その329
地球を防衛してたり、某RO風のオンラインゲームをやってたりしていました。(正直)
お久しぶりです!
ショックショック大ショック!! まさか『踊る妖精』の人手不足の元凶が実は私、正確に言うと私のメイドさん大好き病のせいだったとは……。
まあ、元凶って言っても私がメイドさん大好きじゃなければあのお店自体存在していなかったのかもしれないし、それはそれでまた話が違ってきそうだけどそれはそれ、これはこれ。ともかく結構な衝撃を受けた訳であります。
ジニーさんが言うには、今でさえ三人ともできれば私の家で働きたいって思っているらしいし、今後どれだけ人員を補充しようともその人たちも全員そうなってしまうのは確定的に明らかとのこと。私が可愛すぎるのが原因とかよく分らない文句を付けられてしまった。真に遺憾ではあるが強く反論できなかった。
とりあえず現状では打つ手無しで代案も無し。私が甘えん坊から卒業したところでメイドさん大好き病は不治の病、なんともならないお手上げ状態で大変困っているみたいだった。
とてもそうは見えなかったがきっと内心では困りに困っているんだろう。それもショックの一つなのだ。
ジニーさんは森にこそ住んでいないが私の大切な家族の一員であり大好きなお姉さん。そんなジニーさんをこれ以上困らせ続けてはいけないと今日の私は解決策を考え、悩みに悩んでいる。シアさんの膝の上で、おっぱいを揉みまくりながら。
……いやですね、これは別に揉みたいから揉んでいる訳ではなくてですね、シアさんの膝の上で考え事をしていると何故なのか、どうしても勝手におっぱいに手が伸びて行ってしまってですね……。これは私がおっぱい好きとかそういう話とは別問題、以下レスひ不要です。
実際のところシアさんも満面の笑顔で超嬉しそうだから何の問題もないんだよ。うむ。
とにかくまずは何よりも解決策を考える方を優先! それが難航しているからこうして考えがあっちへ行ったりこっちへ戻ったりしているんだけどね。
こんな時に頼りになる筈のシアさんは、また意味不明な理由で嫉妬してきて協力を拒否。そして今この場、談話室にいるメイドさんはシアさんを除くとエレナさんのみ。エレナさんはメイド服こそ着ているけど、森に帰ってきたばかりなのでお仕事をする気は完全にゼロな自由状態。なので私一人で考えなければならないのだ。
考えが逸れに逸れまくってしまっているのでここで一旦リセット、最初から考え直していこう。俗にいうメンタルリセットだね。……違う気がする。
『踊る妖精』のウェイトレスさんはエルフのメイドさんと決まっている。が、私の本物のメイドさんである事にもう拘りはないらしい。そうなればあとは簡単な話、ジニーさんが目を付けている人を連れてくるだけ……、なのだがそこで一つの問題が発生してしまう。いくら人手を増やしても、最終的にはどこかのメイドさんが大好きすぎるお姫様に全員連れて行かれてしまって根本的な解決にはならない、と。なにそれこわい。
うん? それって、裏を返せば長期的な目で見なければ人員の補充は即できるっていう事なのかな? ジニーさんの顔の広さ、人脈は計り知れないから多分そうなんだろう。
それならもういっそのこと、その全員を先に私のメイドさんにしてしまうという手はどうだろうか!? どうせ最終的には全員私のメイドさんになる予定なんだから問題はないはず。ううん、知らないけどきっとそう。
さすがにそれは一割くらいの冗談だとしても解決の糸口にはなった! つまりウェイトレスさんを増員するのではなく、私のメイドさんをもっと増やしてそこから何人か、例えば一ヶ月単位でお店に働きに出す、という形にしてみたら綺麗に丸く納まる気がする……!! これこそまさに発想の逆転!
