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その2

ファンタジー設定という事で説明文が多めになるかと思います。

最低限必要な事のみでかなり省略はしてありますが、それでも少し長めになってしまうかもしれませんね。

「くそう……、覚えてろ……」


 捨て台詞とも取れる声が聞こえた、何やってるんだかこの人は。


「はいはーい。それじゃ今日は解散よー! みんなありがとねー! 戻っていいわよー! あ、お父様はそのままにしておいていいわよ」


 急に聞こえて来た声に後ろを振り向くと、そこにはいつの間にか姉様が来ていた。


 おや、姉様だ。父様が潰されたから代わりに収拾をつけに出て来たのかな。


 姉様と軽い一言を交わしながらみんなバラけていき、ボロ雑巾になった父様がその場に残された。

 ざんねん!! とーさまの ぼうけんは ここで おわってしまった!!


「ユー姉様ー!」


 慎重に椅子から降り、走り寄って姉様に飛びつく。


「シラユキもお疲れ様。可愛かったわよー。さすが私の可愛い妹!」


 グリグリ撫でてくれる姉様、最高ね。私一人っ子だったしさー。お兄ちゃんお姉ちゃんに憧れてたのよ。もう甘えたくってしょうがない。精神年齢的に恥ずかしくもあるけど、やっぱりそこは血のつながった家族だからかな、そこまで気にならない。



 ユーフェネリア姉様。私の大切な家族の一人で美人。綺麗と言うより可愛らしいと言った方が似合うかも。見た目は高校生くらいだが、すでに百歳は過ぎている。エルフとしてはまだ若いほう。



「見ていたなら助けないか、ユーネ」


 あ、父様復活した。でも服はボロボロのままだ。いつの間にここまで上がってきたんだろう?


「あの人数に突っ込むお父様が悪いのよ」


 正論すぎる。


「むう……、あれはシラユキの為の戦いであって、決して奴等がウザかったとか、そういう訳ではないんだぞ?」


 嘘だよ、馬鹿にされて突っ込んで行った人が何を言うか。


「はいはい、そういう事にしておきましょう、ふふ。それじゃ、中入ろっか? あ、お父様、シラユキが汚れるから離れてね? お風呂入って着替えるまで絶対触らないで」


「そ、そんな……。シラユキを抱いて行けないなんて……」


 父様がっかり。私はちょっと土が付くくらい気にしないんだけどねー。


「私が抱き上げて行くから安心よ。さ、お父様は放っておいて、行こっか? シラユキ」


 そう言って姉様は私を抱き上げ、頬擦りしながら歩き出す。


 くすぐったいよ恥ずかしいよ……。でも続けて!


「ふふふ。父様、また後でねー」


「そうだ! シラユキも一緒に風呂に入ろう! そうだそれがいい!」


 まだお昼前だからお風呂に入るには早いね。汗もかいてないしー。


「今日は私が一緒に入りますー! お父様は殆ど毎日一緒に入ってるんだからいいじゃない。私だってたまにはシラユキと一緒に入りたいもん」


「うおお……。夢も希望も無いのか……」


「大袈裟な……。行こ、シラユキ」


「うん!」


 絶望する父様はとりあえず放置、お腹も空いてきたし、家に入ろう。






 私のお披露目から数日後。……暇だ、暇すぎる。


 さて、今日は何をしたものか……。一番興味を引かれる魔法の勉強はまださせてもらえないし、うーん……。


 私はまだ五歳。特に勉強とかもやれって言われてないのよね。言葉は通じるから、文字だけは覚えないといけなかったんだけど、それももう終わっちゃった。絵本を読む年でもないし。

 ……あれ? 絵本読む年だよ!? 五歳だよ! でも精神的には大人、じゃない、そこまで子供でもないのよねー。やっぱり絵本は抵抗があるわ。


 むう、普通の五歳ならこんな時、絵本を読んだり外で遊びまわったりするんだろうか? 外に遊びに行くのは家族の誰かか、護衛を付けないと駄目なのよね。護衛というかただの迷子対策のメイドさんなんだけど。


 勉強については家族全員満場一致で、「別にしなくてもいいんじゃない?」で終わった。必要になったら、その時々にやればいいっていう事らしい。寿命が長い分、どうしてものんびりとした性格になっちゃうのかもね。




 うーん、町の方に行ってみたいなー。


 私の住んでいる森は、大きな森そのものが一つの町であり、国だ。森の中にぽつぽつと集落がある感じかな。森の中の集落へは、許可を得たエルフのみしか入る事は許されていない。

