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その38

ちょっと説明回が長すぎるので、残りの二話を投稿してしまいます。

 ふむ、質疑応答のお時間か、何から聞こうかな。

 聞きたい事はいくつかある、特にシアさんの事とかね。でも、それは多分ラルフさんが大変な事になるのでやめておこう。ミランさんには何となく当てないと思うけど。




「やっぱり気になってるのは黒い服かな。他の色じゃ駄目なの? 何か暗いよ?」


 別に白でもいいよね? 清潔っぽくていいんじゃないかな、と思う。


「暗色系なら何でもいいとは思いますが、やはり黒でしょうね」


「あ、やっぱり色にも理由がるんだ。ミランさんは自衛のためって言ってたよね?」


 Cランク以上の人と一目で見分けるのと、自衛が目的、だったはずだ。


「はい。ええと」


「一言での説明は難しいですね。簡単な例を挙げていきましょうか。まずは……、誰か目の前で、知らない冒険者が見たことも無い魔物に襲われているとします。冒険者は苦戦している、としましょう。」


「ああ! その人がCランク以上の人なら助けに入っても邪魔になっちゃうんだ。 同じ黒っぽい服なら一緒に戦うか、協力して逃げたりするんだね」


 あ、シアさん超不満顔。ごめんね理解が早くって。


「理解が早くて大変残念です。さすが姫様。……それが一番の理由、と言う訳でもありませんけどね。未確認の魔物などそうそう出会うものではありませんから。様々な理由を含め、一目で見分けができるといのが総合的に一番でしょう。次点で夜間目立たない、でしょうか」


「あ、でも、冒険者以外の人が戦ってたら分からないよね?」


 普通の服を着ているからCランク以上、だと思ったら超強い旅人でした、とかね。


「面白い事言うわねシラユキは」


「え? 面白い?」


 姉様に笑われてしまった。

 何か的外れな事言ったかな……


「普通の旅人が、魔物と戦う? 護衛も付けずに一人旅ができる実力があるなら、冒険者、するでしょ?」


「あ」


 当たり前の事だった!!!


「町の外で武器を持っている。それだけで一目で冒険者だと分かるんです。町中での武器の携帯が認められるのは、各町の自警団、兵士、それと冒険者のみです。もちろん例外もありますが」


 シアさんはよくナイフ出してるし、多分例外に入るんだろう。武器の携帯を認められるメイドさんか……


「他にも色々と理由があるんですけど……」


「ええ、挙げていったらキリがありませんね。逆に言えば、Cランク以上の冒険者は一目で分かるような服装をしなければならない、という言い方もありますね」


 黒い色が好きな人は分かりやすくしないと駄目なんだね。


「黒を着続ける方はそうはいませんよ。やっとCランクになれたと言うのに、いつまでも低ランクのカラーである黒を着ていたくは無いでしょうからね」


 また表情を読まれたよ……


「後はアレだな、返り血が目立たないんだよ黒って。血って時間経つと黒くなるんだぜ?」


「人が敢えて説明をしなかったところをこの人は……。手が滑ってしまいそうです」


「ごめんなさい!!!」


 ラルフさんがテーブルに突っ伏して謝る。

 返り血か……。血って、時間が経つと酸化して黒くなるんだっけ。Cランク以上の人は、返り血もあんまり受けないのかな。




「次はランクかな。やっぱりSランクにもなると二つ名が付いたりするの? カッコいいよね二つ名って」


「ああ! カッコいいよな? でも言われる本人たちは恥ずかしそうなんだよ。何でだろうなあ……」


 シアさんにもあったっぽいしね、やっぱり気になるわー。中ニっぽくていいじゃない? 二つ名。


「Aランクの冒険者の一部と、Sランクの全員が二つ名持ちでしょうか? 今はどうなんでしょう?」


「あ、はい。今もそんな感じですよ。Bランクでも極々一部、目立った働きをした者には二つ名で呼ばれている冒険者もいるらしいです、けど、会った事はありませんね」


 という事は、シアさんは最低でもAランクだったと。なるほどね。


「し、シアさんの冒険者時代の……、何でもない! ナイフ仕舞って!!」


「やめろシラユキちゃん!! 多分俺に来ちゃうから!!! あんなの避けるとか無理だから!!!」


「ご、ごめんねラルフさん。さりげなく聞けば、ついつい答えちゃうんじゃないかと思ったんだけど……」


 シアさんがそんな油断するわけも無いか……



「二つ名ってどんなのがあるんだろう?」


「大抵は、本人の戦闘スタイルがそのまま二つ名に反映されますね。私の現役時代と変わっていなければ、今もSランクの四人は、エルフニ人、獣人、竜人、の四名でしょうか。竜人の方の二つ名が分かりやすいですね」


 エルフが二人も入ってるとは、さすがの最強種族? 

 長寿なのがやっぱり大きいのかな……。獣人の人も種によっては長生きするみたいだし、多分そういう事なんだろう。


「『閃光』か。Sランクなんてのは化け物扱いだもんな……。強さは羨ましいが、複雑だな」


 閃光? 光るのかな? 全身を光らせながら戦うとか? なにそれこわい。

 それと、化け物扱いかあ……。強くなりすぎるのも問題なんだね。


「エルフ二人ってまさか、父様母様じゃないよね?」


 あの二人なら納得の強さなんだが……。実際本気で戦ってるところなんて見たこと無いけどね。


「違うわよ、何言ってるのシラユキは……」


 姉様に呆れられてしまった。

 だよねー。王族が冒険者なんて……してるよっ!?


