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202/338

その202

後半はほぼ会話文のみのスーパー雑談タイムになっています。




 全員が席について紅茶の準備も終わり、ふうと一息。


 私もちょっと食べ過ぎてしまったかもしれない、人の事は笑えないね……。ああ、全員と言っても実際に座っているのは私と姉様、マリーさんの三人だけ。キャンキャンさんもお客様なんだから座ってもいいと思うんだけどなー。


 とりあえず食事の席ではできなかったメイドさんズ自慢でもしようと思っていたら、それよりも先にフランさんからこんな一言が飛び出してしまった。


「ちょっと気になってたんだけど……、マリーの話し方って何か変じゃない? そのお嬢様っぽい口調、実は無理してるでしょ」


「え!? あ、そんな事は……」


 ああ! フランさんそれはまだ早いよ!! もう少し私たちとの会話に慣れてから直してもらおうと思ってたのに!


「あ、やっぱり分かります? 普段は誰にでももっとかるーい話し方で、外からお客様が見えたときくらいしかこんな喋り方はしないんですよ」


「やめて! お願いだから黙っててよ……」


「ああ、うん、そんな感じするね、お淑やかにし慣れてない感じ。姫もそうだよねー」


 余計な事を! でも否定はできない……。


「お嬢様も頑張ってはいるんですけどねー。どうしてもまだ子供っぽさが抜けなくて……。でもそこが可愛いですよね!」


 笑顔でマリーさんを撫でながら言うキャンキャンさん。


「撫でるなって言ってるでしょうが!! ……はっ!? も、申し訳ありません、はしたないところをお見せしましたわ」


「あはは。そんな無理してお嬢様ぶらなくてもいいってば。エネフェア様とウルギス様の前で緊張しちゃうのは私にもよく分かるんだけどね。姫とユーネ様になら敬語も無しでいいと思うよ?」


 メアさんは兄様にも未だに敬語だよねー。でも緊張なんてもう微塵も感じてないみたいだからいいんだけどね。あんまり馴れ馴れしくしちゃうと揉まれちゃうかもしれないからそれだけは気をつけてもらいたい。


「ユーネ様だってシラユキが生まれた頃に成人したばかりだし、マリーと年も三十くらいしか違わないでしょ? シラユキなんて見た目も中身も完全に子供なんだからもっと馴れ馴れしくしちゃっても大丈夫。子供扱いでいいのいいの」


 フランさんは父様母様にもかなりフランクに接せてるからね。フランさんがフランクに……、ぷくく。


「? 姫様どうされました? 可愛らしいですよ?」


「何その疑問に思い方!?」



「はー……。? ……??」


 何故かメアさんとフランさん、それとシアさんを交互に見比べるマリーさん。


「む……、私が何か?」


 シアさんも視線に気付き、不思議に思ったのか問いかける。


「あ、いえ、バレンシア、さんにではなくてですね。そちらの、ええとフランさんとメアリーさんが」


「フラン」


「メアリー。あ、メアでもいいよ」


 フランさんとメアさんが、さん付けに即座に反応して訂正する。


「私の事も呼び捨てで構いませんよ。バレンシア、シア、レン、あとはよくメイドさんと呼ばれていますね。ご自由に、お好きにどうぞ。勿論敬語も必要ありません。ただのメイドに敬語を使うのも抵抗があるでしょうからね」


 メイドさんって呼ばれてるのは、気安く名前を呼ぶと睨まれるからだね。シアさんを名前で呼ぶのはそれなりに勇気が要るものらしい。


「あ……、う……」


 マリーさんはお嬢様だもんねー、メイドさんに対して敬語を使うなんて初めての経験なんじゃないかと思うよ。王族に仕えてるメイドさんなのと、私たちの前で素の自分をさらけ出す事が怖いのかもしれないね。冒険者ギルドでも家でも元気にツッコミまくってたんだし、今更だと思うんだけどなあ……。


「うーん……、あ! シラユキ様ユーフェネリア様、お嬢様に言っちゃってあげてくださいな」


「キャンキャン!? お二人になんて軽い話し方を!! あ……、申し訳ありません!!」


 おっといけない、見てるだけで結構楽しかったけど、メイドさんズに任せっきりじゃなくて私たちからも言ってあげないといけないね。


「ユー姉様ユー姉様、お願い」


 でも何て言っていいか思いつかないから姉さまに丸投げ!


「ふふ、シラユキったら……。そうね、お母様も言ってたけど、今日いきなりっていうのはちょっと無理があるかもしれないわね。でもね、マリー。私たちには無理としても、この三人となら普通に話せない?」


「そそ、私らただのメイドだからさ。ね?」


「もーっと気を抜いていいよ? でもシアはちょっと怖いかもね」


「心外です」


 ため息を一つつきながら呆れたように言うシアさんに、あはは、とみんなが軽く笑い出す。この空気ならマリーさんもきっと……!!