ふむ、ふむふむふむ。素晴らしい解決案だと関心はするがどこもおかしくはないね。そこに痺れても憧れてもいいとさえ思う。
しかし今回は珍しく、本当に珍しくいい答えにたどり着いた……。自分で自分を褒めてあげたいわ。
よし! そうと決まれば話は早い方がいい。早速行動に移さなければなるまい。
「シアさん!」
「はい姫様。可愛らしいです姫様。ふふ」
私の突然の大声にも驚かず、満面の笑顔のまま返すシアさん。まさにメイドさんの鑑。何か笑顔の理由が別のところにもある気はするけどきっと気のせいだろう。
「明日は冒険者ギルドにミランさんに会いに行くよ。あ、でもその前に、ミランさんの明日の予定は把握してる?」
そう、前々前々前々くらいから考えていたミランさんメイドさん化計画をついに実行に移す日がやって来た! 大義名分を得た私を誰も止める事などできないのだ!!
「明日、ですか? 明日は確か、受付の仕事もお休みでどこかへ出掛けられる予定だったかと」
「えー」
ほんの数瞬首をかしげて不思議そうにしていたが普通に教えてもらえた。今さっきまでの私の行動のおかげだろう。
しかし、いきなり止められた!? いや、止められた訳じゃないけど出鼻をくじかれた気分! ぐぬぬ。
「それじゃ明後日は?」
他に予定があるのならば仕方がない。でも早ければ早い方がいいので最短で会える日に会いに行きたいところだね。
「明後日はガトーと町の見回りがてらに食材の確保をされるとか、そんな事を話していた覚えがありますね」
「ええー!」
うぬぬぬぬ。明日も明後日も駄目とかどうなってるの! ちょっとタイミングが悪すぎませんかねえ……。ショコラさんとお買い物なら私もついて行きたいところだけど、見回りとなるとやっぱり邪魔になっちゃうかな? 少なくともショコラさんの前でメイドさん勧誘はできなさそうだからやめておこう。
「それなら明々後日はー?」
「確か調薬ギルドでなんやかんやするのだとかそんな気が……」
「あやふや! なんやかんやって何!? その次の日は!」
「さて何でしょう? と、その日から数日間、カルルエラの錬金ギルドへ出向かれる事になると思います。ちなみに明々後日の次の日は弥の明後日と言うんですよ?」
「へー。……数日間!?」
「はい。ふふふ」
驚く私を見てにっこりと微笑むシアさん。優しい笑顔すぎて文句を言いにくい。別にシアさんのせいという訳ではないのだけれど。
むう、私が少しやる気を出すといつもこれだよ! まったくタイミングの悪い……。とりあえずミランさんには一週間、いや、二週間くらい会いに行けないのか……。今までだって一ヶ月くらい会わない期間は何回もあったけど、それは会わなかっただけで会えないっていう事ではなかったからね。少し残念と言うかちょっと寂しい気分になってしまう。
それよりも一番の問題は、ミランさんが帰って来るまで私のやる気がちゃんと持続してくれるかという事なんだけどね! 多分父様母様にちょっと甘えたり、兄様姉様やメイドさんズに少し遊んでもらったらあっさりと忘れてしまいそうで怖い。自分の事だからよく分る。
「ちょっと姫姫、ひーめ」
「う? なあにエレナさん」
何か分らないが急にエレナさんに呼ばれた。ここまで一切話に加わらず、ただぼーっと座っていただけなのにどうしたんだろうか? 騒ぎすぎてうるさいと思われたのかもしれない。
「いやなんか普通に話が終わりそうだったから言っておくけどさ、姫さっきから騙されてるって気付かない?」
テーブルに肘をつきその手に顎を乗せ、気怠そうに言うエレナさん。『踊る妖精』での忙しさの反動か、今は何もする気が起こらないらしい。
騙されてる? 私が? 誰に? 誰にって言ってもここにはあとはシアさんしかいない訳で……。なるほど、つまりエレナさんは、シアさんが私を騙しているとそう言いたいんだね?
でも何を今更そんな、シアさんが私に嘘をついてからかってくるなんていつもの事じゃないかまったくもう。……今!!?
「シアさん!」
「はい姫様。とても可愛らしいです姫様。ふふふ」
「ミランさんの明日の予定は!」
「いつもの様に受付で暇そうにされていると思いますよ。まあ、どこかへお使いに出られる可能性も無いとは言い切れませんが、ね」
やっぱり嘘だったじゃないか! やっぱりと言いつつおかしいとか微塵も感じてなかったけど!!
