 いや、エルフでも普通一人には一人だろう。ハイエルフだけの考え方、でもないよね? ハイエロフの考え方か!!


「お兄様も私もシラユキも、みんな好き同士ならいいのよ? 私はもう兄様以外とは絶対にしないんだけど、シラユキはお父様とだってしてもいいのよ?」


「と、父様と? さ、さすがに……」


「一緒にお風呂入ってれば、自然とそうなっちゃうと思うけどね。私とお兄様もそうだったし」


「え? え?」


「私、初潮来てすぐお兄様に襲われたのよ? まだ五十前だったかな」


「え? わ、わ! や、やめ」


「私が生まれてからはずっと誰ともしてなかったみたいだしね。私がもうできる体と分かった時にはもう、凄かったわ……」


「や、やめてー……」


「あ、でも勘違いしないでね? 私もずっとお兄様としたかったんだからね? 誘ったのは私からだし。ああ、思い出したらお兄様としたくなってきちゃった……」


「はぅぅ……」


「初めての時の事、聞きたい? ホントに凄かったのよお兄様」


「あ、あの……。ユーフェネリア様、その辺りで。姫様が倒れてしまいそうです」


「あ! ご、ごめんね? シラユキにはまだちょっとだけ早かったかな? でも後四十年くらいよね。その時になったら、お兄様に優しくしてもらいなさいね?」


 ルー兄様、に、優しく、して、もら、う?






「よ……四人ともエロフよ!!!」


「あら、嬉しい」


「うん。ありがと」


「わ、私も?」


「ありがとうございます」


「あれえ!?」




「姫様、エロフは普通に褒め言葉ですよ? 女性らしい、素敵な、魅力的な、エルフ。といった意味ですね」


「褒め言葉!? い、いやらしいって意味じゃないの!?」


「エルフの女性にいやらしいは褒め言葉よ?」


「それは嘘だっ!!!」






エロフは……、褒め言葉だ!!


こんな会話をさせるつもりは全く無かったのに、どうしてこうなった!


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