表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/338

その42

最近自然と文字数が増えてしまいます。

当初は2000~4000文字の予定が、毎回5000文字超えてしまう……


前作は毎話2000文字以下だったのに、どうしてこうなった!

まあ、悪い事ではありませんよね。



「今までの事を振り返って考えてみて、みんなはどう思う?」


 今日はいつもの談話室ではなく、私の部屋でお話だ。大事を取って一日外出禁止になってしまったのだ。


 お話のメンバーは、母様、姉様、そしてメイドさんズの三人。ちょっと狭いね。メイドさんズは椅子に座らずに立っているから、そこまで狭く感じないのだが……



「どう思うって、何を思えばいいの?」


「ごめんねシラユキ。もうちょっと詳しく説明してもらえる?」


 姉様母様には分からないか……。メイドさんズは名指しで聞かない限り、あまり積極的には発言はしてくれない。


「話を聞く限り、私の事のように思えますが……」


「うん。シアさんのことだよ」


 昨日、今日の朝か? ちょっと身の危険を感じたんだよね。冗談だとは言ってはいたけど、寝てる間に何かされてたりしてるんじゃないかと、変な考えをしてしまう。

 今までは妹か娘が欲しかったんじゃないかな、と思ってたんだけど……



 シアさんって女の子が好きなんじゃないのか?






「ああ、なるほど。そうなんじゃないの? 見てれば分かるわよ」


「ええ、そうよね。シラユキみたいな小さくて可愛い子が好きなのよね、多分」


 あれ!? 反応が薄いよ? 小さくて可愛い子? え? シアさんロリコン?


「し、シアさん……?」


 やばい! 私今幼女だよ! どストライクだよ! これからシアさんとどう接していけばいいんだー!


「はあ、そういう事でしたか。今朝も言った通り、私は女性とどうこう、性的な関係を持ちたいとは思いませんよ。恋愛をするなら普通に男性、ですね」


 性的! ストレートな表現はやめて!

 シアさんが男の人と恋愛……? 想像できないよ……。小さな女の子と手を繋いでニコニコしてるところなら、いくらでも鮮明に思い浮かべられるんだけど……


「え? そうなの? シアって可愛い女の子以外興味ないと思ってた」


「うんうん。レンが男の人とー、って言うのはちょっと想像できないなー」


 メアさんフランさんもそう思うよね?

 でも、母様姉様の前でシアさんがこんな嘘をつくとは思えないし……。うーん、信用しよう。


 多分私が一番慌てるのがああいう冗談だから、つい多目にやってしまって、私以外の人の目にもシアさんはそういう人なんだ、と誤解させてしまっているんだろう。

 なるほどなるほど、安心した。




「バレンシアはもう五百近いんでしょう? 今まで恋愛の一つや二つ、してきてるんじゃないのかしら」


 シアさんそういえばそんな年だったね。これはちょっと聞いてみたいな。シアさん自分の事は全然話してくれない、聞いても教えてくれない謎メイドさんだしね。


「そうなの? シアさん」


「う……。ええと、ノーコメントでお願いします」


 黙秘だ! この反応……、これは絶対してきてるね!

 シアさんの恋愛話かー、恋人とかいたのかな? ぜんっぜん想像できないんだけど……


「いいじゃない、教えてよ。私もお兄様との話、してあげるから、ね?」


「私も聞きたいわ。貴女の経歴は知ってはいるんだけれど、あまり個人的なお話はしてくれなかったからね」


 母様は結構色々聞いてるんだな。雇い主みたいなものだし、それもそうか。いいな、ちょっと羨ましいなー


「シーアさーん。きーきたーいなー?」


「か、可愛い……! はっ! 駄目です。いくら愛する姫様のお願いでも、言えません、話せません」


 むう、駄目か。ちょっと可愛く聞けばコロッといくと思ったのに……


「そうね、無理に聞くことも無いわね。ごめんなさいね、バレンシア」


「い、いえ……」


 おや? 母様はあっさり諦めちゃった。もっとにこやかに追求すると思ったんだけどな。仕方ない、私も諦めよう……




 だが、まだもう一人いることを忘れてもらってはいけない!




