その333
また長めに間が空いてしまいました。お久しぶりです。
またと言うかもう毎度の事になってしまっている……?
この辺りで一つ、何か摘まむ物が欲しいな、と能力でバスケットを取り出してシアさんに手渡す。そして盛大に驚くハンナさんとコレットさん。これで驚かれるのも随分と久しぶりの様な気がする。
シアさんとミランさんからは、まだ能力を見せるのはやめておいた方がいいんじゃないか? 的な視線を送られてしまったが気にしない。もう私の中ではこの二人は既にお友達、コレットさんに至ってはさらに新たなメイドさん候補にまで上がっているくらいだ。現にコレットさんのおっぱいは私の物となっている訳だし、そのまま本人も私のメイドさんとなるのが自然の摂理というものだからね。うんうん。
シアさんにお菓子や飲み物を並べてもらい、完全に腰を落ち着ける。
悲しいことに、ミランさんのメイドさん勧誘ができなければ今日の予定はもう何も無い。という訳でスーパー雑談タイムを続けようではないか。
「あの……、シラユキ様? 話を戻すみたいですみません。ええとですね、少し気になる事があって、あ、いえ、出来てしまって……」
「気になる事? なあに?」
コレットさんが控えめに挙手し、恐る恐るといった面持ちでこう切り出してきた。
気になる事が出来てしまって、って言ってたね。それはつまり今さっきの出来事ということ。まあ、十中八九私の『収納と保存の能力』についての話だろうけど、さすがになんとも説明し辛くて困る。
「ふあー! このクッキー美味しすぎ!! ねえねえこれって誰が作ったの? それともこの町のどっかで売ってたりするの? ねえねえねえ!?」
「ちょっ、ハンナさん!! あ、気になる事ってまさかコレと同じじゃないわよね?」
ジト目のミランさんからの問いかけを、違います違います! と首をブンブンと振って否定するコレットさん。
このままハンナさんを放置しておくと話が進みそうにないので、とりあえずミランさんに丸投げしておいてコレットさんに向き直る。さて本題は、と。
「さっきの噂の話の続きになってしまうんですけど、シラユキ様は……、その……、胸の大きなメイドさんがとてもお好きなんですよね?」
「えっ!?」
ですよね? ってさも当然の様に聞かれても、そんな質問に簡単に、はい大好きです、と返せる訳がないじゃないか! と言うかそれが今目の前で見た謎の能力よりも気になる事なのか!!
ぐぬう、予想はしていたことだけどやはりその噂も広まっていたのか……。地味に恥ずかしい。さてどう返したものか……。
「はい」
「シアさん!?」
ここにいるぞ! とばかりに簡単に返す人がいた!!
返答に困っていたら横から思いっきり真顔で肯定されてしまった。いや、私には答えられなかったし間違ってもいないからいいんだけどね……。
「やっぱりそうなんですね! そ、それでですね、私の胸ってどういう扱いになるんでしょうか……?」
やっぱりって何!? 実際に会ってみてもう疑う余地なしと判断されていたとでもいうのか……。うん?
「コレットさんのおっぱいの扱い?」
「はい」
私は首を傾げ、コレットさんは自分の巨大な胸をよいしょと持ち上げながら小さく頷く。私も後で持ち上げさせてもらおう。
しかしどういう意味なんだろう? 私が巨乳メイドさんが大好きだとコレットさんの大きな胸がどういう扱いになるのか? 言葉の意味は分かる、が、質問の意味が分からない。つまりどういうことだってばよ!
視線で助けを求めてみても、ミランさんもシアさんにも分からないみたいだった。これは完全にお手上げだ。ばんざい。
「ああ、さっき私がシラユキちゃん様にあげちゃったからじゃないの?」
「う? うん」
それは私にも分かる。そこまでは、だけど分かる。だけど……、扱い? コレガワカラナイ。
折角ハンナさんにフォローしてもらったのだけどさっぱり分かりません! コレットさんは一体何について聞いているんだろう?
「確かに咄嗟にあげちゃったけど、実際のとこどうするんだろね? コレットはリーフエンドの森に住んでる訳じゃないし」
「もも、もしかして私もリーフエンドの森に入れたりなんて……、しませんよね! すみません!!」
あわあわ慌てだすコレットさんをやんわりと宥めておく。どうやら一人ノリツッコミではなく普通に失言だったらしい。
私は別にエルフなら入ってもいいと思うけどなー。二人とももう私のお友達な訳だし。むしろ連れて帰ってそのままメイドさんになってもらいたいところ。
「多分なのですが……、コレットさんはただの冒険者、しかし胸だけは姫様の所有物。今後自身の処遇はどうなるのか、どう扱われるのかと聞かれているのではないでしょうか?」
あ、あー、なるほどそういう……。小さなヒントから答えを導き出すとはさすがシアさんださすが。頼りになるわ。
おっぱいを一つの物として考えてみれば分かりやすい。一般冒険者が、一国のお姫様の持ち物を持たされてしまった。そしてそれが胸にくっ付いて放れないからさあ困ったぞ、という話だね。
試しにこの方向性で合っているかと聞いてみると、上手く言葉にできなくてすみませんと謝られてしまった。合っているかどうか聞いただけなのに恐縮しすぎ!
