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その44

 今日は読書メイン。エルフ以外の種族については、これで一通りは読み終わったかな。人間以外に人と呼ばれる種族が他にあるのはさすがに異世界だね。こういう本を読むだけでもかなりの面白さがある。


 この世界の、人と呼ばれている種族を簡単にまとめてみよう。



 特に何の特徴もないのが特徴の、人間。


 色々な種の動物の特徴を体に持っている、獣人。


 美形が多く、耳が長い。魔法が得意な種族の、エルフ。


 外見はエルフと同じだが、魔法能力を含め、全ての能力が高いと言われている、エルフの王族、ハイエルフ。


 頭に角、背には出し入れ可能な翼を持つ。魔法の行使は不可能らしいが、個人個人全てに特殊な能力があり、さらには巨大なドラゴンに姿を変えることができるという、竜人。


 その他、ゴブリン、オーガ等、理性ある人型の種族は人として扱われている。



 獣人と一括りにしてあるが、種は様々。動物的な特徴を持つ種は全て獣人と呼ばれている。人魚や有翼人などがそうだ。


 さらに精霊と呼ばれる種族もいるそうだが、根本的な考え方が人とは違うらしく、意思の疎通は難しいらしい。



 数の違いはあるけれど、特に人種の差別も無く、種族間の争いなどは無いみたいだ。

 たぶん昔はあったんだと思うけど、まあ、どっちかが滅んで終わってるよね。もしかしたら昔は、他にも種族分けされている種があったのかもしれない。


 一番数の多いのはやっぱり人間かな、その次は獣人、獣人は全ての種を含めての話だが。エルフは多分三番目。世界中のどこの町でも見かけるが、やはり数はそこまで多くはないらしい。

 後の種は町中では滅多に見かけることは無く、多分自分たちの種族の住処から出てくることがないんだろうと思う。






 この中で気になるのは、やっぱり竜人だろうか。



「シアさんは竜人の人に会った事はあるの?」


「ええ、ありますよ。冒険者時代に何度か会った事がある程度で、友人と呼べるような方はいませんでしたね」


「やっぱり数が少ないんだ? 私たちくらい?」


「いえ、ハイエルフに比べればはるかに多いですよ。竜人たちは、自分たちの集落から滅多に出る事がないだけなんです」


 なるほど、やはり引き篭もり種族か。他種族とあまり交流を持たないのかな。

 それでも冒険者になっている人もいるらしいし、竜人でもそれぞれ考え方の違いがある人もいるんだろう。

 詳しく聞こうとするなら、竜人の人本人に聞くしか無さそうだ。


「俺は一度だけ見た事はあるな。見ただけで話してはいないんだが」


「冒険者の人なのかな? 町で、だよね」


「ああ、角も目立たないし、外見は人間と同じだな。もしかしたら、知らずにすれ違った事もあるかもしれないな」


 なるほどね、尻尾があるなら判りやすいと思うんだけど。



 あ、尻尾。忘れてた。


「町に行ったとき、獣人の人何人も見たんだけどね? 尻尾がみんな見えなかったんだけど、あるんだよね? 本にも書いてあったし」


 あれから何度か町に行っている。獣人の人たちと話すことは、まだできいてはいないのだ。

 獣人の人とすれ違うたびにお尻、と言うか腰の辺りを観察してみてはいるんだけどね。今のところ一人も尻尾をフリフリさせてるような人はいなかった。


「もちろんありますよ。ですが、普段は服の中に隠している事が殆どですね。町中でも外でも、出している人はいないと思いますよ」


 よかった、ちゃんと尻尾はある様だ、服の中に隠してるんだね。でも、どうして?


「そうなんだ? 見てみたかったなー。それにも何か理由はあるの?」


「考えてみろって、邪魔だろ尻尾なんて。すれ違う時に相手に当たったりとか、地面に座ってたら踏まれるとか、戦闘時なんか特にな。掴まれでもしたらそこで動けなくなって終わりだろ」


「獣人の冒険者の中には邪魔だから、と自分で切り落としてしまう人もいるんですよ。相当な激痛らしいですが、私たちにはどうやっても分かりませんね」


「え、えー……、もったいない」


 ゆ、夢が無いな……。種族の特徴である尻尾が、邪魔な物でしかないなんて……

 あ、エルフの耳もそうなのかな? 音が少しだけよく聞こえる、っていうくらいだよね。

 現実はホントに夢が無い……




「こうして比べてみるとさ、エルフが優遇されてる、って言うのかな、何か、うーん……。うまく言えないや」


「個人個人で見るとそうなのかもな。でもエルフはそこまで数が多くないからなぁ。リーフエンドが最強の国って言われてるのも、ここにエルフが多く集まっているからだろ? 全体で見れば狭い範囲での事さ」


 あー、そうなのかな。攻め入られても負けることはまず無いが、こちらから攻め込んでいく人もいないのか。


「この国が最強と言われる理由は他にもいくつかありますが、姫様がお知りになるには少し早いですね。できましたらその辺りで……」


「おっと。ちょっと話題が悪かったな。シラユキはこんな事考えなくてもいいからな?」


「う、うん。戦争とか、考えたくもないね……」


 それでも七百年くらい前には戦争があったんだよね。関連の本は全部仕舞われてしまってるんだけど……



「強さで言うなら竜人だってそうじゃないか? 魔法が一切使えないって言うけど、空飛んだり、ブレス吐いたり、個別で能力を持ってたりするんだろ?」


「確かに強めの種族ですね。身体能力は群を抜いてます。ですが、やはり魔法が使えないというペナルティは相当な重さですよ。能力だけで補え切れるものでは無いかと思います」


「変身できるんじゃないの? ドラゴンとか凄く強そうだよ?」


 巨大なドラゴンに比べたら、人なんて蟻の様なものなんじゃないのかな。


「あ、ああ。やっぱり可愛いなシラユキは」


「ええ、本当に可愛らしい。まだ絵本の物語を信じているんですね」


「え!? 私何かおかしい事言った?」


 え? ドラゴンって強いんじゃないの? 強いモンスターの代表格じゃないの?