どうしてシアさんはさも当然とばかりの口調で嘘をつけるんだろうか……。そして、どうして嘘がバレてもそんなに平然としていられるんだろうか……! コレガワカラナイ。小心者の私にはその冷静さ、図太さが羨ましいとさえ思えてしまう。
「なんで嘘つくの! まったくもう!! 明日はミランさんに会いに行くからね!」
「はい、その様に。ふふ、何故と聞かれましても、それは姫様が可愛らしいからとしかお答えできませんね」
可愛い可愛い、と頭やら頬やらを撫で回してくるシアさん。
「理由になってなーい! もう……。ふふ」
ええい、この程度で私の気が収まると思ったら大間違いだよシアさん! もっと撫でてもっと!!
「昨日もそうやってまたからかってきたんだよ? シアさんひどいよねー? ミランさんもそう思うよねー?」
「え!? あ、あのー、ノーコメントでお願いします。あはは……」
「ほう? はっきりとお答え頂いても構わないのですよ? まあ、それを聞いて私がどんな行動に出るかまでは分りませんが、ね」
「ひい! 言えません答えられませーん!」
「なんで毎回脅すの!! ミランさんもいい加減慣れて!」
日付も場所も変わり、次の日の冒険者ギルド。今日はミランさんとお話をするためにカウンターの中に椅子を置いてお邪魔している。
たまに冒険者の人が依頼を受けたり報告に来ていたりもするが、その時はパッとカウンターの下へ隠れているのでそこまで邪魔にはなっていないだろうと思う。時間的に忙しいと言われている午前は避け、お昼を食べてから来たのも幸いしているんだろう。
そしてミランさんは相変わらずシアさんの脅しにはビクビクしっぱなし。森の中ではそれほどでもないけれど、外に出たシアさんは誰にも止められないのでそのせいだと思う。兄様と姉様も連れて来るんだったなと今更ながらに後悔中。
まずは軽い世間話、その後に本題であるメイドさん勧誘に移ろうと思ったのだが……。このままではその世間話すらも危うい状況に陥ってしまいそう。シアさんではなく、キャロルさんかクレアさんにお供をお願いするのだったとこちらも併せて後悔だ。ぐぬぬ。人選ミス!
「あ、そうそうそうですシラユキ様、数日前からなんですけど、珍しくエルフの冒険者がこの町に来ているんですよ。それも二人も」
「珍しいねー。二人も? お友達同士とかかなー」
それとも恋人同士とか? ふふふ。
確かにリーフサイドはエルフ自体の数は多くても、エルフの冒険者っていうのは全くいないから珍しく感じちゃうね。ミランさんは今日メイドさんになるので完全にゼロになる訳です。
「はい。でもお友達と言うよりは……、どちらかと言うと子供とその保護者に近い関係に見えましたね。片方の、ええと、ハンナさんというんですけどその方がですね、何と言いますかとても元気いっぱいな自由な人で……」
「元気すぎてもう一人の人が保護者みたいな感じになっちゃってるんだ? でも自由な人って……、はっ!? た、大変そうだねー」
と、ついついシアさんの方を見ながら呟いてしまった。大失敗。
シアさんはにっこりと邪悪な笑みを返してきただけで特に何とも言わなかったが……。その笑顔がもう充分に怖いです! ガクブル。
しかしこうやって噂をしていると多分この後……。
「ミーランさんミーランさーん!! ちょっと聞いて聞いて今さっき外でちょっと聞いて!! 聞いてってば!!!」
「ああやっぱり……。き、聞きます! 聞きますから今はもう少し声を落としてくださーい!!」
ほら来た!! ミランさんもやっぱりって言ってたし、そろそろ来るんじゃないかと考えて話を振ってきてたんだろうね……。
そしてこの元気いっぱいな子供みたいな可愛い声、ちょうど今話してた自由人さんの方だよね? エルフなら普通にお話できそうだし、一体どんな人なのか楽しみ楽しみだ。ふふふ。
新キャラが出かかっているのに続いてしまいます! 次回はさすがに頑張って早めに投稿したいです。