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221/338

その221

前回の続きのちょっとおまけ程度のスーパー雑談タイムです。

 マリーさんへのお仕置きは後に回しての雑談の後、お昼も食べ終わっていざ再開! となった時、シアさんからこんな一言が出てしまった。


「姫様が仰られたとおりもう充分すぎる程のお仕置きとなったでしょう。昼食中恥ずかしい思いもされた事ですしね」


 シアさんがデレた!? まあ、普通にお昼ご飯の間もずっとお仕置きが続いていたようなものだったからね、ただ満足しただけなんだろうと思うよ。


 雑談中に一度トイレに立って戻って来たマリーさんを自然な動作でまた椅子に縛り付けたシアさんは、もう面倒だからお仕置きが終わるまでこのままでいいんじゃね? と今の今までほどかずにおいたのだ。

 ダイニングへの移動も椅子に座ったまま、キャロルさんにお神輿状態で担ぎ上げられて運ばれ、両手も勿論動かせないので食べるのもメイドさんズみんなからあーんして食べさせられるというとても恥ずかしい思いを味わってもらっていた。……別に恥ずかしい思いと料理を味わうとをかけた訳ではない。

 さらに食事中もソフィーさんから食欲が無くなってしまう様な話をいくつか聞かせられるというおまけ付だ。これはやりすぎと言ってもいいくらいだろう。私にも被害が来たよ。


 メイドさんにあーんして食べさせられるというのは、私としてはちょっと恥ずかしいくらいで、どちらかと言うとご褒美になるんじゃないか? と思ったのは内緒。キャロルさんの前では特に恥ずかしかったんじゃないかな。



「ふふ。よかったねマリーさん。あ、キャンキャンさん、それももう解いてもいいよ」


「はいな。……跡には、なってませんね」


 縛り跡が付いていないか確認をしながら手足の紐を解いていくキャンキャンさん。

 まず布を当てて、その上から緩めに縛ってあっただけだから大丈夫だろうとは思ってたけど、キャンキャンさんには少し心配させてしまったみたいだ。これはちょっと反省しなければ。


「うう……、はあ、やっと体を動かせますわ……。あ、私たちはそろそろお部屋に戻らせて頂きますね」


 自由になったマリーさんは両手首をさすり、軽い伸びをした後、危険人物二名のいる部屋からそそくさと逃げる様に部屋から出て行こうとする、が。


「では、まあ、本日の予定も早々に済んでしまったのですが、折角ソフィーさんにお越し頂いているのですからこのまま皆で雑談でも続ける事にしましょうか。……勿論マリーさんも含めてですよ? 席にお戻りください」


 シアさんがそれを黙って見逃す筈がなかった! 満足したんじゃないんだね……。どうやらソフィーさんを絡めてのお仕置きはまだまだ続くようだ。




 マリーさんは無言で、何もかも諦めた表情で椅子に座り直す。完全に黙り込んでしまった。それを見てキャンキャンさんも苦笑い。


 う、うーん。いくらソフィーさんに対してあんな態度を取ってしまったからといっても、これはちょっとかわいそうに思えてきちゃった。本当に私に何か失礼を働いた訳でもないのにこの仕打ち、シアさんはもしかしたら少し怒っているのかもしれないね。

 まったく、過保護と言うか過剰反応が過ぎるよ。一言注意しておいた方がいいかもね。


 すぐ左隣に立っているシアさんの右手の袖を軽く引いて頭を下げてもらい、みんなに聞こえない様に小さな声で耳打ちをする。


(もうお仕置きは終わりね! 後は普通にソフィーさんが変な事言わない様に……、多分言っちゃうからちゃんとフォローをお願い)


 シアさんはそんな私の言葉、行動に、とても嬉しそうに答える。


(やり過ぎてしまいましたか、ふふ、申し訳ありません。姫様は本当にお優しい……。ですが、本当にもうお許しになられてもいいのですか? マリーさんをご覧ください。そしてお考え直しを)


 ん? マリーさんが何? ……はっ!?