「確かに攻撃能力は高いでしょうね。ですが、大きいことがそのまま強さに繋がる訳ではありませんよ?」


「実際見てみないと何とも言えないが、多分、いい的だろ」


「的!? それはさすがに無いんじゃ……」


「目を潰されたらそこまでですから」


「あ」


 そっか、つくづく夢の無い話だなぁ……

 蟻が象に勝てないのは当たり前の話だけど、蟻がもし、象を倒せる攻撃方法を持っていたら話は別か。

 小さくて小回りの聞く蟻にちくちくと削られて倒されてしまうんだろう。


 ドラゴンも同じ、いや、こっちの方がひどいかも。同程度の知恵を持つ同士の戦いだからね。まず、真っ先に目や翼を狙われて、後は袋叩きか。一対一の状況でも、見渡す限りの平原、とかでもなければ簡単に逃げおおせるだろう。

 正々堂々真正面から、なんて馬鹿のすることか。


「竜人は人の形態だからこそ強いんです。一撃当てれば勝ち、という状況でも、実際当てられなければ意味はありませんからね」


「ドラゴンの形態って荷物の運搬くらいにしか使われてないんだったか?」


「ええ、そうらしいですね。変身後の大きさと同じか、それ以上の大きさの魔物でもいればまた違ってくるんでしょうけど。そんな生物がいるとは思えませんしね」


 ど、ドラゴンが運搬ですか。なんて贅沢な?

 群がる敵を、薙ぎ払えー! とかできないんだろうか。大人数で攻め入れば……、ああ! エルフと同じか!

 自分たちから攻めて行こうなんて思いもしないし、攻められても負けることが無い。竜人も長寿なのほほん種族だったねそういえば……


「なんだかなー……」


「あー、しまったな。また夢を壊しちまったか……。ごめんなシラユキ」


 兄様はすまなそうに私を抱き上げ、抱きしめてくれる。


「ううん? これはこれで面白いよ。やっぱり本だけじゃ全然駄目だね」


 シアさんがいてくれて本当によかった。さすがに外で五百年も生きてきただけはあるね。




「後は、実際見て触って話しをして、と。まだまだできること、知る事ができるものは沢山ありますよ。本に載っている事など極一部にしか過ぎませんから」


「獣人の人の尻尾は確かに触ってみたいかも。二人は獣人のお友達はいないの?」


 失礼になるかも知ないが、あの耳にも触ってみたいものだ。特にネコミミ。


「私はまだこの国に来て日が浅いですし、それ以前に、他種族の友人は正直作りたくはありませんね」


「い、いるにはいるんだけどな、ラルフとはまた違った意味でシラユキには会わせたくないと言うか……」


「変わった人なんだね……。シアさんはどうして?」


「いえ、失言でした。忘れてください」


「え? あ、うん……」


 もしかしてシアさんってエルフ以外は嫌い? そういえばラルフさんに対しても凄く冷たい対応だったしなー



「まあ、いいか。話を戻すが、会わせてやってもいいとは思うんだけどな。う、うーん」


「ど、どんな人なの?」


 兄様がここまで私に合わせることを渋るとは……

 もの凄く凶暴な人だったり? 怖い人なのかな? でも兄様のお友達なんだよね。


「そいつ、女なんだがな、一言で言い表すと」


「表すと?」


「エロイ」


「会いたくない!!!」


「だろ?」


 その人も間違いなく兄様のお友達だよ! きっと親友クラスのお友達だよ! さらにきっと巨乳だよ! もげろ!


「ラルフの奴が運良く受けれた、一晩の相手募集依頼の依頼主でな」


「きーきたーくなーいー!!」


 ラルフさん何受けてるのよ! 何で友達に……。!?


「る、ルー兄様……、ま、まさか……、嘘!?」


「お、おい。どうしたシラユキ。俺がどうした?」


「う、浮気相手!? そ、そんな! あ、あ、ユー姉様に知らせないと!!」


「はあ!? 何でそうなるんだよ!」


「シアさんお願い!」


「お任せください!! 私は面白くなる方へ付きます!」


「待て!! うお!? 速え! もういねえ!!」


「ルー兄様が浮気なんて……」


「追いかけようにもシラユキをこのままにして行くわけには……。俺はどうしたらいいんだー!!!」






 シアさんが連れてきた姉様は、特にいつもと変わらず落ち着いていた。兄様を信じきっているからね、愛だね。シアさんはつまらなそうにしていたよ。


 襲われかけた事は何度もあるが、全部断っているらしい。それでもやっぱり兄様は兄様、胸には触ったことはあるみたい。やはり巨乳だったか……







今回は今さらではありますが、簡単な種族紹介でした。

また説明回ばかりが続いている気がする……


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