その334
またほぼ2ヶ月……。お久しぶりです!
DQ11はクリア済みです。(先読み)
危うくもう少しでハンナさんの人差し指が折られてしまうところであった。コレットさんにはしっかりとシアさんのノリの良さ、それも悪い意味でのノリの良さを学習しておいてもらわなければならないね。そうしないとこの先もっと大変な目に遭ってしまうかもしれない。
……いや、いくら慣れてもシアさんの理不尽さを回避するのは難しいのではないだろうか……? キャロルさんとノエルさんの扱いを思えばそうとしか考えられない。とりあえず私には頑張っての言葉を贈る事しかできない。なんて無力なお姫様なんだ……。
そんなこんなでスーパー雑談タイムも一段落。シアさんが盛り上がった空気に水を差したとも言うが気にしない。いつもの事だからね。
さてそれじゃ、なんとなく会話に間が空いたところで私からも一つ、コレットさんに便乗する訳ではないがさっき出来た疑問を解消しておこうと思う。
「ハンナさんハンナさん、コレットさんを少し借りるねー」
「え? え? 私ですか!? ななな何を!」
「うん? いいよいいよどうぞどうぞお好きにどうぞー。あ、コレットあげるから代わりにこれ全部食べちゃっていい?」
「コラハンナァ!!」
不意に私に呼ばれて焦っていた筈なのに、ハンナさんの言動には即反応するコレットさん。もう反射の域に達してしまうくらい繰り返されたやり取りなんだろうと思う。実に和む。
欲を言うなら名前を叫んで怒るのではなく、私はクッキーと同価値なのか! 的なツッコミを入れてほしいところなのだけど。
まあそれは今はいい、ハンナさんから許可は貰えたのだから善は急げ、早速行動に移ろうではないか! と、コレットさんを席から立たせて手を取り、カウンターから奥へ通じるドアへと引っ張って連行する。ミランさんはハンナさんと一緒にお留守番で、シアさんは言うまでもなくしっかりと付いてきている。
そこまでのほんの少しの道中、とてもいい笑顔のコレットさんから小声で、可愛い! 小さい! 可愛い! 小さい! とひたすら連呼されてしまった。可愛い! は少し恥ずかしくくすぐったいくらいだけだからいいとしても、小さい! 連呼はできたらやめて頂きたい。ぐぬぬ。
カウンターの中にいたソニアさんに軽く挨拶を……、しようと思ったのだが冒険者さんの対応中。奥を少し借りるねー、と一言残してドアを開け、各部屋に繋がる通路に入る。
細かい事だけど、実際のところドアを開けたのは私ではなくシアさんだ。冒険者ギルドの中に警戒するべき何かなんてあるとは思えないのに……。まあ、メイドさんのお仕事の一つであって深い意味はないんだろう。思い返してみると私が自分でドアを開け閉めした事なんてめったにない、と言うか全くない気がする……。
三人とも通路側へ入った後、まずはしっかりとドアを閉めた事と、通路に誰もいないことを確認する。
前よし! 後ろ(ドア)よし! シアさんの機嫌……、不明! 無表情なのがちょっと怖いんですけど!
念入りに確認し終えたら繋いでいた手を放し、コレットさんと正面から向かい合うようにして立つ。
「コレットさん」
「は、はい! なんでしょうか!?」
私のやや真面目? な雰囲気に押されてか緊張気味なコレットさん。不安の現れなのか両手を胸の前で組んでしまっている。
……いきなり失敗だ。このままでは両手が邪魔。胸の前に両手があっては邪魔なのだ!
言葉で示して動いてもらうのはきっと簡単な事なんだろう。しかしさっきのドアの話ではないけれど、それでは面白くないのでここは自分で頑張ってみようと思う。
「あ、え? あ、あのー……」
グイグイと両手を掴んで引っ張り下ろし、所謂気をつけの姿勢になってもらう。コレデヨイ。
ふう……。少し達成感を感じてしまった。
「め、メイドさん! シラユキ様が凄く可愛いんですけど! それと私は一体何をしたらいいんですか!?」
「当然です。あ、できるだけそのままの姿勢を維持してくださいね。……最悪命を落とす事になっても私は知りませんよ?」
「はい! ……はい? 命!? わわわ私これから何されるんですか!?」
「何も危ない事はしないからね! シアさんもしれっと変な事言わないのー!」
「モウシワケアリマセン」
棒読みぃ! なんという心のこもっていない謝罪……!! これもいつもの事である。
まったくシアさんはもう……。機嫌が悪い訳じゃないみたいだからいいんだけどね。ふふ。
本日何度目かの気を取り直し、コレットさんの体、いや、胸へと手を伸ばす。そして強く押さないようにゆっくりと下から持ち上げる。
……? ……!?
「おっもい! なにこれ重い!」
「あ、あはは……。おっぱいが触りたかったんですね。か、可愛い……」
お、重い! 何と言う重量感!! やはりメアさん以上は確実だ……。これはフランさんとウルリカさんに匹敵する重量級!