 シアさんに言われたとおりマリーさんの方へ顔を向けてみると……、もの凄く目をキラキラさせて嬉しそうにしているマリーさんと目が合ってしまった。

 マリーさんはまた昨日と同じ様に、どうぞどうぞと手で何かを勧めてくる。まるで私たちは気にせずレンさんとイチャイチャしてください、とでも言いたげな表情だ。


 くっ、私ったらまた迂闊な行動を……!! シアさんに耳打ちするだけでイチャついていると取られるとは……。と言うか昨日あれからずっと訂正するのを忘れてたね。

 まさかマリーさんの中では既に、私とシアさんは恋人同士だとでも思われているのか!? もうお仕置きとかソフィーさんのいやらしいお話とかは全部置いておいて、まずはこの勘違いを改めなければならない!!



「マリーさん、マリーさん? 昨日も言ったけど私とシアさんは、その……、なんだろ? そういう関係じゃないよ? 別に照れてるとかじゃなくて普通に否定してるだけだからね」


 焦らずゆっくり丁寧に伝えていく。焦って口どもったりしたら逆効果、負けだ。


「そ、そうなんですの? どこからどう見ても仲睦まじい恋人同士に見えますのに……。あ、まだ、ですのね。シラユキ様はまだお小さいですから早」


「まだでもないから! うう、マリーさんにまでからかわれるなんてー!!」


 いい傾向だとは思うけどね!


「では大失礼という事で、失礼ポイントも一気にボーナスで5ポイント追加させて頂きます。私としましては勘違いでない方が嬉しいのですけれど、ね」


「な、何という大人の色気……。今のは決してからかった訳では……5!? お仕置きのその日にまた一気に半分もですの!? そんなボーナスは要りませんわ!!」


「お嬢様、私に失礼は絶対許さないとか言っておいて自分でその体たらくでは……。アリア様にしっかりと報告しちゃいますからね!」


「キャンキャンまで! 本当にからかった訳ではないんですのよ!? 確かに皆さんにからかわれるシラユキ様は大変可愛らしいと思いますけど、わ、私はそんなつもりでは……」


 ほうほう? つまり普通に勘違いしちゃってたってこと? 私ってそんなにシアさんにベッタリしてたかなあ……? 最近はマリーさんが見てるから甘えるのも控えめにしてた筈なのに。




 とりあえずこれで変な勘違いを正す事はできたと思う。思いたい。恋に憧れる(?)乙女脳は手強いから油断はならない。

 しかし、私ががんばって説明してるのにメイドさんズみんなはにこやかに眺めてるだけなんだから! もう! 手伝ってよ!! あ、ソフィーさんを押さえててくれたのかも? むう、それならばよし。


「姫が好きなのは……、好きになるのは? ルーディン様かシアのどっちかで決まりだからあながち間違いでもないんだよね」


「だよね。ルーディン様は当たり前だけど、レンなら普通に許せるよ」


「えー。シア姉様はできたら私と結婚してほしいなあ……」


「黙りなさい」


「シラユキ様はまだ三十にもなられていないんですよ? そんな話題はまだまだ早いと思います」


 おお!? ソフィーさんから珍しく普通の意見が! しかも私に対してのフォロー、ありがたいよ。


「私の三十歳頃と言えば……、自慰を覚えたての」


「はいそこまで」


 やはりソフィーさんはソフィーさんだった! 勘弁してください!!


「ソフィーティアさんはお若いのにかなり経験豊富っぽいですよねー。今はフリーですよね? 決まったお相手は今まで誰もいなかったんですか?」


 むむむ、何やら危険そうな、でも面白そうなお話の気配。ちょっと静かにして聞かせてもらっちゃおう。ちなみにキャンキャンさんはシアさんより年上、シアさんの方が上に見えちゃうなあ……。


「恋人と呼べる方、ですか? 実は今までに何度か告白をされて、それでお付き合いを始めた事はあるにはあるんです。ですが、何故か皆さん揃って私にはついて行けない、と一方的に、逃げる様に関係を解消されて……。今はちょっと恋愛には臆病になってしまっているのかもしれませんね。肉体関係で言うお付き合いをしている方でしたらこの森にも何人か」


「はいそこまで」


 ソフィーさんの魔手は既に森にまで広がっていた……。まあ、いいんだけどね。みんなエルフだし、子供も出来ちゃったら出来ちゃったで結婚させちゃうか、相手が分からないなら私の家に住んで産んでもらってもいい。私も凄い考えができる様になったものだ……。これは成長と言ってもいいんだろうか?