「フランさんは結婚してるんだよね? お話聞きたいなー」


「やっぱりこっちに来た! 来るんじゃないかって思ったよ……」


 いつか聞き出してからかおうと思っていたのよ。丁度いい話の流れだし、今がいいよね。



「あー……、うーん……。別に、そんな特別な話なんて無いよ? 普通の恋愛結婚だからねー」


 頬を人差し指で掻きながら、照れ照れと話すフランさん。


「うんうん! そういうのが聞きたいの!」


 れ、恋愛結婚! こういう話はぜひぜひ聞いておかなければ。今後の参考にするためにね!


「私も聞きたいね。結婚してるっていうのは知ってたんだけどね」


「私は口止めされてただけだけど。シラユキをからかういい材料になるからって」


「私もそうね。特に口止めはされてなかったのだけれど、そのほうが面白そうだったからね? 黙ってたのよ。ふふふ」


「すみません。私は特に興味ありませんでした」


「レンひどいっ!」


 母様姉様はさすがに知ってたんだ。シアさんは何と言うか、シアさんらしいね。


「ふふっ。それじゃフランさん、どうぞー!」


「どうぞー! って、もう……、可愛いなこの子。別に面白い話でも何でもないよ?」


 フランさんは観念したのか、過去を思い出しながら話し出した。




「んー、まずは出会いからかな。実はその彼ね、初めは姉さんのことが好きだったのよ」


「お姉さん?」


 フランさんのお姉さん? お姉さんいたんだ、なんで教えてくれないかなー

 どうせ文句を言っても、聞かれなかったから、とか、どこかの魔法少女勧誘獣みたいな返答をされるだけか、やめておこう。


「うん? あ、言ってなかったっけ? いるよ、姉さんが一人ね。ま、それは今はいいじゃない。彼、姉さんに告白しては振られてたのよね。私もよく相談に乗ってたのよ。彼も私の事、妹みたいに見てくれてたしね、話しやすかったんじゃないかな」


 言ってたつもりだったのか、それならそれでもいいや。

 その人はフランさんのお姉さんのことが好きだったのか。しかし、妹さんに相談するとか……、まあ、一番の近道ではあるね。


「その相談を繰り返してるうちに、お互い好きになっちゃったのかな?」


「え、あ、うん。そんな感じかな……。それで、結婚したの。……ね? 面白くも何とも無い話でしょ?」


 何かよくある話だ……。よくありそうな話だけに、確かに面白くないな。でも。


「肝心なところが抜けてない? 告白とかさ、結婚に踏み切った時の事とかさ」


 そう。ここが一番大事なところだ!


 相談を繰り返すうちに惹かれあっていく二人。そしてその二人はある日……。そのある日に何が起こったのか聞きたいのよ!


「子供のくせに……。でも、いいか、シラユキだし。そんなに聞きたい?」


「うん! 聞きたーい! ごめんね? 話したくない内容だったら話さなくてもいいよ」


 本人が話したくないことを、無理に聞き出さなければならない内容でもないからね。駄目ならパッと諦めるさ。


「よしよし! それじゃ、他ならぬシラユキ姫様のお頼み、お話してあげましょうか! ふふふふふ……」


 あれ? 何か態度が急変したよ? そういえばこの話って、私をからかうためにとって置いたんだっけ? い、嫌な予感が……






 いつものように相談に乗ってたのよ。相談って言っても半分以上愚痴の様な物だったんだけど。なんであの人は振り向いてくれないんだーってね? 姉さんは彼のこと弟か息子にしか見てなかったのよね。年の差も凄いし……。ま、それは置いときましょうか。


 シラユキの聞きたいって言うその日ね、お互いちょーっと、飲みすぎてたのよね、っと! 逃げなーい! シラユキが聞きたいって言ったんだからね? ちゃんと最後まで聞いてね? この子勘いいわね……。エネフェア様、捕まえててくださいね。ふふふ……


 その時ね、ふ、と思ったのよ。何で姉さんは、こんないい人を受け入れないんだろう? 「もったいないな」ってね。

 完全に脈無しなのは分かってたしね、私の姉さんの事だし。この先何百年アタックし続けてもこりゃ無理なんじゃないか? ああ、「もったいない」。


 お酒が入った頭だったからかな、あんまり深く考えなかったのかもね。もったいない、うん、もったいない。それならさ、私が取っちゃえばいいんじゃない? って。


 ふふふふふ。はいはい耳塞がないの。これからがいいところなんだから。


 彼もかなりお酒入ってたしね、今なら、ヤっちゃえるんじゃないか? って頭の中で誰かがささやくのよ。ほらさ、私、姉さんに似て胸大きいでしょ? ちょっと掴ませてやれば彼も理性飛んじゃうだろうと思ったのよ。


 まずは無言で脱いだわ、そして、急な事に驚く彼を押し倒したの。それから……、シラユキ? あれ?