 森の入り口(?)の方には大きな町がある。こちらはエルフ含め多種族が生活しているらしい。まだ行った事は無いが面白そうだ。


 獣人の人とか、絵本で読んだ冒険者とかいるよね? 胸が熱くなるわ……。



「ねえ、母様?」


 近くにいる母様に聞いてみよう。結果は分かりきっているが。


「うん? なあにシラユキ?」



 エネフェア母様。見た目二十歳程度、でも六百歳以上、超が付くくらいの美人で巨乳、おっとこれはいいか。父様の妹で、私の大好きな母様だ。家族の中で唯一私を叱ってくれる珍しい、じゃない、ありがたい存在、なのかな? このふくよかな胸に埋もれるのが私の密かな楽しみでもある。変態臭いな……。でも反省はしない。自重もしない。



「町に行ってみた」


「駄目よ」


 即答だった。まだ言い切ってもいないんですけど……。


「まだダーメ。十歳になったら連れて行ってあげるっていつも言ってるでしょう? あと五年なんてすぐよ、もうちょっと我慢してね」


 私の鼻をツンツンと突付きながら優しい笑顔で言う母様。


 やはり駄目かー。しかし後五年もあるのか……。この精神で子供生活を続けるのはちょっと辛いわ。でも我侭を言ってこの大好きな母様を困らせる訳にはいかない、大人しく諦めよう。


「はーい、ごめんなさい母様。嫌いにならないで、ね?」


「な、なるわけないでしょう!! ごめんね? 厳しいお母様を許して!」


 全力で抱き締められてしまった。大きな胸に埋もれて苦しいが、幸せでもある。

 しかし、今のどこに厳しい要素があったんだろう?



 こんな感じで、叱られるとは言っても軽い注意程度だ。私に対して激甘なのは変わらない。可愛くてごめんね? ……今のは無いわ、いや五歳ならありか……。



「ん? 町か? 俺は町はあんまり好きじゃないな。それよりコーラスんとこの花畑見に行こうぜ? シラユキ花好きだろ? 俺も今日はユーネがいなくて暇なんだよ」


 本を読んでた兄様が顔を上げ、話に加わってきた。


「ルー兄様が見に行きたいんじゃないの? 主にコーラスさんを」


 コーラスさんとは、かなり大きな花畑の管理をしている女性だ。母様以上のサイズの胸の持ち主でとても綺麗な人で、私が緊張もなく話せる数少ないお友達の内の一人。


「なーに言ってるんだかコイツは。俺はユーネ一筋だって。あ、母さんとシラユキが嫌って訳じゃないぞ? 二人とも同じくらい好きさ。それに、あの胸は男なら誰でも惹かれるものだ。そこはしょうがないな、うん」



 このおっぱい星人はルーディン兄様。見た目年齢は姉様と同じくらいにしか見えない。でも実際は百五十歳以上で超イケメン。おっぱい星人だし残念なイケメンか? おっぱい大好きだけれど、姉様のことを心から愛している。姉様も兄様一筋で相思相愛ラブラブカップルだ。よく二人の世界に入ってるのを見かけるわ。

 胸云々言っているが、姉様は普通サイズだ。愛があれば胸のサイズなんて、ってやつだね。なにそれ。


 姉様が生まれるまでは、母様一筋だったらしい。もしかしたら私の父様になっていたのかもね。複雑な家庭すぎるよ……。



「ルーは本当に大きな胸が好きねぇ……。今夜は久しぶりに私としてみる? 挟んであげるわよ?」


 母様が何気に凄い事を言っている、ように見えるのは私だけなんだよね。


「いや、やめとくよ。母さんの事は好きだけどさ、俺はユーネを愛してるんだ。大丈夫、きっと母さんみたいに大きくなるさ。シラユキも大きく育てよー」


 おいやめろ馬鹿。私はそういう話苦手なのよ、赤くなっちゃうのよ。五歳なのに今の会話で赤くなるのはやばいって。でも、できたら大きく育ちたい!



 別にエルフが性に対しておおらか、とかそんな事は断じて無い。私の家族だけなのよ! みんなエロフなのよ!! 上手い事言ったよ私!