 マリーさんは軽く目を瞑って胸に手を当て、大きく深呼吸を一つ、目を開き意を決したかのように話し出す。


「え、っと……、フランとメアリーってなんか普通よね。私、ハイエルフの方々に仕えているメイドはみんなレン、さんみたいに怖い人ばかりなんだって思ってたの」


「私はさん付けですか?」


 ニヤニヤしながら言うシアさん。私も姉様もちょっと口元がにやけてきてしまった。ニヤニヤ。


 いい調子いい調子! 極力私たちを視界に入れないようにしているのがまたなんとも面白い。そうしないとどうしても強張っちゃうんだろうね。


「う……、だってレンさん怖いから……」


「ですよね? バレンシアさんこっわいですよ。クレア様より怖いかもですね」


「あっはは! うんうん、シア怖いよね?」


 シアさんは、むう、と可愛く唸る。


「レンは脅かしすぎだよ? まったく。森の中じゃ王族の誰相手でも私らみたいなのが当たり前、レンみたいなお堅い感じの方が珍しいの。レンはその中でも特に、かな。でもね、これでもかなりマシになったのよ?」


「みんな家族だからねー。とりあえずメイドさんズとはもっと気楽に話しても大丈夫だよ。でもメイドさんだからって命令とかしたら怒っちゃうけどね」


「はい! エルフ皆友人家族、ですよね?」


 明るく元気に、まるで生徒が先生に答えるかの様に言うマリーさん。


「……それはお爺様とお婆様だけの考えよ。でも森に住んでいる皆はそうね、全員大切な家族だわ。私たちは王族だし、つい命令もしちゃうんだけど……、普通に断られたりするからね」


「はー……」「ほー……」


 姉様の言葉に、マリーさん、キャンキャンも少し呆けた様な顔になる。


「ふふ、何度も言うけどゆっくり慣れていけばいいわ。昔話や言い聞かせられた事なんて全部忘れちゃってもいいと思うの、今実際に私たちが目の前にいるんだから、ね?」


 姉様カッコいいわー。二人の前じゃなかったら抱きついていきたいところだよ。


「はい……、はい。……うん」


 何やら考え込むかの様に黙ってしまったマリーさん。でも表情からすると悪い考えや落ち込んでいるという訳では無さそうだ。


 子供の頃からの気持ちや憧れに折り合いをつけるのは難しい事だよね。姉様が言ったみたいに私たちを実際にに見て、感じて、ゆっくりと慣れていくしかないと思う……、かな?

 でも今しんみりしちゃってもしょうがない! ここはちょっと空気を読まない発言をしてみようか。


「あ、あと、それとね? シアさんが何か言ってきても私に言ってくれればいいからね!」


「助かります! よかったですねお嬢様、生きて帰れそうですよ!!」


「本人の前で言うのはやめなさい!! 本当に生きて帰れなく……、あ」


 言ってしまった! と口を手で塞ぎ、恐る恐るシアさんの顔色を窺うマリーさん。


「ふむ……。まあ、今は大人しく引きましょう。今は……ね」


「今は!? 後で何かされちゃう!?」


 おお、ツッコミが出た!

 ふふ、この調子ならすぐに私たちとも普通に話せるようになりそうだね。




 マリーさんのこのいい状態を維持するために、さらにいい方向に持っていくために私と姉様はなるべく聞く側に回り、メイドさんズとをメインとしてお話してもらおう。こういうのは自然自然と慣れさせていっちゃうのが一番よさそうだからね。この五人がどんなお話をするのかっていうのも凄く興味がある。


 紅茶を飲み終わり、手持ち無沙汰な姉様に膝の上に乗せられる。これで聞く準備は完了だ。うにうに。


「二人とも泊まっていくんだよね? 荷物は少なかったけど、一泊分?」


「はい、あ、お嬢様の下着は漏らしても大丈夫なように予備を多めに」


「漏らすかっ!! アンタはどこまで私を子供扱いしたら気が済むの!?」


 シアさんに脅かされて、とかそっち方面の事を考えての事だと思うよ……。


「あはは、キャンキャン面白いね。一泊なんて言わずに暫く滞在していったら? 他に用事が無ければだけど」


 おお、メアさんナイス提案。


「そ、それはさすがにね……。明日ウルギス様にご挨拶させて頂いたら宿に戻るつもり。でもリーフサイドにはもうちょっといようかなって思ってるの。こんな遠くの町に来たのなんて初めての事だから」