それはまだ慣れていないせいだからと横に置いておいて、コレットさんの不安を解消するためにもしっかりと答えてあげないといけないね。
「えと、コレットさんのおっぱいは私の物になっちゃったけど、コレットさんは今まで通り普通に生活? をしてていいよ。あんまり気にしなくてもいいからねー」
その辺りはまあ、コレットさんの判断にお任せかな? ……とは言っても不特性多数の男の人に触らせていいという訳ではありませんが!
「そうなんですか? 特にお仕事の様なものがあったりする訳じゃないんですね……。私はてっきりシラユキ様が触りたいときに、すぐ手を伸ばせるように側にいないといけないかと思ってました」
あはは、そんな訳ないですよねー。と照れ笑いをしながらも、視線は私とシアさんを行ったり来たりしている。……このピッタリ寄り添うような距離感が原因だったか!!
そんなやり取りをしたせいなのか、話はまた私の噂話へと完全に戻ってしまっていた。本当にどうしてこうなった!
「他によく聞くシラユキちゃん様の噂話って言うと……、癒しの能力が使えてー、それで凄く優しい子ってのが特に耳に入って来るかな? そういえば、前にお友達助けようとして一回倒れちゃったんだって? 駄目だよ子供が無理しちゃー」
うわあ懐かしい! そんな事もあったなあ……、としみじみ思い出す。
ハンナさんに軽く注意されてしまった。この辺りはやっぱりコレットさんのお姉さん的な人なだけある……、のかどうかはまだ言い切れないかもしれない。言い切れないが、私からすると普通に明るいお姉さんにしか見えないので何も問題はないのだけれど。
「あ! もう一つ気になると言うか、前々から不思議に思ってた事があったんでした」
ぱん、と軽く手を打つコレットさん。そしてその衝撃でぷるんと揺れるたわわな胸。
何故かコレットさんのおっぱいはやけに揺れやすいような気がする。まさか……、と、今はまだ考えない様にしよう。見るだけにしておこう。
「リーフエンドの国内と外とでよく聞く噂話って綺麗に分かれるんですよ。今ハンナが言ってたのは国外でよく噂されてる話なんです」
「へー」
ほほう? なにそれ実に興味深い。リーフエンドの管理圏の中と外って行き来が難しいとかあるんだろうか? 少し気になってきた。
「ちなみに国内だとー、おっぱいの大きなメイドさんが大好きで、それで超が付くくらいの甘えん坊の女の子、って言われてるんだよ!」
「大違いすぎ!」
確かに言われてみればなんだけど、リーフサイドだともうそれしか聞かない気がする! しかし事実なので何も言い返せない……。
「あっはは! かーわいい! んでんで、どっちでもまず最初に聞くのが最初に言った、小さくて可愛い子、かな? ホントにもう実際会ってみたら可愛すぎてビックリ! 初めお人形さんかと思ったくらいなんだから!!」
ひい! 可愛い連呼は嬉しいけど恥ずかしいからやめてくださいませんかねえ……。
「うう……」
「あ! また照れてる照れてるかんわいい!! ほーら今度こそほっぺ突っついちゃ……う?」
「う? あ、またシアさんが?」
再び私の頬を突こうと手を伸ばしてきたハンナさん、だったのだがそれはやはり叶わなかった様だ。シアさんにがっちりと腕を掴まれ……てはいなかった。
よく見るとシアさんが掴んでいる、いや、握っているのはハンナさんの人差し指。突こうとした形そのまま捕まってしまったらしい。
「ちょっとハンナ! さっき止められたばかりなのにまた何やってんのよこの鳥頭!!」
「いやいやいやいや! だって一緒にお皿囲んでお菓子食べてたらもう友達家族同然じゃない!?」
「そんな訳あるかこの馬鹿ハンナ!! メイドさん! そんな馬鹿で無礼な奴の指なんて折っちゃってもらっても構いませんから!」
「か、構う!! 私が構うからー!!」
「コレットさん? バレン、あ、そのメイドさんはそういう冗談は一応通じる人だけど……」
「ふぁ!? ちょまっ! 痛っ!! お、折れっ、折れる折れる痛い痛い!!!」
「普通に実行しちゃうから気を付けてね」
「シアさん!?」「ハンナ!?」
続きます!
短めですが丁度いい区切りなので一旦ここまでに。次回はもっとどったんばったん大騒ぎするかもしれません。(未定)