「お、お爺様とお婆様?」


「いや、そっちも違うな。爺さん婆さんは二人ともCランクだ。前に話さなかったか?」


「あ、そうだったね。確か最低でもSランク扱いはされるんだっけ?」


 登録だけしておいて、ギルドの優遇だけ受けてるんだったかな。登録が消されないのは、その分見えないところで何か大きな働きをしてたりするんだろう。


「百年ほど前、Sランクが五人いた時代は、もう一人の方もエルフだったんですよ」


 ミランさんが補足を付け足す。

 エルフすげー。ホントに最強種族なんだなー……。

 でも、Sランクの人が一人いなくなってるんだ、なんでだろう? やっぱり死んじゃったり? それとも……、結婚退職とか? それは無いか……


「し、シラユキ様っ、後は何か聞きたいことはありませんか?」


 まだ緊張してるのかなミランさん。さっきまですらすら喋ってたのに、またどもってるよ。




「登録は何歳からできるの?」


「基本は成人したら、ですね。年齢は種族によって変わります。エルフなら百歳以上ですね」


 人間なら十六からか。獣人は種で様々なんだよね。


「でも俺十五で登録できたな」


「え? 不正? 裏口取引?」


「人聞きの悪い事言うな!!! あっとごめん! ナイフ投げないで下さい!!」


 またいつの間にかナイフを取り出してたシアさん。全力で謝るラルフさん。

 び、びっくりした……。ツッコミって結構怖いわ、泣きそうだった……


「次は当てます。手足が10点、胴体が20点、頭部は30点、額が40点、眉間が50点ですね。高得点を狙います」


「怖い!! ゲーム感覚で人にナイフを投げるメイドさん怖い!!!」



「と、登録は、本人の能力次第でもっと早くできたりするんですよ」


 さすがにギルド内で死人は出したくないのか、ミランさんが話を元に戻す。


 能力次第か……。

 いい人材は早めに育てたいし、無茶して勝手に潰れても困るしね。後は他の組織に入られたり、か。


「という事は、俺って実は評価高い?」


「さあ? それは、登録したギルドの人に聞いてみないことにはね。でも、そろそろCランクでも通じるんじゃないかっていう実力だし、そうなのかもね」


「マジか! メイドさんの言ったとおりだな」


「どうせC止まりよ。それにすぐ降格されそうだし」


「自分でもそんな気がするぜ……」


 能力的にはちゃんと評価されてるんだ。個人的には嫌われてるっぽいけど。



「ですが、戦闘能力だけの評価でCランクなら、中々のものだと思いますよ」


「戦闘能力だけ? ラルフさん強いんだ?」


「そうなの? 私たちから見ると、ただの人間に見えるんだけど」


「だよなあ。だってラルフだし?」


「お前らと一緒にするなって……。二人とも、登録したら最低でもAランクだろ、きっと」


 Aランクは人外レベルだっけ? こわっ! うちの兄姉怖いわ!!


「そうなると、お父様お母様は、間違いなくS行っちゃうわね」


 Sランクは化け物レベル。こわっ! うちの両親怖いわ!!


 ふう……


「その両手剣、飾りではありませんよね? そのサイズの武器を問題なく使いこなせているのなら、やはりCランクには余裕で届くでしょう」


「ああ、これか。ちゃんと使えてるぜ? 魔法の補助込みだが」


 魔法の補助?


「その質量の武器を魔法の補助で動かしているとすると、それは才能によるものが大きいでしょう。貴方の手札を曝してしまいますからこれ以上は説明しませんけど、もっと自信を持っていいと思いますよ?」


「何か、今日始めてちゃんとした扱い受けた気がするよ……。ありがとうなメイドさん! 俺もっと自信持つよ!! そしてCランクに上がったら結婚しよう!!!」


 また求婚だよ。まったくラルフさんは……


「50点を狙います。皆さんお静かにお願いします」


「駄目! シアさん駄目だからね!?」


「50点!? 眉間!? 即死じゃん!?」


「ルー兄様たちも止めてよ! シアさん怒ってるみたいだよ!」


 ナイフを仕舞う気配がない! 50点取っちゃう!!


「おっと、バレンシア、その辺でやめておけ。ラルフ、いつも言ってるだろう? エルフに気軽に求婚なんてするな、と」


「そうですね。姫様の前ではやめておきましょうか」


「許される気配がない!! 俺なんでエルフの女の人には嫌われるんだろう……」


 ホントになんでだろう? エルフに嫌われるフェロモンでも出してるのかな? 何か嫌だなそれは……



「止めなくてもいいのよシラユキ? 人間がエルフに求婚する意味をよく考えてないからねラルフは。シアの行動が正しいの。私もラルフじゃなかったら殺して、こほん。ドカンとしてるわ」


「そうですよね。自分で気づくか、他のエルフに殺されて欲しくて放っておいてるんですが、教えた方がいいんでしょうか? その意味を」


 姉様怖い! 言い直しても、それ、死んじゃってるから!

 ミランさんもさりげなく怖い事言ってた!



 意味、エルフに求婚する意味か。何か、殺されても文句が言えないような理由がありそうだね。




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