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184/338

その184

「では、お話を伺いましょうか。眠くなってしまわれたら遠慮なく仰ってくださいね。あ、それとも先にベッドへ入ってしまいますか? 是非姫様を抱き締めながら耳元で囁くようにお話を伺わせて頂きたく存じます」


「このままで!! むう、久しぶりにこの方向でからかいにきたねシアさん……」


「からかい……? いいえ、本心からの言葉なのですが……。それに、姫様ももうお寝巻きに着替えられ、お休みになる準備は整っていますし、私もネグリジェのままお側に立つのは格好が付きませんからね」


「ネグリジェ姿でも素敵なメイドさんに見えるのになー。やっぱりシアさんは凄いね、うん。何が、とは言えないけど」


「ふふ、ありがとうございます」


 綺麗なお辞儀でお礼を言うシアさん。本当にどんな姿でも様になる凄い美人さんだ。



 お風呂から上がって少しだけみんなとお話をした後、今日は疲れちゃったから早めに寝るねー、と添い寝当番のシアさんを連れて自分の部屋へと戻ってきた。戻ってきたと言うか何と言うか、私は寝るときくらいしか自分の部屋にはいないんだけど。

 前にみんなにお手紙を書いたあの日みたいに、何時間も自分の部屋に篭るなんてかなり稀な事だ。もう談話室が私の部屋と言ってもいいくらいなんじゃないかなと思う。


 別に本当に疲れたから早めに寝たい訳じゃない、ちゃんと他に理由あっての事。まあ、疲れていると言えば疲れているんだけど……、主に精神的に。

 その理由とはシアさんとの今後の相談だね。ちょっとどころじゃない迷惑を掛けちゃったクレアさんへのお詫びと、私の我侭に付き合ってもらったお礼。後は唯一今回の裏事情を察しちゃってるシアさんへの弁解かな。どこまで見抜かれてるのかはまだ分からないけど、大体は、九割くらいは把握されちゃってると思う。



 お互い寝巻き姿での相談事っていうのもあまり格好が付かないので、シアさんの提案どおり、とまではいかないが、ベッドでお話する事にした。甘えの方が強すぎて、ちゃんと相談ができるかやや不安。くっ付かずに少し離れて横になろうかな。


 いつもの様に私が先にベッドに入り、シアさんもすぐに明かりを消して、いそいそと嬉しそうに入ってきた。三日に一度の頻度でもう何年も続いてる習慣事のはずなのに、シアさんだけじゃなくてメアさんもフランさんも毎日毎回嬉しそうにベッドに入ってくるのはどうしてだろう? 私もメイドさんズと一緒に寝られるのは嬉しいからきっとそれと同じなんだろうと一秒で答えを出して、そんな考えは頭の隅に追いやる。



 さて、実際暗い部屋で横になっちゃうとすぐ睡魔が襲ってきそうだ。早速シアさんに抱きついて甘え、じゃなくてお話をしなければ。

 しかし、うーん、甘えたい、うずうず。ベッドの中だとどうしても擦り寄っていきたくなっちゃうのは何故だろう……


 あ、甘えながらお話すればいいんじゃね? それならシアさんだって上機嫌になって、私のしてた悪巧みなんて忘れちゃってくれる筈だ!

 いやいや駄目だよ! 悪い事をしたらちゃんと叱られないと、ね。まあ、シアさんの事だからかるーく可愛く、メッ、としてくれるだけで終わるだろうと思うんだけど、ね。


 ……想像したらもの凄く可愛いシアさんが浮かんでしまった……、ぷくく……。可愛いシアさんと言えば、今日のアレは凄く、もの凄く可愛かったなー。じゃーん!! って……、ふ、ふふふ。

 いつも完全無欠なパーフェクトメイドさんがたまに見せる可愛いらしい仕草や行動、これがアレだね、ギャップ萌え。ふふ、ふふふふ。



「何やらとても機嫌がよろしそうですね、姫様? ふふ、思い出し笑いでしょうか。姫様が嬉しそうにされていらっしゃると、私も本当に幸せな気持ちになりますね……。姫様、まだ眠くはありませんよね? お話の前に少しだけ失礼をさせて頂きますね」


 シアさんはそう言うと私を抱き寄せて、優しく頭を撫で始める。

 明かりを消してすぐだから表情は分からないけど、今シアさんはもの凄く優しそうな、幸せそうな表情をしているに違いない。


「ふふ、ふふふ、幸せ。もうこのまま寝ちゃおうかなー」


 もぞもぞと布団に潜り、シアさんにぎゅっと抱き付いて胸元にすりすりと頬擦りを始める。


「ええ、それでも構いませんよ。姫様も今日は少しお疲れでしょうから、ぐっすりとお休みくださいね。……ああ、幸せです、いつも思う事なのですが、もう一生このままでいたいです……」


