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その35

今回は二話投稿です。

先にその34の方へお願いします。

「なるほど、冒険者の仕事に憧れか……。絵本で読んだのをそのまま信じちゃってたのか」


「そうみたいだな。もっと華のある、夢のある仕事だと思ってたんだろう」


 ちょっと漫画とかアニメの冒険者のイメージが強かっただけだよ。絵本の中の物語に憧れるとか無いわ。


「何か悪い事しちまったな。まあ、でも、いずれは知る事だろうし、ちょっとそれが早まっただけだよな」


「ですね。気にしてないから大丈夫ですよ」


 現実の冒険者事情を知る事が出来て、逆に感謝しているくらいだ。


「俺はDランクだからって事もあるぞ? CとかBの奴らならそれなりに、面白くて夢のあるような冒険話もあるんじゃないか?」


「おい、やめろ。変な興味を持たせるな」


 ほほう? 兄様シアさん知ってて黙ってたね?


「ありがとう、ラルフさん」


「ん? どういたしまして?」


「シラユキ?」


 姉様が、いきなりにお礼を言った私を不思議に思い、私を覗き込んでくる。

 兄様は、やっちまったー、と言う顔。ふふふ、残念でした。


「それじゃ、次は、冒険者ギルド、行ってみたいな」


「駄目だ」


「駄目よ」


「駄目です」


 やはり駄目だった! しかし今日はラルフさんという同士が……


「ギルドなんて何しに行くんだ? 見て面白いモンなんて何も無いぞ?」


 空気読め!!






「私たちから離れない事、絶対、に、離れない事! 誰かと常に手を繋いでるのよ? 約束よ?」


「うん! 姉様大好き!!」


「私も大好きよ!」


 そして抱き合う二人。


「ユーネメロメロだなおい。気持ちは分かるが……」


「ユーネだけじゃないぞ? 俺もだ、いや、国民全員だ」


「国民全員骨抜きか。エルフだからって事もあるが……、それを抜きにしてもちょっと可愛すぎるよな。将来が心配だろ?」


「そこは私がいますから、問題はありません」


「まさか近づく者は全部肉片に!?」


「基本です」


「基本なの!?」


「その点に関しては俺も止めない。存分にやれ、バレンシア」


「お任せください」


 綺麗にメイドお辞儀。


「そこは止めろよ!! 止めとけよ!!」


 まったく……、可愛いのは子供の内だけだってば。この美形軍団が何を言うか。

 ラルフさんは、普通? エルフを見慣れた私には、他種族のカッコよさとかよく分からなくなっちゃったよ。


 店を出る時に、ラルフさんが装備一式預けた事を忘れて出る、というハプニングがあったが……。ボケではなく素で忘れていただけなので割愛。






 冒険者ギルド、見た目は普通の建物だね。他の建物と同じように、木、石、土、で作られている。建築に詳しくない私にはそれくらいしか分からない。

 他と違うのは、ドアの無い入り口。入り口すぐ横にある大きな木製のボード、小さな紙が沢山貼られている。

 恐らくあれが依頼なんだろう、見ている人が多い。貼りに来てる人もちらほらいるね。ドアが無いのは二十四時間営業だからか?


 おや? ボードから紙をはがした人、中に入らずそのまま、多分仕事先に行っちゃってるな。なんでだろう?




「あれは雑務依頼用の掲示板ですね。実は雑務依頼はギルドにあまり関係が無いんですよ。ギルドは掲示板と場所を提供しているだけ、という事ですね」


 ボードを見つめて考え込んでた私に、シアさんが説明を入れてくれる。

 そうだった、本職と元本職、二人もいるんだ、聞けばよかったんだったよ。



「このメイドさんホントによく知ってるな。そう、これが雑務依頼。勝手に受けて報酬も出先で貰うんだよ」


 ああ、なるほど、あれか、職業安定所か、アルバイト情報誌か。た、確かに夢が無いわこれは……


「近くで見てみてもいい? どんな依頼があるか見たいな」


「ああ、いいんじゃないか? いいよな? ルード」


「ああ。バレンシア、手を離すなよ。周りに気を配れ、怪しきは消せ。責任は父さんが持つ」


「お前じゃないのかよ!?」


「冗談だ」


「冗談っていう顔じゃないぞそれ!!!」


 やめて! 大声はやめて!! ツッコミはありがたいけど、目立つのよ!! 視線が視線がーー!!!