「うわ! シラユキ真っ赤! な、泣きそう!? やめようか? あれ? やりすぎちゃった?」


 りゃ、略奪愛!? ち、違うか! そ、それって、既成事実、ってやつ? どこが普通の恋愛結婚なのよ!!! ううううう……


 自分の長い耳を両手で掴んで押さえ、頭をブンブンと振って、想像してしまったいやらしい考えを飛ばす。


「フラン、続けて?」


「続けなくていいよ!!」


 母様こういう話大好きなんだから! もう! エロフめ!!


「私にはまだ早いよー……」


「そうかもね。フラン、それくらいにしてあげて? シラユキ泣いちゃいそう。お母様、私たちは後で聞かせてもらいましょ?」


 姉様まで! このエロフ!!!






 ふう、やっと顔の熱が引いてきたかな。

 ホントに私の家族は何でこういう話が大好きなんだろう……、聞いてて、自分で話してて恥ずかしくならないのかな……。す、凄いわ……


「それじゃ次よ、これは絶対に聞いておかないとね。ねえ? シラユキ?」


「うん? なあに母様?」


 次? 私? ……え?


「あなた、こっちで生まれるまで、十六年人間してたのよね? 人間で十六年ならもう成人の年齢よ。それなら恋愛の一つくらいしてると思うのだけれど、どうなの?」


 こ、ここでこう来るか!!! 向こうでは二十で成人なんだけど、特に言う必要も無いか……


「そのお話には私も大変興味があります。さ、姫様」


 シアさんがとても真剣な顔つきで、話せ話せと圧力をかけてくる。


「話さないよ! と言うより話せないよ! れれれ、恋愛なんて……、したこと……」


 恋愛なんてしたことないのよーーー!!!


「あらら。生まれ変わる前でも、成人してても、やっぱりシラユキはシラユキか。でも、安心しちゃった」


「男性とまともに話せなかったんじゃないかしら? この子、今でもそうよね? バレンシアが隣にいないとお話しできないのよね、確か」


「姫って、一人だと男の人と目が合っただけでも逃げそうだよね」


「そういう子に限って、自分がモテてる事に気づいてなかったりするのよね。うんうん」


「安心しました。もし何かあったのなら、異世界へ行く方法を探さなければいけないところでした」


 みんな好き勝手言ってー! でも合ってる! 悔しい! ……うん?


「も、モテてたのかな私……?」


「え? まさか本当に? 冗談で言ったんだけど……。ちょっと、シラユキ? 答えなさい」


「姫様? そこのところ詳しくお願いします」


「う、うーん? 前にも言ったけど、もう薄っすらとしか記憶に出てこないんだよね……。そのときの私が何を思っていたか、とかはもう全く分からないし……。確かに何となくだけど、学校で男子にはよく話しかけられていたような? 駄目だ、思い出せないや」


 クラスの男子とは結構普通に話してた気がするね。カラオケにも何人かで行ってたような……? 中学の頃から結構仲のいい男の子もいたっけ? むう、記憶が曖昧すぎる。


 んー? でも、直接告白とかはされた事は無かったな……。ラブレターなんて古風な物も貰った覚えは無い。うん、やっぱり気のせいかな。

 前世の私って、背、かなり低めだったしなー。妹とかマスコット扱いされてたんだろうね、多分。




「その世界、滅ぼしましょうか」


「シアさん!?」


「いくら生まれ変わる前とはいえ、姫様を狙い、気安く話しかけるような男がいる世界など。滅んでしまえばいいでしょう?」


「私が許可するわ。異世界への扉を開く魔法の研究、始めましょうか……」


「母様も!? 前世の私まで保護対象になるの!?」


「冗談に決まってるでしょ。慌てすぎよシラユキは……。ねえ? お母様、シア」


「ふふふ、可愛いわこの子……」


「さすがに冗談です、ご安心を」


「分かりにくいよ! 後母様は否定して!!!」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