「私も幸せだけど一生このままはちょっと……。まだ大丈夫、そこまで疲れてないし、眠くも無いよ」


 まあ、一生抱き合ったまま横になってるのはさすがにアレだけど、シアさんには一生私のメイドさんを続けて欲しいものだね。シアさんのことだから嫌って言っても一生私の側から離れてくれないと思うけどね、ふふふ。




 シアさんに頭を撫でてもらいながら、全力で甘えつつお話を続けよう。最近はもう恥ずかしさはどこへやら、メイドさんズと一緒に寝るときは全力で甘えるようにしている。

 誰か他の、第三者に今の様を見られる事なんてありえないし、何より、こうやって素直に甘えると何故か、昨日の姫様はコレコレで可愛らしかったですよ、とかの自慢話的なやり取りが一切されない事に気付いたのだ! まあ、私が甘えまくるのがもう当たり前の事になってしまっているだけだと思うけど。

 そんな訳で、メイドさんズに抱きつきながら寝るのはデフォルトだ。胸に顔を埋めながら寝るのも当然の事だ。異論は認めない。


「まあ、実際のところクレアはそこまで気にしていないと思いますよ。罪を一身に受け、姫様をお庇いする事はできましたからね。ああ、すみません、姫様はその事を気に病んでおられるのでしたね」


「うん……。何か、私の我侭を聞いてもらった事と、黙っててくれたお礼がしたいの。でもどうしたらいいのかさっぱり思いつかなくて……」


 クレアさんが一切弁解をしなかったおかげで、クレアさんから私にオウドンについて聞いちゃった、っていう事になっちゃったんだよね。実際は反対なのにさー。

 言い出せなかった私が悪いんだけどね、あの時は色々とテンパっちゃってたから……。そもそも私がクレアさんに助けを求めなければこんな結果にはならなかっ、うん? 結果といえば結局私は誰のお願いを聞く事になるんだろう? 普通に考えるならメアさんかフランさんかのどちらかな。本当なら私がクレアさん押しで、強引に優勝させちゃうつもりだったのに……


 そんな事を考えていたら、シアさんの私を抱き締める力がちょっと強まった。顔を胸に埋めていたので苦しくなってしまう。幸せすぎる苦しさだけど。


「むぎゅ……。どうしたのシアさん? ちょっと苦しいよ……」


 シアさんは私の言葉にハッと気づいた様に力を緩める。


「も、申し訳ありません、感極まってしまいつい……。ふふ、やはり無意識なのですね。これは私だけの特権なのでしょうか、嬉しいです……」


 そう言ってシアさんはまた優しくナデナデを再開する。


 無意識? シアさんだけの特権? な、なんだろう……? 凄く嬉しそうだし、私がシアさんに対して無意識に何か喜ばれる事をしちゃったみたいだね。


 何をしたんだろうとシアさんの胸を揉みながら考える。……揉みながら?


 これだ!! また無意識に揉んじゃってたよ!!

 むう、なんで私はシアさんの胸の近くで考え事を始めるとつい揉んじゃうんだろ……。ああ、これがシアさんだけの特権っていう意味か。


「あ……、遠慮なく続けてくださって構わないのですよ? いえ、続けてください、お願いします」


「も、揉まれたいの? き、気持ちいいとかじゃないよね? あ、ああ、私に揉まれると胸が大きくなるとかいう噂が広まってるんだっけ。そんな事ある訳無いよ……」


 あったら自分で……、こほん、何でもありません。


「ふふ、それを抜いたとしても、姫様に胸を揉まれるのはどうしようもない程に幸せな気持ちになれるのですよ。もうクレアの事などどうでもいいではありませんか、さ、どうぞどうぞ」


「うわ! 脱いじゃ駄目!! ひゃあ! 抱き寄せないで!!」


 シアさんはネグリジェの前をはだけ胸を晒し、私の頭を引き寄せて胸を押し付けてくる。

 メイドさんズの着ている寝巻きは、三人とも簡単に胸を出す事ができる作りになっている。私が眠りについたら即吸わせる事ができるようにと考えられているらしい。変な事を考えないでほしいものだ……


 ううう、恥ずかしい。でも柔らかスベスベ、最高の心地よさ。暫くは大人しくシアさんの生おっぱいを堪能させて頂こう。


「うーん、恥ずかしいけど幸せ。それでー、シアさん? 何かいい案はないかなー?」


「はい……、あ、いえ、その……。幸せすぎまして頭が上手く回らないのですが……。ああ! 吸って頂けると頭もはっきりとするのではないでしょうか」


「ああもう、赤ん坊扱いはやめてって言ってるのに。……噛んじゃうよ?」


「!? 是非お願いします!!」


「嬉しそうにお願いしないで!! なんで嬉しそうなの!?」







定期的にこの二人をいちゃつかせたくなる不思議。


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