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その33

 リーフエンドの森に隣接する様に存在する大きな町、リーフサイド。初めてその名前を聞いた時は、そのまますぎて吹き出したわ。

 大きな町と言っても他の町なんて見たことも無いんだけどね。


 他の国、他の町に比べ、エルフの数が多く。目の保養に訪れる冒険者も多いとか。エルフ美人多いもんねー

 その反面、森の周辺の魔物と呼ばれる野生動物が強めらしい。魔物、と書くと何か危なそうな気もするが、人を襲う生き物の総称だ。危ない事には代わり無いか……

 日本で言うと熊とかそんな感じかな? こっちに出るのはそんなに生易しい類の生き物ではないのだが。


 そうなると、冒険者も強い人ぞろいなのかと言うと、そうでもない。前回例にされた人のランクはE。下から二番目、実質の最低ランクなのだ。人間種族の冒険者は殆どがDランク、上がってもC止まりらしい、Bランクの人間も僅かだがいるとか。中にはおかしい強さの人もいるにはいて、Aランクに上がってしまうような人もいるらしい。


 全部シアさんに聞いた話だ、ランクでどれくらい強さに差が出るかは分からないが、なんとなくは理解した。


 Aのもう一つ上にはSランクがある。お爺様とお婆様が確かSランク扱いだったね。しかも最低でもSランク。実際はCのまま放置しているらしい。

 自然災害クラスの人がSか、その下のAも凶悪な強さなんじゃないか? シアさんくらいの。シアさんの強さは知らないけどね。冒険者時代のランクは教えてはもらえなかった。


 詳しい理由は分からないが、魔物の強さ=その町の冒険者のレベル、という事にはならないのか。






「またパイとケーキかよ。肉食おうぜ肉」


「ミートパイならありますよ。注文しましょうか?」


 お昼からお肉料理はちょっと……。胃もたれで歩けなくなっちゃうわ。

 私はやっぱりアップルパイ。大好きなのよねこれ。


「あるなら先に言えよ! もう甘いの頼んじまったじゃねえか……」


「もちろんわざと、です」


「あはは」


 シアさんは相変わらず椅子に座ってくれない。目立つよ! また周りからの視線がー!!




「どうぞ姫様」


 シアさんは私だけお世話をしてくれている。でも、できたら一緒に座って食べて欲しいものだ。


「シアさんも一緒に食べようよー」


「食べてますよ? 誰の目にも留まっていないだけです」


 なにそれこわい。


「マジか」


「マジです」


「普通に食べましょうよ……。と言うかどうやって食べてるのよ?」


「メイドですから」


「最近その答えに納得してしまう自分がいるんだが」


「私も……」


 大丈夫よ姉様、私もよ……






「服にアクセサリ、本か、食べ物、お菓子か。シラユキなら菓子か?」


「また子ども扱いして……。ルー兄様服なんて一緒に見に行きたくないでしょ?」


 だがお菓子は是非見に行きたいと思う。後でさり気なーく提案してみよう。


「よく分かったな。ユーネにたまに連れて行かされて選ばされるんだが、あれは中々きついものがあるな」


 男の人は女性の服選びとか苦手そうだよね。私も兄様に選んでもらいたいんだけどな……


「お兄様は何を着ても似合ってる、可愛い、綺麗だ、しか言わないのよね」


 それは実際、何着ても似合ってて可愛くて綺麗なんだよ!!


「ユーネはどんな服を着ても似合うからな」


「もう、お兄様ったら……」


 見つめ合う二人。


 はいはい、二人の世界に入らなーい!


「シラユキもきっとそうだな、何を着ても似合うさ。見立ててやろうか?」


「え? えへへ」


 な、何よもう! 褒めても何もでないんだからねっ!

 兄様に言われるとやっぱり嬉しいわ。姉様の気持ちがよく分かるよ。


「照れちゃって、ホントに可愛いんだからシラユキは」


 うりうりと頬を揉まれる。あれちょっと痛い? や、やきもちか!? 妹相手にやきもち焼かないでよ……




「ん? げ、目が合った。入ってくるなよ……」


 外を眺めていた兄様が呟いた。知ってる人でもいたのかな?




 お店の入り口のドアが勢いよく開き、ドアベルが凄い音を鳴らす。うるさいな、誰よ? もう少し静かに開けれないかな。


 他のお客さん、ウエイトレスの人たちも、驚いてドアの方を向いている。


「来ちまったよ……。バレンシア、シラユキに何かしようものなら遠慮はいらん。肉片に変えてやれ」


「だ、誰なの!? 誰でもすぐ肉片に変えようとしちゃ駄目だからね!?」


「心得ております。それでは早速」


「まだ何もされて無いよ!!!」


 念のために肉片に変えておこうっていう事か! その発想は無かったわ!!!



「おっ前相変わらず美人ばかり侍らせやがって! 俺にも誰か紹介しろよ!! そっちのメイドの人!! 結婚しよう!!!」


「申し訳ありませんが、死んで頂けますか?」


「美人なのに言う事が怖い!!」


 おお、早足で近づいてきて求婚だよ。凄いよこの人。シアさんも断り方が怖いよ!

 そして分かる、絶対兄様のお友達だ。




 人間種族だよね? 耳は長くは無い。黒髪短髪、年は、結構若い? 二十はいってないように見える。

 黒っぽい上下。胸と腕に防具、足にも脛当てっぽく付いてるな。そして大き目の外套。ここまでは前に見た冒険者と同じ感じだね。黒っぽい服着てる人が多いのは何でだろう? 今度シアさんに聞いてみよっと。


 他の人と明らかに違うのは、背中の長い剣。あれ、2mくらいあるんじゃない? シアさん言ってたけど、大きい武器を振り回すなんて馬鹿はいないんじゃなかったかな……

 お肉を上手に焼くゲームの様な幅が広い大剣ではなく、細い。ツヴァイハンダー、とかそんな名前だっけ? 意味はそのまま両手剣。ゲームだと大剣ってもっと重厚なイメージがあるんだよね。




「話の前にまず武器をどこかへ置いて来い。シラユキが怯える」


 冒険者の人の武器を見つめていた私が怯えていると思ったのか、兄様が言う。


「そっちの子は初めて見るな。誰だ? お前とユーネの娘か? お前ら子供いたっけ? 名前はシラユキって言うのか」


 それを完全に無視かこの人。かなり仲が良いのかな? もしかして失礼な人?


「へ? あ、はじめまし」


「ルーディン様は武器を置いて来い、と仰っていましたが? 今この場で肉片に変わるか、装備一式店に預けてきてから私に殺されるか選びなさい」


 シアさんが私の言葉を遮るように立ち、言い放つ。


「どっち選んでも死ぬの!? 俺!!」


 こ、この人は、まさか。


「失礼しました。つい本音が」


「本音!! 冗談ですとか言い直しもしないのかよ!?」


 間違いない。


「ほらほら、早く置いてきた方がいいわよ。どっち道殺される事は決まっちゃったんだからね」


「もう決定なのか!! ユーネがそう言うなんて本気でやばいのか!? だ、誰か! 俺に新たな道を! まだ死にたくなーい!!!」


 この人ツッコミだ!!




 ツッコミ役が増えるよ! やったね私。






ちょっと中途半端なところで切れます。

明日はまた二話投稿予定です。


ついに新キャラが……?

出て来て早々死にそうですが。


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