「さ、姫様」


「う、うん……」


「ラルフも行け。俺たちは、何かあったらすぐ動けるように待機しておく」


「何も無えよ……。過保護な奴らだな……、? ユーネもかっ!? 可愛い顔して殺気を撒き散らすな!!!」


「あら失礼、ついつい漏れていたみたいね。ちゃんと隠さなきゃ」


「怖い!! この兄妹怖いわ!!! シラユキちゃんは優しい子に育って!!」


 掲示板を見ていた人たちが、ほぼ全員こっち見てるよ……


「ラルフさん、あんまり叫ばないでください……」


「おっと。本当に恥ずかしがり屋なんだな。悪い悪い」


 近づく前から注目を浴びてしまった。

 おいおい、お貴族様がこんな所に何の用だよ。という視線を感じる。確かに、遊びで来るような所ではなかったか?




「あ、近くで見ると結構高いねこれ。見えないや」


 依頼の紙は上の方から順に貼られているようだ。私の背だと届かない。


「やっぱそうか。それじゃ俺が抱き上げて」


 えっ! ちょ……


「捻り切りますよ」


「どこを!?」「どこを!?」


 また見事にハモッてしまった。




 シアさんに抱き上げられ、依頼の紙を覗いて見る。どれどれ。



『護衛兼荷物持ち募集 期間3日 森の採取場 男女ランク武器その他不問 最低2名募集 力自慢歓迎 報酬2名で4s」 


『ウエイトレス募集 期間2ヶ月 昼~夕方まで 女性のみ 種族不問エルフ歓迎 体毛の多い種の獣人は相談 制服貸し出し 賄い2食あり 報酬1週間3s50c 週末払い 完遂ボーナスあり』


『収穫の手伝い募集 期間1日 男女不問 数名募集 力仕事 報酬50c 応募人数が多い時は先着』


『一晩のお相手募集 期間夜 精力が尽きるまで 女性のみ こちらは獣人男 普通サイズ エルフ大歓迎 報酬最低4s エルフ追加報酬あり』



 後は依頼人と会える日時、場所が書かれている。

 最後のは見なかったことにしよう……。サイズ?


 しかし、エルフ人気だな……。あ、ウエイトレスの依頼、剥がされた、やっぱり長期間安定して稼げるのは人気なのかな。



 この世界の通過は、金貨、銀貨、銅貨、後もう一つ、しゃっ貨、と呼ばれているものがある。最後のはよく分からない。

 通貨価値は分かりやすかった。三桁ごとに次の貨幣に変わるだけで、日本円とほぼ同じような感じだった。

 gが金貨、読みはゴルド。sが銀貨、シルブ。cが銅貨、クウプ。そしてtがしゃっ貨、読みはティンかテン。ウエイトレスの報酬は一週間で3s50c00t。35000円位になるのだろう。




「一晩の相手募集の男用の依頼来ないかな……」


 見なかったことにしたのに!!!


「そ、そんな仕事もあるんだ……」


「え? この子意味分かっちゃってる!? メイドさん離れるぞ!」


「は、はい!」


 全力で兄様たちの位置に戻った。ちなみに抱き上げられたままだ。



「ど、どうした? 何か変な依頼でもあったのか?」


「誰だよ教えたの!? あ、でも、メイドさんも知らなかったんだよな?」


「え、ええ……。ああ! そういえばそうでしたね。すっかり忘れていました」


 私が転生者だってこと既に頭から抜けてたね? 気にしないでくれているのは嬉しいね。


「何だ? どういう意味? しかし、十歳であの意味分かっちゃうのはちょっとな……」


「おい、ラルフ。何の依頼だったんだ?」


「もったいぶらずに教えて? この辺り一帯更地にしちゃいそうよ?」


「ユー姉様怖い! 駄目だよ!?」


「わ、分かった!! 言うから落ち着け!!!」


 危なかった! 姉様は意外に切れやすいのか? ああ、父様似だもんね……




「ああ、なるほど。確かに分かっちゃうわよね……」


「確かに、なのか? そういう教育してた訳じゃ無いんだよな?」


「秘密です。次に同じ事を尋ねたら、引き抜きますよ?」


「何を!?」「どこを!?」


「息ぴったりだなお前ら。……思い返してみると、俺、母さんと結構際どい会話してたと思うんだが……。シラユキ?」


「全部意味分かってました。ごめんね?」


「うおおおおお……、忘れてくれええええ……」




 よかった! エロフじゃ無かった!! どうせ子供だから意味分からないだろう、っていう事だったのね。


 違うわ! エロフはエロフだった!! 目の前で話すか話さないかの違いでしかなかった!!!






通貨設定は、多分この先あまり使われる事はないです。

忘れてもらっても大丈夫だと思います。


やっと新キャラを出せたわけですが、ツッコミが二人もいるとどっちに突っ込ませるか悩みますね……


次回やっとギルドの中へ。

展開が遅くてすみません……


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