…………それは今は置いておいて、別におっぱいに触りたかったのではなく一つ確認がしたかっただけなのだ。なのでさくさく次へと話を進めなければいけないね。
「コレットさんどうして着けてないの?」
「え? ……あ! 下着の事ですか?」
「うん。凄く揺れるからちょっと気になっちゃって」
言いながらもよいしょよいしょと持ち上げると、その動きに合わせてふよんふよんと柔らかく揺れるコレットさんの大きな胸。これは実にいい物だ……。
そう、私が気になって気になって裏に連行してまで確認してしまったのはコレットさんの下着、ブラジャーだ。やはり予想通り着けていなかった。このサイズでノーブラとは勇気がある、が、しかしそれは蛮勇と言うもの!
「着けてないとおっぱいが痛くなったりしないの? 今のゆったりした服だといいけど、そうじゃないとこの大きさだと垂れてる様に見えちゃうんじゃないかなー。あ! あとブラジャー着けてないと形が崩れちゃったりするみたいだよ。それはダメー」
「か! 可愛い!! めめめメイドさん! シラユキ様が可愛すぎますう!!」
「当然です」
「だからどうして着けてな……う? なんで泣くの!?」
泣くとは大袈裟な言い方だったかもしれないが、コレットさんは目尻に涙を湛えてしまっている。……表情は何とも言えないいい笑顔だが。
「い、いえ、すみません。シラユキ様が本当に可愛くて可愛すぎて感動してしまって……。私、同族の小さな子って会った事も見た事もなくてですね、あ! 実は今日一回だけ、さっきここに来る前に見かけはしたんですけど、ハンナが急に走り出したせいで近づく事もできなくて……。本当に可愛い……」
ああ、そういう……。なるほどね。しかしちょっと恥ずかしい。
コレットさんは私と同じで、自分の周辺に年下の子が誰もいなかったんだろう。一応冒険者だから色々な村や町に行っているとは思うけど、リーフエンドの管理圏外だとエルフは基本的に数が少ない種族と言う話だし、旅をしている間ずっと子供に会えなかったというのも頷ける。
非常に興味深い話だけど……、今現在においてはそれはそれ、これはこれだ!
「その話はあとにして、どうして着けてないの!」
「可愛い……! な、撫でさせてください! お願いします!!」
「話を聞いてー!」
「かっ、かわっ……、もう可愛すぎですよシラユキ様!」
ぐぬぬ、手強すぎる……。この反応は、私と会う事に慣れ始めたミランさんを思い出してほんわかとしてしまう、が、話を全く聞いてくれないので誠に遺憾な気分でもある。つまり言葉にできない微妙な気分である。
仕方がない、気持ちが落ち着くまで撫でさせてあげようではないか。ほら撫でて撫でて!
「なあに? コレットだけシラユキちゃん様撫でまくってきたの? 何それずるくなーい?」
「ふふふ、いいでしょ。私自分の胸って大嫌いだったのに、今日からは逆に大好きになれそう……」
わざとらしく口を尖らせて不機嫌そうなハンナさんと、ニコニコ笑顔で満足そうなコレットさん。対照的で面白い。
あの後結局、撫でられたり抱きしめられて頬擦りされたりと散々可愛がられ続けただけで、肝心のコレットさんが何故ノーブラなのかの理由を聞く事は出来なかった。廊下で騒いでいたら奥からギルド職員さんたちが様子見に出て来てしまい、お騒がせしましたと退散する事になったからだ。ちなみにクッキーは宣言通り綺麗に平らげられていた。また焼いてもらわなければ……。
そう言えば意外なことに、コレットさんに対してはシアさんの警戒が緩い気がする。ちょこちょこと口を出してくるくらいで、力尽くでやめさせようとかそんな気配は微塵も感じられなかった。まあ多少気にはなるがそれほどのものでもない、これについては後でシアさんから直接聞くとしよう。
「ねえねえコレットさん、いい加減教えてほしいなー?」
「可愛い! あー、もう! ニヤニヤしちゃう!!」
両手で頬を押さえてクネクネと怪しい動きを見せるコレットさん。言葉の通りだらしなくにやけてしまっている。
またか!! ええい、もうこうなったらコレットさんではなくハンナさんに聞いてしまえ! 二人で旅してるんだから絶対に知っているはず。
「ハンナさーん?」
「はいはいはいはいはいはいはいはい、ハンナお姉ちゃんだよー。で、なにかな?」
はいは一回! と言いたいところだったけど面白かったのでよしとしよう。
ううむ、ハンナさんもコレットさんも面白楽しそうな人でよかった。いいお友達、いや、どうせならメイドさんになってくれると嬉しいかも。ふふふ。
「あ、コレットの? うん、ノーブラノーブラ。いっつもぶるんぶるん揺らしちゃって人目集めちゃうからこんな可愛くない格好させてるんだよー? 勿体ないでしょ」
「え? そんな事が聞きたかったんですか?」
「何回も聞いてたのに!!」
「あはは……。シラユキ様は可愛らしすぎるから他の事があまり頭に入ってこないのよね。分かる、分かるわ」
「同感です」
「それで、理由は? そろそろ教えてほしいんだけど……」
「す、すみません! ええとですね、すごく簡単な理由なんですけど……」
「うんうん」
「お金が無いんです」「貧乏だからだよ!」
「…………はい?」
続きます!
また数行で終わらせる筈だった内容が一話に伸びてしまいました。シラユキだから仕方がないですね。
書きたいお話は大量にあるのになかなか手が動いてくれません。次回はもうちょっとくらい早めに投稿したいです。