「恋人って言うと……、冒険者仲間になるの? それとも冒険者になる前の話?」


 フランさんがさらに突っ込んだ質問をする。


 ソフィーさんはちょっと気にしちゃってるっぽいからあんまり聞かない方がいいと思うけどねー。でも私も大変興味があります。


「なる前と、なった後、どちらもですね。皆さんエルフの方だったんですけど、色々と町を転々としているとエルフの冒険者の方とも結構お知り合いになれるんですよ」


 ソフィーさんは五年経ったら次の町に、だったね。リーフサイドにはかれこれ……、十年くらい? 多分私のせいだよね……。


「まあ、今もそうだけど、こうやって普通に話してる分はコイツもただの美人冒険者だからね、皆それに騙されたって訳か。ご愁傷様と言うしかないね」


「? 何がいけなかったんでしょうね……。お付き合いをしている間は他の方と関係を持つ様な事もしていなかったんですけど……」


 あ、ちゃんとそういう分別は普通についてるのね。ソフィーさんはズレてるところは桁外れにズレちゃってるけど、まともなところは普通にまともなんだから。もっとバランスを取ってほしいよまったく。


「……それが原因なのでは?」


 ここでソフィーさんのいやらしい発言阻止のために待機していたシアさんが口を開く。


「浮気をしなかった事が、ですの? 誠実過ぎ、尽くし過ぎて疎まれてしまったとか……? そんな男別れて正解ですわ!!」


 マリーさんはぷんぷんと擬音が出そうな感じで可愛く怒っている、のだが。


「なーるほどねー、だからついて行けない、か……。ちょっと聞くけど、一晩に平均何回くらい求めちゃってたの? っと、シラユキの前でこれはやめた方がよかったかな」


 やっぱりそっちのついて行けない、だよね、体力的な。ソフィーさんをたった一人で満足させるなんて相当な実力者じゃないと無理だと思うよ。そっち方面での実力者で。こ、これくらいならまだ何とか大丈夫! ちょっと、いや、かなり恥ずかしいけど。


「ええと、毎晩最低でも五回六回は中に出し」


「はいそこまで」


「毎晩五回も六回も!? それは逃げられて当たり前だよ……」


「勿論夜だけではなく、人気の無い所なら朝晩どこでも、といった感じだったと思います。最初の内は喜んでもらえてたので問題は無かったと思うのですが……」


「冒険者は体力が資本ですからねー。それでなくても中々辛いものがあると思いますよ」


「男ってやっぱ一度に何回も出すのはキツイものなん? 私はシア姉様となら毎晩何回でも……」


「やめなさい黙りなさい。……擦り寄って来ない!」


 ひい! キャロルさんまでいやらしい方面で参加してきた!? これはそろそろ止めに入らないと……、うん?


 くいくい、と、右腕の袖を引かれる感触。そちらを向くと、苦笑いのメアさんが立っていて、部屋の隅のソファーを指差している。


 ああ、うん、ありがとうメアさん。今の内に逃げちゃお逃げちゃおう。勿論マリーさんも一緒にね。






 私には理解が届かない話で盛大に盛り上がるメイドさんズプラスソフィーさん。それを眺めながら、兄様がたまにお昼寝する時にしか使われないソファーにマリーさんと一緒に座って寛ぎタイム。


「な、何かどっと疲れましたわ……。シラユキ様、申し訳ありませんでした。どうしてもあの方は苦手で……」


「誰だって苦手だよあんなのは。キャンキャンは経験無しって言ってる割には何でもない様に向こうに参加しちゃってるけど……、ま、年齢から来る余裕かな」


「私も最初の頃はそうだったよ? 慣れるまでは大変だけど、あ、私はシアさんがいたから平気、でもないけど大丈夫だったのかも」


「キャンキャンにはその辺り期待できそうにありませんわ。キャロルに頑張ってもらうしかなさそうですわね……」


「うんうん。キャロルさんももう立派なメイドさんだからね。どんどん頼ってあげてね!」


「ふふふ。はい、思い切りこき使わさせて頂きますわ。それと……、シラユキ様とレンさんのご関係については……」


「まだ言うの!?」


「失礼ポイントをまたボーナスで5ポイント追加しておこうか。明日もまたお仕置きだね」


「あ! や! 今のはついの一言で! い、言い訳を、弁解をさせてくださいまし!!」




 マリーさんは、お姫様と従者の、とか、王子様とお付のメイドの、等の恋愛話が大好きらしく、そういう小説をいくつも集めているんだとか。

 でもお姫様とメイドさんの恋愛話は……、うん? 何かそんな話を前に読んだような……?




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