 むう、それは残念。残念だけど町に会いに行けばいいか。


「私はもっと森の中を見て回りたいんですけどねー。こんなの夢の世界のお話ですよ?」


「夢の世界って大袈裟な……。そういえばミランさんもそんな事言ってたっけ」


「あ、うん、そうだねー。ミランさんは最初私たちの事を神様扱いしてたからね。ホントに大袈裟だよねー」


 それが今では森の中限定だけど、抱き上げたり膝の上に乗せたりキスしたり、随分身近な神様になっちゃったね、ふふふ。……女神様も結構身近な人だな……、私限定だけど。


「わ、私たちからしても本当にそんな感じなんですよ。……ね、ね? キャンキャン」


「そこで私に振っちゃ駄目ですよお嬢様……。もっとお二人ともお話させて頂かないと!」


「アンタはもうちょっと私のフォローを……、あ、これがフォローか……。くう、本当にその図々しさを分けてほしいわ……」


 マリーさんなりに今のはかなり頑張って自然に話しかけたんじゃないかな、失敗しちゃったけどね。うーん、またニヤニヤしてきちゃう。



「荷物といえば、全てお客様用の一室に運び込んでおきましたよ、宿の分も合わせて全て。ついでにチェックアウトも済ませておきましたのでご安心ください」


 ほほう、シアさんはいつの間に手を回して……、ん? 今何かおかしな事言わなかった?


「あ、ありがとうレンさ……ん? え!? はい!?」


「わー、お手数お掛けしちゃってすみません、ありがとうございます。暫くご厄介にならせて頂きますねー」


「ちょっ、コラ! それは私のセリフ……じゃなくて!! レンさん!? あれ? 鍵は? 不法侵入!?」


 こんな時毎回思う事なんだけど……。


「いえいえ当然の事をしたまでで……。お礼は結構ですよ、気になさらないでくださいね」


「駄目だこの人! 元から掛け合うつもりが無い!! ……あの! ユーフェネリア様!!」


 ツッコミをしなくてもいいのは楽だなあ……。


「私のことはユーネでいいわよ?」


「ええ!? は、はい! ゆゆ、ユーネ様!! それでですね……、ええと……」


「呼び捨てでもいいのに……。ふふ、これから暫くの間、よろしくね? この子とも毎日遊んであげて」


「はい喜んで!! もう駄目だ、逃げられない……」


 全てを諦めたいい笑顔だね!!




「そろそろシラユキはお風呂入らないとね。マリーはキャンキャンと? 私たちも一緒に入ろうか」


 えー? もうそんな時間? でもお風呂に入る前に眠くなっちゃうといけないしなー。


「あ、うん、キャンキャンと……。フランも一緒に入るの? それはさすがに恥ずかしい……、けど! その胸に付いてる塊が本物かどうか確かめさせてもらいたいわね……」


「これ?」


「うわ、持ち上げ……、なんなのそれ重そう……」


 本物だよー、とはとりあえず言わないでおく。


「お嬢様ぺったんこですからねー」


「ふふふ。気持ちは痛いほどに分かるわ……」


 私も今の言葉はグサリときました。


「ぺったんこ言うな! ユーフェネ……、ユーネ様は私に比べたら全然大きいですよ……。っと、とりあえずフランかメアリーかレンさん、誰かお願いしてもいい? キャンキャンと二人だけだと緊張で逆に疲れちゃいそうだから……」


 知らない家のお風呂だからしょうがないよねー。マリーさんだけだと温まらずに出て来ちゃいそう。


「ああ、申し訳ありませんが、私は姫様以外の方には例え王族の方にでも肌を晒すのは抵抗がありまして……。フランとメアにお任せします」


 シアさん恥ずかしがりやだもんねー。


「りょうかーい。でもね、触って確かめたかったらシラユキから許可を貰ってからにしてね」


「あ、そうだね。私たちの胸は姫の物だからさ」


「え? シラユキ様の許可が要るの? ……シラユキ様の物、なんですの?」


「ちょっ、二人とも何を」


「この子おっぱい大好きだからね。甘えん坊で可愛いでしょ? ふふふ」


「ユー姉様やめて! 恥ずかしいよう……」


「あ、その噂はリーフサイドで聞きましたわ。本当の事だったんですね……」


「まだその噂流れてるの!? 噂だからね! 噂!!」




 お風呂で受けたシアさんのマッサージのせいか、上がってすぐに眠気が限界にまできてしまった。

 今日の添い寝当番はメアさんだったけれど、メアさんたちがお風呂から上がって来るまでとても持ちそうにない。明日の当番のシアさんと交代する事になった。


 私はちょっと疲れちゃうとすぐに眠くなっちゃうね。体力面でもまだまだ子供だねー……。

 これはあれだね、ショコラさんのときと同じで、明日になったらフランさんとメアさん、後は姉様とも完全に打ち解けちゃってると思うよ。

 くう、悔しい! もっと夜更かしできる様になりたーい!!







その1~その10くらいまでの、全体的な修正と書き足しを始めました。

さすがに丸々一年前の文章だけあって書き方が今と全然違い、修正が難しく面白いです。

それで投稿間隔が長くなる様な事はないとお思います。むしろ短くなるかもしれません。(?)

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