 近親間の恋愛は、他種族でもそこまで珍しいという物でも無いんだけどね。でも人間種族だけはそれは無いわー、ありえないわー、正直引くわー、と完全否定している。



 しかし、胸か……。確かに大きな胸には憧れるね。走ると揺れて痛い、とか、足元が見えない、とか言ってみたいよ。転生前の私なんて……、やめよう、死にたくなってくる。


「シラユキは将来美人になるわよー。ユーネも可愛かったけど、シラユキは、それを上回って有り余る才能を持っていると思うわ」


 美人になる才能? 何それ欲しい。でも、冗談でも嬉しいな。母様姉様くらいの美人になりたいものだね。後は、む、胸もせめて人並みには欲しいな……。


「うん? どうしたシラユキ、黙り込んじゃって」


 何も言わない私を心配してか、兄様が覗き込んできた。


 うわう、イケメンのどアップはくるものがあるわ……。カッコよすぎるでしょう兄様……。


「あう……」


「あらあら、照れちゃって。可愛いんだから」


「なんだ? 照れてるのか? ははは、可愛いやつめ」


 兄様が笑いながらわたしを抱き上げ、抱き締めてくる。だから苦しいよ! アンタら力強いよ! 見た目細いのに何故だ!! 私が小さいからだよ!! こら! キスするなしまくるな!!!


「ルー兄様くーるーしーいー!」


 もがいても全くビクともしない。まあ、嫌という訳じゃないんだけどね。メイドさんの生暖かい視線が気になるのよ! 恥ずかしいのよ!!


「あー、本当に可愛いなシラユキは。ユーネの小さい頃を思い出すよ」


「ルーはユーネが生まれたとたん私としなくなっちゃったのよね、寂しいわ。したくなったらいつでも言っていいのよ? 胸と口でするくらいならあの子も何も言わないでしょ?」


 ああ! やめて! 何で私の家族はナチュラルにこういう話できるんだろう。


「だからもうしないって……。ユーネとは、一目惚れ、かな? 運命ってやつさ」


 カッコいい事言ってるけどゼロ歳児に惚れるなよ! ロリコンってレベルじゃないよ!?



 こんなエロフ家族だが、両親同士、兄姉同士、ちゃんと愛し合っている。父様兄様も他の女性を抱く気は欠片も無いらしい。

 この言動からすると、母様はまだ兄様としたいみたいだね。姉様は姉様で父様には素直に甘えている。うーん、姉様は問題ないか。でも母様は怪しいな、このエロフめ。



 おっと、父様忘れてたよ。ごめんね父様。


 父様の名前はウルギス父様。母様と同じ様に見た目は二十歳程度だが、千五百年以上生きているらしい。ありえないわ千歳とか……。

 私に激甘な家族の中で、さらに頭一つ出て私に甘い。とても優しくてカッコいい、大好きな父様だ。


 今現在リーフエンドだけではなく、世界最強と言われるハイエルフ。単騎で一国を滅ぼすとか余裕らしい。怖いわそれ、人間兵器か、最終兵器お父さんか。先日のボコられ方を見ると、とてもそうは見えないんだけど……。



 お爺様お婆様に至っては、なんと三千歳以上!? 駄目だ、人間の常識で考えちゃ駄目だ。

 二人はリーフエンドの建国者。今は冒険者として世界を巡っている、という聞いた話。二人とも自然災害クラスの強さなので何も心配は要らない、との事。なにそれこわい。今もどこかでのんきに旅を続けているだろうと思う。




「ゆっくり、ゆっくり大人になればいいさ。急いで大きくなる理由も無いって。今はまだ好きなだけ遊んで、俺たちに甘えてればいい。町なんてすぐ行けるようになるし、行っても面白いものでもないしな」


「そうよ? 十歳二十歳、百歳なんてあっという間なんだから。子供は子供らしく、元気に遊びなさいね?」


 子供かー、子供だよねー、五歳だしねー。しかし百歳があっという間か……。

 うん、童心に返って、と言うか、童心になって毎日好きに遊ぼうかな!


「うん! ありがとう! ルー兄様! かーさまー!!」


 子供時代は今しかないんだ! 精一杯子供らしく遊んでやる!!



「よし! それじゃ早速コーラスの胸を、……花畑を見に行くか!」


「ルー兄様のえっちー」


「あはははっ! 男はエッチな生き物なのだ!!」


 素敵な笑顔で言い切るな!!!







新作投稿開始です。


また一日一話を予定しています。

一話あたり2000~4000文字に収まる程度で書いていこうかなと。


以前の作品と似たようなタイトル、似たような本文ですが、よろしくお願いします。



2012/7/31

全体的に修正、書き加えをしました。

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